犠牲は必ず出るのだから
by大神暦
side暦
「う~ん!残り一件か...」
私は最後の書類に目を通し自室で溜息をつく...娘たちのほとんどは自分の仕事を終わらせており屋敷内で待機をしている...
私の娘ながら仕事が早い...このままだとマズイね
「さて...今日中にやってしまおうかな~」
銖理がつくった通信機を着物の中に入れて今日の仕事を確認する
・里の子供を生贄として妖怪に取られている...その子供たちを助けてもらいたい
...ということは子供たちの救出が今回の役目
+aでその妖怪も退治しておくか...だけど
「...かなり時間が経過しているな...早く行った方が良いかもね」
自室を出て玄関に向かうと下駄を履いている境奈に遭遇する...何やら頭の上に黒い雲が見える?
「おはよ~境奈~どうしたの?」
「...アタシのラストの仕事...この国の東の端って書いてあった...どういうこと?」
「遠いね...ドンマイ!!」
境奈は溜息をつきながら玄関から出て庭の土に手をつく...
「...くそ依頼場所...確認しておくべきだった」
境奈は土の中潜り地面を泳ぎながら依頼場所へ向かう...
...まぁ彼女が本気を出せば今日中には終わるでしょ
「さて...私も向かうかな」
依頼場所を確認して私は境奈と反対方向へ向かう...
2時間後
「...ここかな」
私の前には小さな集落...手紙通りならここで間違いはないらしい...
見た限りさびれており、活気らしいものは感じない
「...酷いな...依頼主はここの村長か」
集落に入ると防人が私に警戒するが私が大神家の者と分かると私に近づく...
「村長の家はこの先です...どうぞ」
「...ありがと」
防人に案内され私は村長の家へ通される
「大神家の当主様でございますか!これはこれは!!わざわざ遠いところからありがとうございます!!」
屋敷で私を迎えたのは白髪の老人...この人が村長ということが分かる...屋敷内に通されて私たちは居間へと向かう...
「...さぁさぁ!どうぞ!!」
机を挟み私と村長の2人になる...
「ありがと...で?貴方が私に依頼をした人で間違いありませんね?」
「いかにも...貴女様にこの村を救ってほしいのです!あの忌々しい大狒々から!」
「...大狒々?」
私が聞き返すと村長は忌々しく外を見る...
「...大狒々はこの里の近くを住処としている妖怪でございます...ここ1年になって里に現れ里を滅ぼされたくなければ...子供の生贄をよこせと...それが頻繁に続き...このままでは里が!」
村長は震える...かなり頻繁に生贄を要求していたみたいね...村がさびれていたのも分かる気がする...
「...念のため子供たちの数とさらわれた日付はわかります?」
「...攫われた子供の数は合計で30人...最後の生贄が3日前ですじゃ」
...3日前かぁ...思ったより時間が経過している...いや私が来るのが遅すぎたか...
「そこまで経過しているとは...申し訳ありません...今からそこへ行ってみますが...それなりの覚悟をしておいてください」
「...それは重々承知です...大神様は忙しい方ですのでわかっておりました...只私どもの手で子供たちを弔いたいのです...」
「...分かったわ...日が落ちるまでには戻るわね」
私が部屋を出ようとすると村長が慌てるように立ち上がる
「お待ちくだされ!!大狒々の居場所をご存じで?」
「私を誰と存じています?では...これにて」
私は村長の家を後にし里の外へ出る...
30分経過
「...威厳を保つもの疲れるなぁ」
...大神家の当主としてふるまうのは疲れるものがある...普段の話し方だと相手になめられると華楠が言っていたし...せめて仕事中くらいは慣れないこの話し方で行くしかない...
そして私の目の前には洞窟...村から約1kmぐらいのところにあった...捜索するのは随分と楽だった...足跡・体毛を村で発見しその持ち主を辿るだけで充分...
只問題は探索はすぐ終わるのに戦闘で時間をかけてしまうのが私の悪い癖...そこのところは直していかないと...
「さて...洞窟探検かな~っと...うっ...」
洞窟に一歩入ると空気の流れが変わる...まだ入り口だというのにうっすらと悪臭がする...洞窟を進んでくるにつれて悪臭の強さが更に増してくる
「...酷い臭い!!」
目をふき鼻をつまんで進むと広い空間に出る...そこには...
「...臭いの原因はこれか」
その空間には骸骨がそこら中に転がっていた...全部子供の骨のようだ
「...約30人くらいか...何で子供ばかり」
私の頭の中には諏訪子と鈴音のことが過ぎる...
私が受けた中では一番胸糞悪い...辺りを見ていると洞窟の奥の方から足音が聞こえてくる...
「くく...何だ?人間の女が来たのか?」
その足音の主の正体が明らかになる茶色の長い体毛のサル型の妖怪のようだ...
「...大狒々で間違いないね?」
「間違いないとも!俺様のすみかに来たということは...お前退治屋か?あの里の奴らに頼まれたか?」
「...ご察しのようで」
大狒々ゲラゲラ笑い始める...
「でも!遅かったな!!あの餓鬼は!クク!」
大狒々は私に向かって何かを投げ...それは私の足下に転がる...
「っ!!」
...それは子供の頭...幾分か日が経っているみたいだが女の子だったと言うことが分かる
「顔は可愛かったからそのままにして残しておいた!わめいている時...サイコー!だったぜ!!ぎゃはは!!」
...ああ...やはり駄目だったか...私がもし一番最初にこの依頼を受けていればこの子は助かっただろうに...
「ごめんね...助けてあげられなくて...痛かったでしょ?怖かったでしょ?」
頭を抱えると大狒々は更に高笑いする...
「...ぎゃはははは!さて...在庫もないし...またあの里を襲いにいくか!...お前を殺してからな!!」
大狒々は私に向かい飛びかかる...
「...下種が」
私は術陣を出現させ鎖が発射され大狒々の両腕を貫通しそのまま洞窟の壁に磔にする...
「何だ!これは!!」
大狒々は何やらわめいているようだが関係ない...
この鎖は殺傷力は皆無だけどこれでゆっくりと相手を殺せるというもの...
「...まだ死ぬのは早い...せめて私を楽しませてから!死んでね?」
私はダーツのシャフトを大量に出現する...
暦切れる...
ではこれにて