四季映姫が大神に移り住み早一か月...
大神家の者は映姫に優しく接しており彼女も幸せに暮らしていた...
今日も映姫は縁側に座り大神家についての日記を書いている...
side映姫
「そして今日の晩御飯は華楠が焦がした焼き魚を皆で苦笑いしながら食べました...っと」
今日も日記をつけ私は夜空の月を見上げる...
大神に移り住み早一か月か...皆さん優しくしてくれるし楽しい日々を過ごしている...
本当に良かった...あのまま荒廃した村で一生寂しく暮らしていたらと思うとぞっとする...
「しかし...いつかは私もここを離れないといけないんですよね...それを思うと悲しいな...」
目頭が熱くなり私は首をブンブン振る...
こんなんじゃいけない...今生の別れというわけではないのですから...
「あら?映姫どうしました?」
私の横に潤香が現れる...もう眠りにつくのか黒の寝間着姿だ...
「いいえ何でも...今日の日記をつけたんですよ!ほら!」
私は潤香に日記を見せる
「ふふ...かなりの量を書いていますね...」
潤香はクマの入った瞼で日記を目を凝らしながら見る...
...今日も眠れていないのでしょうか?彼女がクマを作ってフラフラしているのは良く目撃する
しかしながら潤香は日々...他の大神家の方とは違って人間の姿が多い...妖獣の姿なんて見たことがないから微かに気にはなっていた...
大神家の方々に潤香に何があったか聞いても誰も答えてくれないし、ここでは潤香の過去の話はタブーかもしれないわ...
「...これからも頑張ってね...今日はよく眠れるかも...」
潤香は自室へと続く廊下へ向かう...
大神家の中では一番不健康そうだ...彼女には健康になってもらいたい...
「...さてそろそろ冷えますね...台所でお茶でももらいましょうか!」
私は台所へ移動する...
「う~!寒!」
(ブツブツ...)
「!!?」
ブツブツと誰かがつぶやくような声が聞こえる...
嘘でしょ...幽霊がここで出るわけないわ...
声の方向に耳を傾けると台所の方らしい...明かりはついているし誰かいるのだろうか?
(ソーッ!)
「...所詮私は役に立たないポンコツだ」
台所にいたのは網にこびりついた焦げを取っている華楠の姿...
どうやら夕食の失敗に心を痛めているようだ...
私は息を整えて台所へ向かう
「何だ...華楠だったのね」
「...映姫か...もう夜遅いぞ早く寝ろ...」
華楠は黒いオーラをまき散らせながら焦げを落としている...
確か境奈の話によると華楠は戦闘以外ではポンコツらしい...
確かに料理の腕はアレだが...根はいい人だ!うん!
「まぁ...人には向き不向きというものがありますし...」
「...そうだよな」
華楠はまた黒いオーラを出す...
やはり私ではどう言葉をかければいいか分からない...
私はそっと台所から出る...
「...お地蔵様なのに救えないとは」
~♪~♪
何か庭の奥から三味線の音が聞こえてくる...
その方向を見ると銖理が庭の岩の上に座り三味線を黙々と奏でていた...
「...」
中々いい音を奏でているが如何せんこの人は比較的に無口だし、無表情だから何を考えているかわからないため、大神家の中では取っつきにくい雰囲気を醸し出している...
ですが先ほどの夕飯の時は珍しく顔を真っ青にしていたしある程度の感情の起伏はあるようだ...
一人の世界に入っているみたいだしそっとしておこう...
私は居間の方へ向かう...
がやがや...
何やら居間の方が騒がしい...
そっと中を覗くと暦さん・煌炉・境奈が酒瓶に囲まれながら、お酒を浴びるように飲んでいた...
「ん~!やっぱ...人間がつくるのは一味ちがうね~!」
「やはり...鬼とかの妖怪がつくるものよりはきれいな感じがあるな...」
「別にいいんじゃない~?飲んでしまえば同じよ~」
三人の周りには散乱した空の酒瓶...恐らく依頼の謝礼でもらったものだろう...
私が観察しているのを暦さんが発見し手招きをする
「あ...映姫ちゃん~そんなところにいないでおいでよ~!」
「は...はい」
私は大人しく暦さんの横に座る...
まぁ...私はお酒が飲めないからちゃぶ台においてあるおつまみをもらいましょうか...
「すっかり母さんに懐いているな...」
煌炉が私を見ながら懐からキセルを取り出し火種をつける...
この人は比較的いい人だ...大神家の中では話しやすい人だ...
しかしながら戦いの時はこの性格がイッキに変わるとからしいそして...
「何?」
「いいえ...」
この人姉妹の中では一番胸が...いややめておこう...
「そりゃ母さんが連れてきたんだもの~当然じゃない?」
境奈がおつまみを食べながら答える...
境奈は大神家次女で頭脳担当らしい...
今日の服装も天狗の装束だ...この人は天狗の山で諜報活動を担当しているとか...
見た目は派手だが大丈夫なのだろうか?
まぁ...フランクに接してくれますし私としても話していて楽しい人だ...
「...」
「何~どうしたの~!?」
「いえ...」
そしてこの人は姉妹で一番胸が...
母親である暦さんより大きいってどういうことです...
「だって可愛いでしょ~」
暦さんが私に抱き着き胸を当てる...
後頭部に柔らかい感触が...うう...柔らかい...私もいつかは...
「...」
暦さんの方を肩越しで見ると何やら寂しそうな表情で私の頭を撫でていた...
そういえば...最近誰もいないところで溜息をついていたな...
理由は良くわからないが、暦さんの出生のことと関係あるらしい...
彼女曰く自分の過去の記憶が全くないから退治屋をしながら旅をしているとか言ってたな...
彼女は私の恩人だ...今は無力な私でもいつか...
「暦さん...いつか私が立派になったら暦さんの力になりますよ」
「...ありがとね...映姫ちゃん」
暦さんは私の頭を笑いながら撫でる...
そう...いつか必ず彼女の役に立って見せる...絶対に...
私は心にそう強く思いながら彼女の着物の袖を握る...
次回妖怪side
ではこれにて