転生者はお人形さんを作るようです 作:屋根裏の名無し
つい少し前までは上を仰いでも赤黒ストライプの気味悪い空しか映らなかったが、今日からは違う。
ついに完成した彼女が殺風景で趣味を疑う撮影スタジオに花を添えてくれる。いや、そんなことはないような。
ともかく、巨神兵が如き威容を誇り地母神めいた愛を内包したキングプロテア(人形)が完成した。ちなみに姿は第一再臨。第二再臨はあのマリモと全身もふもふを再現するのが上手くいかなかったので挫折した。
「あ、そういえばどうやって外に出せばいいんだ?」
俺の質問に答える者はいなかった。呪骸たちは首を捻ってこちらを見つめている。やめろ!そんな目で俺を見つめるんじゃないっ!
んー、渋谷の大型LEDビジョンをマヨナカテレビ化してそこから出す?
……いやダメだな。パンピーの被害が凄いことになるし、映画でやってた貞子じゃんそれ。
渋谷が戦場にでもならん限りそんなことはできないな。
そもそも現実にお出しして大丈夫な存在なんだろうか。
ヒュージスケール*1とグロウアップグロウ*2が原作ママだったらVS呪霊どころか人類終焉シナリオなんだが。
バカっ!俺のバカっ!!作ってる時に気がつけよバカ!
……FGO形式であることを祈ろう。少なくとも彼女の体が人形で、ここが物質世界だから青天井とはいかない、ハズだ。きっと、多分、おそらく、メイビー。
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完成から数日、ようやく呪力が五体に行き渡ったのか、体育座りのプロテアのまぶたがおもむろに開かれる。
きょろきょろと周囲をさまよった視線は自分の下へと定まった。
「自己紹介は、いらないかな。私を作ってくれてありがとう、マスター……うーん、お父様?」
「プロテアが好きな方でいいよ」
「うん、じゃあこれからよろしくね。マスター」
プロテアは人懐っこそうな笑みを浮かべた。
一挙一動、彼女の瞬きや会話でさえ巨大すぎる体躯故に風圧が感じられる。うぉ……でっか……。
「自分で作ったのに変な反応をするんですね」
「あ、口に出ちゃってた?」
「ううん、私たちとマスターは繋がっているから、これだけ近くにいれば考えてることくらいなら」
……設定が生えた?
いや待て、おばあさんの講義を思い出すんだ。
『呪骸』は呪力によって自立可能な無生物の総称だ。呪骸は式神のようなタイプとロボのように操作する「傀儡」タイプの二つに分けられる。自分は式神タイプとおばあさんは分析してたし、俺もそう思う。
んー、今の中で俺の心が覗かれる余地はあったか?いやないな。
「プロテア?」
「はいマスター、命令をどうぞ」
「なんで心を読めるか教えてもらっても?」
記憶をまさぐってみたが、キングプロテア自身が元々精神感応能力を会得していたっていうのはなさそうだ。
彼女がサーヴァントという存在であれば感覚器官の同期や念話、主従双方が記憶を垣間見ることができるがこのプロテアはあくまで呪骸。サーヴァントではないはず。
「それはですね、マスターが呪骸さんを作る時に魂を込めてるから」
「……比喩?」
「文字通りですよ!ミミッキュさんも、マガツイザナギさんも、これからマスターが作るお人形さんも、もちろん私も、みーんな
ほうほう、つまり俺が作った呪骸たちは俺がお前でお前が俺で、我は汝で汝は我ってことか。
「──ミ゚ッ゙」
「ま、マスターッ!!?」
すまんプロテア……俺の頭が理解することを拒んじまったみてェだ……。
転生者くん
→畜生ォ……持っていかれたァ……ッッ!!(魂)
キングプロテアによってダービー(兄)&擬似真人、ないしは分霊箱みたいなことをしていた衝撃の事実に卒倒する。
これが転生者くんが呪骸を作る上での『縛り』の一つです。ノーリスクなんておいしい話はどこの世にもないんだねぇ。等価交換の法則は覆せないのよ。
他の呪骸たちもそのことについて理解はしていたが喋る口がなかった。
呪骸
→本当に命懸けで魂を吹き込んでいた。
核を生成する工程で転生者くんの魂の一部を使用しているため、突然変異のパンダと同じく人格が生える。
もし仮に核が破壊されてしまえば、その魂は跡形もなく消失する。
キングプロテア
→悪気はない。命令に従っただけなので。
物質世界に存在しているためステータス及びスキルはFGO準拠だが、仮にも領域であるマヨナカテレビ内で過ごしているため、それに応じた『成長』をする可能性がある。
ハイ・サーヴァント、地母神、マガツイザナギ、幾千の呪───(記述はここで途切れている)
東堂、感想は?
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さすがに限度というものがだな
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存在しない記憶が溢れ出す