by大神銖理
side神子
潤香が血を流して私の前に倒れている…
しばらくし私は正気に戻り今起こったことをやっと現実として受け止めることができた…
「潤香ー!!」
私は彼女に近づき抱き締める…彼女に触れるとまだ息をしている!!
「潤香!しっかり!!」
私の腕の中の潤香は弱々しく目を開けて私の頬を触れる…
「…神子様?お怪我は…ございませんか?」
「…私は大丈夫だ!っ!こんなっ!無茶をして!」
「…私の役目は貴女の役に立つこと…これくらいの怪我…大したことは…」
出血が酷い…このままでは潤香が死んでしまう!
私が彼女の傷を塞いでいると遠くから青娥が走ってくる…
「豊聡耳様ー!ご無事ですか!」
「…青娥!潤香が…潤香が!!」
青娥は潤香の怪我を見て眉をしかめる…
「…これは酷いですわ…この場では治療が出来ませんわ」
彼女は遠くにいる巨大な熊を見つめる
熊はノシノシと私達に近づいてくる…
「…くっ!まだ来る!」
「…青娥…青娥」
「何かしら?」
潤香が呟き青娥が潤香に耳を傾ける…
「ボソ…ボソ…」
「…それでいいの?」
青娥の言葉に潤香は頷く…何を話していたかは聞こえなかったけど…
「青娥?潤香は何を?」
私の言葉に青娥は立ち上がり私を抱え始める…
「青娥?」
「ここは逃げますわ!これは潤香の意思ですわ」
…潤香の意志?ふざけるな…こんなことあってたまるか!
「ふざけるな!潤香!私が君の犠牲を喜ぶと思っているの?」
「…ふふ」
潤香は只笑みを浮かべて起きる気配も見せない…青娥は走り始める…
「青娥!止まれ!潤香が!」
「…背に腹は変えられませんわ!」
「潤香ー!!」
景色がどんどん離れていく…潤香を残して…
side潤香
「全く…やってくれましたね…」
私の傷を見ながら私は巨大な熊を見つめる…
重症を負ってしまったが神子様を守れてよかった…
能力を使っても良かったが能力は神子様には内緒だ…それに私の水の体は巨大な熊の攻撃をすり抜けて後ろにいる神子様に被害を与える可能性があったのでどちらにせよ能力を解除せざるを得なかった…
「…けほ」
…目が霞む…血を流しすぎたか…能力を再発動すらままにならない…
「…私の…人生はここまでですか…」
…こちらに来る巨大な熊を最後に見つめ私は目を閉じる
(ダン!…ダン!)
山中に響く銃声で私は目を覚まし辺りを見る…
目の前の巨大な熊は地に臥しており…大熊の向こうには長い白い髪に白い着物を着た女性こと私の姉大神銖理がいた…
「…銖理お姉様」
銖理お姉様は金色の光のこもっていない双眼で熊を冷ややかに見ている…
「…潤香を傷つけた…許さない…」
「グルルル!」
大熊の方はまだ息があり銖理お姉様を威嚇している…
「…まだ…息があったか…まぁいい…私としても…怒りが収まらなかった…ところだ」
銖理お姉様は銃を大熊に向けて発砲する…
それも一発ではなく全弾…初撃で大熊の額とらえて絶命させたというのに…イライラと更に打ち込んでいる…
「~っ!!」
カチカチと弾が入っていない銃を撃とうとするが諦めて銖理お姉様は銃をしまう…
それと同時にまた意識が途切れ始めて…私は目を閉じる…
side銖理
「…ちっ!」
私は大熊蹴り飛ばし気絶した潤香を見る…
…出血は酷いが何とかなるか
…私達は只の人間ではない…多少の致命傷ならまだ何とかなる…
今すぐに神社に連れ帰りたいが…潤香はあの主のために頑張っていた…ここで終わらせるのはあまりにも惜しい…
「…はぁ…仕方ないか…」
潤香を抱えて私は下山を始める…
side神子
「…ハァ…ハァ…久々に全力で走りましたわ」
山の入り口にて青娥は私を下ろして息を切らせている…
青娥のお陰で私は助かった…だが潤香がっ!
何が聖人君子だ…自分の従者すら守れていないではないか!
目の前の景色が歪み私はその場に崩れ落ちる…
「…うっ…うっ…潤香っ!」
ダン!
何やら爆発音辺りに響き私は目を開ける
青娥は山の方を確認して目を見開く…
「!!豊聡耳様見て下さい!」
「…ふぇ?」
青娥は山道を指差してその方向には倒れている潤香がいた…
「!!潤香~!」
私は彼女に駆け寄る…
「…はぁ…はぁ…」
着ているものはボロボロだが…まだ生きている!
私が抱き締めると潤香が痛そうに目を開ける…
「…神子様?」
「…馬鹿…私の従者なら…心配をかけないでよ!」
「…申し訳…ございません」
「~っ!!無事で良かった!…うっ…うっ…」
…導く者として…涙は流してはいけないのに!何故か止まらないっ!
彼女を抱き締めて私は延々と涙を流す…
第3章も佳境ですね…
ではこれにて