東方五行大神伝・過去の章   作:ベネト

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新たな戦いが幕を開ける


妖怪の山の夢と幻

side文

 

「危ないって言ったじゃない?」

 

「!?」

 

私はとっさに背後からの大剣の攻撃を避けて椛と対峙する...

 

 

 

何で椛が?

 

「あら?やっぱり早いわね~!やっぱ...これ重いわ...」

 

椛は地面に刺さった大剣を引き抜いて捨てる...

 

次第に椛ではない妖気が彼女の体から漏れだしてくる...

 

この妖気は...

 

「椛?...いや違うみたいね...正体を現しなさい...境奈!」

 

「あら?もう私の正体見破ったんだ...やるじゃん...文先輩♪」

 

境奈は椛の顔のままはケタケタ笑いながら顔に指を当てる...

 

「さて...とりあえず私の素顔を見せなきゃね...この姿をしているのも疲れるし...」

 

境奈の顔にヒビが入り始めて次第に中の素顔が現れ声が変わってくる...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これがアタシの素顔...」

 

「!?」

 

中の素顔は長い黄色の髪に白い雪のような肌をした女性だった...かなりの美人のようだが...風雲境奈の顔ではない?

 

「境奈よね?」

 

「そうですよぉ~文先輩~!貴女の可愛い後輩の風雲境奈ですよぉ~?まぁ...もっとも苗字が変わって大神境奈ですけどねぇ...」

 

彼女は嫌味たらしく言い懐から三つ又の鞭を取り出して地面を打つ...

 

声質は境奈も物だが口調が違い過ぎて別人に聞こえるわ...

 

「何で...境奈?何でこんなことを...」

 

「はぁ?決まっているじゃないの~可愛い妹たちを助けるための取引よ!と・り・ひ・き!全く素直に返せばこんなことせずにすんだのにねぇ...」

 

境奈は髪を横で結び紫色の髪留めをつけ、天狗装束の胸の部分をはだけさせると首に紫色の宝石がついた首飾りがあらわになる...

 

「取引って...貴女は...私たち天狗の仲間でしょ?」

 

「元々は情報収集のためよ...全く苦労したわ...身分を偽って潜入するのも...」

 

境奈は鏡を出して自身の顔を確認し白粉と紅を塗る...

 

嘘よね?今までの生活は全部偽りだというの?

 

本当の仲間だと信じていたのに...

 

 

 

「境奈...先輩...いえ...仲間としてのお願いです...こんなこと止めてください」

 

「仲間ねぇ...確かに居心地はよかったけど~!アタシさ...元々スパイとしてここに潜入したのよね...スパイはちゃんと仕事しなきゃダメでしょ?」

 

...スパイか...ずっとその目的で私たちの生活をしていたんだ...

 

 

「...」

 

「言葉も出ない感じ?アンタは無駄に勘が鋭いからはたて・椛と同じく先に始末しとこうと思ったんだけど~...そんな精神じゃこの先やってられないよ?」

 

「...今何て言った?」

 

「あ?」

 

「境奈...貴女...椛に何をしたの!?」

 

私の言葉に境奈はにやける...

 

「何をしたって?そりゃ...アタシが化けるのに本物がいたら色々と面倒でしょ?眠ってもらったのよ...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

がきぃぃん!

 

 

 

「っ!」

 

気付くと私は刀を抜いて境奈に切りかかっていた...

 

彼女は鞭で斬撃を防いでいたようだが不意打ちに驚いたのか笑みを浮かべてはいなかった...

 

「境奈...流石の私も堪忍袋の緒が切れました...大怪我では済まないと思いますが頑張って耐えてくださいね...」

 

「...へぇ...このアタシに大怪我ねぇ...やってみな!」

 

境奈は距離を取り周りに式神を集合させる...

 

境奈の指示を受けて攻撃をするだけであり、指揮官である彼女の指示がなくなれば行動はできないはず!

 

「させるわけないでしょ!!」

 

私は境奈が式神を操る前に彼女を集中的に攻撃を繰り返す!

 

彼女は鞭をふるいながら後退して攻撃を捌いていくが後ろにあった木にぶつかり動きを止める...

 

「やば...」

 

「覚悟しなさい!境奈!」

 

私は彼女に向け刀を振り下ろす!

 

 

 

「式神だけがアタシの能力じゃないっての!」

 

彼女の体が地面の中に消えて私の攻撃は空を切る...

 

「...そうでした...元々は五行の一つ土行の力を操る程度の能力でしたね...」

 

「ご名答!」

 

境奈は私からかなり離れたところに現れ土狐が集合する...

 

 

 

 

 

「さぁて...アタシの式神捌き...アンタに見せてやるよ!文!行け土狐!」

 

周りの土狐が私の方へと駆ける...

 

数は...10~20くらいか...

 

私は刀を持ちかえて団扇を取り出す...

 

 

「これくらいなら!私の突風で...はっ!」

 

...しまった今の私は能力が結界の影響で封じられている!

 

「突風が...何だって?」

 

(アオ―ン!)

 

「ごふ!?」

 

一匹の土狐の突進をくらい私は大きく後退する...

 

そこまで威力はありませんが...効きますね...

 

 

 

 

「くっ...」

 

「駄目押し行くよ!」

 

更に土狐が駆けてくる...

 

「能力が封じられても...これくらい!」

 

私は式神から距離を取り攻撃を避けていく...

 

この式神はそこまで速くはない...

 

1つ1つの動きは単調化しており落ち着いて観察すればやり過ごせる!

 

土狐達の連続攻撃を掻い潜っていくと彼女はイライラしたように頭を掻きむしる...

 

 

「...ちょこまかと...なら!質を変えようかな!墓夢土狐!」

 

(オン!)

 

境奈が支持すると周りの土狐の体の色が黒色に変色する...

 

胴体の部分には参と書かれたマークが描かれており僅かながらにさっきと比べて妖気の質が変わった...

 

 

 

「新しい手かしら?」

 

「そうだよ!強力な一手さね!さぁ!カウントダウン開始だ!」

 

(オン!)

 

土狐のマークが参から弐になる...

 

何か嫌な予感がするわ...できるだけ距離を開けるべきか...

 

 

「くっ!」

 

「距離なんか関係ないよ!スピードアップだ!」

 

土狐のマークが弐から壱、壱から零になる...

 

そして...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドーン!!

 

 

周りの土狐が爆発をする...

 

「!!?爆発した?」

 

「そう!この墓夢土狐はアタシの指示で爆発する爆弾式神!大神家の妖気を取り入れた爆風...アンタでも耐えられるかしら?」

 

境奈は新たに式神を召喚する...

 

爆弾か...これは接近戦に持ちこむのは難しいですね...

 

うまく...切り抜けないと

 

「さて!アタシも頑張らないとね!」

 

境奈の鞭が私のほうへ伸びる!

 

「っ!」

 

胸を掠ったが...とっさの不意打ち・土狐の爆発をうまく躱し私は彼女を観察する

 

 

 

 

 

「...」

 

それに境奈にはもう一つ謎がある...

 

それはこの結界の中にいて何故能力が使えるかということ...

 

本人曰く対策は出来ているとのことだが裏を返せば彼女もこの結界の影響を受けるということ...

 

彼女もこの結界の影響を受ければあの式神を使うことはできないはず...

 

彼女が結界の影響を無効にしているタネさえ分かれば私にも勝機はある!

 

 

 

「それさえ分かれば!」

 

「何が分かればだって?土狐!カウントダウンだ!」

 

「どこに土狐がいるんですか?」

 

「そこ...」

 

境奈が指示をすると私の胸に小さな土狐が現れていた...

 

何で私の胸に!?何時の間に!

 

「何時の間に仕込んだのですか!?」

 

「今さっき...アタシの鞭が胸に掠ったでしょ?」

 

「しまった!ちょ!離れてください!!」

 

私は土狐を剥がそうとするが全く動かない!

 

爆発する!爆発してしまう!

 

狐のマークが壱になる!!

 

爆発してしまう!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぎゃああああ!?爆発する!...?」

 

私はその場にへたり込むが何故か土狐のカウントは壱のままだ...

 

境奈の方は考えるかのように私を観察している...

 

 

「境奈?」

 

「...文さ...アンタならアタシの心情くらいわかってくれるよね?」

 

境奈はへらへらせずに真顔で私に話しかけていた...

 

どうしたというのだろうか?

 

「心情?」

 

「...アタシはさ...妹達を助けたいだけ...別に妖怪がどうなろうがどうでもいいのよ...」

 

「...境奈」

 

「アンタの命は現在アタシが握っている...アンタがうまく八雲紫を説得してくれればアタシだってこんなことはしないわ...だからさ...交換条件を提案するんだけど?」

 

「条件?」

 

「アンタの命の交換に妹達の解放...それが叶えばアタシはここの封印を解く...アタシ達大神も表から消える...良い条件でしょ?」

 

「...」

 

確かに傷つけあうくらいなら境奈の条件は私でも賛同します...

 

 

でも...天狗は社会組織

 

全員が幻想郷のことには賛成してしまったし私一人の意見では変更はできない...

 

大神家の力が必要だと紫は言ってたし、難しい問題です...

 

 

 

 

 

「境奈...話は分かりますが無理です...私の命では覆りませんよ?他に方法は...」

 

 

「そう...残念...じゃあ苦しまずに安らかに眠って...」

 

境奈は深くため息をついて手を掲げる

 

境奈達大神家と私たちが分かり合える日がいつか来ると信じていたのに...

 

ですが仕方ありません...

 

彼女がどうであれ私の可愛い後輩であることには変わらない...

 

彼女のわがままに付き合うのも悪くないかもしれないわね...

 

私はそっと目を閉じる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「文様!」

 

 

 

 

「!?」

 

目を開けると森の奥から走ってくる椛の姿があった...

 

「椛!?」

 

「っ!椛!目を覚ましたのか...土狐!」

 

境奈は土狐を椛に向け放つが彼女は大剣でそれを弾いて境奈と距離を詰める...

 

「ぬるいですよ!能力が使えなくとも私には止まって見える!」

 

「守れ土狐!!」

 

境奈の前に土狐の集団が現れ障壁を作る...

 

流石大神家の一員だけはあり、式神の連携がチキンとできている...

 

堅い守りね...椛にどうもできない気がする...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そおい!」

 

ばきゃ!!

 

「!?」

 

「!!?」

 

椛はその土狐の集団を大剣で薙ぎ払い力技で突破する...

 

椛のまさかの行動に境奈は目を見開いていた...

 

「嘘でしょ!?私の土狐の布陣が!?...っ!」

 

「...王手」

 

 

境奈が行動に移る前に椛は彼女を羽交い絞めにし大剣を首にあてる...

 

 

「動かないで...境奈...」

 

「っ...」

 

境奈は大人しく腕をダランと下げ、更に椛は追求する...

 

「結界解除はしなくていいですから...貴女の結界無効のタネを解除してもらいましょうか!」

 

「...ちっ」

 

境奈は首に着けた紫色の宝石がついた首飾りを外して投げ捨てる...

 

その瞬間...私についていた土狐が外れ地面に落ちて動かなくなる...

 

これで...彼女も私たちと同様能力が使えなくなったというわけですね...

 

 

 

 

 

「離してもらえる?約束通り解除はしたわ...」

 

「良いでしょう...その代わり...妙なことをしたら切り捨てますからね!」

 

椛は境奈を離し彼女はその反動で木に寄りかかる

 

 

 

 

「椛無事だったのね!」

 

私は彼女の方へ向かい体に異常がないか確かめる...

 

...特に怪我らしいものは無いみたいだ

 

椛は頭を押さえて私の方を見る

 

「頭がガンガンしますが無事ですよ...只朝食に薬を盛られて眠らされていただけなので...」

 

...眠らされていただけ?

 

 

境奈の方を見ると彼女は苦笑を含めた笑みを浮かべるだけだった

 

 

 

 

 

「言ったでしょ?眠らせただけだって」

 

「境奈...」

 

私たちが彼女を見ると彼女は気まずそうに目を背けるだけだ...

 

今考えれば彼女の行動には無駄が多い...

 

椛を殺さず眠らせるだけに留める・私に条件を叩きつけて説得...それに私が式神に襲われていた時に一瞬動きが止まったのももしかして...

 

 

「貴女...」

 

「...アンタが考えているよりも深い考えはないわ」

 

彼女はそう突っぱねるが何か諦めたかのような表情をしている

 

境奈...やはり貴女は...

 

 

 

 

 

「境奈...もうやめましょう?これで貴女は何もできない...大人しく投降してください!」

 

「...ふん...こんな大がかりなことをしたんだもの...今更手おくれよ」

 

境奈は腕をだらんとしたまま木によりかかるだけで虚空を見つめるだけだ...

 

頭の良い彼女なら自分の今後の運命が分かってしまったのだろう...

 

でも私は!

 

「私は貴女は傷つけたくありませんっ!貴女のことは私が守ります!!」

 

「...文」

 

「今は全ての妖怪が手を取る時代が来ています!全てが終われば貴女の家族だって元通りになるはずです...ですから...私を信じてくれませんか?」

 

境奈は迷いを顔に浮かべて俯き始める...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...本当にお人よしね...全く...涙が出てくるよ」

 

境奈は俯いたまま額に手を当てる...

 

とりあえず...事態は丸く収まったでしょうか?

 

「境奈...術を解除してください」

 

私の言葉に境奈は黙って頷き呪詛を唱えると次第に空が明るくなり始め黒い霧も消えてなくなってくる...

 

 

軽く風を起こしてみると一陣の風が辺りを吹き抜ける...

 

 

これで良い...何とか説得は成功...

 

残りは上司をどうやって説得するかですかね...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「放て!!」

 

 

 

 

 

私の真横を風切り音と共に何かが高速で通り過ぎる...

 

 

 

 

 

 

次に聞こえたのは肉を貫くような...鈍い音...

 

 

 

 

そして私たちは眼前には胸を矢で貫かれた境奈の姿...

 

私たちは絶句し彼女も何が起こったのか最初は分からなかったみたいだが体からの出血を見て目を見開く...

 

 

 

「...かはっ!?...な...何?何で?」

 

彼女はその場に蹲り地面に吐血し地に臥せる...

 

 

「境奈ー!!」

 

 

私の叫び声が山に響き新たな惨劇が生まれようとしていた...

 

 

 

 

 




次回火種が投下


ではこれにて
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