by大神潤香
side?
「よっと...ただいま帰りました!」
「お帰りなさい聖...って!?その血まみれな人は誰ですかー!」
「...姐さん...また」
寺に付き私の良き理解者こと寅丸星が血まみれの大神の子を見て腰を抜かし雲居一輪が溜息をつく...
「深手を負ってしまったので連れてきました...星...急いで包帯を持ってきてくれないかしら?」
「は...はい!」
星が廊下の奥に消えると入れ違いに星の部下であるナズーリンが私の方に来て大神の子を見て後ろに下がる...
「...ゲッ!よりにもよって狐の妖怪!?」
...鼠と狐は食物連鎖でいうと食べられる立場・食べる立場に分かれます...ナズーリンが彼女を怖がるのも当然ですね
「すみません...今回は我慢をお願いしますね?ナズーリン...」
「う...あ...あまり近づけないでくれたまえ...」
ナズーリンはそのまま廊下の奥へ消える...そして残った一輪が私に耳打ちをする
「...姐さん...その方ってもしかして?」
「...一輪も知っているようですね」
「...都の陰陽師こと大神家の者ですよね?何故?ここに運んできたんです?姐さんの考えとは真逆の人物ですよ?」
「...彼女が大怪我をしたのは私に責任があります...それにこの人は話せば分かる人だと思いますよ?」
一輪は肩をすくめる
「ほどほどにお願いしますよ?」
「はい♪」
人も妖怪も話せばいつかは分かり合える日が来ると思う...
この人も同じですね...
それに...
私は彼女を自分の部屋に運ぶ...
side潤香
...目の前は真っ暗...
ああ...これが死後の世界というものですか...お母様・お姉様方...先立つ私をお許しください...
...明るい未来・神子様たちの復活の約束ために頑張ってきましたが所詮私にはできない芸当でしたか...
心も体も全てにおいて中途半端な私...
そのような者が完璧である聖人君子の従者になること自体がそもそもおかしかった...
「...どこで間違えたのでしょうか?」
人に役立つ存在になりたいと思い私は今まで努力してきた...しかし結果論からすべてに置いて空回りばかり...
「全ては無駄でしたか...ん?」
ふと前を見ると一筋の光が見えてくる...それが少しずつ大きくなってきている...
「...光が?うっ!?」
光に飲み込まれ私の意識が消える...
「...うっ!?」
目を覚ますとどこかの和室...少なくとも大神神社ではないようですね...
確か私は...あのぬえに致命傷を負わされて死の淵をさまよっていたはず...
妖怪の姿になるのが嫌で人間の姿を無理に維持しそのまま死の道を進んでいたのに...
「...あっ!?」
自分の姿を確認すると半獣の姿になっていた...何で?こうならないように押さえていたはず!
「...早く人間の姿に...!?」
...人間の姿に戻ろうとするが元に戻らない?
「な...何で?」
体を確認すると私の腕に数珠がつけられていた...何やら力を感じる...私の姿がこの状態になっている原因はこれか...
「すぐに...外して...!?」
私は数珠を外そうとするが外れる感じが全くしない...能力を使おうとするがもちろんそれも封じられていた...
「な...何で...」
私が数珠に悪戦苦闘していると部屋の戸が開き誰かが入ってくる...
「お目覚めですね」
「...貴女は!?」
私の目の前には昨日の女性が立っていた...
まさか...この人が私を助けたというの?
女性は私に向けて軽く会釈をする...
「私の名前は聖白蓮...この寺...命連寺の僧をやっています...」
...命蓮寺?僧ということはこの数珠はこの人がつけたのか
「...あの?この数珠は?」
「...貴女が治療できるように勝手ながらやられていただきました」
白蓮は笑顔で答える...
全く余計なことを...
「私の事なんかほっておいて宜しかったのに...」
「いえ...死にかけている人を見過ごせません!」
白蓮は私が眠っていた布団の横に座る...
そして目を少し泳がせながら口を開く...
「...そして...ごめんなさい...貴女の仕事の邪魔をしたあげくにそのような傷を与えてしまい」
白蓮は頭を下げるが私としてもいまいち状況を把握できていない...
「...いえ...間違いは誰でもありますから申し遅れました...私は大神潤香と申します」
白蓮は罰が悪そうに目を泳がせている...
「本当に...ごめんなさい」
...起きてこの調子となるといささか目覚めが悪いですね
それに家族に私の無事を知らせなくては...一晩いないとなると心配するはず...
私が身を起こそうとすると白蓮が私を止める...
「駄目です!寝てなければ!」
「いえ...私の方も忙しいので」
「駄目です!!」
...この人...何というか融通が利かないような...
そして目がどこか一点に集中している...その眼の先を確認するととあるものに目が行く...
(...私の尻尾?)
尾を左の方に振ると白蓮の目が左へと動く...そして右に動かすと今度は右へ...
「...」
「触っても?」
「...どうぞ」
私が了承すると白蓮は目を輝かせて私の尾を抱きしめる...
「~♪」
...何というか彼女は人間なのに私の姿を見て驚かないのは不思議です
「変わっていますね」
「...?」
「貴女のことですよ...私のこの姿を見ても何も驚かない...」
「人も妖怪も体は違えど命は同じです...同じ心がそこにあり生きているんです...驚くことなどありませんよ」
...物事をそう考える者がいるのは驚きね
私には出来そうもない...
「しばらくはここに居てください...妖怪と言えどもかなりの時間を要すると思います...自分の家と思ってゆっくりしてくださいね...後で寺の者を紹介しますから...」
白蓮は私の尾から離れて頬を緩ませながら部屋を出ていく...
話しが勝手に進んでしまいましたが...どうやら私の今後の処遇には心配はいらなそうですね...
「...もう少し寝ていましょうか」
そういえば...久しぶりにこんなに寝た気がしますね...
私は自分の心の変化に気づかぬまま...眠りに落ちる
というわけでひじりんでした!
ではこれにて