月面戦争は大神家の者たちが無差別に暴れまわっているため妖怪・月の民両陣営に大きな被害が出ており戦場は血の臭いが香る死地と化している...
そして暦と依姫との戦いに幕が開き、両者の濃厚な霊力に鋭い殺気により月の陣営に残っている月の兵士たちは恐れ慄き両者の戦いに立ち入れないという状況になっていた...
月面戦争の終戦はまだ遠い...
side依姫
「はぁああああ!!」
「くっ!」
暦からの剣撃を防ぎ大きく後退する...
この子...遠距離型の戦闘が得意と思ったのに普通に力強いじゃない!
「まだまだぁ...始まったばかりだよぉ...」
暦は地面から剣を抜きゆらりと私を見つめる
その眼はもはやハイライトが無いどころか狂気じみた殺気を籠らせた目になっている...
あの子の攻撃は受けたらマズイような気がする...早めに決着を...
「天照!」
「あは♪」
天照を呼び出し光線による攻撃を放つが彼女は軽業師のように宙返りをし術陣を展開する...
「天照~?へ~そんな神もねぇ」
「まだ序の口よ...私にはまだ沢山の神がいるわ」
...まだ計算上は彼女に使う神は10柱程度で収まるはず
疲弊させて一気に叩くわ!
暦は光線を避けながら天照を眺める
「へ~...無駄だと思うけど~!その神邪魔だなぁ...」
彼女が天照に指を向けると術陣から大量の赤と青の鎖は発射され天照が鎖の中に閉じ込められる!
そんな!
「天照!!」
天照に指示を送るが何も帰ってこない...
暦はせせら笑いながら大量の鎖を回収し鎖についたガラス瓶を舐める...
「天照~?もしかしてこれかな~?」
暦が手を広げると光線が私の方に大量に放たれる...
この光...天照の?
「何で?貴女が?」
私がそれを避け攻撃を仕掛けるが暦の体は鎖によって守られる
「これが私の能力の1つ...第三者の能力を使う力...まぁ...使いどころが難しいけどね」
暦は光線を放つのを止めて再度鎖を放つ...
あの鎖は何か嫌な予感がする出来る限り神を下ろすのは止めておいたほうがいいわね...
恐らくだけど天照の能力が奪われたのはアレと関係あるはず
「私を舐めるな!!」
鎖を弾きながら直進する...
鎖を出している今なら彼女懐はがら空き!!
今なら一太刀を入れられる!
「あらら...随分と危なっかしい」
「これでおわりよ!!」
私は彼女の頭部めがけて刀を振りおろす
「で?」
「!!?」
刀による斬撃は彼女の頭部の目の前で急に謎の力により止まる...
そんな!私の力をもっての一撃なのに
「もう1つの能力絶対幸運...前より強くなったかもね...ほら!もっと打ってきたら?」
暦は挑発するように剣を地面に刺し私を見る...
「こ...このぉ!!」
暦の体に剣撃を放ちまくるが一太刀も彼女の体に当たりもしない...
これが絶対幸運?もはやこれは!
「これじゃあ!最初から勝負がついているようなものじゃないの!」
「勝つ見込み事態存在しないんだよねぇ...聞いたことない?さわらぬ神に祟りなしとね!!」
暦が剣を逆手で持ち私に刺突を繰り出し剣の柄が私の腹にめり込む
「うぐぁ...」
私は吹き飛ばされ吐血する...
「あぐ!ごほ!!」
「ふふふ...いいじゃない?永琳も貴女が死んだら悲しむかもねぇ」
「そうかもね...でも...まだ終わらないわよ!」
私は神を身に降ろす
このままでは殺されるのは確実...
なら!私の全力を持って彼女を倒さないと!彼女は危ない!何としてでも倒さないと!
「無駄なあがきを...」
「っ!」
私の胸に鎖が撃ち込まれる...
痛みはないが...力が入らない...
「こんな...ことって...」
そんな...私が負けたら...この戦争は...
「これで貴女の負けは確実ね...能力はもらいましたよ~!」
暦は試験管を指で回しながら私に剣を向ける
「神の力に頼り過ぎなのよ...じゃあ...バイバイ!!」
彼女は剣を振り下ろす
ギリ...
「んっ!?な...何?」
「え?」
暦の攻撃が急に止まる...
良く彼女の体を確認すると細かな糸のようなものが体にまとわりついている
必死に体を動かそうとするがまるで糸が絡まったマリオネットのように体を揺らしている
「な...何だこれは!!!」
「...月の化学を舐めてもらっては困るわよ」
急に何もないところから長い金髪の女性が現れる...
この人は綿月豊姫...私の実の姉だ...
お姉様は暦の近くへ向かう
「月の化学?馬鹿なこんなのなかったはず!」
お姉様は思い出したかのように暦を見る
「貴女の事やっと思い出したわ...写真に写っていた八意先生の部下!随分と面影が変わったわねぇ」
「ぎり...ぎり...」
「...忘れたのかしら?化学は進化するものなのよ...これはフェムトファイバーの組みひも(ナノタイプ)最少単位の繊維で組まれた特殊な糸...この世で最強の硬度をもっているわ」
暦は悔しそうに歯噛みをする...
もはやその顔は笑みを崩して怒りに染まっている...
「この!無礼者がぁ!!この私にっ!なんてこと!!」
「...」
暦を見るお姉様の目は珍しく冷めていた...
彼女は暦を一瞥した後私の方を向く...
「...依姫少しお灸をすえてあげなさい」
「分かりました...」
私は刀を持って彼女に近づく...
彼女は呪詛のようなことを吐き散らしており、あの写真のような面影は残っていない...
完全に復讐の鬼と化しているようだ...
八意先生に捨てられたという彼女が地上からここまで来たというのはすごい執念ね...
だが彼女が言っていた八意先生に捨てられた存在という言葉...
あれには矛盾がある...先生が彼女を捨てたということは絶対にありえないわ
「終わらせてあげるわ...少し頭を冷やしなさい」
私はフェムトファイバーごと彼女を切りつける...
彼女の胸から鮮血があふれ出し、彼女は断末魔のように呪詛を叫ぶ
「...がっ!っ~!おのれ!おのれー!!月の民っ!小賢しい...ことを...」
彼女は糸の切れた操り人形のように地に臥す...
「...」
私はそんな哀れな彼女を黙ってみることしかできなかった...
次回月面戦争終了
ではこれにて