魔法少女リリカルなのは これがメイドの歩む道   作:クラッチペダル

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はじめての方、どうも始めまして。お久しぶりな方、どうもお久しぶりです。
一時期にじファンに生息してIS二次創作を投稿していたクラッチペダルです、覚えていますでしょうか?
新たに小説のネタが降臨したのでこちらで投稿させていただくことにしました。

それでは、本文へどうぞ


無印でありますっ!
00 さすらいのメイドでありますっ!


高町なのははずっと一人だった。

 

もちろん、家族がいないとかそういう意味での一人ではない。

きちんと家族はいた。

父と母と、兄と姉がそれぞれ一人ずつ。

全員が自分を愛してくれていたし、今でも愛してくれているだろう事は幼心にもちゃんと理解していた。

 

しかし、それでいてなお、高町なのはという少女は一人ぼっちだった。

 

そう思い始めたのは父が大怪我をし、長期の入院をしなければならないと言う事態になったとき。

その時は、不幸なことに両親が経営していた喫茶店がようやく軌道に乗ったか乗らなかったかと言うときだった。

母も、兄も、姉も、全員がせわしなく動き回り、そしてなのははそんな家族の様子をただ見つめているだけだった。

誰も彼もが忙しく、自分はたいてい家で一人ぼっち。

しかし、なのははその事で卑屈になったりはしなかった。

むしろ幼い心に感じたのは、申し訳なさ。

何もできないで、家族にばかりつらい顔をさせていると言う罪悪感のような感情だった。

 

何か自分に手伝えることがないか?

何か自分もできることがないか?

 

幼いながらにそう考えたなのはは、母に何か手伝えることはないかとたずねた。

母はそんななのはに笑顔で答える。

 

「大丈夫。あなたはそんな事気にしないで、いつも笑ってくれてればいいのよ。なのはの笑顔が、私達の元気の源なんだからね」

 

兄や姉にも同じように何かできることはないかとたずねた。

しかし返ってきた答えは母と同じような答え。

 

だったら私は笑っていよう。

みんなががんばれるように、泣いたりなんかしないでいよう。

 

この瞬間から、高町なのはと言う少女の生き方が決まった。

 

その日から、なのはは決して泣かなかった。

どんなにつらくても、どんなに苦しくても絶対ない泣かない。

幼いながらも持ち合わせた意地で、なのはは決して泣かなかった。

それが家族のためと信じて。

 

けれど心の奥底では家族のためにもっと何かをしたいと望んでおり、しかし家族はそれ以上は望んでなくて……

 

この日から、少しずつなのはは家族と距離を感じるようになった。

 

 

高町なのはは一人ぼっちだ。

 

昼間、公園に行っても誰とも遊ぶこともなく、ただ他の子供達が遊んでいるのをじっと見つめるだけである。

何人かの子供が、以前は彼女を遊びに誘ったりもした。

しかし、なのははそれをかたくなに断り続けた。

 

それは、ただ単に遊びたくなかったのか、はたまた家族がつらいときに自分だけ遊んでなどいられないと幼心に思ったのかは分からない。

しかし、遊びの誘いを断っていたのは事実だ。

 

誘いに乗らない子供にいつまでもかまうほど子供は暇ではない。

誘いに乗らないやつに構うより自分達で遊んだほうがずっと楽しい。

 

やがて、誰も彼女を遊びに誘うことはなくなった。

 

高町なのはは、公園では一人ぼっちだった。

 

 

いつものように、なのはは一人で公園で遊んでいる子供の群れをじっと見つめている。

その目に浮かぶのは羨望だろうか、それとも別の感情だろうか。

 

ふと、そろそろ子供達の帰宅の時間なのか、子供達の親が各々の子供を迎えにきた。

笑顔で自分の親に駆け寄り、手をつないで帰っていく姿を見て、なのははふと目頭が熱くなる。

いまだに母親は忙しく、こんな風に迎えに来てくれることなんてなかった。

あんなに笑顔でいれるあの子がうらやましい。

そんな感情が抑えきれなくなったのだろう。

泣きたくなんかないのに、絶対泣かないと決めたのに、なのはは後から後から流れ落ちる涙をとめることができない。

やがて、なのはの視界の全てを涙が覆い尽くした時だった。

 

「そんなに泣いちゃだめでありますよ。親御さんも悲しくなってしまうであります」

 

ふと自分に投げかけられる声。

その声になのはが涙をぬぐって顔を上げると、そこにいたのは銀色の髪をした少女がいた。

その少女は懐から取り出したハンカチでなのはの涙をぬぐうと、なのはと目線を合わせるためにしゃがみこんで、なのはの目をみて口を開く。

 

「どうしたでありますか? 親御さんとはぐれてしまったのでありますか?」

 

そう言って自分を見つめる瞳から、本当に自分のことを心配してくれているということが分かり、なのはは今度こそ涙腺の制御を手放した。

 

「ひっく……ぐすっ……! うえぇぇぇぇぇぇ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

「ちょっ、ここでさらに泣くでありますか!? ああ、えっと、どうすればいいでありますか……」

 

完全に泣き出したなのはに、少女はどう対処すればいいのかとしばらく慌て、しかし自分にすがり付いて涙を流すなのはを見て、彼女をやさしく抱きしめた。

 

「なんで悲しいのかは分からないでありますが……大丈夫でありますよ」

 

そしてそういいながら、やさしく、やさしくなのはの頭をなでるのだった。

 

 

※ ※ ※

 

 

「それでね、なのはね、おかあさんとおにいちゃんとおねえちゃんのためにね、ずっと笑ってようっておもってて、でもほんとはなにかしたくて……」

「ふむふむ、幼いながらに家族思いでいい子であります」

 

あれからしばらくの後、泣き止んだなのはは自分に優しくしてくれた少女と話していた。

そしてそれを聞く少女は、なのはの言葉を子供のたわごとだと馬鹿にせず、笑わず、真剣に聞き入れる。

それがうれしくて、なのはは自分のことを次々と話していった。

しかし、ある一点で少女が大きな反応を示した。

 

「ふむぅ、つまりなのはちゃんは基本一人で過ごしていると言うことでありますか?」

「うん。おかあさん達はきっさてんでいそがしくて……」

「むむむ、いけない、いけないであります。なのはちゃんぐらいの子供に家族の愛は必要不可欠。そしてその愛とは声をかけるのみにあらず! ちゃんと家族で過ごし、触れ合うことも大事なのであります」

 

そのまま感情のままになのはの家族に怒りをぶつけようとした少女だったが、なのはの話では父親が入院して大変な時期との事。

恐らく家族もなのはを愛していないから一人でいさせているわけではなく、心の奥では一人でいさせることを心苦しく思っているはずだ。

その事に思い至ると怒りは沈静化していく。

ならばどうすればいいのか。

 

なのはのさびしいと言う気持ちも分かるが、家族の気持ちも分かる。

少女は悩みに悩みぬいて……そして自分の今の格好を見下ろして、頭の上に電球を光らせた。

 

「ふむ、ならばこうすればいいでありますな。なのはちゃん、私を雇う気はあるでありますか?」

「やとう?」

「そうであります。実は私、何を隠そうさすらいのメイドなのであります。最近どこにも雇われずにさすらっていたため自分でも自分がメイドだと忘れていたであります」

 

果たして、メイドがさすらうものなのかははなはだ疑問だが、確かに彼女の格好を見ると黒いロングドレス状の服に白いエプロンと言うエプロンドレスの格好だ。

そして頭にはホワイトブリムが乗せられている。

明らかにメイド、それも装飾過多で派手さを求めたフレンチメイドのタイプではなくシンプルで装飾が少ない仕事着であることを重視したヴィクトリアンメイドのスタイルである。

もっとも、メイドの格好など幼いなのはに区別が付くはずがなかったが。

 

「えっと、お姉ちゃんをやとったらどうなるの?」

「なのはちゃんのそばにずっといるであります」

「ほんと!?」

「ほんとであります」

 

少女の言葉に、なのははその顔に笑みを浮かべる。

やとうの意味は分からないが、もう独りぼっちにならないですむ。

それはなのはにとっては喜ばしいことであった。

 

「それじゃあ、私お姉ちゃんをやとう! だからいっしょにいてほしいの!」

「分かったであります。それでは、今からなのはちゃんはなのはお嬢様でありますな」

「おじょうさまー?」

「お嬢様であります」

 

例のごとく、お嬢様の意味は分からなかったが、それでもなのはは笑顔だった。

もう自分は一人じゃないと事実が、今のなのはにとってとても価値のあることだったのだから。

 

 

なお、なのはが満面の笑みで連れてきた見ず知らずのメイド服姿の少女に家族が一時大騒ぎになったのは仕方のないことだろう。




どうしても……どうしても語尾に「であります」ってつけるメイドさんが書きたかったんです。
もう一種の衝動レベル。

更新速度は遅くなるかもしれませんが、これからもちょくちょく更新していきたいと思います。
それでは、これからもよろしくお願いします。

あ、これおかしいだろゴルァてところの指摘や、作品に対する意見がありましたら言っていただけると筆者の助け&励みになります。
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