side幽々子
「そう...なら私が直々に終わらしてやるよ!」
銖理は銃を乱射しながら私と妖忌に接近する...
妖忌が弾を1つ1つ弾き防いでいくが彼女の猛攻は止むことがない...
「やるな...見目からして老体なのに」
「生涯現役を目指しておるのでな...儂とてやられはせん」
「あっそ...」
銖理は弾切れになった銃を捨てて妖忌との距離を詰める...
今の彼女は武器を持っていない...何故こんな捨て身の攻撃を?
「妖忌!距離を開けなさい!!」
「!!」
ブオン!!
妖忌が後ろに飛ぶと同時に彼がさっきまでいた場所に何かが空を切る...
銖理の方を見ると彼女の9本の尾がいつの間にか鋼でできた装甲で覆われており、装甲についている湾曲した刃が不気味に光っている
「...ふん...面白くない...もう少しだったのに」
銖理は体勢を整えて自身の尾の刃を触る...
さっきまであのような装備はしていなかったはず...
「...暗器の類かしら?さっきまでつけていなかったわよね?」
「私の力はその程度ではない...」
銖理は装甲を解除して石畳に尻尾の装甲をガランと落とす...
「私の能力は金行の力を使う程度の能力...金属でできた武器なら何でも思うように作成できる...このようにね」
銖理は長い日本刀を出現させる...
どうやら彼女自身が暗器のようね...何が出るか予測がつかないわ...
「面妖な...これが大神家の者の力なのか?」
妖忌がつぶやくが銖理は面白くなさそうに襟足の部分を掻く
「その言葉も飽きた...私ごときの下っ端に驚くなら...この先つらいよ?」
「下っ端?」
「...大神家は当主である大神暦を筆頭に5人の娘(大神シスターズ)がその下にいるのは知っているよね?」
「ええ...天狗の掴んだ情報に間違いはないわ...」
「その情報にも穴がある...一番強いのは当主である母さんとして...その下の姉妹に強さの順序があるんだよ...長女の華楠姉・次女の境奈姉の順番は妥当としてその次に強いのは誰だかわかる?」
序列から考えるとこの子はあり得ないわね...
さっき煌炉って子を姉と呼んでいたし...
もしくは他の大神家の子かしら?
「紫が倒した煌炉って子かしら?もしくはもう一人の大神家の子?」
「...残念はずれだ」
銖理は飽き飽きしたように首を振る
「何となく考えは読めるよ?姉妹順に強さが決まってると思っていたでしょ?煌炉姉は私の姉だから煌炉姉の方が上と...そして潤香の奴は私より上か下か分からなかったから答えたというべきか...ちなみに潤香の奴は私より下だよ」
「じゃあ...答えは?」
私の問いに銖理は笑みを浮かべる
「答えは同列だ...つまり強さは一緒ってこと...」
「それって...」
私の中で思いたくなかった最悪の考えが頭をよぎる
彼女は私がわずかに動揺したのを見たのかご機嫌になっていく
「そう!お前の友人である妖怪の賢者がやっとの思いで倒した煌炉姉は私と潤香と対して強さは変わらないんだよね!!少し絶望したんじゃないの?」
「...精神的揺さぶりをかける気かしら?」
「でも...実際には動揺したよな?...お前の妖怪である友人が倒した敵がまさかの追手と強さが同じ...私に撃退できるのかとな?悟り妖怪じゃなくてもお前の心は分かるぞ?」
「...」
「まぁ...仮に私を倒したとして私と同等が後一人...私らより強い存在が残り2人いるんだ...どっちにしろ...希望などなかったというわけだ...さて...問題を外したから罰ゲームだ...」
銖理の周りに先ほど落とした刃付きの装甲が彼女の周りに浮く...
「!!」
「受け取れ!私からの残念賞だ!」
刃付きの装甲が私の方へと飛んでくる!!
「しまっ!」
私はとっさの不意打ちに対応できずそのまま慌ててよけようとしたが何かに躓く...
「っ!あ...」
目の前には刃付きの装甲が...
...ごめん紫...私は...
「させぬよ」
ガキィィィィン!!
金属音が辺りに響き目を開けるとそこには妖忌が私の前に立ちふさがっていた...
彼の足元には刃付きの装甲が落ちており彼が叩き落としたようだ...
「何?」
「うむ...お主も中々狡賢いようじゃな...お嬢に揺さぶりをかけながら裏で絡繰りを操るとは」
妖忌は手で何かを手繰り寄せると銖理が驚くように手をビクンとさせる...
月明かりが照らし銖理の手の指から妖忌の所までの空間に何か糸のようなものが見える
「糸?」
「鉄糸のようです...どうやらその刃を操っていた道具のようですじゃ...お嬢の足にもついておりますぞ」
私の足を見ると確かに糸が絡みついていた...
私がさっき転んだのもこれの所為?
「台無しだ...話したくもない情報を話しながら時間を稼いだのに...」
銖理が手の糸を解除し直すと私たちの周りに装甲が浮き始める...
「ほう...結びなおしたか...中々器用みたいじゃな」
「...そうでもなきゃ機巧妖狐とは呼ばれてないよ...とっとと消えてよ...私だって操るのすごい疲れんだよ!!」
妖忌の方へ刃が一斉に襲い掛かるが彼は糸を正確に切り捨て攻撃を無効化し彼女との距離を詰める...
「!?」
ガキィィィン!!
妖忌からの斬撃を彼女はとっさに刀を出現させそれを防ぐ...
「ぎり...ぎり...」
「ほう...反応は早いようじゃな?」
「うるさい...」
彼女は慌てて妖忌と距離を取る...
何か焦っているのか辺りを警戒しているし妙に戦い方がおかしくなっている...
開戦同時に放った...あの砲...
彼女の力ならそれを作成するのは造作もないはず...
しかしながら彼女はそれを行わずに暗器に頼る攻撃のみを繰り返している...
もしかして彼女の能力には何かの弱点があるというのかしら?
とりあえず私も怯んでいられないわ...
妖忌ばかりに戦わせるのも主としての威厳に関わるわ
「反魂蝶!」
私は死の蝶を銖理の方へ向かわせる...
「何?それ...」
銖理は避けようともせずそのまま被弾するが逆に反魂蝶だけが消滅してしまう
「反魂蝶が!?」
「何かの能力?私にはその類は効かないよ...」
銖理は短刀を出現させる
「させん!」
妖忌が私の前に立ちふさがるが銖理はせせら笑うだけ
「しつこいな...アンタも...ならその機動力をそいでやる...」
銖理が両手を高速で動かすと妖忌の動きが止まる
「むっ!」
「どうしたの?妖忌?...!」
妖忌の体をよく見ると鉄糸で拘束されていた...
ご丁寧に彼の2本の刀にもぐるぐる巻きに鉄糸が巻かれている
「動けん!」
「さて...その状況でどう出るかな!!」
銖理は私に向けて短刀を投げる...
「ぐぅ!!」
妖忌が取った行動は私の盾になることだった...
彼は銖理が投げた短刀を肩に受ける...
「妖忌!」
「大丈夫です...お嬢」
彼は私の方を向いて微笑むが右肩から血が溢れている...
そして銖理の方を見ると拍手やっている
「お見事...従者としては完璧だが...しかし...戦闘としては判断ミスだな...」
銖理の周りに刃付きの装甲が浮きぐるぐるとまわる...
「これで...全員...お陀仏だ!!」
刃付きの装甲が飛んでくる...
今度は妖忌は肩に怪我を負っている...
もう弾き返すことは...
「調子に乗る出ないぞ...小娘...」
妖忌の声が聞こえた刹那...
彼の姿が消え全ての刃付きの装甲が一刀両断される
「何?」
銖理の背後に妖忌が現れ刀を納刀する...
「未来永劫斬...」
「ひぐっ!?」
妖忌が納刀すると同時に銖理の体が袈裟切りされ、彼女はふらついて胸を押さえる
そして大きく後退し尾に先ほどの装甲を装着し体勢を整える...
「手ごたえが無いようじゃ...着物の中に何か仕込んでおるな?」
「っ!...ああっ!!そうだよ!!」
銖理が着物の襟を大きく開くと彼女の胴体部分には傷の入った装甲が着込んであった...
どうやらそれで妖忌からの一撃を防いだようだけど...ダメージは入ったみたいね...
彼女は尾を振り回し辺りの物を八つ当たりの如く破壊する...
「こうなるんだったら...もっと武器を仕込んでおくべきだった...まさか...この2人にここまでやられるとはね!!」
尾の装甲が変化し関節が出来てしなり始め、攻撃のリーチが伸びる...
そして彼女は大きな槍を出現させて私たちに向ける...
武器を仕込む?
そうか...この子の能力の弱点は...
「さっきから貴女は刀・槍・鉄糸の作成しか行わず...銃とか砲の攻撃を行っていないわ...いえ行えないという方が正しいかしら?」
「それがどうした?」
「貴女...重火器のような細かな絡繰りの作成を即興で出来ないようね...」
「あ?」
銖理の顔にわずかながら動揺が見える...どうやら図星のようだ...
「さっきからおかしいと思ったわ...情報では貴女は重火器専門に取り扱う能力者と書いてあったのに接近戦しかやってこない...そこでおかしいと思ったのよね...」
「頭の回転が早いようだな...」
銖理は槍を突き刺して物思いにふける...
「絡繰りというのは繊細なものだ...どこかパーツ1つでも不備が出たらそれでもう兵器として成り立たなくなる...私の絡繰り・兵器は私自らが入念に作成を行わなくてはならない...即興で生み出すのはもはや塵でしかない...妖力の無駄だ...」
銖理は再度槍をこちらへ向ける...
「だがそれがどうした?重火器なぞ使わなくてもお前らを倒すことは造作がないことだ!!」
彼女は装甲付きの9本の尾を鞭のようにしならせながら私たちの方へと向かい妖忌が私の前に立ちふさがる
「お嬢には手出しはさせん!」
「だったらお前を倒してからだ!」
銖理の尾と槍の猛攻が妖忌へと向かう...
妖忌はその猛攻を刀1本ではじき返している...
「片腕1本でどこまでもつかな?」
銖理は猛攻の中高笑いし妖忌はというと少しずつだが彼女の攻撃を受け始めている
「妖忌!」
「さぁ!トドメだ!!」
銖理の尾が一斉に彼へと向かう
「怒りに身を任せた攻撃なぞ...隙だらけだ」
妖忌からの太刀による一閃が勝負を分けた...
9本の尾の装甲と槍がはじけ飛んで鋭い刺突が銖理の腹部へと放たれ腹部に着けていた装甲も砕け散る...
「ごほぉ!?」
彼女はそのまま門の所まで吹き飛んで動かなくなる...
「うむ...まだ腕は鈍っていないようじゃ」
妖忌は刀を納刀し埃を叩く...
「...倒したのよね?」
私は遠目で彼女の方を見る...
「ええ...腹部への強い衝撃を受けたのです...アバラが何本か折れたでしょう...」
「...そうね...彼女だって半分は人間だものね...」
とりあえず彼女は動きが出来ないようにして閉じ込めておこうかしら?
これで大神家も2人撃破...
「ふざ...け...ん...なっ!」
「!」
門の方を見ると銖理が立ち上がり殺気じみた目で私たちを睨んでいた...
怒りに歪んだ口からは血が垂れており息が荒いがまだ戦えるようだ...
「あ...貴女...まだ戦うの?これ以上は貴女の体にも...」
だが彼女は私の話が耳に入っていないのか
「う...るさいっ!これですべてを火の海にしてくれるっ!」
銖理の体の妖力が高まり始め彼女の体が変化し始める...
体長は5メートルほどの巨大な九尾の狐...
全身は白い装甲に覆われ彼女の左前足の付け根の部分には先ほどの砲によく似たものが取り付けられているが見目からして...威力はあれよりも高いだろう...
目の部分にはスコープというのがついており不気味は機械音を発している...
「全員...地獄行きだ...私が決めた...」
銖理の左前足の妖気が高まる...そして
バシュウ!!
私と妖忌の横を巨大な熱線が通り過ぎその通り道にあったものを灰塵と化する...
「さて...私にこの姿をさせたんだ...覚悟しろよ?」
銖理は機械音を響かせながら私たちに襲い掛かる...
まだ続きます
ではこれにて