同時刻...ここは宮廷の庭...
そこには大神暦が岩に座り1人で通信機に耳をつけて薄ら笑いを浮かべていた...
通信機から漏れる誰かの笑い声は静寂の夜を崩し辺りに響き渡る...
side暦
「でさ~!これで偽りの封印は完成したってわけ!どう?アタシの作戦はばっちりでしょ?」
「へぇ...そうなんだ...」
通信機から響く境奈の声に私は笑いを堪えるのに必死だった...
境奈と煌炉のおかげで大神は後腐れなくここから身を引けるというもの...陰陽師を止め、これから私たちはここを抜けてひっそりと活動を行っていく...このほうが私たちとしても動けるというものね...
流石にも退治屋大神は目立ち過ぎたわ...妖怪からも色々とマークされているみたいだし消えるには良い機会だ...
「で?アタシ達はどうする?」
「そうね...とりあえず全員大神家に撤退ね...人間の相手もここまでにしましょうか...先ほど帝の方にも辞令も出して来たし...とりあえず華楠・銖理・潤香には撤退命令を出しておいたわ...」
「そうなんだ...じゃあ!アタシも一度戻るわ...近くに煌炉いるみたいだし...あいつにも連絡してさ...」
「お願いするね...私はそうねぇ...残りの仕事を行ったら帰るとするよ...」
私は通信機の電源を切り後ろを振り返る...
「出てきたら?妖怪の賢者...」
「察しがいいわね...」
私の背後に不気味な空間が開き...この前の大狒々の時にあった妖怪の賢者こと八雲紫と遭遇する...
「何か用?...というより煌炉と戦いでもしたかしら?うっすらと服に煌炉の妖気が見えるんだけど...」
「ええ...先ほど戦いましたわ...随分とじゃじゃ馬な娘さんをお持ちで...」
「煌炉は私の娘の中で一番荒っぽいからね...荒事はお手の物というわけ...あれ?でも確か煌炉は帝の妻の担当をしていたはず...」
紫は傘を私に向ける...
「ええ...帝の妻は私の方で保護をしました...彼女とはそこで一戦を交えただけです...」
へぇ...煌炉を相手にその程度の傷で済んだのね...驚き驚き...
しかしなんだろうね...私に向けての殺意がすごいんだけど...
「何?私に何か用だった?」
「ええ...ここで大神家を逃がすとマズイと思いましてね...ここまで来たというわけです...」
「あらあら...さっきの話聞いてたの?盗み聞きとは趣味が悪いなぁ...」
「どうやら陰陽師を止めてここから離れるみたいですね...さっきの話も仕組まれていたような感じがしますが?」
「うん!ちょっとした仕返し!私たち大神家を過剰評価しすぎなんだよここの主はね~少しの失敗で使えない扱いされるのも...少々頭にきてさ...帝の妻の偽りの封印までして偽りの安心というのをプレゼントしてあげただけよ」
そう...これはちょっとした仕返し...境奈に誘われたのもあるけれど...うまい具合にうまくいったわね...
「しかし...貴女の所のじゃじゃ馬が帝の妻を消していたら計画は水泡に帰すわよ?」
「煌炉はね~あれでも正々堂々の戦いを好みにしているの~どうせつまらないと判断したら戦わないだろうし...帝の妻も逃げるときにある程度の深手を負っていると踏んだんだけど~想像どおりにうまく行ったよ...」
紫は考えるように片手を額に当てる...
「...そう...貴女の目的は一体何なの?権力にも興味はないようだし...」
「...私たちの目的は只の人探し...只それだけだよ...帝の下につけばある程度噂が流れると思ったんだけど...うまくいかないからやめちゃった!」
「...人探しね...なら...良い考えがあるわ!」
紫は傘を向けたまま私に提案をする...
side紫
「良い考え?」
暦は岩に座ったままの体勢で頬杖をつく...
大神が素直にいうことを聞いてくれないと思うけど...言うだけは言ってみるわ
「現在...私は人と妖怪が自由に住める楽園をつくろうとしているのよ...その名は幻想郷...」
「それで?」
暦は興味なさそうに受け答えをする...
「貴女の探している人もその世界に居ればいつかは見つかるわ...だから私に協力なさい...別に貴方たち全員でなくてもいいわ...娘1人を式神として貸してくれれば...こんなチャンスは無いわよ」
「パス!無理!無駄!」
...暦は即答で私に言い放つ
「何故かしら?」
「第1に...その世界で私の探している人が見つかるのに無駄な時間がかかるわ...第2にその人は人間(?)寿命というものが存在するわ...長い時間はかけられないから無理!...第3に...私の娘を式神として差し出す?論外!パス!」
暦は長文をべらべら話した後に岩から降り出口の方へ向かう...
「そろそろ帝の方も私の辞令に気付くと思うしこれで失礼...私とて時間が惜しいのよね...」
「逃がすわけないじゃない!!」
私は彼女に向かい光弾を放つ...光弾は彼女の横に逸れて外れる...
「まだ何か?」
「貴女にはあの時の大狒々の責任があるわ!」
暦は面倒くさそうに首を振る
「責任?ああ!式神の話ね...式神にしてみても正直無駄じゃない?あの大狒々私たちに比べれば...」
「...道端の石っころ程度の価値しか無いじゃない?」
「~っ!美しく残酷にこの大地から往ね!」
私は彼女に向かい連続で傘を突き刺しスキマを展開するが彼女は軽業師のように庭中を宙返りで避ける...
「あははは!切れちゃったね...あ?」
暦が屋敷の方を見ると陰陽師が大量に現れる
「大神を逃がすでない!奴は今後の発展に必要じゃ!!」
帝が叫び陰陽師が暦の方へ向かう...
「あ~あ...律儀に辞令書なんて提出しなければよかったかな?悪いけど!これで失礼!」
ボゥン!
暦が煙玉を炸裂させてあたりに煙幕が広がる...陰陽師達は慌てふためいているが妖怪である私には意味はない!!
(こっちね!)
私は煙幕から抜け入り口の方を見ると暦が入り口の方へ走っていくのを確認する...
ここで彼女を逃がしたら後々面倒になる!何としても捕まえないと!!
「待ちなさい!!」
私は入り口を抜けて角を曲がる...
どん!
「?」
「あいたた...」
角を曲がり暦を追いかけて走ると私の前に誰かにぶつかる...
私の前には白髪の老婆がうずくまっていた...
「失礼しましたわ!ご婦人...」
「あれれ...すまんねぇ...お嬢ちゃん」
私は老婆を助け起こし老婆は町の方面へよぼよぼと向かう
私は辺りを見る...
完全に暦に撒かれたわ...
「くっ!」
ここで大神を逃がしたのは本当に厄介ね!あれだけの高い知能を持ち強力な能力を持っているんだから私の計画が少しは楽になるというのに!
「...ん?」
そういえばさっきの老婆...変わった私の姿を見て全く驚きもしなかったわ...
しかも私が出てきたのは宮廷...この時代は権力があるのだからあのような砕けた態度は...
「まさか!!」
私にある考えが過ぎる...しまった!一本食わされたわ!!
「ふふふ...」
都を歩くとある老婆...彼女の体に変化が起こり始める...
白髪は金色に変わり曲がっていた腰はまっすぐになり女性らしい体型になる...
着ている着物も汚れの無い新品同然になり女性は髪をなびかせ背中からは赤と青の鎖が飛び出す...
「人を化かすのは狐の特権よ?」
そう...この老婆は大神暦の化けた姿...自身の能力(DNA情報を読みとる程度の能力)を使い体を老化してごまかしていたのだ...
元の姿になった暦は姿を消し大神神社へと戻る...
大神家都編終了!
次の話をお楽しみ!
ではこれにて