俺があいつと知り合ったのは………中等部の頃だった。第一印象は暗い奴だった。人とあまり話したがらずいつも一人でいる事が多い人間だったからな。俺はあいつと一生関わる事がないだろうと思っていたがそれは中等部二年生の頃に壊れる事になる。
あいつは出会ってから一年しか経っていなかったが見間違えるほどに変わっていた。暗い感じではなく間反対の明るい人間へと変貌を遂げていた。最初は驚いたし戸惑ったのを今でも鮮明に覚えている。何であいつがそんな変貌を遂げたのか今でも知らないし聞くつもりも無いがあの変貌っぷりは凄いの一言しか言えない。
そしてそれからというもの俺とあいつは対立をするようになっていった。これは必然としか言いようがないな。冷静な俺と陽気なあいつ。意見が会う訳がない。
二年近く対立を深めたがある出来事をきっかけにその対立は綺麗さっぱり無くなった。そう最初から対立なんかしてないかのようにな。
そして今に至る。
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ある部屋
「アーちゃんが悩んでいるなんて珍しいね~」
「そうかもしれないな」
俺が悩んでいるなんて普段はないな。何でもきっぱり決めるタイプの人間だと自分でも思っているからな。
「まあ、大体の察しは付くけど一体なにで悩んでるの?」
「あいつの事だ」
サインを押させることには成功したと言っても良いがあれで本当に良かったのか。もっと良い方法があったのではないかと今になってだが考えてしまう。過ぎてしまった事を今からどうこう出来るわけではないから後悔したとしても意味はないんだが……何故かあいつの事だと考えてしまう。
「やっぱりね~アーちゃんが悩んでいるなんて彼の事だと思ってたよ。まあ、彼の事を気に掛ける理由は分かるけどね」
「お前もか?」
「恩人だからね」
「そうか……お前に取って奴はそうだったな」
詳しくは聞いた事がないから知らないが王姉妹がこの学校に入学した時に少し問題があってそれを解決に導いたのが彼だったらしい。元々、王姉妹は飛び級という事もあったからな。
「そう言えば、あいつの性格が百八十度変わった事をどう思う?」
「……正直、それに関しては私もさっぱりだよ。何であそこまで変わってしまったのかな。別に私たちにとってはどんな性格であっても恩人である事に変わりがないからどうでも良いけどね」
「胡蝶の言う通りだ。何があったとしてもあいつがあいつである事に変わりはない」
「でも……なんで白猫は………彼のことを…承諾したんだろ」
胡蝶の後ろに隠れている手李亞が疑問を口にした。
「それは確かに手李亞の言う通りで妙だよね。今までだったら絶対に承諾するなんて事なかったのに今回は二つ返事だったしね。いくら何でもおかしくないかな……」
それはあいつらが承諾した時から疑問に思っていた。黒犬と白猫は長年、対立を続けている。お互いに牽制しあう事でお互いの自由を奪ってきた。だから相手が成し遂げたいと思うものこそ阻止したいと思うのが普通だ。なのに今回は承諾した。
「それは俺も思っていたがいくら考えても答えが出ない。あいつらの得になるような事は何もないからな」
もしかしたら、俺たちが知らないだけであいつは白猫と何か繋がりがあるのか。
いや……まさかな。