完全態の姿になった煌炉は辺りを爆破しながら紫・藍の両名を少しずつ追い込んでいく...
炎の鎧を纏った彼女相手ではもはや生半可な攻撃は意味をなさず、その炎の前で灰塵と化してしまう...
それに大神家について調べていた紫は知っている...
彼女の火行の能力の他に能力を無効化できる力を持っていることに...
実際問題...攻撃もスキマも通用しない以上彼女たちに残された手はあまり残されていない...
紫は思考を早め状況を打開する策を考える
side紫
「...物は試しね」
とりあえず私は光弾・矢を煌炉に放ち通用するかどうかを見てみることにした...
光弾は煌炉の体に触れる前に消滅し始め彼女の体に触れる前にはダメージにもならない衝撃を与える程度の威力・矢はあまりの高温に灰となってしまった...
「無駄だ!もはや私を倒す術などないんだよ!!」
煌炉は辺りを爆発させる...
この子は遠距離攻撃は苦手なようね...さっきから狙いがバラバラだし...何とかなるか
「ならこれはどう?」
今度は煌炉の足元にスキマを開く...
これであの場所に彼女を落とせれば私にも勝機が見えるけど...
「あ?っと...危ない危ない」
煌炉はスキマの淵を踏みつけスキマを消滅させる...
やはりうまくはいかないわね...
「...紫様こうなれば私が」
藍が前に出る...
そうよね...もう力比べをするほかないわ...
私は何としてでもここで大神を倒さなくてはいけないわ...
私の夢のため...犠牲になった者のためにね...
「仕方ないわね...お肌が焼けてしまうのは残念だけど!」
私はスキマで移動し彼女の背後を取る...
「っ?後ろか?」
「はぁぁぁ!!」
そのまま彼女の頭に回し蹴りを放ち...
彼女はわずかにふらつく
「っ!」
足を見るとブーツが燃えている...
体術はある程度効くみたいだけど...こちらにもリスクがあるわね...
「...接近戦も中々のようだな!!」
「おっと!」
煌炉の爪の攻撃を私はスキマに入り避ける...
あの攻撃は当たったらやばそうだけど...先ほどよりはわずかに遅い!
「このまま続けていくわよ!」
私はスキマを大量展開し煌炉にワープ攻撃を仕掛ける...
「っち!...くそ!」
電光石火の止むことのない連撃...
徐々に彼女にダメージを与えている!
でもこちらにも多少のダメージが...
「前鬼・後鬼!」
藍が式神を呼び出し式神が煌炉に攻撃を仕掛けている...
「っ!!どいつもこいつも邪魔をしやがって!!」
煌炉は爪を振り下ろす...
「おおおおおお!」
前鬼の拳が煌炉の爪とぶつかり合い
前鬼は消滅し煌炉の爪は折れて背後の地面に刺さる...
「ぐっ?」
...今の彼女には回復手段はもう無い
攻撃手段を潰していけば彼女も打ち止めになるはず...
炎の鎧には物理が通る以上式神を何回もぶつけて彼女にダメージを与えていくそれしかない!
「ちぃ...」
煌炉は折れた片方の爪を眺め後鬼を蹴り飛ばし消滅させる...
念には念を...まとめておかなくては
①彼女の攻撃は絶対に当たってはならない
②遠距離攻撃は落ち着いて対処
③物理で殴れ
以上!
私は妖気を片手に溜めてスキマからの連撃を続行する
「ふん!」
「ごほぁ!?」
この攻撃方法ならいける!
妖獣である彼女でも所詮は生物...
この方法で消耗させていけばそのうち倒れるわ...
「...ちょこまかと!」
「残念こっちよ!」
煌炉の背後に現れ私は膝蹴りを彼女に放つ...
妖気を溜めた攻撃を行っているためダメージがなくなったけど
導師服がボロボロ...
これが終わったら新調しないと...
「...」
煌炉は只無抵抗のまま攻撃を受け続けている...
藍の式神攻撃も聞き始めているようだしこれならばいける!!
「さぁ!とどめよ!」
私は彼女の背後にスキマをつなげ彼女の頭めがけて拳を放つ
「見切った...」
煌炉は私の攻撃を腕で防ぎ止める...
「なっ?」
「やっと!捕まえたぁ!!」
煌炉は私の腹部に手を当て
そして...
ボン!
爆発させる...
一瞬の出来事で私は痛みを感じないまま数十メートル吹き飛び地に臥し...遠くでは藍が叫んでいる声が聞こえる...
「紫様!」
「...っ!げほ!!」
...痛みが遅れて回ってきた
腹部を見ると導師服は焼け焦げ血がダラダラと流れている...
そうとうな威力ね...この私がここまでダメージを負うなんて...
どうやら彼女の爆発攻撃は距離に比例して精度が落ちていくようだ...
完全に油断したわ...
...でもどうして?彼女の死角をついて攻撃を行ったのに?
煌炉はゆらりと私に近づく
「不思議そうな顔をしているな...それもそうさ...お前の攻撃は無意識のうちにムラが出ていたんだよ」
「ムラ?」
「...そう...貴様が私に本気の攻撃を仕掛ける際は必ず私の死角から攻撃を行っていた...おかげで見切るのに苦労はしなかったさ」
...長年の戦闘経験それが彼女の強さの秘密ということか
スキマも光弾も体術も意味をなさないとなるともう打つ手はないわね
彼女は自分の弱点を理解している...
対策を打たれた以上これ以上のことはできない...
「...弱点...っ?」
待って...そういえばさっきあの子の動きに矛盾したところがあった
何故彼女はあの行動をした?もしかして...
大神といえど弱点はかならず存在するということなの?
あの行動がその弱点を考慮したことなら...
「うっ!」
...目がかすんでくる
私の負け?大神の弱点が分かったかもしれないのに...
夢まであと少しなのに...
side藍
紫様が負けた?
そんな馬鹿な!!ここまで押していたというのに...
「紫様!」
私は彼女の下に駆け寄るが紫様はわずかな息を吐くだけで...反応がない
「き...貴様ぁ!!」
私は奴に向け拳を放つが奴はそれを尾で止める...
「ぐっ!!」
「次はお前か?安心しろ...すぐに楽にしてやるから!」
奴の尾が刃のように私に迫る
「悪いけど...まだ私は終わっては無いわ!!」
目の前には満身創痍の紫様が全ての尾を弾いて煌炉の頬に拳を放つ光景が...
「ゆ...紫様?」
「藍...下がってなさい」
私は紫様の言葉に黙って従い彼女達から距離を取る...
「...ほう?まだ立ち上がれる力があったか」
煌炉は頬を手でさすり嬉しそうな目で紫様を見るが...
すでに紫様は限界のようだ...
このままでは今度こそっ!
「私は...負けられないのよ...夢のために...絶対に倒れられないの!」
「どこにそんな力が?...思いの力だというのか?...よせ...命が惜しければ退け...今なら何とかなるぞ?」
「嫌よ...」
紫様がつぶやくと煌炉は紫様へと攻撃を仕掛ける...
「ならば私が引導を渡してやる!さらばだ!妖怪の賢者!!」
煌炉の尾が紫様を狙う
「硬と軟の境界!」
紫様が叫ぶと地面が変化し始め煌炉の足元が沼のようになり奴の足がどんどん沈む...
奴は攻撃を中止し慌てて地面に火炎を吐き地面を固めるが足は地面に埋まったままで完全に奴の機動力は無くなった!
「何?」
「...やはり能力以外の自然に対する干渉は防げないみたいね」
「っ!?」
奴は紫様の言葉に驚きの表情を浮かべる
「図星みたいね...貴女達大神家の力は...能力の干渉遮断...スキマに幽々子の反魂蝶をそれで防いでいたというわけ...」
干渉遮断?
まさか紫様のスキマに触れただけでスキマが消滅したのはそれのせいだというのか?
「気付いていたのか...何故分かった?」
煌炉は足を引き抜こうともがきながら答える...
「最初のスキマ攻撃の時...貴女は慌ててスキマの淵を踏んだ時少し違和感があったのよ...能力を効かないのなら慌てて消すのはおかしいわ...完璧に作用しないとしたらそれには穴があると踏んだのよ」
「ふん...頭の回転は速いようだな...だが!私の炎の鎧には何も効かん!私の機動力を封じたところで貴様に出来る事なぞない!」
「それはどうかしらね?」
紫様が妖気を高めると煌炉の背後に巨大なスキマが現れる...
これでなら...煌炉に淵を触れられることもなくスキマの中に落とすことが出来る!
「なっ?」
「炎の鎧なんか関係ないわ!貴女をそのままスキマの中に落とせば私の勝ちよ!」
紫様は煌炉に光弾を放つ...
奴に攻撃は効かなくても後退させることはできる...
煌炉は光弾に当たり後退するがスキマに入らないように警戒をしている...
「こんなことが?」
「私の全力...受け取りなさい!」
紫様は光弾を大量に展開する...
side煌炉
...流れが変わった?
長年戦い続けていたらその雰囲気は分かる...
何だ?何故この妖怪は倒れないんだ?
私は彼女が放つ光弾を尾で防ぎながら後退しないように耐える...
後ろにあるスキマに入るわけにはいかない...
僅かながらスキマからあの匂いを感じる...
彼女のやろうとしていることが嫌と言う程分かった...
私をあの場所に落とそうとしている...
あそこに落ちたら私はっ!
「させるか!!」
私は火炎弾・爆発を放ち彼女を撃退する
爆発は相変わらずの命中だが...火炎弾は奴に当たっている!!
だが!!
「ぐっ!!まだ...まだよ!!」
何故倒れない?私が本気で潰しにかかっているというのに!!
奴も限界のはず!だが攻撃はどんどん激しくなってきている!!
「ぐっ!!!」
光弾が地面を削り足が埋まっている地面にひびが...
このままでは私は...スキマの中に!!
「...これが私の全力よ!」
「っ!?」
光弾が更に大量に放たれ地面の私の足が抜ける...
そして私は大量の光弾によりスキマの中に落とされる
「ごぼっ!?」
次に見たのは水の空間
匂いからして潮の香りがする...
やはりここは海か...
炎の鎧の火が消えていく...
これでは私の能力は使えない...
「...」
そして辺りには大量のスキマ...
私はスキマから飛び出した矢・槍・刀など...
それらにより私の体は串刺しになる...
「げほっ!?...わ...たしの...負け?」
煌炉との戦いは次回が最終です
ではこれにて