side妖忌
刀による一閃は銖理の装甲を破壊し彼女は倒れ、巨大妖狐の姿から元の人間の姿に戻る...
「お嬢!無事ですか!!」
儂はお嬢の方を見る...
先ほどの銖理の尾の攻撃はお嬢の眼前で止まっており、お嬢は足をガクガクさせながらその場にへたりこむ...
「っ!...死ぬかと思ったわ...」
「ご無事のようですな...」
「ええ...何とかね...」
お嬢は銖理の方へと向かい彼女を確認する...
「はぁ...はぁ...」
「...これで貴女は戦えないわ...降参しなさい」
「...まだ...戦えるっ!」
銖理は立ち上がろうとするが重傷のため腕に力が入らないのか倒れたままだ...
只でさえ尾につけている装甲の重さもあり動きづらくなっておるうえ、妖力も底をついている...もうお得意の絡繰りを動かすこともできないじゃろ...
しばらく彼女はもがいていたが少しずつ動きが鈍くなり始める...
「っ...」
「...どうやら気絶したようね...」
「そのようで...しかしながら彼女の執念には驚かされましたな...」
お嬢は銖理をそっと抱きしめる...
「何となく...私には彼女の気持ちが分かるわ...大切な者を救いたい...その気持ちがね」
「お嬢...」
お嬢は儂に向けて笑い屋敷を指差す
「さて!屋敷に戻るわよ!ほら!この子を運んで!」
「御意...」
儂は銖理を抱えお嬢の後をついていき屋敷へ戻る...
しかし気のゆるみが生じたのだろうか?
儂らを見張っている...子狐の気配に気づくことが出来なかった...
大神家円卓の間...
華楠・境奈・潤香の3人は鏡に映っている白玉楼で銖理が敗北した映像を見ていた...
全員が溜息をつき俯いており境奈が指を鳴らすと鏡に映っていた映像が消え部屋の中が薄暗くなる...
side華楠
「まさかな...」
薄暗い円卓の間にて私は椅子をのけ反らせて天井を眺める...
銖理なら...何とかなると踏んでいたが...まさか亡霊とその従者にやられるとは...
「銖理お姉様まで...」
「...銖理の奴...準備もしないで挑むから...」
「...」
ここもだいぶ人数が少なくなってきてしまった...
私たちにも余裕がない...動かなざるをえないだろう...
私が立ち上がろうとすると境奈が入り口へと先へ行く...
「境奈?」
「アンタはまだ動くな...母さんの容体が急変したら誰が見るのよ」
「境奈お姉様!ここは私が!この件に責任がありますし!」
潤香が詰め寄るが境奈は首を振る
「アンタもダメ!...屋敷の守りが消えたら母さんはどうなる?母さんを治療する華楠は無防備になるじゃない...ここはアタシが行く...」
「しかし今は止めておけ!!!煌炉と銖理が人質に取られているんだぞ!!」
「今と言ってないでしょ?時期を見て決着をつけるわ...じゃあ!アタシは山に戻るけど...華楠は母さんの治療・潤香は屋敷の守り...いいね!」
境奈は入り口へと向かう...
「境奈!」
「あ?」
「...これをもっていけ」
私は彼女にアンプルを投げ彼女はそれをキャッチする...
「...これは?」
「危なくなった時に使うといい...一応持っておけ」
「...さんきゅ」
彼女はそう言い残し消える...
潤香の方は私の方を不安気に見ている
「あの...あの薬は一体?」
「...緊急用の秘薬だ...あまり量産できんから使えんがな...潤香...私は確認したいことがある...後は任せたぞ」
「はい...」
潤香に屋敷の警備を任せて円卓の間を離れる...
「...」
私が目指すのは薬品を製造・保管している薬品保管庫だ...
銖理までやられたことにより、私が戦うのはまず確定しただろう...
大神家最強と妖怪から言われているが...母さんに比べればまだまだだ...
私も本気を出そう...母さんがいない今大神を支えるのはこの私だ...
私の不死の体に薬学の知識を存分に使って事態をひっくり返してやる...
「私も念をいれておかなくてはな...」
...私は自分の薬剤保管庫へ向かい部屋の錠を開けて中に入る
部屋の薬品棚の中には色とりどりの薬品が並べられており、私はリストを確認しながら在庫の数を確認する...
もっとも月面戦争以降に大量生産したから在庫は足りるはずだがな...
「...問題はないか...これだけあれば何とかなるだろう...家族の未来のためにな...」
棚の中のアンプルを1つ手に取り私は今後の行く末に憂う...
鈴音...私に力を貸してくれ...
次回妖怪パート+火種
ではこれにて