東方五行大神伝・過去の章   作:ベネト

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火行の五情は楽しみ...

その間違った方向は...


訓練の手助けと影

境奈が潤香に連絡を取り合っている頃...

 

都から外れた広い草原では大神家の一員である大神煌炉と蓬莱の薬を飲んで不老不死の人間となった少女の藤原妹紅が手合せをしていた...

 

妹紅は煌炉から習った火の妖術と体術を駆使して煌炉に放つが彼女はキセルをふかしながらそれらを躱している...

 

 

「ふぅ...」

 

「っ!掠りもしない!」

 

妹紅が苦言するがそれもそのはず...

 

煌炉と妹紅では戦闘経験の差が開きすぎており、煌炉からしてみれば妹紅の攻撃は集中していなくとも容易に見切ることができていた...

 

 

「...妹紅?そろそろ飽きてきたんだけど?」

 

煌炉が退屈そうに欠伸をし妹紅の拳を弾く...

 

「っ!まだまだ!」

 

今度はありったけの妖力を込めて火の妖術を放つが煌炉は避けもせずに火の中に包み込まれる...

 

「よし!今までより最大の威力だ!」

 

妹紅は拳に力を入れ火の柱を眺める...

 

火の柱は燃え続けており中にいる煌炉の姿は確認できない

 

「これなら輝夜を...」

 

 

 

 

 

 

 

「これなら...何だって?」

 

「!!」

 

火柱が消し飛び煌炉が現れる...

 

彼女は半獣の姿になっており頭には赤い狐耳・尻には9本の長い尾が生えその尾は槍のように地面に突き刺さる...

 

彼女の表情は生き生きとしており仮面から見えている彼女の口は三日月のように歪んでおり、咥えていたキセルは燃え尽きて灰になる...

 

「!!!本気の姿!?」

 

「ちょい...本気だ...行くぞ!」

 

煌炉が不気味に笑うと彼女の上空に巨大な火炎弾が現れ妹紅に飛び炸裂する...

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォ―ン!!

 

 

 

「ぎゃああああ!?」

 

妹紅は断末魔と爆発に巻き込まれ星になる...

 

煌炉はその星を見ながら溜息をつく...

 

 

 

 

side煌炉

 

 

「はぁ...」

 

白昼の空に光る1つの星を見ながら溜息をつく...

 

ちょっとやり過ぎた...

 

やはり私は加減が出来ないようだ...少し本気を出しただけで妹紅が消し飛んでしまうとは...

 

まぁ...彼女も不老不死だし吹き飛ばすたびに少しずつ強くなってきているから

 

私としても期待は持てるが...一体いつまで続くのだろうか?

 

 

 

「あ...通信機忘れてきた...はぁ...早く帰ろう...母さんが倒れてそれなりになるし...今年は厄年なのかな?」

 

現在の大神は華楠姉さんが取り仕切っているが活動は全く行っていない...

 

事態が事態だから私も事の重大さを理解している...

 

だが...私もそろそろ我慢の限界だ...

 

自分を抑えることが難しくなってきた...

 

 

 

 

 

 

「ぎりぎりぎり...」

 

...境奈姉さんの癖が私にも移ったか?

 

自分でも珍しく爪を噛み始め、地面に突き刺した9本の尾にも力が入り地面にひびが広がってくる...

 

「~っ!!ああああああああ!!!!」

 

自分を抑えられず周囲の地面が爆発し辺りが火の海と化する...

 

もう...駄目...我慢できない!!

 

体から...妖力がっ!

 

 

 

 

 

 

「ぐ...ああっ!あ...熱いっ!」

 

体から放出しきれなかった妖力が漏れ始める...

 

体が熱い...燃えてしまいそうだ!

 

「はぁ...はぁ...っ!」

 

 

ブチ...

 

 

髪紐が切れてまとめていた髪が乱れたのが分かる...

 

妖力を放出しないと!私が私ではなくなってしまう!!

 

このままでは...

 

 

 

 

 

 

 

 

「くぅぅ...!!?」

 

何かの殺気を感じ私はとっさに体勢を立て直してその場から大きく後退する...

 

 

どご!

 

どごお!

 

 

(ぐおおおお!)

 

(がああああ!)

 

目の前には赤い鬼と青い鬼が地面に拳を叩きつけている光景が目に入る...

 

...さっきまでいた場所の地面は陥没しており、反応が遅れていたら私の命はなかったような気がする...

 

「鬼か...?」

 

見覚えがあるような...変な力を感じるしこれはまさか...

 

 

 

 

 

 

「そのまさかだ...大神煌炉」

 

赤鬼・青鬼の背後からあのスキマ妖怪の式神である八雲藍が現れる...

 

月面戦争以降か...随分と久しぶりな気がする...

 

「ふいうちとは随分な挨拶じゃないか...藍」

 

「ふん...そうでもしないと仕留められないだろ...お前は私直々に倒すと心に決めているのでな」

 

藍は不機嫌そうにそっぽを向く...

 

...本当に嫌われてるし狙われてるな私は

 

 

 

 

 

 

「しかし...何故ここにいると分かった?出来る限り場所は止めておかなかったのだけど?」

 

藍はふところから何かを取り出す...

 

「この少女を追っていればお前に辿りつくと紫様がおっしゃったのでな!」

 

藍が見せたのは妹紅の姿が描かれた紙...

 

なるほどね...私たちが見つからないと踏んで私の弟子という関係である妹紅の動向を追ったのか...

 

これは私の失態か...

 

 

 

「...後で姉さんたちに怒鳴られそうだ」

 

「怒鳴られる前に...お前はここで終わりだがな!!先ほどのお前は何か調子が悪そうだったな...紫様の手を煩わせることでもないな!」

 

藍は嬉しそうに拳をならす...

 

鬼たちも戦闘態勢に入っているが...私としては好都合だ

 

溢れ出る妖力と退屈に困っていたところだ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side藍

 

...とうとう

 

とうとうこいつを見つけた!

 

私は高鳴る鼓動を押さえて奴の動きを監視する...

 

都を追われた原因を作った大神家の一員!そして月面戦争の時の雪辱!今こそ晴らしてやる...

 

幸いなことに先ほどから奴を監視していて分かったことは奴は調子が悪いようだ...

 

今なら紫様がいなくても奴を殺れる!

 

 

「さぁ!覚悟しろよ!煌炉!」

 

「...ふ...ふふ...」

 

煌炉の方は何やら笑みを浮かべて私の方を見ている?

 

「...何がおかしい?余裕がないことぐらいわかっているぞ!」

 

「ふふ...余裕がない?違うよ...嬉しくて...たまらないのさ!!溜まりに溜まったものを発散できてさ!!!」

 

彼女の体から大量の妖気が溢れてくる

 

そして辺りの火も勢いを増してくる!

 

 

 

「何だ?この桁違いの妖力は!?赤鬼・青鬼行け!」

 

式に指示をし煌炉の迎撃に向かわせるが煌炉が術を発動すると赤鬼・青鬼は

 

無残にも彼女の炎に焼かれて消滅する!

 

 

「その程度じゃ私の炎には耐えられない!!」

 

 

「何で?」

 

馬鹿な...この前の戦いより能力値を上げておいたのに...何で彼女に至らないんだ!?

 

煌炉は金色の目をぎらつかせてゆらりと体をのけ反らせる

 

 

 

「式神なんてせこい手を使うなよ...来い...お前の力を私に見せてくれよ」

 

「っ!」

 

この間よりもすごい殺気に妖気だ...

 

これがこいつの本気なのか?

 

妖獣モードにもなっていないのに!

 

 

 

「私も本気で行くしかないようだな...」

 

今更だが覚悟を決めるしかない!相手は大神...刺し違える覚悟で行かなくては!!

 

 

「十二神将の宴!」

 

私の周りに12体の式神が現れる...

 

薬師如来を守護をする12体の武神...こいつらなら煌炉を何とか出来る

 

「放て!」

 

式に指示をし光弾が彼女に向かい多数発射されるが彼女は避ける素振りを見せない...

 

「...ふん」

 

煌炉は自身の尾を盾にし光弾を薙ぎ払って打ち返しそのまま私の方へ接近する...

 

 

「奴を私に近づけるな!」

 

12体全員を彼女の方へ向かわせ光弾ではなく物理攻撃を指示する...

 

相手は妖怪の姿を持つ人間だ...致命傷を負わせれば事はたやすい...

 

「鬱陶しいな...式神の割には...」

 

案の定煌炉は十二神将を撃退しながら回し蹴りを1人に食らわせるが6人目の神将が攻撃を受け止める...

 

「何っ?」

 

十二神将は赤鬼・青鬼とは違い中々の耐久を持っている...

 

油断したな...

 

 

 

 

 

 

「かかった!」

 

ブン...

 

ザシュ...

 

「げほぁ!」

 

十二神将からの一太刀を浴び肩から胸にかけて大きく袈裟切りされ傷口から血が噴き出す...

 

半分は人間だ...勝負あったな...

 

 

奴め...無様にふらついている!

 

「ぐ...」

 

「さぁ!トドメだ!!」

 

私は式神に指示をだし煌炉にトドメを行う!

 

 

 

 

 

 

 

 

「あは♪」

 

ドオーン!!

 

煌炉の体が光を発したと思った矢先そのまま彼女の周辺が大爆発を起こし私は爆風に巻き込まれる...

 

「ぐうう!?」

 

何とか体勢を立て直したが式神が全滅したのが確認できた...

 

あいつ自爆しただと?

 

私を道連れにしようとでもしたのだろうか?だとしたら詰めが甘すぎる...

 

辺りは煙に包まれている...奴の生死は確認できないがあの爆発だ...

 

 

「...まぁいいか...とりあえず紫様に報告を...」

 

「その報告は何と答えるんだ?」

 

「!!」

 

煙の方向を見ると煌炉が煙の中から出てくる!着ている着物はボロボロだが...それほどのダメージを受けていない?

 

 

 

 

 

「不思議そうな顔をしているな?それもそうさ...あの規模の爆発だ...私が無事に済んでいることには驚きだろうな...」

 

「何で?」

 

煌炉は割れた仮面を外し素顔を見せる...

 

その顔は満面の笑みを浮かべている

 

「火を操る私には爆破のコントロールがある程度出来る...それが中々難しくてな...座標やら爆破の余波なども考えないといけないからな中々大変なんだ...おかげで少しダメージを受けてしまった...」

 

ボン!

 

煌炉が手を向けると私の横1メートル離れた個所が爆発する...

 

「ひっ!」

 

「な?中々安定しないんだよな...私の能力は...まぁいい...私の体に大きな傷をつけるなんて中々やるじゃないか...もっと楽しませてくれ!!」

 

煌炉は爪を伸ばし私へと接近する...

 

月面戦争の時よりも早い!早く回避を

 

 

 

 

 

ズキ...

 

「っ!」

 

動こうとすると足に痛みが走る...

 

まさか...さっきの爆破の時のダメージが?

 

「~♪」

 

煌炉が私に向け詰めを振り下ろす!

 

駄目..避けられな...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガキィン!

 

 

「っ~!...え?」

 

目を開けると私の周りには結界が貼られており煌炉からの攻撃を防いでいた...

 

彼女の方を見ると結界に直に触れた時に折れた爪をかばっている

 

「ちっ!この結界は!」

 

 

 

「私よ大神煌炉...」

 

 

スキマが開き中から紫様が現れる...

 

「紫様!」

 

「藍...ご苦労様...おかげでこちらに運が向いているわ」

 

紫様は私を一瞥しそのまま煌炉の方へ向かう...

 

「お前の登場か...随分と早かったな...」

 

煌炉は爪から出ている血を舐めながら紫様の方を向く

 

 

 

「それなりの傷は与えたかしら?これ以上やると命にかかわるわよ?」

 

紫様の言うとおり奴は致命傷を受けている...

 

切られたところからは相変わらず血が出ているし片手の爪は半壊している...

 

奴としても自分がマズイ状況に置かれているとわかっているはずなのに笑みを浮かべたままだ...

 

 

「はっ?まだいけるに決まっているだろう?ここまで追い詰められるなんてさ...最高じゃないか!まだ勝負は始まったばかりだ!楽しませてくれよ!!」

 

...奴の目はもはや光をなくし暗い色をしている

 

ここまで行くと狂気だな...

 

 

紫様は溜息をつき傘を煌炉に向ける

 

「いいわ...完膚なきに叩きのめしてあげるわ...その変わり条件をつけるわ...」

 

「条件?何だ?」

 

煌炉は珍しく首をかしげ困惑の表情をわずかに受かべる...

 

 

「...貴女が負けたら私の式になりなさい...それが条件よ」

 

私も煌炉も驚きの表情をする

 

こいつを式に?紫様は何を考えているんだ!!

 

「紫様!いくらなんでもこんな奴を式にするなんて危険すぎます!」

 

「...藍...私が決めた事よ」

 

紫様はそれだけを言い煌炉の方を向く

 

 

 

 

「くくく...式ねぇ...いいよ?勝てるものならなぁ!!」

 

煌炉の体から更に妖気が噴き出す!!馬鹿な...いくらなんでも尋常じゃないぞ!

 

 

「藍...足のけがを直したらすぐに戦うわよ...相手は大神...一筋縄ではいかないわよ」

 

「はい」

 

私は負傷した足を直し立ち上がり煌炉の方へ向かう

 

 

「っ!」

 

「くくく...あはははは!!来い来い!妖怪の賢者とその式よ!!火行の煌炉を楽しませろ!!」

 

煌炉は高笑いし私たちへと向かう...

 

 

 

「...」

 

紫様は何を考えている...

 

こいつは...大神は...

 

「藍行くわよ...考え事は後にして」

 

「はい」

 

胸に残ったモヤモヤを残しながら私は煌炉と対峙する...

 

 

 

 

 

 




次回八雲vs煌炉

ではこれにて
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