side暦
娘たちが九尾へと進化し一週間が経過する...
あれ以降特に体調不良が見受けられないため体の心配はないだろう...
そして私たちはいつも通り依頼主から依頼を受けそれに着手する仕事についている...
やはり長く生きるとなるとお金がかなりの額が必要になる...
陰陽師時代の礼金がまだ残っているがゆっくりゆっくりと増やしていかないとね...
私と娘たちは依頼をもらってその戦闘準備をする...
「ふんふ~ん♪」
「...」
私が武器の手入れをしていると銖理がいつも通りの強化装甲に着替えているが妙にもたついている...
「どうしたの?」
「...尻尾が多くて...装甲つけるのが大変...」
彼女は9本の尾に1つ1つ装甲をかぶせている...確かにアレは日常生活には不便だ...
煌炉は速さが下がったとか、華楠は的が増えたとか、潤香は余計に自分の体にコンプレックスを持つようになり前途多難だ...
妖力が上がった分リスクもあるのね...
銖理は強化装甲を全身に着けてマスクとゴーグルをつける...
「これで...準備完了...いってくる」
彼女は外に出ると尾についたジェットで空を飛び大空の彼方へ消える...
「いってらっしゃい~!」
私は届かないであろう見送りをし依頼場所へと足を運ぶ...
今日の依頼場所は忘れられない...あの大狒々事件の被害の村だ...
「しばらく行ってなかったけど大丈夫だったのだろうか?」
私は内心焦りを覚えながら人里の中に入る...
しかしその人里はかつての賑わいなぞ無い...前よりもさびれており人の気配すら見当たらない...
「...おかしい...人の気配すら感じないとはね」
さびれた人里の中を歩くと広場に出る...
あいかわらずガランとしておりあるのは隅に転がっているお地蔵さんだけ...
「...置いていかれたの?」
私はお地蔵さんをもとに戻し顔についた泥を取る...
(えぅ...えぅ...)
心なしかこのお地蔵さん泣いている気がする...可哀そうに...
「全く...こんなに汚れて...しかし...里の人はどこに行ったんだろ?ん?」
(ぐすぐす...)
何だろ?幻聴が聞こえる...そして着物の袖を引っ張るような感触もする...
私はそっとその方向へ首を動かす...
「あら?」
「ひっく...ひっく」
私の袖を引っ張っていたのは緑色の髪をした少女...
随分と汚れておりポロポロと涙を流している...
「どうしたの?ここの里の子?」
少女は首を横に振り、私が汚れを取っているお地蔵さんを指差す...
「わ...私は...人間じゃなくて...ぐす...それが...私の本体なんです」
「?」
確かに言われてみればそんな感じがする...何か霊力のようなものを感じる...人間じゃないみたいね
「お地蔵さんが具現化したものか...なるほどねぇ」
地蔵が信仰を受けると神様になるということは聞いたことがある...この子もそれに近い感じなのね
「なるほどね...でも何で泣いてたの?」
「だってっ!ずっと私ここに独りぼっちでっ!やっと人が来て嬉しくてっ!」
私は彼女の頭をそっと撫で狐耳を生やす
「よしよし...寂しかったのね...でもごめんね?私は只の人間じゃないのよね」
少女は私の頭の耳を見ると少し驚くが私に抱き着く
「それでもいいですっ!寂しかったんですから!うわああああん!!」
「よしよし...ん?」
ちょっと待った...少女の話を聞いているととある疑問が浮かび始める...
「ねぇ?ちょっと聞いていい?この里ってさ?いつから人いないの?」
「軽く...10年は経過してます!大狒々の事件の後に村の人がっ次々とこの地を離れてしまって!」
...おかしい
私は私宛に届いた手紙を見る...
内容はこの里がまた大狒々に襲われているということだ...
これが届いたのはついこの前...彼女の言うとおり里の人が10年前にここを離れたということは一体誰がこれを送ったの?
「...まさか」
「そのまさかよ...大神暦」
スキマが開き中から妖怪の賢者こと八雲紫が現れる...
これはまた面倒な奴と出会ってしまった...
「あらあら...久しぶりね...ざっと半年ぶり?」
「ええ...やっと見つけたわ大神家の者よ...」
紫は私に扇子を向け私は彼女に向け手紙を見せる...
「...この手紙を送ったのは?君かな?」
「ええ...貴方たちの所在が分からなくても、大神家に依頼をする人間が後を絶たないわ...偽の討伐の依頼を出せば誰かしら表に出てくるでしょ?」
...偽の依頼か...随分と考えたものね...
依頼方法は恐らく人間に聞いたと言ったところか...
「あちゃ~!依頼契約のやり方に不備があったね」
「そうね...とある村に置いてある狐の祠に依頼書を投函する...いたって楽な契約の仕方ね」
「あははは...笑えない...」
私はこっそりと彼女の背後に術陣を展開する...
能力を無効にした後に逃げるだけ...撒くのは楽だ...
「何をしている?」
「っ!!」
背後から鋭い殺気を感じ私は少女を抱えて横に飛ぶ...
どごぉ...
先ほど私がいた場所にはクレーターが出来そこには金色の毛並みをした九尾の狐もとい玉藻前がいた...
「帝の妻...玉藻前か...そういえばそこの妖怪の式神になったんだったね」
「ふん...そんな名捨てたさ...今の私は紫様の式神八雲藍だ...」
「へぇ...随分と刺々しくなったね」
藍は私をキッと睨む...
「お前ら大神のせいで私は都を追われたんだっ!!」
わお...いつの間にか恨まれてるね
「あらあら...大神は関係ないよ?貴女の姿を見破ったのは都の陰陽師だよ?」
「何?」
藍はうっすらと表情を崩すが紫が口をはさむ...
「藍?今は大神を捕まえることに集中なさい...」
...ちっ...まあいいか...何とかなるでしょ
「あわわわ~!」
私の横の少女は私に抱き着き震えている...この子+お地蔵さんをかばいながら逃げるとなるとちょっときついか...
「...やばいかも」
紫の方は術を展開しているし...
「さぁ!少し強行突破に出るわよ!!」
空から大量の光弾が降り注ぎ...
「っ!?」
そして私の周りに爆発が起こる
side?
爆発が起こり私達はすぐ近くの小屋の中まで吹き飛ぶ...
「ひゃ~!!」
「ち!!大丈夫っ!」
大神の人は私の体をしっかり抱きしめて衝撃が私に来ないよう庇い床にたたきつけられる...
「っ!!」
「だ...大丈夫ですか!?」
「...うん...何とか...っ!」
大神家の人は片足を押さえ表情を崩す...
私は恐る恐る彼女の足を見る...
「ひっ!」
彼女の足は小屋の破損した木材の大きな破片が刺さり深い傷を作っていた...そこから血がドクドクと流れている...
「あ...あ...何てこと...」
「...この足では逃げられないか...ちょっとピンチかもね」
彼女は優しく私の頭を撫でて着物の袖から黒い物体を取り出し後ろ腰の方へ隠し外を見る...
外は今の爆発のせいで他の民家にまで火が回っている!
ああ...私の大切な里が...
「破壊+放火とは随分とやってくれたね...これじゃあ...大神家の協力は限りなく0...いや...マイナス100になったかな?」
外にいる紫と呼ばれた妖怪は傘を大神の人に向ける
「今の貴女に選択の余地はないわ...大人しく降伏なさい」
「降伏~?私の能力忘れたの?まだ可能性があるじゃない...この程度で勝った気でいないでよ」
大神の人は軽口をたたきながら後ろ手で黒い物体を爪を使い一定のリズムで弾いている...何をしてるのだろう?
そうやっているうちに藍と呼ばれた狐の妖怪が小屋の中まで入ってくる...
「紫様どうします?気絶させて持って帰りますか?」
「そうね...大神家当主が人質となれば娘たちも言うことを行くかもしれないわね...」
紫からまた光弾が発射されるが大神家の人の左右から赤と青の鎖が発射されその光弾を弾く...
「はぁ...はぁ」
「足の出血に体への衝撃...もう余裕がないと思うわ...」
「はは...そうかもね...少し考えを改める必要があるかな?」
大神家の人は足掻くのを止めて壁にもたれかかる...
「諦めがついたみたいね...」
「...でさ?私を連れて行く前に1つ良いかな?何で貴女はそんな力を持っているのに人と妖怪の住める世界とかいう幻想を夢見たのさ?」
紫は顔を歪ませる...
「私の友人が人間だからよ...」
「へー!その話は噂で聞いたよ?その人も能力者だとか...なるほどね...だからか...」
「ええ...そんな感じよ...貴女にも分かるでしょ?大切な人がいるみたいじゃない!」
大神の人は寂しそうな笑みを浮かべる
「大切か...私さ...昔の記憶がないからその人が大切な人だったのか自信がないのよね...最近になってさ知るのが怖くなったよ」
「なら!私の計画に賛同してくれるでしょ!」
「...いつかは賛同してあげるよ...でもさ?今の私は自分が信じた道を進むしかないのよね...だからさ今は無理!」
紫は暦を睨む
「なら!力づくで従えるだけよ!!」
紫の光弾が大量に私たちの所に来る!!
「ひっ!もうダメっ!」
「ふふふ...時間は稼いだわ...」
私は本体を抱きしめ大神家の人は笑みを浮かべる...
ザシュザシュ
私達の目の前の光弾が真っ二つに割れて消滅し私たちの目の前には長い赤い髪をした女性が立っていた...顔には黒い狐のお面をし巫女服に身を包み、頭には狐耳・尻には9本の尾があった...
「やっと来たね...煌炉」
「待たせたね...母さん...随分とボロボロじゃないか」
煌炉と呼ばれた女性は大神家の人の足に妖気を当てる...
「え?母さん?」
「そうだよ...彼女たちは私の娘...後は何とかなるよ」
煌炉と呼ばれた人は外に出て妖怪と対峙し私たちは背後に出てきた水たまりに引きづりこまれる...
「え?」
「ようこそ...大神家に...」
大神家の人は私の頭を撫でて私たちは深い水の底へと落ちていく...
side紫
「なっ!?」
私達の目の前には大神煌炉がいた...しかもこの前と姿が違い9本の赤い大きな尾を持ちこの前とは比較にならない程の妖力を感じる...
「久しぶりだな...妖怪の賢者に玉藻前...」
煌炉は私と藍を見て仮面の下の顔を掻く...
「私は八雲藍だ!その名は捨てた!!」
藍が怒鳴るが煌炉は耳を塞ぐ...
「大きな声で言わんでも分かったよ...全くこの前より元気じゃないの」
「貴女!何でここに?そしてその姿は?」
「この姿は私たち大神家の新しい進化の姿...この前なったばかりなんだよね...そして私たちがここに来たのは至って簡単...母さんに呼ばれたからだ」
私の質問に煌炉は淡々と答え懐から端末を見せる...
「これで連絡を取ってね...」
「通信機!...暦はその素振りは見せなかったけど?」
煌炉は端末を爪で一定のリズムで弾く
「...S・O・S...これが暗号さ...声も出さずにそれだけが流れていたら私たちも焦るってだからここに来たって訳だ...お~い!銖理!そろそろいいぞ!」
煌炉は上空に向け大声で叫び私たちが見ると上空には全身装甲で身を包んだもう1人の大神家の者がいた...
体・尾・頭部には装甲がきっちりと装備されており尾には砲台・ジェットが装備され両手にはグレネードランチャーにブレード...顔にはゴーグルにガスマスクをつけていて表情は見えないが...
「ふしゅ~!ふしゅるる~!」
怒気を含むような息遣いが聞こえ長い白い髪は風邪でなびいている
「もう一人の大神家?」
「私一人でも良かったんだが...イラついているあいつは誰にも止められない...いいぞ?思う存分にキレて」
「分かってる!!こいつらは許さない!!母さんを傷つけた!!」
彼女は地上に向けグレネードランチャーを向ける...
「ゆ...紫様!」
「藍!貴女は煌炉の方を相手して!私は上空の方をやるわ!!」
苦戦は必須ね...藍1人でどこまでやれるか...藍は煌炉と対峙する
「妖怪の賢者は銖理が相手か...少し惜しいな」
「お前の相手は私だ!!覚悟しろ!!」
地上では藍と煌炉の戦いが始まり、私は白い大神家と対峙する
「フシュルルルル~!」
「怒ってるかしら?」
「怒ってる!killing! for you!!」
「そう...なら私も本気で行くわ!!」
彼女は私にランチャーを向け私と彼女の戦いが始まる...
この子の正体は次回!
皆さんもお判りでしょうが...
ではこれにて