side暦
大神神社に戻った私は自室へは戻らずに円卓の間に向かう...
思ったより帰るのが遅くなってしまったね...あの妖怪の賢者というのも中々やるのかもしれない...
円卓の間につくとすでに娘たちがそれぞれの席に座っており全員が部屋に入った私を見る...
「母さん~!!遅かったじゃない~!」
天狗の装束に身を包んだ境奈が待ちわびたように席に踏ん反り返り伸びをする...
「ごめんごめん~!思ったより話が長くなっちゃってさ~」
私が手を合わせると煌炉が反応を示す...
「話し?帝との契約の話の事?」
「いや違うよ?妖怪の賢者がさぁ...私たちに何とか郷を作るために協力しろって話が来たのよ...」
煌炉が笑みを浮かべる...
「あの妖怪の賢者の事か...中々強かったと思うよ?そこら辺の妖怪よりは...」
「...私たちを...越える存在自体が稀だと思うけど?」
銖理が眠そうに答え潤香は考えるように目を閉じる...
「...その何とか郷というのはどういった目的で作られるのですか?」
「えっと...人と妖怪が自由に住める楽園だっけ?あまり話の方は聞いてなかったけどさ...」
「...そうですか」
潤香は微笑みそれ以上は追求せずに席に深く座る...
「しかし...妖怪に目をつけられた以上我々も目立った行動は出来なくなった...これからの活動はどうする?」
それはもう決まっている...継続してあの人を探さないとね...しかしこれは私の願いであって娘たちには関係のない事だ...
「...そうだね...私としてはあの人を継続して見つけたいな...まぁこれは...私個人の願いだし貴女たちに強要はしないわ...」
私が言うと境奈が笑う...
「水臭いじゃん!最後までアタシたちを使ってよ!親子何だからさ!」
「...境奈」
「...それに~!アタシたちは好きでこれやってんの!大神の名を世の中に知らせるいい機会じゃない!」
境奈の言葉に全員が頷く...
「皆...ありがとう!」
私が頭を下げると華楠が頬杖をつく...
「しかし...いつまでもここに留まっていることはできないな...この神社を捨てて新しいところに住む必要があるな...」
確かに...妖怪に目をつけられた以上一か所に留まることは危険すぎる...
私としてもこの神社を離れるのは惜しい気がするけど...家族の安全のため...仕方ない事ね...
だが華楠の言葉に境奈が首を横に振る...
「そんなこと必要ないじゃん!いちいち神社を立てるのも相当な時間を使うし~!」
「だが...一家所に留まるのは危険すぎるぞ」
「だから~!アタシに任せてよ!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
境奈が指を鳴らすと辺りに地響きのような揺れが起き始める...
境奈以外の全員が席から離れ床にうずくまる...
「な...何?」
「敵襲か!?」
「...!?」
「何ですか!?何ですか!!??」
「境奈!貴様何をした!!」
全員が境奈を見ると彼女は笑いながら鏡を私たちの方に向ける...
「こ~れ!よく見てみなよ」
「...何って...え?」
私たちが鏡を見ると外の風景が映っていた...
しかし私たちが驚いているのは今の神社の状態だ...
私たちの神社こと大神神社は現在地上にはおらず巨大な狐の背の上に乗ってその巨大な狐がのしのしと歩きながら移動している光景を目の当たりにしていた...
「これって!境奈姉さんの土狐じゃないか!?」
「ビンゴ!煌炉~!そうよ!この大きな土狐はアタシのお気に入りの土狐の形態(首領・土狐)大神神社の真下に待機させておきました~♪これで神社ごと移動できるというものでしょ?」
...わが娘ながら何という突飛なことを思いつくね
しかし華楠は鏡を見ながら目を凝らす...
「神社は移動できるが...しかし...これでは目立つぞ?」
「ん~?そうねぇ...まぁ!そこんところもちゃんと考えてありますって!」
境奈は腰を抜かしている潤香の方へ向かう...
「はい?」
「潤香~♪首領・土狐の周りに濃霧を張ってくれないかしら?これで多少は見えなくなるでしょう~」
「はい!わかりました!」
潤香が術を唱えると土狐の周りに霧が発生し何も見えなくなる...
これで霧が発生している程度にしか思われないだろう...
「これで~!アタシたちはゆっくりとこれからのことを考えられるでしょ?」
「ありがとう!助かったよ境奈~」
私は境奈の頭を撫でて窓の外を見る...
高い景色だ...私の目が良かったらあの人の事をここから探せたかもしれないというバカげた発想が頭によぎったがある程度余裕は出てきたようだ...
絶対に探してみせるよ...
次回東方キャラ視点
ではこれにて