side文
「...さて...やるか...」
境奈の周りの土狐が動き始め私たちへと飛ぶ...
狙いは正確だけど...速度はそこまで無い...
灰色の土狐=守り・黒=爆発・銀=速度が速い爆弾・銅色=?...
一応式神の特性は把握できたけど...
まだあの銅色のはどういう能力か不明ね...
何が起こるかわからない...それが彼女の一番恐ろしいところでもある...
「...ほら行け」
まず黒い土狐が飛ぶ...
あれは爆弾...速さで撒けば問題ない!
「遅いですよ!」
私と紫はそれを撒きながら境奈と距離を詰めていく...
彼女は式神を操りながら戦う遠距離タイプの戦闘スタイルだ...近距離に持ち込められたらこちらに勝機がある...
黒い土狐がカウントが零になり爆発する...
これで境奈の周りには灰色・銅色の式神だけとなった...
いや...尾を含めれば3種類か...
「未鎖射流土狐!」
彼女は尾を向けて銀色の土狐を発射し私と紫の背後の木々を破壊していく...
相も変わらず速度は速いけど...
攻撃の道筋はまっすぐ一直線みたいね...
動いていれば当たらないか...
「これで!残りは2種類!」
「これで打ち止めよ!」
紫は光弾を放つと灰色の土狐が光弾から境奈を守り破壊されていく...
これで彼女の守りは手薄になった!
「...あら?」
「行きますよ!境奈!!」
私は速度をつけて境奈に飛び蹴りを放つ!
速度をつけた私の飛び蹴りは鬼でも倒す威力を持ちます!いくら大神でも耐えられません!
私の飛び蹴りが彼女の所まで迫る
「無礼土狐...爆ぜろ...」
(オン!)
パァァァァァン!
銅色の土狐が境奈の指示1つ受けると体にひびが入り水晶が割れる時のような音が響きその音と共に何かの風切音が耳に入る...
「...っ!」
境奈へ後数尺との距離だというのに私の攻撃は体の痛みを感じ意思と関係なしに止まってしまう...
体を見ると所々切り傷があり着物にも何かで切ったような傷がある...
「...な...何!?」
「これがアタシの無礼土狐の力だよ...よく周りを見てみな...」
周りを見ると辺りの木々に水晶でできた銅色の破片が木々に刺さっていたり傷を作っていたりしていた...
まさか...さっきの土狐の破片?
「成程...異物の遠投攻撃ですか...それなりに痛いですけど...大したことはありません...」
「でも?体が動かないでしょ?」
境奈は声のトーンを明るくしながら私をまじまじと見る...
確かに体が動かない...まさか他にも何かあるというのかしら?
「ち...ちなみに私の体が動かないのは?」
「そ・れ・は...アタシの妖気がアンタの体に侵入しているというわけ!」
「え?」
境奈の言葉に私は疑問を浮かべた...
私が理解しきれていないことを察したのか境奈は説明を続ける
「あの土狐は裂傷が主流ではない...アタシの妖気を相手に取り込ませるのが役目ってわけ...これでアンタはアタシに操られる可愛い人形いうわけ...本当の切り札というものは最後に使うものよ」
「傀儡の術...結界・式神が使えたら当然かしらね...流石は大神家の参謀だけあるわ...」
遠くで見ている紫は額に汗をかきながら答える...
「ふふ...誉めても何も出ないわよ?それに...アンタも事態のヤバさに気づいてきたんじゃない?」
境奈は笑い紫は腕を握りしめる...
そして腕から垂れる赤い筋が1つ...
まさか!
「ゆ...紫!まさか貴女今の攻撃を食らったんじゃないでしょうね!」
「...ごめんなさい...当たったわ」
紫の言葉を聞き私の視界が真っ白になる...
攻撃を食らったということは紫も境奈の傀儡の術にかかったということだ...
ということは?
境奈は土狐を出現させ宙を浮遊しながら一回転する...
「これで傀儡が二人...アンタらは積んだに等しいってわけ...アタシの手を汚すのも嫌だし...」
境奈に操られて私と紫は向かい合わせになる...
「まさか...」
「最悪の展開ね」
「2人まとめて自滅してくれる?」
「ごめん...耐えてくれる?」
紫は私に向けて手を向ける
最悪だ...
操られた紫は私に向けて光弾を放ち私の胸へ当たる!
「ごほっ!?」
...手加減しなさいよ!このスキマ!
私は境奈に操られて団扇を紫に向ける
「あ...あの?それをどうする気?」
「こうするのよ!」
体を動かす意思は無いが私は叫びながら団扇で紫の頭を叩く!
「ぎゃ!」
内心すっきりしましたが今度は紫が傘を振り上げるっ!
「え?」
「おかえしよ!!」
紫はフルスイングで傘を振り私の頭を殴打する
「いぎゃああああ!?」
...痛い
すでに泣きそうです...境奈止めて...こんなの間違ってる...
境奈の方を見るとあさっての方向を向いている...
「...」
そうでした...私は境奈を落ち着かせるために戦っていたのでした...
このままの状況はあまり宜しくないです...
今の彼女は少なくとも先ほどよりは術に関しては気が逸れている...
この状況を打破するための策を思いつかなくては!!
私は境奈に気づかれないように紫に耳打ちする
(何とかならないんですか!?さっき策があるって言ってましたよね!?)
(...あるわ...でもいつになるかは分からないわ...このまま長引けば私たちはお陀仏よ)
...お陀仏
片方が倒れても傀儡の術で強制的に戦闘が始められる...
私と紫が倒れるまでこれが続くというわけですか...
これでは早々に終わってしまいそうです
「あ...今度は私の番みたいです」
今度は私の体が軽くなり私は団扇を振る!
ぶぉぉぉぉ!!
団扇が巻き起こした風は竜巻となり紫を遠くへ吹き飛ばす!
「ああっ!!」
「あやや!?わ...私の意思ではありませんよ!!」
私は悪くありません操られているのですもの...
紫は立ち上がり今度は大量にスキマを展開する
「あ...あややや?」
これは...いけません!これを食らってしまったら私の存在ごと消されかねません!!
「ごめん...操られてるから...」
紫はどうでもいいように扇を開く...
嫌!!こんな終わり方は嫌だー!!
「...あや?」
目を開くと辺りの景色が暗くなり始める空は紫色に変色し黒い霧が現れる...
これは境奈の封印術?
私たちの体は封印術により傀儡の術から解放されて自由の身になる
「...ぎりぎり...間に合ったみたいね」
「あやや...助かりました...痛!!」
紫に頭を小突かれる...
さっきのお返しですか...まあいいです
しかしながら何故境奈の術が発動したのでしょう?
境奈の方を見ると辺りの土狐が機能を失ったのか落ち始めていることに焦っているみたいだ...
「な...何で!?何でアタシの術が!?」
この結界術は境奈の意思ではない?
紫は境奈に扇を向ける
「貴女の能力と術の混合技は確かに強力よ...でも仕組みさえ分かってしまえば誰でもできてしまうのよ...」
「な...何!?あ...アタシの結界の媒体は山の各ところにあるのに...そんなことできるわけ」
「...できるのよ...私の式神ならね...」
少し前...境奈と戦っている場所から遥か先の山の外れには八雲藍が地面に突き刺さった水晶に妖力を込めていた...
「これで最後か...思ったより単純な仕組みだな...」
藍が術を発動すると辺りの空は紫色に変色し黒い霧が現れ始める...
「大神の参謀の術にしてはあっけない...」
八雲藍...スキマ妖怪である八雲紫の式神...彼女の頭脳は紫には劣るものの式神などの術に関する知識が豊富である...
彼女にかかれば他人が独自に編み出した結界術も容易に発動させることが出来るのだ...
「紫様...ご武運を」
藍は溜息をつき空を見上げる...
「うそ...うそ!...うそでしょ~!!!」
術が全て無効になり打つ手が無くなった境奈は尻尾を巻いて森の奥へと逃げ出していく...
「天狗!!彼女を逃がしてはダメ!!」
「は...はい!!」
私は全速力で境奈を追う...
紫の言うとおり今の彼女は無防備に近い...
大ダメージを与えるのは今しかない!!
でも...
「来ないで~!!来ないでってば!!」
境奈は怯えた声で逃げている...
その声に躊躇しそうになりましたが...ここは私の気持ちを押さえるしかありません!
「ごめんなさい!境奈!この埋め合わせはいつかします!!」
私は速度をつけ境奈に突進を狙う
side境奈
嫌だ...嫌だ...このアタシがこんな無様に逃げ惑うなんて!!
術が使えない以上このアタシの完全態は只の無力な子狐...
後ろからは文が猛スピードでアタシを追ってきている...
このスピードで突っ込まれたらアタシの体が耐えられるわけない!!!
「来ないで~!来ないでってば!!」
文は一瞬顔を歪めた気がしたがすぐに凛々しい顔に戻りある言葉を口にする
「ごめんなさい!境奈!この埋め合わせはいつかします!!」
彼女からの詫びの言葉...
何でアタシに謝るの?
謝らなくてはいけないのは...
僅かな動揺をしてしまったのかアタシは避けられる攻撃も避けることができず次の瞬間文の飛び蹴りがアタシの腹部にめり込む...
「がっ!?」
そしてあばらが数本折れる音が聞こえる...
アタシのこの体は煌炉・銖理みたく頑丈じゃない...
こんな攻撃くらったら...死んじゃう...
「ぎゃああああ!!」
文の飛び蹴りをもろに受けたアタシは吹き飛び木に激突し落下する...
体が痛い...
呼吸ができない...
「げほっ!」
死ぬのは怖くないよ...別に...無に還るだけだもの...
でも嫌だ...
「独りで消えるのは...いやぁ...母さん...華楠...助けてよぉ...」
空に伸ばした手は虚空を空しく切り...アタシの姿は人間へと戻っていく
次回境奈編ラストです
ではこれにて