by大神潤香
side潤香
30分後全ての民の話を聞き終えた太子様は一息ついたあと私の方へやってくる…
「…お待たせしました」
「いえ…お疲れ様です…で?私に何か用でしょうか?…な!?」
太子様は私の胸に額を当て何か調べるように目を閉じる…
「…やっぱり貴女から欲を感じることはできませんね…この世の人にしては珍しいですね」
「…欲をですか?」
「…ええ私の能力(十人の話を同時に聞く程度の能力)で人がそれぞれ持っている欲を聞くことができます…生きているかぎり欲が聞こえるはずなのに…」
能力で欲を聞くことができるのですか…なるほど珍しい能力ですね…
…しかし私にとっては危ない力ですね…人でもあり妖怪でもある私の存在がばれてしまう可能性があります…何故か分かりませんが私にはその力は作用しないようです…能力が効かないのは私にとっては好都合
「…私には分かりかねますね」
「…そうですか?まぁそれでも良いです…実は貴女にお願いしたいことがありまして」
「お願いですか?」
「…はい…単刀直入言いますが…私の従者の一人に加わってくれませんか?」
「!?従者ですか?」
…こんなことがあるのでしょうか?まさかの太子様が私を従者の一人にしたいというとは…
「…私が…ですか?」
「はい!私は少々貴女に興味が出てきまして…今まで見たことがないんです!欲を感じない人というのは…」
「…欲ですか?そんな珍しいのですか?欲が無い人間というのは?」
太子様の顔が強張る
「…ええ…残念ですがこの世は欲にまみれている者が多いのです…権力を持つと人は更なる欲を出し自分の利益を追い求めるという…悪循環…私は…この世の中を正したいんです!指導者として民を正しい道に導くために…ですが私も人間です…誰かに支えてもらいたいときがある…私が信頼できる者として貴女を私の従者に加えたいんです!お願いします!」
指導者として民を導くですか…先程の事を見た限り立派な考えですね…
しかし私が信頼できる人物ですか…
side太子?
「…私で良ければどうぞ」
彼女からの一声に私は歓喜する!
その一言が聞きたかった!
「本当!?」
「ええ…私自身も期待に答えてみたいので…私の名前は大神潤香申します…」
潤香は私に会釈をする…大神?まさかの名字持ちとは!!
「君も名字を持っているのですか?」
「…ええ生まれた時からそうだと…まぁ…私達は元々この地の者ではないので」
「そうだったのか…では!宜しく頼むよ潤香!」
「ええ…こちらこそ…では一度私はこれにて…色々と準備がありますので…明日またこの場所で」
潤香は再度私に会釈をし都の入り口へ向かう…
明日この場所か…あの2人に潤香の事を話しておかないと…
彼女の後ろ姿を見ながら私はルンルン気分で屋敷に戻る…
一方その頃大神神社では潤香のこの行動を鏡を通して暦達は見ていた…
全員椅子に腰かけ暦は満足そうにのけ反る…
「…フフ…潤香やるじゃない」
暦の反応に華楠は鏡を真剣に見つめながら話しはじめる…
「…母さんいいのか?もし潤香の正体がばれでもしたら!」
「その時はその時よ…何かする上では何らかのリスクを負うわ…潤香にとっては良い経験になるはずよ」
「…呑気な…それでもしもの時!」
華楠の言葉に境奈が笑う
「良いじゃん~!華楠~?自分の妹が頑張っているんだしさ~!」
「境奈…傷つくのは潤香何だ!もしうまくいったところで人は私達よりも先に死ぬ!その時に辛い思いをするのは潤香なんだ!」
華楠の言葉に煌炉が反応を示す
「華楠姉さん…決めたのは潤香なんだから…人との関わりを止めた私達が言える立場ではないよ」
「…煌炉!お前まで!」
狼狽える華楠に暦は呟く
「…落ち着きなさい華楠…人に先立たれるのは辛いことだよ…でも潤香が前に進もうとしてるじゃない見守ろうよ…」
「くっ…」
華楠は自分の席に座り暦は娘達見回す…
「…貴女達も前に進めると良いんだけどね」
「え~?だってアタシ達の力に恐怖するじゃない?色々と面倒じゃない」
「…それに張り合いが全く無い…数年前に山賊に襲われたけど…つまらなかったよ」
「…私は…あの時のような目で見られたくない…」
境奈・煌炉・銖理はそれぞれの感想を述べ暦はため息をつく…
過去の章はまだありますよ!
ではこれにて