転生者はお人形さんを作るようです   作:屋根裏の名無し

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当SSはその場のノリと発狂、ありったけの妄想とご覧の啓蒙の提供でお送りします。



#15 two-front

大江山から京都高専に向けて一条の赤黒い光が駆け抜ける。

空を見ろ!鳥だ!飛行機だ!

……否、マガツイザナギである。

 

残穢を撒き散らしながら天を疾駆する異質な呪力、加えて大江山から立ち上る強大な呪力に京都の呪術師たちは総員警戒態勢に入った。

 

そして京都高専門前、一直線に飛び込んでくる正体不明(UNKNOWN)を待ち構える一人の男がいた。

左の額から頬にかけての傷が目立つドレッドヘアの益荒男──東堂葵である。

 

いち早く異変を察知した東堂は誰に言われるまでもなく高専へ飛来する何かの迎撃を買って出た。

……誰かに別の指示をされても多分無理やり買って出た。

 

彼が望むは己の研鑽、そして血湧き肉躍る死闘。

腕を試す相手が自らこちらに赴いてくれた状況は、彼にとってまさに望外の僥倖だった。

 

さあ、来るなら来い。

四肢の末端にまで闘気を漲らせ、口元に微笑をたたえ、東堂は臨戦態勢へ突入する。

正体不明(UNKNOWN)の来襲まで 3、 2、 1──

 

 

迎撃対象が目視可能な距離に到達。

東堂が膂力を遺憾なく発揮しようとしたところで──その脚を止めた。

 

ぬるっとしたオーラが辺りに振りまかれるただ中だからだろうか、ここに来るまで気がつくことができなかった。

だが、今ならわかる。その呪力に東堂は覚えがあった。

 

対象は呪術師を片手に此方へとやってきていたのだ。

 

然しもの東堂も同業者ごと奴を蹴り砕くのは躊躇われた。

ならば己の術式で、と忍ばせていた呪具を取り出そうとしたところで──ポイと荷物を放るように、それは彼の真上に呪術師を落っことした。

 

さすがにこのままスルーして石畳に叩き付けるわけにもいかず、自由落下真っ最中の呪術師を即座にジャンプでお姫様キャッチ。

 

「うぅ……ぐ、うぐっ」

 

呪力が底を尽いているわけではない。むしろ有り余っているが、彼は酷く疲弊していた。

空中散歩から解放されたことを悟った彼は最後の力を振り絞り、手に持っていたスケッチブックを東堂の胸板に押し付け、ガクリと項垂れた。

スケッチブックに呪力は宿っていない。正真正銘、ただの紙のようだ。

 

それを見届けた異質な呪力の根源たる何かは踵を返して何処かへと消え去ってしまった。

 

逃げられたことに小さく舌打ち、ついでに青筋を立てた東堂だったが己の理性がその熱は後に取っておけと訴えかける。

そうだ、この呪術師が託したスケッチブックを確認することが今は先決だろう。

そしてもう一つ、奴は呪力こそ発していたが決して東堂に敵意を向けるようなことはついぞしなかった。

 

そこまで考察した東堂は呪術師をゆっくりと地面に寝かせ、スケッチブックの中身を検める。

 

 

『特級呪物『神便鬼毒』により大江山の鬼、酒呑童子が受肉。至急応援をよこされたし』

 

 

東堂の口元が大きく歪む。

獣性剥き出しの猟奇的な笑みがみるみるうちに彼の顔を包んでいく。

闇に消えた強敵のことなどすっかり抜け落ち、彼の羅針は次なる目標へとその針を向けた。

 

あぁ今日は────退屈せずに済みそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜を徹して起き続けるというのも中々辛いものである。特に何かを作るでもなく、ただただ警戒し続けなければならないのがさらにその辛さに拍車をかけた。

 

万一カリオストロが下手を打つようなことがあればミミッキュかマガツイザナギが伝令に来る約束だが……。

 

「ん?」

 

ゴンゴン!と窓を叩く音がする。

チラッとカーテンを開くと破った紙片のようなものを片手にマガツイザナギがそこにいる。

慌てて彼を中に入れて紙を受け取った。

 

 

『特級呪物『神便鬼毒』を術師が飲んで酒呑童子が受肉した。とりあえずこっちは心配しなくていい。そっちで何か起こるかもしれねぇから用心しとけ』

 

 

なるほど……なるほど?

えっ何で特級呪物飲んだやついるの?確かに極上の酒らしいけど飲むか普通?

 

ん〜、呪術師がそれ飲んで酒呑童子が受肉したってことは、その中に酒呑由来の成分が混入してたとか、後世に誤って伝わっただけで酒呑童子が酒と化してたとか……まあ何でもありそうだな。予想するだけ無意味かもしれない。

 

心配するなーとは書いてあるけど、どうにもできないんだよな。前線行っても俺が弱点みたいなもんだし。

こう、アイアンマンみたいなアーマーって俺作れるのかな……?

 

不甲斐ない思いを抱えながら何の気なしに窓の外を眺める。

ぽつぽつと明かりが灯っているが暗い夜だ。

 

──その夜がさらに暗く、黒く染っていく。

 

「帳……!?」

 

ゾワッと得もいえぬ悪寒が身体を這いずった。

このホテルに呪霊がいないことは既に確認済み。

そんなところに帳を降ろす理由なんて一つしか思いつかない。

 

そして部屋のドアの前で急激に呪力が立ち上ったことで嫌な予感は確信へと変貌した。

 

「──マガツイザナギ!『マカラカーン』ッ!」

 

半ば反射的に口にした魔法反射スキル。

それと全く同時に一筋の赫色がドアを貫通、マガツイザナギに直撃した。

 

 




感想欄を眺めながら己の浅はかさを自責する今日この頃。
まあ私の好きなようにやるんでよろしくなぁ!


転生者くん
→ホテルに帳が!?

東堂
→最近めちゃくちゃ不完全燃焼気味で退屈だった。
俺より強い奴に会いに行く。

のりとし
→私!?



アンケート新調しました。
簡単に説明すると以下の通り。

①酒呑を普通に祓っちゃうルート
②酒呑を素材にしちゃうルート
③酒呑が転生者くんを気に入っちゃうルート
④酒呑が逃げちゃうルート

期限は投稿してから一日です。


〜はみ出し小話〜
もし縁壱零式を創っていた場合刀持ちの呪術師が超強化されるかもしれなかった。

\どうも、役に立つ三輪です!/

Q.酒呑童子をどうしますか?

  • 悪鬼滅殺
  • (Ⅰ){おやおや、酒呑童子は可愛いですね
  • へぇ、お人形さん作ってはるん?
  • えっ逃げた?
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