魔王と勇者の恋愛録   作:アライグマ318号

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 みなさんお久しぶりです…………スランプがぁぁ!!(言い訳)
 あ、この話は前半です。
 そして今回は紗夜さん回です。

 そして最初に言っておきます。この2人、意外と仲悪いです。


第3話 魔王と勇者の愛してるよゲーム《前編》

「私、正直に言って真桜さんの事愛してますよ」

「奇遇ですね紗夜さん。俺もアンタの事愛してんですよ。」

「うふふ、相思相愛ですね、私たち。うふふふふふふふ」

「みたいっすね。あはははははは」

 

 紗夜と真桜の2人がお互いに対して愛の言葉を言っていると言うのに、この2人の目は氷点下を通り越して絶対零度というのも生温いほどの冷え切った瞳をしている。

 

「う〜ん……なんか違うなぁ……」

「リサ、やっぱりこれは失敗よ」

「ひ、氷川さんと真桜さんの目が……こ、怖い……です……」

 

 そして、そんな愛の言葉を囁き合う(?)2人を眺めるリサ、友希那、燐子の3人。部屋の隅で飲み物を飲みながらリサは悩ましげな声を漏らし、友希那は「やっぱりこうなるのね……」と言いたげな呆れた顔をし、燐子は2人の冷たい瞳を見て萎縮している。

 

「おはようございまーす!」

 

 そして、このタイミングで魔王こと、Roseliaのドラム……宇田川あこが練習室に顔を出す。

 

「いーや、俺の方が紗夜さんの事愛してます。そりゃもうこの世でもトップレベルに愛してますって。今すぐ悲鳴を轟かせたいくらいには。」

「いえ、私のほうが真桜さんのことを愛してます。今すぐ襲いかかって泣き叫ぶくらい滅茶苦茶にしたいほどには愛してるんですよ?」

「あっはっはっはっは」

「うふふふふふふふふ」

 

 あこが扉を開け、練習室にはいるとそこにはお互いに愛の言葉をささやきながらお互いに絶対零度の瞳を向ける真桜と紗夜がいたのだ。

 

「ま、真桜とさ、紗夜さんが……っ!?」

 

 扉の入り口で二人の声を聞き、真っ青な顔で絶望の表情を浮かべるあこ。

 

「う、宇田川さん!?」

「あ、やっべ」

 

 紗夜は扉の前で絶望するあこを見つけ驚き、真桜は小さく焦りの声を漏らす。

 

「ま、真桜が……真桜がぁ……っ!」

 

 あこは扉の前で瞳に大粒の涙を浮かべ、声を小さく漏らし始める。

 

「あらら……真桜、あとは頑張ってね☆」

「真桜?あこが泣いてるわよ。なんとかしなさい。」

「真桜さん、早くあこちゃんを泣き止ませて下さい。」

「悪いの俺だけなの!?」

 

 リサ、友希那、燐子の3人に半ばボロクソに言われ、真桜がキレるが、時既に遅し……

 

「真桜が紗夜さんに盗られたあああぁぁぁ!!!!」

「落ち着けぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

 その日。Cilcleの練習室には、あこの泣き声が轟くのだった。

 

 


 

 あこが到着する約数分前。

 

「湊さん、すみません……少し仮眠を取らせて下さい……」

「構わないわ。どうせまた真桜関連の苦労でしょう?」

「えぇ、まぁ……」

 

 トボトボと少し疲れた様子で練習室を出ていく紗夜。

 

「ねぇ、アタシは真桜の事にそんな詳しい訳じゃないから分からないけど、花咲川の方で何かやったの?」

 

 リサがベースをいじる手を止めて花咲川の生徒会長である燐子に尋ねる。

 

「い、いえ……真桜さんは……その……したと言うより、された側の人で……」

「どゆこと?」

 

 燐子が紗夜の出て行った扉の方を見つめながら解説を始める。

 

「真桜さんが花咲川の近くを通った際に不良に絡まれて……絡んできた不良を花咲川の敷地内に不法投棄して帰ってしまうことがここ最近頻発してるんです」

「えぇ……」

 

 リサが思わず呆れたような声を漏らす。

 

「氷川さんはその後始末に追われて、結果あんなにやつれてしまって……真桜さんも不良に絡まれないように気をつけるとは言ってたんですが……あの見た目と性格なので……」

「あらら、そりゃあ紗夜も怒るよね〜」

「はい……今、氷川さんと真桜さんが出会ったら、恐らく氷川さんが大変なことになってしまうかも知れないです……」

 

 思わずその場にいる3人が紗夜の出ていった扉を見つめる。

 

 ガチャ

 

「お、魔王と紗夜さん以外ぜーいんいるんすね」

「あ、噂をすればだ。」

 

 不意に扉が開いたと思うと、Cilcleのスタッフ制服を着ている真桜が現れる。

 

「あ、これうちの上司(まりなさん)からの差し入れっす。全員分のジュースなんで飲んでおいて下さい。」

 

 真桜の両手には計5本のジュースが抱えられている。

 

「あ、これは猫先輩の分で〜、こっちはりんりん先輩ので〜、これはリサ姐の分〜、そんでもってこれが魔王の分、そんで最後に紗夜先輩の分っと。」

 

 近くの机の上にノリノリで並べていく。

 

「助かるわ真桜。」

「あ、ありがとうございます……」

「ありがと〜」

 

 3人がそれぞれの分のジュースを順に取り、最後にはブドウジュースとサイダーが残る。

 

「あ、このサイダーは紗夜さんのだから俺が渡してきますね〜」 

「「「ぶっ!?」」」

 

 真桜は机の上に置かれたコーラを手に取ると、3人がいる眼の前で()()()()()()()()。突然のその行動に3人も思わず飲んでいた飲み物を吹き出す。

 

「ほっ、よっ、ふっ、はっと。」

 

 その場でお手玉でもするかのように投げ、振り回し、回転させる。唖然とする3人をよそに真桜は楽しそうにペットボトルを振り回す。

 

「そんじゃ俺はこれで。あ、魔王が来たらそのジュース渡しといてくださいね〜」

 

ガチャ

 

 そして真桜は扉をあけて仮眠中の紗夜の元へ向かう。

 

「………いやいやいや! 流石にアレは止めないとマズイでしょ!?」

「いえリサ、もう既に手遅れよ……」

「多分、1分後くらいには紗夜さんの悲鳴が……」

 

 3人が扉の近くに寄り、耳をくっ付けて外の音を探る。

 

「あ、紗夜さん何でこんなとこで寝てるんですか? 年ですか?」

「誰のせいだと思ってるんですか……怒りますよ?」

「え、俺のせいなの? 今月に入って俺が紗夜さんにしたことといえば……丸山先輩を脅しt……じゃなくてお話して紗夜さんのポテトにハバネロの粉末混ぜたことくらいですよ?」

「あのハバネロポテトはあなたが主犯だったんですか……(怒)」

「あ、俺その時の状況現場にいなかったんで知らないっすけど、おいしかったですか?」

「ハバネロごときが私のポテト愛を妨害できると思ったのなら、大間違いです」

「え、あの量のハバネロポテ完食したんですか? えぇ……(ドン引き)」

 

 2人の会話を扉越しに聞く3人。

 

「なんか……思ったよりも仲が良いわね。」

「っていうか、紗夜のあのハバネロポテトは真桜が黒幕だったのか〜」

「今井さん、知っているんですか?」

「まぁねー、この前紗夜とご飯食べに行ったときに、紗夜の注文したフライドポテトにだけ赤い粉末が大量に掛かってたから……」

「……食べたのね?」

「食べたんですね。」

「うん、もりもり食べてた。」

 

 いつかの日の食事を思い出すリサ。

 

「あ、それはそうと疲れて喉乾いてるんじゃないですか? これうちの上司からの差し入れです。」

「あぁ、サイダーですか……ありがとうございます。あとでまりなさんにもお礼を言っておいて下さい。」

「いえいえ〜、あ、それより冷えてるんで早く飲んだほうが良いですよ。」

「わかりました……きゃあああああああ!!!!!

 

 扉の外から聞こえる悲鳴に3人共ため息を吐く。

 

「ついに……はじまったわね……」

「どれくらいかかると思います?」

「う〜ん、1時間位?」

 

 3人がそれぞれ、2人が言い争うであろう時間を予測する。このことからも、2人が普段からどれだけ言い争っているかが分かるだろう。

 

「とりあえず行ってみよっか。」

「そうね」

 

 扉を開けるとそこには、案の定というべきか、地獄絵図が広がっていた。

 

「なんてことをするんですか真桜さん!!!」

「あ、さーせんそれおもいっきり振ってたの忘れてました〜」

「絶対わざとじゃないですか!! 怒りますよ!!」

「もう怒ってるじゃん」

「やかましいです! だいたい貴方はいっつも問題ばっかり起こして! そんなんだから宇田川さんに対してヘタレなんですよ!!」

「はぁ!? 魔王はなんも関係ねぇだろ!!」

「この前宇田川さんにいきなり抱きつかれて大好きって言われて裏で喜んでたじゃないですか!! さっさと告白して付き合えば良いんですよ!」

「うるせぇ! そんなのアンタに決められる筋合いはねぇだろ!!」

 

 2人の言い合いを傍観する3人。

 

「なんか話が変な方向にシフトチェンジしてない?」

「はい……いつの間にか話がお互いの悪口から……真桜さんの告白の件になってますね‥…」

「見てみなさい……あの2人、言い合いをしすぎて会話のレベルが小学生にまで低下しているわ……」

 

 友希那が2人の様子を再び確認する。

 

「紗夜さんのバーカバーカ!」

「授業寝てる真桜さんに言われたくないですよバーカ!」

「なんで俺が授業寝てること知ってんだよ!」

「あなたの行動なんて宇田川さんの惚気話で全部筒抜けです! 逃げられると思ったら大間違いですっ! 残念でしたねバーカ!」

 

 最早高校生の会話ではない。

 

「はぁ……2人の喧嘩癖にも困ったものね。」

「目と目が合った瞬間にはもう……喧嘩をする日々です……」

「う〜ん……あっ、この方法ならもしかして!」

 

 突如リサが手を叩き、まるで名案が浮かんだかのような顔をする。

 

「リサ、どうにかして2人を仲直りさせる方法でも思いついたのかしら?」

「うん、まぁね〜♪」

 

 友希那の質問にノリノリで応えたリサは、絶賛喧嘩中の真桜と紗夜に近づく。

 

「ねぇねぇ2人とも〜、ちょっと良いかな?」

「あ? なんすかリサ姐。」

「何か用ですか今井さん?」

 

 流石に2人も、喧嘩の間にリサが入ってきたことで言い合いを止める。そしてリサは、2人の動きを一瞬で止める魔法の言葉を言い放つ。

 

「2人ともいっつも“嫌い”とか“バカ”って言ってるけど、側から見たらソレ、お互いが照れ隠しで言ってるようにしか見えないよ?

「「………………なっ!?」」

 

 リサのたった一言で、真桜と紗夜は顔を真っ赤にしてフリーズする

 

「…………俺、紗夜さんのこと前々から結構好きでしたよ」

「…………奇遇ですね真桜さん、私も貴方のことが前々から好きだったんですよ」

 

 そして、真桜と紗夜の2人はどこかぎこちなくも、お互いの顔を見ずに“好き”と言い始める。

 

「どう?」

「ナイスよ、リサ」

「ナイスです、今井さん」

 

 リサが2人の方を見ると、友希那と燐子がリサに向けてサムズアップする。

 

「まぁ、これで喧嘩も収まるでしょうね」

「アタシ達はアタシ達で、練習しよっか?」

「そうですね……あこちゃんが来るまで、まだ時間もありますし……」

 

 そんな感じのなんとなくの雑談をしながら3人は紗夜と真桜よりも一足先に練習室に戻るのだったが…………

 

「遅いわね、紗夜。」

「う〜ん……アタシ達が練習室に戻ってから10分近く経ったけど、まだ戻って来ないね、紗夜……」

「まさか……まだ真桜さんと言い合いをしている……とか?」

「いや〜、流石にそんなに長く言い合いをする訳……」

「そうよ、いくらあの2人でもそこまで馬鹿じゃ……」

 

 ふと、燐子の発言にてリサと友希那の言葉が詰まる。

 

「「「…………」」」

 

 一度楽器をいじる手を止めると、3人は再び練習室の外へ向かい、扉を開ける。

 

「だから! 私は貴方のことが誰よりも好きなんです! 異論は認めません!」

「それだったら俺だって紗夜さんのこと好きだね! そりゃもう1番好きだわ!!」

「「ぐぬぬぬぬぬっ!!」」

 

 扉を開けるとそこには、もはや怒鳴り合いレベルで告白をする紗夜と真桜の2人がいた。

 

「ねぇ、あの2人は何がしたいの?」

「さぁ? 変わったカップルがいるものね……」

「ねーねーおかーさん、僕知ってるよ! あれってバカップルって言うんでしょー?」

「コラッ、指を刺しちゃいけません!」

 

 廊下でイチャイチャしている2人を指さす来客が残した言葉が、その状況を見ていた3人の心に突き刺さる。

 

(((うちの子達が……本当にすみません……)))

 

 3人とも、申し訳ない気持ちでいっぱいになるのであった。

 

「俺の方が紗夜さんのこと好きだ!」

「いいえ! 私の方が真桜さんのこと好きです!」

「はいはいっ! もうその件はいいからとりあえず2人とも中に入ろっか!!」

「ちょっ、今井さん!?」

「何するんすかリサ姐!」

 

 2人の様子を見かねたリサが2人の襟首を掴み、音漏れの心配がない練習室へと引っ張る。

 

「お願いだから2人とも、これ以上恥を晒さないでちょうだい……」

「その……多くの人が見ているので……」

「離せよリサ姐! 俺まだ紗夜さんに言っておきたいことがあるんだけど!?」

「離してください今井さん! 私は真桜さんにまだ伝えなきゃいけないことがっ!」

 

 結局、友希那と燐子の心の底からの声を2人は聞いておらず、そのまま2人は練習室へとリサによって強制入場させられるのだった。

 

 




 スランプから復帰ができん……ネタは思いつくのに文章がなぁ……投稿頻度増やせるよう頑張ります……

 てかクオリティが多分落ちてる……

どれ読む?

  • 魔王と勇者の呪い方
  • 魔王と勇者の日常(家)
  • 魔王と勇者のデート
  • 羽丘1年'sの勉強会
  • 新キャラ(悪魔)の登場回

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