転生者はお人形さんを作るようです 作:屋根裏の名無し
ポケモン以外の呪骸も出てきます。ぶっちゃけそっちの方が数多い。
一作品に偏るようなことはないと思うけど、そこら辺の把握お願いします。
無理だと感じたらブラウザバックよろしく。
呪具売りとして生計を立ててから一体幾年の歳月を重ねてきただろうか。
もう過去の記憶に思い馳せることすら億劫になってきた自分が少々腹立たしい。
年々積み重なる衰えを肌身に感じながら方々と地域を渡り歩き善人悪人問わず作った・回収した呪具・呪物を売ってきた。
しかし、そろそろ疲れてきたのだ。あの頃自分の内に湧いていた商人としての情熱はどこへ行ってしまったのだろう。
──故に、もう潮時だ。金もかなり貯まったので呪具売りからは足を洗うことにした。
残りの余生は静かに暮らそうと決めた、はずだった。
「おばあさん、ぬいぐるみに使う綿と布ってありますか?」
私を見上げるその少年はその齢に似合わぬギラギラとした目付きをしていた。
何がなんでもやり遂げたいことがある、そう少年の目が物語っていた。
話を聞くに、彼は自分の妄想を形にしたいらしい。
……まあ若人の挑戦に力を貸すのもいいだろう。私は彼に表の仕事で使っていた端材を幾つか渡し、次は駄賃をとるからねと告げた。
一週間ほど経ってから少年は「こんな感じの木材と追加の綿と布をお願いします」と駄賃とキャンパスノートを持って頭を下げてきた。
一応裁縫用の製品しか売ってないことになっているのだが、その誠意に免じて私はどう処分しようか迷っていた霊験あらたかな霊木の枝を割安で売ってやった。気休め程度の魔除けにはなるだろう。
さらに一週間後、少年はキャンパスノート片手に私にこんな素材はないかと聞いてきた。
ノートには可愛らしい生き物?が描かれていた。名前はミミッキュと言うらしい。
「ミミッキュの足元の黒い部分に使う素材に心当たりあったりしませんか?」
そう尋ねる少年の手元に私は視線を惹かれていた。
彼の手には呪術を行使した後に残る痕跡──
すわ呪術使いか?と肝を冷やしたが遠回しに彼に聞いてみる限りでは呪術なんぞ知らぬ存ぜぬとのこと。
ならこの少年は全くの無意識で術式を行使していることになる。それも多分このミミッキュとやらを作るにあたってだ。
ちょっと興味が湧いた私は忠告をしつつも二級呪物を彼に渡してしまった。
二週間と少しが経過してそろそろソワソワして少年のことが心配になってきた私の下に彼が無駄に大きなリュックを背負ってやってきた。
中身は彼のノートに描かれていたミミッキュそのものだった。初心者が作ったにしては完成度が高く、見栄えも評価できたが何より──その人形には呪力が付与されていた。
「ほほぉ……!これはこれは」
手渡された人形相手に柄にもなく上擦った声が出てしまう。
呪術のじゅの字も知らん若人が高々情熱一つだけで呪骸を作り上げてしまうなんて。
長生きも捨てたもんじゃないらしいと思っていた矢先、人形を掴んでいる手に違和感が走る。
チラと視線を向けると人形の下部から生えた影のような手が私のしわがれた手を品定めするかのようににぎにぎしていた。
少年の方を見るが彼はどうしましたか?と首を傾げている。ではこれは、少年の意思ではなく────
その時の私はかなりあくどい顔をしていたんじゃないだろうか。
もういつ死んでもいいと思っていたが、彼の成長を見守りたくなってしまった。
少年が言うにまだまだ作りたい人形のアイデアはあるらしい。
「お前さんのこれからに期待して」なんてカッコつけて私は秘蔵の特級呪物『天沼矛』を少年に託した。
老後の楽しみができたその日から、ちょっと笑顔が増えたかもしれない。
✕月▽日
ミミッキュが夜な夜な動いているかどうかは別として、次の人形作りに取り掛かることにする。気にしても仕方ないし。おばあさんも期待してくれてるらしいし。タカキも頑張ってるし。
せっかくおばあさんに頂いた天沼矛を使わないのは勿体ないので、その武器の名前にあやかってペルソナの『イザナギ』を作ることにしよう。
転生者くん
→作った人形が呪骸になる術式(暫定)を持った転生者。なお、本人は気が付いていない模様。
おばあさんから貰った特級呪物を使って「ハイカラだから」という理由だけでイザナギを作ろうとしている。
おばあさん
→呪物・呪具売りからは足を洗ったはずだが無意識に術式使うヤベー奴の成長が見たくなって呪物を売った。
その後お披露目された呪骸の完成度と(多分)呪骸に意思があることを見抜き、好奇心から秘蔵の特級呪物『天沼矛』を託す。
ミミッキュ
→ポケットモンスターシリーズより。
全国図鑑No.778。
中身がポリゴンの疑惑あり。
イザナギ(制作予定)
→ペルソナシリーズより。
ペルソナ4主人公の初期ペルソナ。
>ハイカラですね。