side藍
私の目の前には火行の煌炉がおり、上空には金行の大神家の者と紫様が戦っている...
紫様とは言えど大神家の者を戦うとなると苦戦は確実...私が早く戦いを終わらせて参戦しないと!
私はキセルをふかしている煌炉と対峙する...
「...準備はいいか?藍?」
「ああ...覚悟しろよ...大神家!」
私は煌炉に接近する...
あの時のこいつの気まぐれのおかげで私の命が助かったのも事実だが...大神家は私を失脚させる原因を作った...
八つ当たりに近いがこいつらには痛い目にあってもらおう!
「来い!赤鬼!青鬼!!」
私は式神を呼び出し赤鬼青鬼の2体を呼び出す...
「ほう...式神を使うのか」
煌炉は鬼たちをキセルをピコピコ動かしながら観察している...
「ああ!あの時より私は強くなったんだ!行け!」
((グオオオオ!!))
式神に指示すると2体の鬼は煌炉に向け拳による攻撃を始めるが煌炉はその攻撃を器用にいなしながら後退する...
「へぇ...確かに当たったら痛そうだ...」
「お前らには怨みがあるからな!こいつらの攻撃の破壊力は私の怒りが込められている!!」
「恨まれるのはお門違いなんだけどなぁ...」
煌炉がボヤキながら後退するが彼女の後ろには民家の壁があり彼女の動きが止まる...
「...あ」
「赤鬼!こいつをやれ!!」
赤鬼の攻撃が煌炉を捕える
ガス!!
赤鬼の攻撃が彼女の額を捕え民家の壁ごと彼女を吹き飛ばす...
鬼の一撃だ!確実に倒したはず!
「ふん...大神家でもこの程度か」
私は上空の紫様たちを見る
もう一人の大神家の者は手に持った砲で紫様を狙い撃ちしているが紫様はスキマの中に入りそれを避ける
「っ~!!!!ふざけんな!!大人しく私に殺されろ!!」
大神家の者はイライラと砲の弾をリロードし紫様はスキマからひょっこり頭を出す...
「金行=怒りかしら?随分とカルシウムが足りてないわね...」
「うがああ!!」
...向こうは何とかなりそうだ
「ふぅ...しかしここもまずいか?」
辺りの民家には火が回り始めている...私も引いた方が良さそうだ...
「赤鬼・青鬼戻る...」
ドゴォ!!
私の横を吹き飛んだ赤鬼が通り過ぎる...赤鬼は火の中に入りそのまま消滅する...
「え?」
民家の方を見ると煌炉が中から出ている...
彼女は額から流れる血を舐め割れた仮面を直している
「中々...でも力不足があるな...今後に期待ってやつだな...」
「赤鬼の攻撃を食らったのに!青鬼行け!」
青鬼が煌炉に向かうが彼女の強烈な回し蹴りが青鬼を捕え青鬼は消滅する...
「なっ!?」
「これが限界か?」
煌炉は仮面を顔に着けて私と対峙し私は後退する...奴のプレッシャーに押され冷や汗が出てくる...これが大神家の者の実力か...私も本気で行かなくては...私は白面金毛九尾の狐の八雲藍!式のプライドにかけてこいつを倒さなくては!!
「っ!」
私は奴に向け手刀を放つが彼女はそれを掴んで止める
「遅い!」
煌炉はそのまま私を投げ飛ばし私は背中から地面にたたきつけられる
「ぐは!ぐっ...」
腹に重さを感じ目を開けると煌炉が笑みを浮かべながら私の上に馬乗りになっていた
「これで終了か...早い幕引きだったな...」
「くっ!ど...けっ!」
私はもがき足をばたつかせたり彼女をどかそうと手を伸ばすが彼女に肩を押されそのまま押し倒される!
「ぐっ!!」
...こ...こんな...押し倒されたことなんてなかったのにっ!私が上なのにっ!!
彼女の爪が私の喉元に来る
「これ以上は止めなよ...せっかく強い妖怪なのにさ...つまらない戦いで命を散らすのはもったいないじゃない?」
「だま...れ...」
奴の仮面の奥の目を見るとギラギラ光っている...
「はぁ...つまらない戦いだ」
彼女の爪が私の喉に食い込む...
「っ~!!!!」
「あ?ごふっ!?」
私の上に乗っていた煌炉の姿が消え私は身を起こし前を見ると民家の壁を貫いて倒れている煌炉ともう一人の大神家の者がいた...
「危なかったわね藍...」
紫様が空から降りてきて私の横に着地する
「ええ...何とか」
倒れている大神家の者を見ると彼女はマスクとゴーグルを取り恨めしそうに私達を見る...やはり煌炉に似ているな
「よくも...私を煌炉姉に向かって投げたな!」
彼女は紫様に砲を向ける
「それなりに重かったわね...でも私の式が危ない目に合っていたし頑張れば何でもできるって本当みたいね」
紫様は涼しい顔で答える...
しかしあの大神家の者は全身が装甲で覆われていたから相当な重さがあったはず...よく投げられたなと私が関心する中伸びていた煌炉が起き上がる...
「痛っ!全くとんでもない行動をするな...」
「煌炉姉!ごめん...大丈夫だった?」
「大丈夫だ...妖怪の賢者を名乗る以上実力は本物か...」
煌炉は紫様の方へ近づき体から妖気を放出する...
「あら?やっと私の実力を認めたわね?」
「ああ...認めるよ...私の本気を出しても良い感じだ!」
煌炉が笑うと同時に彼女の体が変化し始めもう一人の大神家の者が慌てる
「こ...煌炉姉...その姿は...やばい」
「止めないで銖理...久々に骨のある奴にあったんだ...本気を出さないと楽しくないよ!」
煌炉の体に妖力が集中し始める...
「あいつ何を?」
「爆発的な妖力...来るわよ藍...気を付けて」
紫様が警戒すると辺りに霧が立ち込める
「あ?」
煌炉は体の変化を中止させ周りを見て銖理と呼ばれた大神家の者はホッと胸を撫で下ろす
(お姉様達...ここまでですよ)
霧の中から女の声が聞こえ煌炉は残念そうに額に手を当てる
「潤香か...何か用?」
(...お母様の撤退はすでに完了しました...私たちも引きましょう)
「...私はまだ戦えるんだけど?」
煌炉が不服そうに答えるが潤香と呼ばれた者の声は続く
(九尾覚醒後とはいえまだ私たちは本調子ではありません...このままでは実力の半分も出せませんよ?今は引きましょう...このまま戦っても本当につまらない戦いで命を落としますよ...)
「...分かったよ」
「...撤退」
煌炉は大人しく霧の中へ消えそのあとを銖理が続く...
「逃げる気ね!させないわ!」
紫様は霧の中に入ろうとするが霧によって防がれる...
「っ!」
(おやおや...スキマ妖怪もう無駄ですよ?私の霧の回廊に入った以上私たちを追うことはできません)
「大神家の者の1人ね...霧を操ることから...水行の妖狐」
(おや?五行のことを知っているのですか?これは意外...そうですよ...私は水行の大神潤香...どうぞおみしりおきを...)
「姿を現したらどう?顔を見せないなんて失礼じゃない?」
(...失礼しました...しかしながらこれは最善策...貴女の罠に引っ掛かる可能性があるので音声だけでお許しください)
...意地でも出てこないのか...出てきた瞬間に昏倒させるつもりでいたのに...
紫様は霧を睨む
「...私の夢は当主様には理解できなかったようね」
(理解はしているでしょう...しかしながらお母様はそれ以上に大切なことがあるので...)
「大切な人の事ね」
(ええ...それ故引くことはできないんでしょう...貴女にも大切な人がいるから分かりますよね?)
「そうね...じゃあせめて教えてくれないかしら?貴女は私の夢はどう思う?」
(え?)
紫様が霧の中に問いかけると沈黙が流れる...
潤香の困惑するような反応が霧を通していても分かる
(...人と妖怪...それは少々難しいことですね)
潤香は重々しく口を開く...何ともおぼつかない反応だ
「...そうね...確かに相いれない存在が共存するのは難しいわ...でも私が聞きたいのは貴女は人間と暮らしたいか、暮らしたくないかなのよ」
(...わ...私は)
潤香はまた沈黙し始めるが最後につぶやく...
(...夢...願っても叶うことのない幻想なのですよ...いくら傍にいようとしても...それは永遠は続きません...)
「っ!」
(私から言えるのはここまでです...そしてこれが最終忠告です...今度私たちを罠にはめようとしたら...それなりに報復があると思ってください...)
気配が消えると同時に霧が晴れ辺りは火の消えた黒焦げになった人里の景色に戻る...
「紫様?」
「...」
私は呆然とする紫様に何も言えなかった...
戦闘終了
ではこれにて