転生者はお人形さんを作るようです 作:屋根裏の名無し
また少年がキャンパスノート片手に私の所へやってきた。
今回作ろうとしているのはイザナギらしい……イザナギ!!?
いやっ、まぁその確かに少年に託したのは天沼矛だけれども。まさかそんなことしようとは思わなんだ。
……式神や呪骸、とりわけ何かに形を与える呪術において、その名前を強い存在からあやかることはよくある。親が子どもに「強い子に育って欲しいからこの子を『
今回の場合少年は(自分が呪骸を作っているとは気付いていないが)フィギュアに『天沼矛』を使って『イザナギ』なんて名前を付与しようとしている。
普通の式神や呪骸に『イザナギ』と名付けを行うならばまだしも、特級呪物『天沼矛』を使って『イザナギ』と名付けてしまうのが問題なのだ。
最悪を想定するならば神霊『イザナギ』が現世に顕現してしまう可能性だってありうる。
……だがこの子なら、ひょっとしたらひょっとするかもしれん。
そう好奇心ゆえに思ってしまった私は彼に針金と粘土を売りつけ、ついでに私の『構築術式』が封入された形代を渡してやった。
何故か彼が笑顔で私に作品を見せびらかしてくるビジョンしか見えなかった。
数日後、少年がビクビクしながら相談に来た。
ミミッキュがなんか動いてる気がするし、作ろうと思ってたパーツは完成してるし、これポルターガイストかなんかですかね?とのこと。
……さすがにそろそろ呪術を知らぬ存ぜぬでは通せない領域に入ってきたのかもしれない。
しかし呪骸が主人の前では動かないというのはどういうことなのだろうか。無意識に少年がそんな命令を呪骸に与えているのかもしれないが。
とりあえず今は気にしすぎたらダメよと忠告して家に返しておいた。
二週間くらいして少年が私の下を訪ねてきた。
後は外套作って着色すれば完成ですわ!とウキウキしている。私もどんなモノができてしまうかウキウキしてきた。
ウキウキしたテンションのままにまた呪物を売ってしまった。この前よりも少年の手に残る残穢が強いので扱いきれると踏んでのことだ。
それはそれとしてまた軽率に呪物を渡してしまった自分を布団の中で恨んだ。
一週間くらいして少年が完成品を持ってきた。
ガラスケースに入った躍動感溢れるポージングのイザナギは今回がフィギュアを作るのが初めてだと思えないほど精巧に作られていた。
そしてそのイザナギには当たり前のように呪力が宿っている。なんだったらこちらに黄色い双眸を向けていた。
ついでに言えば込められた呪力はミミッキュの比じゃない。
もし本当のイザナギがこの中に宿っているのだとすれば、とっくの昔に天地開闢でも国土創世でも何でも起こっていただろう。
それが今の今までないとなればイザナギが降りてこなかったか、もしくは────
いや、天地がひっくり返ってもそれはないだろう。
ともかく成功ということだ、おめでとう少年。私の見込みは間違っていなかった。
それで、次は何を見せてくれるんだい?
アンケート募集中です。ご回答のほどよろしく。
これで次回作る人形の大体の方針を決めます。
投稿から一日、もしくは明らかにぶっちぎりが出たら締め切りです。
一番下の選択肢以外は人間の形をした人形となりますので、皆様奮ってご参加ください。
転生者くん
→トイ・○トーリーよろしく人形は主人の見ていないところで動くんじゃないかと思ってる。
呪骸たち
→無意識下に主人から下された『人形は主人が見ているところでは動かない』という命令を遂行中。
おばあさん
→アグレッシブばあちゃん。多分人類滅亡に王手をかけてた。めっちゃ人生エンジョイしてる。
『天沼矛』
→日本神話に登場する矛のこと。当SSではその断片が登場した。
イザナギとイザナミが国産みをする際に別天神たちから与えられた。
二柱の神はこれで形の定まっていなかった海原を「こをろこをろ」とかき混ぜて日ノ本最初の大地である
Q.イザナギ作るのは何が問題だったの?
A.呪骸作りに特化した術師、特級呪物『天沼矛』、イザナギと名付けられた呪骸、この三つを霊媒としてガチのイザナギを神降ろししてしまう危険性がありました。
危険度としては天元様が星漿体との同化を忘れたくらいはあるんじゃないかな。
オガミの婆さんがパパ黒の肉体を孫に降霊したら乗っ取られちゃったみたいな、今回しくじってたらあんな感じになります。コワ〜。
Q.マガツになってますけど
A.そりゃあ負のエネルギーたる呪力込めて、特級呪物なんてものを詰め込めば神の負の側面たる荒御魂が現出してきても何もおかしくはない。いいね?
どんな人形が好みだ?異形でもいいぞ
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揺るがない人間性のある人形
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タッパとケツがデカイ人形
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タッパもケツも小さい人形
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人形の姿か?これが……