転生者はお人形さんを作るようです 作:屋根裏の名無し
ついにアメンドーズ倒しましたわよ!!
足の防御硬過ぎですわ!(死にゲーお嬢様並感)
やはりエンチャントファイア変形ノコギリは正義ですわね!
「お前に戦う意思も理由もなかったとして──私がお前を野放しにしておく理由はない」
俺の言葉を切り捨てるように霧の奥の呪術師はそう口にした。
……言いくるめロールは失敗、か。
リロールある?あっこれウタカゼじゃないのか。
「その心は?」
「加茂家次期当主として、お前の存在を見過ごすわけにはいかないからだ」
俺眠った生徒の振りしといた方が良かったんじゃないか?
でもなんも指示しなかったらマガツイザナギが吹っ飛ばされてたかもしれんし、その時俺が平常心でいられるかって聞かれると……ちょっと怪しい。
さて、どうしような。
話は通じるようだから何とか休戦に持ち込みたいんだが。
「じゃあそんな加茂家次期当主さんに一つ質問していい?」
「なんだ」
聞いてくれるんだ……。
「お前の事情など知らん」とか言ってきそうな気がしてたからダメでもともとだったけど。
「次期当主としてあっちは見過ごしてていいんですか?」
「あっち……?」
「大江山の方からです。感じませんか?京都全域に流れる呪力を」
マガツイザナギがやってきてから少し後、京都を包むように何者かの呪力が放射されていることに気がついた。
タイミングを考えれば十中八九、酒呑童子のものとみていい。
呪術系素養ほとんど皆無の俺が感知できたんだ。
次期当主を名乗る人間がわからない、なんてことはないはず。
返事が来なくなったので少し待つと霧の奥から息を呑む声が聞こえた。
────ビンゴみたいだな。
「今のところ実害がない俺を捕まえるか、明らかに今の俺より手酷い被害を及ぼすやつを野放しにするか」
おばあさんの話によれば呪術界には御三家と呼ばれるクソデカ権力とクソ長歴史のハッピーセットを備えた家門があるそうな。
その家には相伝術式──北斗神拳のように一子相伝というわけではないようだが──があり、それを継げなかった人間は冷遇されるとか何とか。
ありがたいことに本人による次期当主宣言のおかげでそこの呪術師が冷遇されてる線は消えた。ならば彼は自らが据えられるお役目に対してそれ相応の責任感と崇高な自負があるはずだ。
ついでに言えば、交わした言葉の節々に良家特有の品行方正じみた雰囲気を感じる。
どちらを優先すべきかなんて火を見るよりも明らか。
そして彼はその高潔な自負故、とれる行動は限られてくる……はずだ。
うーん、もしダメだったらテレビの中にでも逃げ込むとしよう。
「次期当主さん、あなたはどちらを選ぶんです?」
先と変わらず返答はないが、躊躇うような足音がその場に響く。
そうして足音はだんだんとこの部屋から遠ざかっていった。
「……これどうしようかな」
・
・
・
「あー……そうか、そうか。そういうことか」
「勿体ぶらんといて、はよ言うてみい?」
酒呑童子(TS)の言葉をゆっくりと咀嚼して、ある程度の真理にたどり着いたカリオストロ。
一人訳知り顔で納得する彼女にぶー、と酒呑は抗議の念を送った。
「その前に一つだけ確認してもいいか?」
「一つだけならええよ、一つだけな」
二つ聞いたらわからんよ?とでも言いたげに念押しする鬼に苦笑いを浮かべる錬金術師。
しかし彼女は臆することなく淀みなく、質問を投げかけた。
「お前は自分が受肉した時そんな姿になってたこと、どう思ってる?」
「どう?そうやねぇ……」
目を閉じて、ぽくぽくぽくと三拍子、首を傾げて彼女は自らが体験したその一幕を追想する。
──そうして、酒呑童子の口は宵の三日月のように形を歪めた。
「そら当然、心躍ったに決まっとるやろ」
彼女は今に辿り着くまで多くのものを失くしてしまった。
力を、身体を、記憶を。
失いすぎた、何もかも。
そして、己を創る
真に自分と呼べるものなど、一つもありはしなかった。
瓢箪に一つ遺されたのは、ただ復活に至るまで無限の前進を繰り返すブレーキを知らぬ『意志』だけ。
百年千年、気が遠くなる程の遼遠なる時を経て己の再誕に狂奔する妄執、それだけが酒呑童子のアイデンティティ。
そうして集めて、萃めて、やっと復活に漕ぎ着けるかと思ったのに──どうしてこうなった。
たった一人の人間の
京都の人間の千年以上かけて集めた
森羅万象を目の当たりにしたような膨大な記憶を彼女はモロに浴びせられた。
それに驚く暇も、激怒する間もなく、トントン拍子に受肉が済んで、彼女はこの世に生まれ落ちる。
普通の感性があるならば怒るだろう。
何せ自分の努力のほとんどを無駄にされたのだ。
トランプタワーを完成直前でぶっ壊されたようなものである。
彼女は大いに湧いた。
怒りではない。
あぁ、自分をここまで変えてしまったのは一体どんな人間なのだろうと。
「心躍る、ね。……その反応なら大丈夫か」
「あら、うち試されとった?」
「今すぐオレ様たちをどうこうしようとか考えてんだったら逃げの一手だが、見て聞く限りお前はそうでもなさそうだ」
「せやねぇ。うちはあんたはんらにえらい興味があるだけ。いきなり取って喰ったりはせんから安心してなぁ」
今すぐどうにかされるわけではないと分かったカリオストロは長いため息と共にゆっくりと矛を収めた。
「さぁさぁ、はよう教えてや」
「わーったよ。だが質問の対価にこっちの身の安全くらいは保証してもらうぜ」
前回と比べるとかなり短いし話の進行度が亀。
わっちも忙しいんじゃ許してくれ。
アンケートはいつも通り投稿から一日で締切です。
転生者くん
→頭の中がパッシブ無量空処になってるらしい。
大丈夫?脳内に瞳生えてたりしない?
酒呑童子
→平安時代から今日まで瓢箪の中で
悪鬼外道、怪力乱神、奸知術数、豪放磊落、のじゃロリ──多岐に渡る市井の人々の
まあ正気なんてものは酒に溶けてから数十年くらいで真っ先に落っことしてしまったみたいなんすけどね。
東堂
→次回大江山到着
かものりとし
→かなり逡巡した苦渋の決断だったけど転生者くんより大江山の奴の方が優先度↑
メカ丸
→ホテルに置いてけぼりにされた。
繋がりを絶たれてしまったので本人の元へ持っていくまでは再び動くことはないだろう。
バカ目隠しさん?
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まだ僕の出る幕じゃない
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顔見せくらいなら……
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ねぇ君、呪術師って興味ある?
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術式順転「蒼」