東方五行大神伝・過去の章   作:ベネト

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怒りは人を変わらせる…

by大神華楠


狐2人とねずみの妖怪

side華楠

 

「…何で?アタシがこんなこと」

 

「…頼むよ境奈…神奈子様も母さんもこの方法が一番良いって言ってたよ」

 

「…まぁあのグロいの見るよりはずっとマシだけどさ」

 

…現在私と境奈は神奈子様が言った命令を実行するため共に暗い地中の穴の中を進む…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「境奈の力で穴を掘って進むんだ!」

 

神奈子様の第一声母さんが間の抜けた顔をする

 

「穴を掘って進む?」

 

「ああ!この地下に洞窟を作りそれを利用し黒幕に近づき元を叩く!この方法ならいける!」

 

神奈子様は私と境奈を見る

 

「…頼んだぞ2人共…鈴音の命とこの村の未来がかかっている」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…となったけど…母さんもよくこの作戦に賛同したね…穴を入る前に抱き締めてくれたけどさ…」

 

「…私達を信じているんだよ頑張ろう…境奈…」

 

境奈が立ち止まり穴を作るのをやめる

 

「…はいはい…この辺かな?華楠…地上に出るよ!上に参りま~す!頭上にご注意下さ~い!」

 

上の土が横に移動し大きな穴が天井にできる…光が漏れており地上に繋がったようだ

 

そして足元の地面が盛り上がり私達は地上に出る

 

 

 

 

穴から出ると辺りは木に囲まれている…うっすらと太陽からの光が来ているが薄暗い

 

「森の中かぁ」

 

「うわ…気味悪っ!」

 

境奈は辺りをキョロキョロと気にしている

 

「…怖いの?」

 

「は?怖くないし!用心深いだけだし!!へたれなアンタとはこのアタシは違…「あ…とかげ」ギャー!」

 

…境奈はすぐ近くの木にしがみつく

 

「…境奈?」

 

「…いや…怖くはない…驚いただけ…驚いただけ…」

 

境奈はブツブツと呟きながら先へと進む…

 

「あっ!待ってよー!」

 

私は彼女を追う

 

 

 

 

 

 

 

 

森の奥に進んでいくと何やら…獣のような臭いと血のような臭いが鼻につく…森の中空気も変わりつつある…

 

「臭!…酷い臭い!」

 

「っ!本当だね」

 

…でも何かの足跡や毛が落ちている…黒幕に近づいているはず

 

しばらく進むと広い場所に出る…

 

 

「…広い場所に…っ!…おぷっ!」

 

境奈が口を押さえる

 

「どうしたの?…これは!」

 

 

 

 

 

私達の目の前には山積みになった大量のドクロと人の体の骨が目に映りそれからは死臭が辺りに漂っている…

 

「オロロロー!!」

 

境奈の方は見ないようにしよう…

 

「キキキ!何だぁ?貴様らは?」

 

山積みになった骨の上に大きなネズミが座っていた…灰色の体毛は血がこびりついており黒ずんだところがある…

 

「…君が村にネズミを送っている犯人ね!」

 

私が叫ぶと巨大ネズミはケタケタと笑う

 

「キキ!お前ら…あの村の奴か?…ああそうだよ!俺がやった!」

 

巨大ネズミは山の上から飛び降り赤い目で私達を見る…

 

辺りの死臭が更に強くなり境奈は鼻を押さえて耐えている…

 

 

 

 

「~っ!何故こんな…うぷっ!」

 

「キキ!…本当はあの赤ん坊1人を殺すのが俺の目的だったんだが…あの巫女に邪魔されて…本日2回目の強襲をかけたんだよ…」

 

巫女?鈴音のこと?

 

「…鈴音に何をした!?」

 

「あ?俺の特製疫病ウイルスを仕込んだネズミを使って噛んでやっただけよ!全く余計なことしやがって…神の子だか何だか知らねぇがあの赤ん坊を殺せばその血は途絶える…あいつさえなければずっと妖怪の天下よ!ギャハハハ!」

 

…そんな下らない理由で鈴音にっ!所帯を持ってこれからが幸せという時に!!

 

 

「っ貴様…鈴音によくも!」

 

「ギャハハハ!!何だぁ?怒っているのか?全く…見た限りは美人で鈍そうな奴と思っていたが…まぁいいや…あの巫女?鈴音だっけ?あいつはもう助からねえぞ?そろそろ死ぬかもな!」

 

「…は?」

 

巨大ネズミの言葉に私の思考がフリーズする…鈴音が死ぬ?

 

 

 

「ゲホっ…嘘でしょ?そんなのハッタリよ華楠!」

 

「キキ!残念だがハッタリじゃない!俺のウイルスは猛毒だ!治療方法は無い!体の中に入ったら全てを侵食する!ククッ…ギャハハハ!」

 

…嘘だ…こんなことあっていいはずない…

 

夢なら覚めてっ!私の始めての友達が…

 

 

 

 

side境奈

 

「い…嫌ああああ!!」

 

華楠が頭を抱えて地面に崩れる…

 

嘘でしょ?鈴音が死ぬとか?何かの間違いでしょ?

 

「…う…ゴホっ!!カハっ!!」

 

気分が悪くなって来た…この臭いも原因だが知っている人が死ぬとか精神的にくるものがある…ヤバい華楠はあんな感じだしアタシが何とかしないといけないのに!

 

「…さて!お前らを殺した後ゆっくりと村の進軍を開始しようか!」

 

巨大ネズミがアタシ達に迫る…

 

 

 

 

 

「…待て…塵が」

 

冷えた声が辺りに響く…

 

「キキ?」

 

「う?華楠?」

 

華楠を見ると立ち上がり狐耳・尾を出した状態になっており体から緑色のオーラを出している…

 

「あ?お前妖怪か?…何だよその目?」

 

巨大ネズミが言うが華楠は拳を強く握っていた…

 

「…お前はしてはいけないことをしてしまった…あいつの幸せを壊したんだ…その罪…償ってもらおうか」

 

いつもと感じが違う…そういや怒った華楠なんて見たことなかったな…いつもは内気で・へたれな姉だったが今は違う…

 

華楠の体に妖気が集まり少しずつ体が変わっていく…

 

「…キキ…な…何だよ…お前は?」

 

「冥土の土産だ…この姿でじっくりと痛ぶってやる…覚悟しろよ?」

 

華楠の体が人間の体から巨大な狐の姿に変わる…緑色の体毛は艶やかで花のような香りが辺りに広がる…

 

「クオオオオン!!」

 

そして華楠は遠吠えをしその後の景色は地獄へと変わる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…30分は経っただろうか?

 

アタシの目の前にはアタシの姉である…大神華楠が巨大な狐の姿になり巨大ネズミを殴り殺している…

 

「クオオオオン!!」

 

遠吠えしながらすでにこと切れた巨大ネズミを殴り帰り血を浴びる…艶やかだった緑色の体毛は血がべったりとついている

 

「はぁ…はぁ…ゴホ!」

 

でもこの光景をずっと見てみたい私がいる…内気でへたれな姉である華楠が激昂して相手を殺しその帰り血を浴びるさまはとても美しく見えた…

 

「あは…最高じゃない!」

 

…アタシもおかしくなってきたか…つい興奮して言葉が出てしまった…

 

短期間のうちにグロテスクなものを見すぎたせいもあるが…今の華楠を見ても全く吐き気すらしない…

 

華楠の動きが止まり彼女の姿が元の人間の姿に戻る

 

 

 

「…」

 

華楠は血に濡れた自分の手を見つめる…身に付けている緑色の着物は血で染まっている…

 

「…境奈」

 

「な…何?」

 

「村に戻ろうか…これでねずみの進軍も止まっただろう…」

 

華楠は無理に微笑んでいるがどこかしら吹っ切れたような感じがする…

 

まぁ別に構わないアタシの姉であることに変わりない…

 

 

 

 

 

 

その後彼女達は村へ帰還する…

 

華楠の言うとおりねずみの進軍も止まっていた…出てくるなり血まみれの華楠に皆は驚いていたがそれは小さなこと…

 

彼女達は鈴音と諏訪子がいる社へ急ぐ…

 

巨大ネズミを倒したところでねずみの進軍を止められても鈴音の体内のウイルスは死んではいないのだから…

 

 

 

 

 

side暦

 

私達は急いで社へ戻る…

 

黒幕を倒したところで鈴音の中にいるものが消えたわけではない…社に到着すると戸越しに声が聞こえて私達は止まる…

 

…声は鈴音と諏訪子のようだ

 

「…洩矢様私の子供は大丈夫でしょうか?」

 

「…大丈夫…あの子は無事だよ…すまない…お前を守れなくて!」

 

「いえ…洩矢様にはずっと守ってもらいました…幼い頃からずっと…遠くから私を見守ってくれたのですから」

 

「…気づいていたの?」

 

「…フフ…毎日のように見ていたら子供でも気づきます…洩矢様が見守ってくれたと同じように私も母親としてあの子を守れて良かった…本当に…洩矢様の子供で良かったと…心から思います…」

 

「!…何で?言ってないのに…」

 

「…分かりますよ…私は貴女の子供なんですから…この人生は本当に良かった…好きな人と所帯を持てて…子供を授かって…華楠ような良い友人と巡りあえて…洩矢様・八坂様・大神様のような素敵な3柱と会えて…そして最後に…貴女を…お母さんと呼ぶことがやっとできたっ!」

 

「…最後なんて言わないでよ!」

 

「…自分の体は私が一番理解しています…お母さん…私の子供を頼みます…そして最後にっ!ゴホゴホ!!」

 

「…鈴音!無理に話すな!」

 

「…華楠に私がいなくなっても前を見て進んでと伝えてください…あの子内気で人見知りするから…だから…お願い…私が…いなくて…も」

 

「…鈴音?ねぇ!鈴音!嘘でしょ?…鈴音ー!!」

 

戸の奥から諏訪子の泣き声が聞こえてくる…

 

鈴音…最後に諏訪子のことお母さんって呼んでた…私達が言わなくても分かっていたみたいね…

 

 

「…そっとしておこう」

 

神奈子の言葉に私達は社を出る…が華楠はフラフラと外の方へ向かう…

 

「…華楠?」

 

「…大丈夫…少し風にあたってくる」

 

華楠はそう言い残し村の外へ消える…

 

心なしか雰囲気が変わった気がする…華楠のあの帰り血…黒幕を殺すにしても量が多すぎる…

 

殺した後もずっと攻撃をし続けていたのだろうか?

 

「…怒りか」

 

辛いのは分かる…でも我々の力は強力だ…使い方を間違えれば自らを滅ぼしかねない…

 

後で言っておかないと…

 

「助けられない命もあるんだね…」

 

沈みつつある夕日見ながら私は今後を憂う…

 

 

 




最近長くなってしまってるな…

ではこれにて
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