転生者はお人形さんを作るようです   作:屋根裏の名無し

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次にお前は感想欄で『加減しろ莫迦!』という!(言わなくてもいい)

白痴蜘蛛はミョルニルと化した教会の石鎚で側面叩いて終わらせました。
早く終わらせたい一心でやったせいか、かなり早く終わったわよ。



#14 鬼は内、福は無し

「さぁて、じゃあぼちぼち始めるとするか」

 

鬼も眠る丑三つ時、深夜の山嶺にカリオストロとその背に背負われたミミッキュ──背負うというよりミミッキュの腕が彼女の肩にショルダーストラップのようにして巻きついているのだが──、そしてマガツイザナギが現着する。

 

道中落ちていた低級の呪物や固体素材の類はミミッキュの内部に格納している。

ミミッキュのばけのかわは存外に物が入るし、伸縮性もあるのだ。

 

 

今回のお目当ては山の何処かに安置された特級呪物『神便鬼毒』。

だがその前に、彼女には大江山ですべきことがあった。

 

カリオストロは両の手に呪力を漲らせパンと身体の正面で合わせる。

するとバチバチと呪力が雷電のように迸った。彼女はそれをおもむろに地面に押し当てる。

すると地面が派手に地響きを立てて崩落、そして物理法則を無視した不自然な結合を繰り返し、その場所だけ綺麗に抜き取られたかのような地下へと続く道が生成された。

 

「こっちは鉱山から外れた場所だが……」

 

カリオストロが欲しているのは大江山に眠るニッケルを筆頭とした鉱物類だ。

錬成を繰り返すことでの性質付与や消去はお手の物だが、わざわざ土粘土から金属を錬成するのはやや面倒だ*1

 

カリオストロは手合わせ錬成でツルツルの坑道を作り上げながら地下を探索する。

 

山に到着してから一時間が経過しようとしたところで彼女は金属鉱脈を発見した。

 

「よっし!見立ては間違ってなかったな。クク、じゃあ早速」

 

手合わせ、そして剥き出しの鉱脈にひたりと触れる。

意志を持ったかのように鉱脈()()がうねりだし、トコロテンのようにずるずると銀白色の鉱物を吐き出し始めた。

鉱物類がミミッキュの身長くらいの高さにまで積もったところでカリオストロは錬成をストップして質を確かめる。

 

「純度と今の不足分は錬成で何とかするとして……ミミッキュ、入れといた材料出してくれ」

 

ミミッキュは了解の意を示して、ばけのかわに格納していた雑多な材料をボコボコと吐き出していく。

 

 

「ぶっつけ本番じゃねぇのが幸いか。ま、このオレ様が──」

 

再び手を合わせ、錬成。

バチバチと青白い呪力が飛び散り、我々が毎日目にするごくありふれたものが形成されていく。

 

「──失敗するわけないけどな」

 

 

カリオストロの術式によって創り出されたのは黒く薄く、液晶がはめ込まれた現代人ならば見慣れた文明の利器、家電三種の神器の一つ──テレビである。

 

こんな電波も届かなそうな山の奥、それも地下でこんなものを錬成したのにはもちろん理由があった。

 

「マガツイザナギ、頼む」

 

本来の用途で使うつもりなど彼女にはさらさらない。

要請を受けたマガツイザナギはテレビに触れる。すると電源もなしに画面が灰色を生み出し、ついにテレビはマヨナカテレビへと変貌した。

 

「……前は発電機を持っていってたらしいが、それは関係ないみたいだな」

 

カリオストロは錬成作業を再開し、吸い取った鉱脈をマヨナカテレビの中へとぶち込む作業を続けていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正直、この任務は嫌いだ。

 

何が楽しくて呪霊の力が強まる夜中に、よりにもよって大江山にホイホイ入っていかなきゃならねぇんだ。

さっきから地面揺れてるし……帰りてぇ。

 

「おいおいそんなしょげた顔するなよ。チラッと見て帰りゃいいだけじゃん?」

「チラッと見て帰るだけで済めばいいけどな」

 

ツーマンセルを組まされた俺の相方はかなりおちゃらけてる。まあこいつの術式を考えればそれもそうかもしれない。確か『死霊操術』とか言ってたっけ。

なんか大地に眠る生物の残留思念を骨の形で現世に〜とか何とか。

最近は人骨しか見てないけどシベリアならマンモス喚び放題なんじゃないか?

 

「こいつか?」

「ん……ああ、そうだな。札も見た感じじゃ劣化してなさそうだ」

 

おっと、余計なこと考えてるうちにもう祠に着いてたか。

札も剥がれかけてないし、入った瓢箪も劣化してない。まあそりゃそうか、なんせ平安時代から現存するヤバい呪物だもんな。

 

……うーん密封されてんのに酒臭ぇな。気分悪くなってきた。

 

「ちょっと山の空気吸ってくる。雉撃ちしたいなら済ませとけよ」

「へいへ〜い」

 

ほんとに密封されてんだろうな?かなり離れたのにまだ鼻の奥に匂いが残ってやがる。

あの匂いを嗅ぐと気持ち悪さと同時に何故か()()()()って思いが溢れてくるのが気味悪い。

栓は開けられないようになってるだろうし、下手な事態にはならんと思うが……。

 

「うし、戻るか」

 

ぼんやりと灯った祠の非常灯を目印に俺は歩く。

ずんずんと歩みを進めていくと俺のバディ(正直どうしてこんな人選にしたのか上層部に小一時間程問い詰めたい)が地面に蹲っていた。

 

「おいどうした?酒気にやられたか?」

 

返答はない。

だがこいつの周りからはさっきより格段に強い酒の匂いが────

 

「……は?」

 

地面に這い蹲る相方の右斜め前方、()()()()()()()からどくどくと甘美な香りを立ち昇らせる液体が山の斜面に垂れ流されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アルコールの匂いがするな。お前らは平気か?」

 

取り急ぎ必要量の鉱物類を採取したカリオストロは今回の目的である『神便鬼毒』の回収に向かっていた。

大まかな位置の把握は済ましていたのでその方角に向かって歩くだけである。

 

その途中、急に香しい匂いが辺りに漂ってくる。

カリオストロは隣に浮遊するマガツイザナギとテレビを運んでいるミミッキュに確認するが両者は問題ないとグッドサインを示した。

 

「……面倒事かもしれねぇ。急ぐぞ」

 

カリオストロは『ファンタズマゴリア』*2、マガツイザナギは『マハスクカジャ』*3を使い全員の素早さを一気に高める。

 

空を飛べるマガツイザナギを先行させ、カリオストロとミミッキュは大地を抉り、枝を掴み、アクロバティックさながらの動きで匂いの発生源へとひた走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うふ、うふふふふふふふ、ふふ……」

 

俺はこの日、自らの失態を呪った。

今更呪ったところで既に取り返しのつかないレベルになっているのは、目の前で嗤うバケモノを見るに明々白々たる事実なのだが。

 

相方の面影なんてどこにも残っちゃいない。

服装も、身長も、髪も、人相も、そして……()()ですらも。

 

「ようやっとこっちに出られたなぁ。ふふ、堪忍なぁ。こんな享楽、久々やさかい。おかしくっておかしくって、つい笑いが漏れてしまうんよ」

 

嗤う、嗤う。

 

()が嗤う。

 

自分はいつかどこかで読んだ本に書いてあった一節を不意に思い出した。

 

 

『笑うという行為は本来攻撃的なものであり、獣が牙をむく行為が原点である』

 

 

あぁそうなのだと、変性した相方の成れの果てを呆けたように眺めて合点がいった。

 

「ふふ、そないな視線は堪忍しとくれやす。そんなに見つめられたらうち、うち……骨の髄までしゃぶりたくなってまうやろ?

 

そうして、鬼は俺の肩に手をかけ、ゆっくりと胸──心臓がある位置に触れる。

 

逃げられない、逃げる気も出ない。

蛇に睨まれた蛙のように、糸で地面に縫い付けられたように、俺の体は言うことを聞かない。

 

「抵抗の一つもあらへんの?そんなら骨抜いてまうけど……」

「出来るんだったら……もうやってるさ」

「それが精一杯の抵抗、ってことでよろしやす?」

 

鬼が俺の眼を見る。寒気が、震えが、全身を駆け抜ける。

ああそうさ。これが俺の、全身全霊だ。

 

「ふふ、ほんならここであんたはんは幕引き──」

 

鬼がそこまで口にしたところで何かを察知したように後ろに飛び退いた。

 

刹那、金色の雷電が大気を切り裂いて招来する。

俺が一歩踏み込めば、焼ききれてしまうような至近距離で。

 

「牛女の、やないなぁ。さきの稲妻はもっとずっと、旧いもんのようやけど」

 

鬼が見上げた空を、俺もまた見つめた。

夜空に瞬く星空をバックに、異色の呪力が立ち上っている。

 

ゆっくりとこちらに降り立った発生源は、俺よりも、そこの鬼よりも小さかった。

そう、ちょうど男児が好きそうなフィギュアくらいの大きさで。

しかし、明らかに内包されている呪力が桁違いだ。

先程の雷もこいつが落としたのだろうか。

 

「おい、状況を説明しろ。なるだけ簡潔にな」

 

後ろからめっちゃ可愛い幼女と不気味な人形がやってきた。

俺疲れてんのか……じゃなくて!!

 

「どうしてガキがこんなところにヘブシッ!?

「次ガキつったらあっちにぶん投げんぞ」

「……今すぐこっちに投げてもらってもうちはかまへんよ?」

「ハッ、誰がやるか!」

「いけずやなぁ」

 

……ビンタされて少し頭が冴えた。

女の素性はわからん。しかしグルだったら後ろから刺されて死んでいただろうし、ここは信用する他出せる手がない。

 

「俺ともう一人で京都の呪物の見回りをやっていた。俺が目を離した隙にもう一人が何をとち狂ったのか呪物を飲んだらしくてな……一瞬であの鬼に変わっちまった」

「その呪物ってのは『神便鬼毒』か?」

「……何故それを?」

「封印にガタが来てるって言われてな。それの補強に来たんだが……どうやらそれどころじゃないらしい」

 

つまりコイツは高専が外から招集した呪術師か?

どうりで見たことないわけだ。

 

「おい、そこの。名前は?」

「酒呑童子や、よろしゅうな?」

 

酒呑……童子!?

特級呪物から受肉したってのか!?

 

「ここはオレ様が引き受けるから京都高専行って増援呼んでこい」

「一人で食い止める気か?む──」

「無茶だ、とか言うんじゃねぇぞ。京都が火の海になるのとどっちがいい?」

「それは……」

「残念だがお前に選択肢はねぇよ。マガツイザナギ、これとこいつ持って行ってこい」

 

彼女は両手をパンと合わせた後、スケッチブックのようなものを創り出して俺に押し付ける。

困惑している間に俺の身体は一気に宙へと持ち上がった。

慌てて上を見上げれば俺のジャケットを雷を引き起こした人形が片手で掴んでいた。

 

「落とすんじゃねーぞ!」

 

俺はマガツイザナギと呼ばれた人形に空輸され、大江山を後にしたのだった。

 

*1
不可能とは言わない辺りがカリオストロクオリティだ。あなたもカリオストロ最高と叫びなさい!

*2
グラブルにおけるカリオストロ(土属性)の二番目のアビリティ。味方の性能を全体的に底上げする。

*3
ペルソナにおけるスキル。カテゴリは補助に分類される。味方全体の命中率と回避率を増加させる。今回はピオリムかヘイスガみたいなものだと考えてもらえばOK。




あの、ごめんなさい(焼き土下座)

やっぱり目標というか、ボスというか……そういうのが必要だと思ったんです。はい。



感想欄に運対ゴロゴロあってワロエナイ。

良い子も悪い子も、ガイドライン守るくらいの自制を心がけてくれよな!


転生者くん
→今回出番なし。お前ほんとに主人公か?
次回はきっと出番がある。

カリオストロ
→大地を錬成して無駄に凝った突起物で攻撃したり、バトル終了時に自分が腰掛ける玉座とか錬成するのでこの程度はいけるでしょという判断。
電気屋さんでバイトしてたのはテレビを作るためだったみたいですね。
これ見よがしにハガレンみたいな手合わせ錬成してるのは縛りではなくブラフ張ってるだけです。
いつもは指パッチンで錬成してます。

大江山にいた人①
→たまたま見回りにやって来ていた呪術師。
酒があまり好みではなかったことが幸いして変性することを避けた。
現在はマガツイザナギによって京都高専まで空輸されてる。

大江山にいた人②
→『死霊操術』(呪霊操術にあらず)を使う呪術師。①とツーマンセルで大江山の見回りに来ていた。
特級呪物の酒気に当てられ瓢箪の中身を飲んでしまった結果、酒呑童子を受肉させてしまう。

酒呑童子
→ビジュアルはFGOのまんまを想定。そろそろ頭ひねって考えるのがキツくなってきた。
特級呪物『神便鬼毒』の中で虎視眈々と復活の機会を狙っていて、今回ようやくそれがヒットしたらしい。
ちなみに『神便鬼毒』の封印はガバガバになっていた。
呪霊というより宿儺のような立ち位置が彼女は近いかも。

大江山
→京都の前に山火事になるかもしれない。
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