ゲンソウロンパ   作:こえ

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秘密の崩壊

 私はキッチンから一番近い椅子に座った。魔理沙と小鈴が連れてきた他のメンバーも次々に座った。私の左側に座ったのが「魂魄妖夢(こんぱくようむ)」、右側に座ったのが「鈴仙(れいせん)優曇華院(うどんげいん)・イナバ」、テーブルを挟んで私の真正面には魔理沙が座った。私から見て、魔理沙の左には小鈴、右には水蜜が座った。

 全員が座った後、一番最初に口を開いたのは、偉そうに頬杖をついている正邪だった。

「それで? 何を話し合うんだ?」

 その正邪の隣にいる小鈴が、

「兎にも角にもこの18人で共同生活をするので、そのための自己紹介や先程まで行ってもらった探索で判明した情報の共有等ですね」

と答えた。

 すると、正邪と小鈴の反対側に座っていた布都が、

「しかし、この中にウラギリモノがいるのだろう? 自らの情報を開示するというのは愚策では?」

と腕を組み、目を閉じて言った。

 それに対して、

「いえ。逆です。むしろ全員が公表することで、ウラギリモノがうっかり……なんてことも有り得ます。」

と、さとりが決して大きくない声で反論した。隣にいた雷鼓は、

「少なくとも、探索した場所についての情報共有はしましょうよ。じゃなきゃ、バラバラに探索した意味が無いわ」

とニコニコしながら付け加えた。

 すると、水蜜の横にいた慧音が手を小さく挙げた。

「では、私から報告させてもらおう。いいか?」

 慧音が全員を見回したときに目が合ったので、私は小さく頷いた。全員の顔を確認した後、慧音は再び口を開いた。

「・・・では、報告する。私と、両隣の水蜜と燐で再び体育館を探索してきた。体育館には、窓が一つも無く、入り口と器具が置いてある部屋への扉しか、体育館を出入りする扉は無かった。器具室には、バスケットボールやバレーボール、バドミントンのラケットやシャトルなど、だいたいの室内競技は網羅してあった。が、器具室には脱出の手助けになるような物は無かった。以上だ」

「今の報告に嘘偽りはないよ。ね、水蜜?」

と、隣の燐が水蜜に訊いた。

「そうですね、私たち3人いましたし、お互いにお互いの目を盗んで何かを隠すというのは不可能でしょう」

 水蜜は、落ち着いた口調で答えた。

 

 体育館には脱出のためのヒントは無さそうだ。……が、やはり、自分の目で見て確かめたい、という気持ちはある。話し合いが終わった後にでも、魔理沙でも誘って行ってみよう。

 

「では、次は私が報告しますわ。情報は提供されたので、お返ししなくてはなりませんからね」

と、燐の隣の咲夜がすまし顔で言った。

「私と、メディスンと早苗で食堂の近くにあった部屋を調べましたわ。部屋は保健室でした。綺麗なベッドが4床あり、薬箱は3つ常備されてありました。中身もしっかり点検しましたが、不審な物は特にありませんでしたわ。薬学に長けているわけではないので、一概には言えませんが」

すると、咲夜の隣に座っていたメディスンがその隣の早苗に小さな声で確認した。

「どうだったっけ?」

「おそらくなかったと思います。私も得意ではありませんので、良く分かりません」

「えー。確か危なそうなの無かったっけ?」

 それ以後の会話は声が小さくて、もう聞こえなかった。

 咲夜がその2人の会話を見ていて、ちょっとだけ顔に焦りを見せた。

「えーっと……つまり、そういうことですわ。以上で、報告を終わります」

 

 保健室…何やら危ないニオイがする。毒や危険な薬物があるかもしれない。これも、やはり自分で確認しておきたいところだ。しかし、私も全く薬学の知識はない。この手に詳しい人はいないんだろうか。全員記憶が欠如してるから、誰もなさそうだけど。

 

「次はー……順番からして我らか?」

 早苗の隣に座っている布都が呟いた。

「そうじゃないかな」

 その隣の鈴仙が言った。

「そうか!では、報告させてもらおう!我と隣にいる鈴仙殿、そして霊夢殿の 隣にいる妖夢殿の3人で、浴場を探索した。体育館を東側、この食堂を西側だとしたら、南の廊下の途中に浴場はあった。18人分のバスローブも用意されていた。普通に我々が宿泊施設に来ていたのなら、素直に喜べるくらいに整っていた施設だったぞ」

と、布都は自慢げに報告した。

「今の報告に関して嘘偽りはありません」

と、妖夢。

「同じく。強いて付け加えるなら、浴場にも窓は一窓もなかったわ。やっぱり、外に出られそうな場所は一つもなかったわ」

と、鈴仙が補足した。

 

 なんとここには浴場があるのか。私は非常にお風呂が好きだ。これは嬉しい。

これも後で視察に行ってみよう。ただの興味本位なだけなんだけれども。

 

「時計回りみたいだし、次は霊夢殿ではないか?」

 布都に指をさされた私は、少しだけ戸惑った。

「私はちょっと後回しにしてもらえる?今すると、移動量がちょっと多くなっちゃうから」

「そう、それならしょうがないわね。じゃあ、次の私たちの番でいいかしら?」

と、妖夢の左隣の雷鼓が言った。

「悪いわね。頼んだわ」私は軽く頭を下げた。

「了解よ。それじゃあ報告するわ。南の廊下の突当りにあった扉の奥を、私と私の横のさとり、そしてさとりの隣の天子の3人で調べたわ。あったのは、それぞれの個室・・・つまり住居スペースよ。扉の奥にも少し廊下が続いていて、向かい合わせに2つの扉、それが9セット、合計18部屋あったわ。恐らく、全員分の部屋があそこにあると思うわ。この3人はそれぞれ自分の部屋を探索したけど、皆同じ間取りの部屋だったわ。置いてある家具も同じ。まあ、自分で後で見てみるといいわよ。以上、これで報告を終了するわ」

「……特に誤りはありません。雷鼓さんの言っている通りです」

と、さとりは覇気のない声で言った。

「付け加えることもないわ。さあ、次の報告をお願いするわ」

 天子は割と不機嫌そうにそう言った。

 

 個室…正直ほっとしている。体育館で全員で雑魚寝となると、非常に危険だった。しかし、個室がある以上、寝る時の安全が確保されたわけだ。個室にカギが掛けることが出来れば、の話だけども。

 

「霊夢さんの報告を除いたら、次は私たちですね。ちょっと報告するのは気が引けるんですがね」

 天子の隣の星が乗り気じゃなさそうに言った。

「何で?言っちゃえばいいじゃん」

と、その横のチルノ。その隣では正邪がニヤニヤしている。

「そいつは良い子ちゃんだからなぁ。まあ、あんな部屋のこと言わなくていいならわざわざ言いたくはないがね」

「ちょっと。ちゃんと報告してくれなくちゃ困るわ」

天子がほんの少しだけ声を荒げた。

それに対して、星が申し訳なさそうに報告を始めた。

「すいません……。では、報告をします。私とチルノさんと正邪さんで北の廊下の突当りにあった部屋を調査しました。単刀直入に言いますと、部屋にはそれはそれは沢山の凶器が置いてありました。名前を付けた方が分かりやすいので、あの部屋は凶器室・・・と単純ですが名付けさせていただきます。我々もしっかりと見てはいませんが、凶器にはちらほらと使用された痕跡が残ってました。誰の物かは分かりませんが、血液が付着している物もありました。以上です」

星の報告が終わった後、チルノは自信満々に腕を組みながら、

「星の言ったことに間違いはないよ!あたいも見たからね」

と言った。

 正邪は「右に同じ」と言って、発言をやめた。

 星の報告が終わった後、嫌な静寂が18人を覆い尽くした。それもそのはずだ。凶器の存在が発覚して、殺人が可能であることが現実的になってきたからだ。

 

 凶器室というのは、悪い意味で非常に気になる。どんな凶器があるのだろうか。常識的には考えられる刺殺や撲殺が出来る凶器は勿論存在するだろうけど…。

しかも、星によると使用された痕跡や血痕があるらしい。生理的にそんなものは見たくもないし、関わりたくもないけど、調べないわけにはいかないだろう。

 

 場の空気を変えるためにも、私は自発的に発言した。いや、発言せざるを得ないような気がした。

「さて、それじゃいよいよ私ね。それじゃ付いて来て」

 私は椅子から立ち上がって、キッチンの方に向かった。

 魔理沙は不思議そうな顔して、「おい、霊夢。そっちに何があるんだよ?」と訊ねてきた。

「来て見れば分かるわ。何よりここで言っても信じてくれないでしょうからね」

と答えて、私は冷蔵庫の前に立った。

 小鈴が魔理沙と負けず劣らず不思議そうに私に訊ねてきた。

「冷蔵庫が一体どうかしたんですか?一見したら、普通の冷蔵庫みたいだけど……」

 私は取っ手を握り、冷蔵庫を開けた。

 そして、先程毒味で食べたソーセージを置いてあるだけ手にした。合計、10本あった。

「ソーセージを全部取り出すでしょ?……じゃあ一番近くにいるから妖夢、ちょっとこれ持ってて。大丈夫、さっき私も食べたけど、危ない物は入ってなかったわ」

 持っていたソーセージを妖夢に差し出す。

「え、私?いいですけど。」

 不安がりながら妖夢がソーセージを受け取った。

 そして、私は説明を始める。

「いい?今冷蔵庫の中から取り出したソーセージは全部妖夢が持ってるわね。つまり、今冷蔵庫にはソーセージは一本もないってこと。だけど――」

説明半ばに私は冷蔵庫を勢いよく開けた。開けて中身には、私が検証した通りソーセージが取り出した前と同じ本数、つまり10本元通りに残っていた。

「つまり、こういうことよ」

 魔理沙は冷蔵庫のソーセージと妖夢の持っているソーセージを交互に、かつ興味深そうに眺めた。

「……ほう、こいつは面白いな。食料と飲み物には困らないってわけだな。」

 魔理沙以外の全員もだいたいは舌を巻いていた。気になったのは、咲夜とさとりの驚きの色は薄かったことだ。少々、疑り深くなっているのかもしれない。ウラギリモノを探すのに必死になってるようだ。

 水蜜は小さく首をかしげて、

「何で物が無くならないんでしょう?非常に気になりますね」

と呟いた。

「そんなのどうでもいいよ、結局は物が無くならないってことでしょ。便利な物ってことね!」

と、何故かチルノは自信ありげに水蜜に言った。

 その会話を見ていて少しほっこりしていた私の肩を誰かが叩いた。

「ねえ、他に何か面白い物は見つからなかったのかい?」

 叩いていたのは燐だった。

「時間が無くて冷蔵庫以外の物を詳しく調べられなかったの。」

「ふぅーん……んじゃ他のところは手つかずってことだね?まだ何かあるかもだね」

「そう、ね。私は他の部屋の調査に行きたいから、ここの調査は頼んだわ」

「了解だよ」

 そういうと、燐はシンクの方に駆け足で行った。

 私は、体育館はいいとして、浴場と個室、そして目玉の凶器室を自分でしっかり調査しておきたかったので、魔理沙や小鈴を誘おうと声を掛けた。が、

「悪い、私はこの冷蔵庫に非常に興味がある。他の奴を誘ってくれ」

「私も魔理沙さんに同じです。すいません」

と2人とも聞く耳を殆ど持ってくれてなかった。

 さすがに1人で調査を行うのは信用度を落としてしまう恐れがある…と思っていた矢先、

「私も行くわ!どんな個室か気になるもの!」

「それなら、私も行く。どんな凶器があるか、自衛のためにも情報が必要だから」

と、近くにいたメディスンと天子が声を掛けてきた。正直、声を掛けてくれて肩をなで下ろした。

「助かったわ。1人で行くのはさすがにね」

 それに対して、天子が偉そうに腕を組んで、

「貴方が1人でここを調べたっていうのもちょっと引っかかるし、私自身が監視しといた方がいい、と判断したまでよ」

と毒づいてきた。

「それでもいいわ。血だらけの危険物を1人でなんて見に行けないし。」

 そんな天子とは対照的に、メディスンは笑顔だった。

「私は単純に個室が見たいから行くわ。少なくとも一夜はいなきゃいけないことになりそうだし、しっかり視察しとかないとね。」

単純な思考だなぁと、これまた私自身も単純に思った。

「よし、人数も集まったし、調査しに行くわよ」

 

 

 

 

 

 




どうもご苦労様でした。
今回は非常に読みにくくなってしまったんではないでしょうか。
食堂での18人の位置をこの一話で何とか把握できるように、と努力した結果、あんなふうになってしまいました。力量不足です。
そして、普通に読んだだけじゃやっぱり覚えられないと思います。メモとかいう面倒な手法取らないと覚えられない気がします。18人もいるんだし。
そんな作りになってしまって本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
無理して覚える必要もないですしね。
なんやかんや次回も頑張ります。お時間があれば、ぜひまたご一読お願いします。
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