by大神潤香
side?
「さて...行きますか」
黒い髪の女性の周りにある水球が私に向かって飛ぶ...
錫杖で全て弾きましたが狙いは正確なようです...一つ間違えば後ろにいる子に被害がおよびかねません...
「...おや?人間にしては中々の反応のようですね」
「...これでも鍛えていますから!」
私は彼女に向かい走り頭上めがけて錫杖を振りかざす...私の力だったら1回で昏倒させられる!
「...徒労ですよ」
「!?」
錫杖による攻撃は彼女の体をすり抜けて空を切る...
やはり何かの能力者ですか!
「...水を操るようですが...その体も?」
女性は頷き辺りの水球を浮かせる...
「...ご名答...私の能力は水行の力を使う程度の能力...簡単に言ってしまえば水を自在に創造・操ることができる能力です...私自身の体はほとんどが水分となっておりあらゆる物理攻撃は通過・衝撃は逃がすことができます...」
水行...私の専門外ですが五行の力の1つのようですね...しかし体のほとんどが水とは私の自慢の物理攻撃も意味を成しませんか...
「...中々戦い慣れているようですね...若いのに驚きです」
「...ふふ...貴女よりは歳は越えてますよ...それよりですが...もうその錫杖は使えませんよ?」
!?
錫杖を見ると見事に錆びついておりボロボロだった...まさかあの水球を弾いただけで?
女性は笑い始める...
「水の力は万能です!攻めにも守りにも使える万能元素!いくら足掻こうが私には絶対に勝てないんですよ!」
女性の左腕が急に伸び私の首を絞めつける!
「あ...ぐ...」
...水というより粘度の強い物質のようですね...ところてんのようにぷるんぷるんしています...
「本当は圧縮した水を飛ばした方が殺傷力がありますが...あれは返り血がすごいのでもうやりません...じわりじわりと...やりますか」
ハイライトのない目が不気味に光る...人間と思ってあまく見ていましたが実力は本物のようですね...私も本気で行きますか...命蓮...力を貸して
私は懐から独鈷杵を取り出す...
「...いざっ!南無三!!」
独鈷杵を彼女の腕に刺すが彼女は痛がる素振りも見せない...
「...今の私の体はほとんどが水...そんな攻撃...ダメージにもなりません」
「...貴女の力は物理は無効化にできるみたいですね...ですが...この力はどうです!?」
私は彼女の体に法力を流し込む...法力は水の腕を通り彼女の本体へ向かう...彼女は異変に気付いたのかすぐに腕を引っ込めるが少し遅かった...
「!?くっ...ああああっ!!」
法力が彼女の水の体を巡りダメージを与える...しかし少々浅かったか...
彼女は私から十分な距離を取る...
「っ!...やってくれますね...」
辺りの雨がひどくなり始める...
「物理以外の攻撃はよく通すみたいですね...」
「はぁ...貴女のような賢い人は好きですが...この場合は嫌いです...不思議な力を持っているようですね...一体何の禁忌を使った?」
「!!」
女性は薄ら笑いを浮かべる...
「ふふ...そうですか...私にはわかりますよ?その力を受けた瞬間にその力とは別に妖力を感じた...貴女...僧の身でありながら人間をやめていますね?」
...この人私の力をあの一瞬で全て理解したというの?
「私は...」
「...後ろめたいことでもあるのですか?...まぁいいです...貴女の力を食らうのはもうこりごりです...もう準備は整った!!」
彼女が術陣を出現させると私の体が急に重くなる!?
「なっ!?体が...」
女性は番傘をクルクルまわし降り注ぐ雨に手を出す...
「辺りの雨に気づきませんでしたか?これも私の能力で創造した水...貴女の着物にまとわりついた水は私の術より徐々に重さをましていた...まぁ...かなり浴びていましたし相当な重さでしょうね?体力の消耗も激しいでしょう?」
「...」
体全体が鉛のように重い...こんな罠があるとは
女性は後ろの子を見て笑う...
「...あ...あわわ」
「すぐにお相手してあげますからね...これで終わりです...」
辺りの水が彼女の頭上に集まり始める...
「...苦しまぬようにすぐに楽にしてあげます」
水球が私の方へ飛ぶ...
「私はっ!負けるわけにはいきません!!」
法力を体全体に放出し辺りの水全てを弾きとばす...これで重さはなくなった!
「なっ?」
こちらにやってきた水球を避けて私は彼女の方へ走る...狙うは...本体!
右手に法力を溜め私は彼女の体に掌底をうつ...
彼女の体が水の波紋のように波打ち始める...
「うぐ...ぐっ!?衝撃がっ!逃がしきれな...い...かはっ!!」
彼女は吐血しそのまま後ろに下がる...手ごたえあり...少なくとも内臓はいったようです...
「...これで貴女の力は破られました...おとなしく都に帰りなさい...私の目的は殺生ではありません」
「っ!」
彼女は笑みを崩し怒りのような表情を見せると立ち上がり...そして体から急激な妖力が溢れ始める...
「!?」
...この人からも妖力が?
「...能力を解除しなければ...更にダメージがあったでしょう...ですがもういいや...私の姿を見られるのは嫌ですが...すぐに始末すれば私の姿を見たものはこの世にいない...」
彼女の体が変化し始める?
まさか...この人も私と同様人をやめているの?
ザクっ!
そう思ったのも束の間...彼女が変身する前に彼女の胸に三つ又の槍が刺さり体の変化が止まる...
「...げほっ!」
女性は倒れ私は槍の投げられた方向を見ると先ほどの子が笑いながら立っていた...
「あ...貴女...なんてことを!」
「くくっ...あ~!すっきりした!」
少女は倒れている女性の方へ向かい彼女の体を蹴り始める...
「こほ!かは!!」
「...全くいい気味...能力を解除したら只の雑魚じゃないのさ」
少女は更に蹴りを加えていく...
「やめなさい!!その人はもう戦えないのですよ!!」
少女は私を見て女性を踏む...
「あ~?お姉さんもご苦労様...おかげで助かっちゃったよ...都の陰陽師である大神家に狙われたらまず死ぬのは確定だったからね...」
...都の陰陽師...大神家!?人助けの退治屋がこの人?
「...まさか」
私の中で最悪の予想が頭をよぎる...この人はこの妖怪を只殺そうとしていたわけではない?
少女は笑みを浮かべながら私を興味津々といった顔で観察する...
「...お姉さんは私をか弱い妖怪と思っていたようだけど~?違うよ?私は大妖怪である鵺!封獣ぬえ様だ!!いや~!助かったよマジで!」
「...大妖怪?うそ...じゃあ私がしたことは...」
「全部無駄♪というわけでじゃあね~♪」
ぬえは夜空の中に消えてここには私と重症を負った大神家の人のみとなる...
「大丈夫ですか!!」
私は彼女に駆け寄るが彼女は私を手で制す...
彼女は私を見ていないようで何かに躍起になっているようだ...
「...くっ...」
「!?」
彼女の体が変化し始める...頭には何か黒い物2つと尻に大きな黒い物が1つが現れたり消えたりしている...ぼんやりとしていて分からないが...
まるでそれらを消そうを躍起になっているようだ...
「はぁ...はぁ...げほ!!」
彼女は大量に吐血をする...このままでは命にかかわる!!
「無理はしないでください!このままでは死んでしまいますよ!」
私が彼女の体に触れようとすると彼女は私の手を払う...
「私にっ!触れるな!」
彼女はふらふらと私から離れるとまた変化が起き今度ははっきりと見えた...黒い獣耳と大きな黒い尾...この人もしかして...
「...半獣なのですか?」
私の言葉に気でも障ったのか彼女は私を睨む...
「私は人間だ...このっ!」
彼女は胸を押さえて崩れ落ちる...
どうやらこの人は半獣のようだ...体を損傷し半獣の姿が傷を治そうとしているのに無理に人間の姿を保とうとしているため傷が治らない...その姿にコンプレックスがあるようですね...
「...」
「...はぁ...はぁ...何です?その眼は憐みですか?」
「...いえ」
私の言葉に彼女は木に寄りかかる...
「...私から離れてくださいな...どうせすぐに出血多量で私は死ぬ...私の屍は見ないでください...誰にも見せずに朽ち果てた方がいい...」
「...どうしてです?半獣の姿ならあなたは助かるのに」
「...見せたくはないんですよ...誰にも...これだけは死ぬとしても譲れません...わ...わたく...しは...もう...生きるのに...疲れた...1000年も待てません...」
...目の光が消え始めている...これではマズイですね...仕方ありません
「南無!」
「ぐっ!」
私は彼女に当身を当てる...彼女はすぐに意識を失い姿が急激に変わり始める...
頭には黒い獣耳・尻には大きな黒い尾が現れる...
「...狐でしたか」
傷の確認をすると治癒をし始めている...
この調子ならこの人は助かるはず...
「...」
ですが雨のせいで気温が下がったここではあまり体には良くない...手当も必要ですね...なら私のする手は1つ!
「よいしょ!」
私は彼女を抱えて寺の道を進む...
そういえば彼女の名前をまだ聞いていませんでしたね...
長い戦闘でした...
彼女の正体は皆さんお気づきでしょうが次回明らかになります!
ではこれにて