by大神潤香
side神子
今私の目の前には狐の耳・尾を生やした潤香がいる...
認めたくないけどこれが彼女の正体のようね...
「...これが君の正体」
そっと彼女を触れようとするが私の腕が途中で止まる...
(な...何!?)
私の手を見ると小刻みに震えていた...何故震えがこんなに?
次の瞬間私に思う浮かぶのは一週間前のあの巨大な熊の記憶...
まさか私は潤香に恐怖を持っているというの?
違う!!潤香は妖怪だけど私を助けてくれた!頭では分かっているのに震えが止まらない!!
「神子様?」
「っ!」
近づいてきた潤香につい距離をとってしまった!そんなつもりはなかったのに!!
「...っ!...やはり私のような存在は恐れられるのですね」
「違う!私はそんなつもりは!!」
「いえ...大丈夫です...やはり華楠お姉様の話を聞くべきでした...私達は住んでいる世界が違う...人の住む世界は...私にとっては眩しすぎたみたいですね...」
潤香は傷口に爪を立て傷が余計に開き血があふれ出す...
「潤香!!」
「...この傷は...貴女を怖がらせた私の罰として永遠に刻みましょう...でも...見てみたかった...人と共存できる...世界を...ずっとっ...神子様に仕えていたかったっ...」
潤香は部屋を飛び出す...
「待って!潤香!!」
すぐに彼女を追うが外の天気が急激に悪くなり大雨が降り彼女の姿が雨に溶け込み消える...
欲が見えなくとも彼女が私に尽くしてくれていた...そんなこと分かっていた...
私は潤香の秘密を無理にこじ開けてしまったのですね...
「...ごめんなさい...潤香っ...」
...潤香が神子の下から去って1年
神子もまた道教の無理な実験が祟って体を壊し床に臥した...
青娥と屠自古に看取られ最後の時を迎えようとする...
「はぁ...聖人である私が倒れることはあってはならないのに」
「っ~!神子様!しっかりしてください!」
「泣かないで下さい...屠自古...私も布都と同じく長い眠りにつくだけです...目が覚めたら...また会えますよ...青娥...後のことは宜しくお願いします」
神子の言葉に青娥は頷く...
「...後はお任せください...豊聡耳...」
青娥はそう言い残し部屋を出る...
「...聖人としてまた生きられたら...何をしましょうか...民を導き...そして...」
(...彼女が生きていれば...また会ってみたいですね...)
神子はそう思いながら目を閉じる...
推古29年 聖徳太子こと豊聡耳神子没する...
side青娥
部屋を出ると目の前の庭は大雨によりかすんでいた...まるで聖人の死を弔っているように見える...
でもまさか...道教の術で豊聡耳様が体を壊すのは私としても予想外でした...
それで急遽尸解仙の術を使うことになろうとは...布都さんが先に受けるといって尸解仙として眠りにつきそう日は経っていませんが丁度良い...
(神子様!...そんなっ!...くっ...嫌ぁぁ!!)
中から屠自古さんの声が聞こえる...
「...さてここからが私の仕事ね(...神子様は...旅立たれましたか)っ!誰!?」
庭を振り向くと庭の中央には番傘をさした黒い着物の女性がいた...この声まさか!
「...貴女...潤香なの?」
「...久しぶりですね...青娥」
番傘を閉じると彼女の顔があらわになる...1年前と比べて少しやつれているように見える...
「どうしたのよ?この1年間何を?」
「神子様に私の正体がばれてしまいましてね...残念ですが実家の方に戻っていました」
「正体が?そう...それは災難ね...」
「ええ...風邪のうわさで聖徳太子が死の病にかかったと聞いてここに来たんです...間に会わなかったみたいですが」
「...完全に死んだわけではないわ...尸解仙として長い眠りについただけよ」
「尸解仙...アレですね...良く覚えています...ということはそうとう長い間眠っているわけですか?」
「軽く1000年程ですね...どう?これから私達と豊聡耳達を守らない?絶対荒らすようなものは出てくるだろうし...」
「...残念ですが私の方もやることことがありますので...1000年後あの方が安心して復活できるように...一方的に約束をしたんです...」
「...やることですか?」
「...実家の手伝いですよ...では私はこれで」
潤香は大雨の中に消える...
この1年で変わったわね...依然と比べて幾分か目が鋭く光がこもっていなかった...
「やることね...まぁいいわ...後半あたりには手伝ってもらいましょうか...」
都から500メートル地点の森そこには妖怪が集まっておりジッと都の方を見ている...
「...聖人が死んだ...あの肉は我々の力になりそうだな」
「...ケケッ!仙人の肉は妖怪の力の糧となる~」
妖怪たちが都の方に進んでいくと雨が降り始めてくる...
そして雨の中から番傘をさした潤香が妖怪の前に現れる...
「...ここから先へは行かせません」
潤香の言葉に妖怪は詰め寄る...
「...何だぁ?貴様...食われたいか?」
「...下劣な考えですね...食べるしか考えしかありませんか...なら貴方方は消えてくださいな...」
「...ごぼぼぼっ!!」
辺りの水たまりの水が全ての妖怪を包み込み水の玉の檻に閉じ込める...
潤香は水の檻に閉じ込められた妖怪たちが苦しむのを見て薄ら笑いを浮かべていた...
「あの方の平和な未来の約束のため...さぁ...泣いてください...涙の枯れた私に変わって...」
第3章終了
ではこれにて