やはり俺がS級隊員なのは間違っている   作:静寂な堕天使クロノス

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というわけで今回は前回の続きからです。
今回はどの隊員が登場するのでしょうか.....?
それと間違いがあったのですが八幡がネイバーと模擬戦やるのは入隊試験ではなく入隊指導でした、間違えてしまって申し訳ないです.....


由比ヶ浜結衣①

「で、さっきのはどういうことだ。言っとくが俺はまだお前の入隊を認めてないぞ」

 

「そう言われ続けてらうちにね、小町は考えついたんだよ。もうお兄ちゃんの意見を無視して勝手に入っちゃえばいいんじゃないかって。だからこっそりもう入隊試験を受ける手続きを済ませちゃったってわけ」

 

おいこら割と重要なことを唯一の家族の許可なくやるな。

いや、そうしたら入隊試験受けれないんだけど。

 

「....こないだ雪ノ下たちと話したからか?」

 

「そだねーそれはきっかけ、でも小町がボーダーに入りたいって思ってる理由は昔から変わってないんだよ?」

 

「俺を守るってやつか....」

 

俺はS級隊員だ、流石に傲慢だとは思うがA級が数人がかりできても互角以上に戦えるだろう。

そんな俺を守ると、そう言う小町を抑えてるのはその自負からだ、俺はお前を守れる、もう守られる事はあってはならないと。

 

「そう、お兄ちゃんはもう何もできずに人がいなくなっちゃうのが嫌なんでしょ?」

 

「そうだな.....」

 

「それは小町も一緒、お兄ちゃんはきっとすっごい強いんだろうけど.....そう思ってたお父さんも......だから何があるかわからない。もしお兄ちゃんより強い敵が来た時....また何もできないのは嫌だ」

 

でも.....そうだよな。

無力なままでいることの怖さは俺も知っている。

小町にその感情を感じさせてると言うのなら.....

 

「そうか、わかった。なら試験頑張れよ」

 

「え?そんなすぐ認められちゃうの?」

 

「認めてほしくないのならそうしてやるぞ?」

 

この言葉も照れ隠しなのだ、妹の思いを頑なに拒んでいた罪悪感もある。

 

「いやいやそれはやめて!」

 

「言っとくけど入隊試験でつまづくようなら次はないからな」

 

まぁ俺の妹だ、そんなことはないと思うけどな。

 

「....ありがとねお兄ちゃん」

 

「そういうのは入隊できた後に残しとけ、後入隊したら戦闘の基礎は叩き込んでやるから覚悟しろよ」

 

「えーお兄ちゃんから教わるなんてやだー」

 

「いや俺から教わるとか正直めちゃくちゃレアだからな.....?」

 

「でもなんかやだ」

 

そうやり取りするが入隊する以上小町には強くなってもらわねば困る。

戦場にお互い立ったのならばいつでも助けられるとは限らない。

ならば強くなってもらわねば困るのだ。

 

「譲歩には譲歩での対応が礼儀ってもんだ、諦めろ」

 

「えー」

 

そんなふうに思いもよらず軽い感じで今まで頑なに拒んでいた小町の入隊試験を認めた俺は思いの外スッキリした気分だった。

 

*****

 

そうしたことがあった翌日、それでも学校というものが存在してしまう。

本来なら学校などサボりたいところであるが太刀川さんを筆頭としたダメな年上を見てるとそん中と思えなくなるから不思議なものだ。

 

「あ、ようやく来た!」

 

そして、その朝もまた俺に平穏が訪れはしないことがこの時点で確定してしまった。

本当に神様がいるなら俺のこと嫌いすぎない?

なんで下駄箱周辺で張り込んでるわけ?

今は人があんまいないからそこまで目立ってないものを.....

 

「.....」

 

「え?無視!?」

 

「すいませんちょっと先を急いでいるので.....」

 

「しかもなんかよそよそしい!?」

 

朝から元気なやつだな、そしてツッコミのキレもなかなか.....

 

「はぁなんの用だよ」

 

「ヒッキーに聞きたいことがあって.....」

 

「お前もか.....」

 

「え?あたし以外にもなんか質問されたの?」

 

「ああ、雪ノ下からな」

 

「あ、そういえばゆきのんから昨日次の試験を受けるって聞いたな〜」

 

もうそんな仲良くなってんのお前ら?

もう隊組めよ、実力によっては小町放り込めるから。

 

「で、質問ってのは?」

 

俺としては人が来る前に話を切り上げたい。

 

「あ、そうそう質問なんだけどさ....」

 

雪ノ下といい小町といい真面目なやり取りを繰り返してきてるからなどんな質問でも今なら真面目に答えられる気がする。

多分気のせいだけど。

 

「ボーダーの入隊試験ってどうやれば受けれるの?」

 

.....

 

「.....じゃあな」

 

「え?ちょっと待ってなんでそんな冷たい目つきで見てくるの!?」

 

こいつに真面目な話を期待した俺がバカだった、本当に。

 

「その質問には俺よりも適任な奴がいる、ついてくるなら勝手についてこい、ただ5m以上離れてくれ」

 

「何その条件!?」

 

結局由比ヶ浜は着いてきたし5m後ろを歩くこともなかった。

 

「と、いうわけで戸塚そこら辺の説明任せていいか?」

 

別に俺もなんとなくなら説明できるが由比ヶ浜に関してはしっかりと説明しないとダメそうな気がするので最初から戸塚に任せるほうがいいだろ。

戸塚の方が話すの上手いしな。

 

「うん、僕でよければ説明させてもらうね。よろしく、由比ヶ浜さん」

 

「こっちこそよろしくお願いします」

 

緊張してるのか謎に同級生に向かって敬語を使うJK(コミュ力高め)

と見た目は完全にただの美少女(隠れファン多め)の2人が一緒にいると絵になるせいかチラチラとこちらを見てくる視線を感じる。

カゲさんがいたなら間違いなくキレてた。

てか俺も居心地悪いから離れたいけどなんか今更離れるのもアレだしな.....

 

「え!入隊試験って筆記試験や面接とかまであるの?」

 

そんなことも調べないで試験を受けようとしていたことに驚愕だわ。

 

「うん、でも基本的には余程の素行不良がなかったりしなければ入隊させてもらえると思うよ」

 

「そっかーよかった〜」

 

ちなみに筆記が重要視されてしまうとボーダー内でも有数の実力者たち数人がやばいことになってしまう。

 

「基本的にはほとんどの人が入隊は認められるけど入隊してc級隊員になってからがまた大変なんだ」

 

「そうなんだ、ねぇヒッキーそれってどれくらい大変なの?」

 

ナチュラルに俺を会話に巻き込むな、周囲の主に男子からの視線がこっちに向いちゃってるから。

 

「俺は特殊なケースだから入隊試験は受けてないしその後のことも実際に経験してない」

 

なにしろボーダーが今のような大きな組織になった時には俺はすでに黒トリガー使いだった。

つまり即S級になってしまったので真っ当な隊員とはだいぶ違う。

 

「え?それってヒッキーまさかの裏口....」

 

「そんなわけないだろ、てかお前は一応俺がそれなりに強いのわかっねるだろ」

 

何を思って俺はこんな恥ずかしい中二病拗らせた奴みたいなことを言わなきゃいけないんだよ。

 

「そうだけど....じゃあヒッキーは強いから特別ってことなの?」

 

まぁその解釈も間違いではないがボーダーにはノーマルトリガーで黒トリガーと渡り合えるような猛者たちが存在するためなんか肯定しにくい。

 

「というかお前も場合によっては俺と同じ待遇になる可能性はあるけどな」

 

これは一応嘘ではない、限りなく可能性は低いし可能なら新たな黒トリガーが生み出されることなどなければいいのだが。

 

「あたしもヒッキーくらい強くなれるかもってこと?」

 

「まぁ違うがそれはお前の努力次第だ」

 

俺は昔からあまり黒トリガーを語ることを好まない。

もちろん情報秘匿の意味もあるがそれ以上にこの黒トリガーのできた経緯を知られて同情されるのがイヤだからだ。

 

「じゃあ、あたしめっちゃ頑張ってヒッキーと同じくらい強くなる!」

 

いきなりその思考に辿り着けるのはさすがアホの子と思わんでもないがこういう時こういうバカは強くなれるのだ。

バカは目標まで突っ走れるのが強みだ。

 

その点で言うなら雪ノ下は頑固なバカだしだし由比ヶ浜はただのバカだし小町だって割とバカだ。

ただの予感だがこの3人はかなり強くはなる気がする。

 

「そうか、まぁまずはB級まで這い上がってくるんだな」

 

もちろんボーダーにも才能がありすぎるあまりほぼストレートでA級に昇格する奴もいるにはいるけど。

 

「うん!待っててね!」

 

そのまま嵐のように訪れた由比ヶ浜は去っていった。

 

「次の入隊式が楽しみだね」

 

「ああ、そうだな。ああそうだ実は小町が入隊することになったんだ」

 

「本当に?」

 

「ああ、流石に強硬手段に出られたらどうしようもない」

 

「それなら尚更楽しみだよ!八幡が入隊始動の時に模擬戦やるっていうのも聞いたし僕もこっそり見にいっちゃおうかな」

 

.....あ、そういえば俺模擬戦やることになってたじゃん。

てことはあの3人の前でやるってこと?

まぁそれくらいいいか.....

 

「そう言えば八幡、伝言なんだけど今日嵐山さんが入隊指導の時のことを打ち合わせしたいから八幡にも参加してほしいって」

 

確か今日は特に予定はなかったし出れるだろう。

 

「わかった、まだ気は進まないけど行ってくる」

 

「うん、頑張ってね」

 

その時HR前の予鈴が鳴る。

 

「じゃあ僕そろそろ先に戻るね」

 

「ああ、またな」

 

ちなみに今日は戸塚はオフをいただいたらしくまだあまり顔を出せていないテニス部に参加するつもりらしい。

俺もたまには好きなことして過ごしたいと思いつつその日の学校の時間も過ぎていった.....

 

 

*****

 

「失礼します」

 

「お、来てくれたか比企谷。来なかったらどうしようかと思ってたぞ」

 

「そうしたいのは山々でしたけどそうするとなんかひどい目に遭う気がしたので」

 

多分その場合東さんに報告されて例の罰が執行されたことだろう。

 

「今日は俺たちだけですか?」

 

「いや、今日は俺の隊を含めて新入隊員の前に立つ人全員に声をかけてある」

 

まぁ嵐山さん率いる嵐山隊といえば通称ボーダーの顔といわれメディア露出、新入隊員の指導など通常任務やランク戦に加えて相当なハードワークをしている隊だしそんな時間を取れないのか。

 

「こんにちは、比企谷さん」

 

「おう、それなりに久しぶりだな」

 

「そうですね」

 

なんで嵐山さんと話していたら嵐山隊の隊員の1人である時枝充こと通称とっきーが現れる。

いつも何を考えてるのかよくわからず感情の起伏は薄いがさりげなく気を遣える近くにいるとめちゃくちゃありがたい人間だ。

 

「比企谷さん、今回はちゃんと来たんですね」

 

そして続いて嵐山隊の新エース、木虎藍が入室してくる。

正直こいつは苦手だ、雪ノ下と同じよう基本生意気な性格をしているためだ。

ただし当然中学生ながらにA級まで上り詰めてるだけあって自分にも他人にも厳しいという典型的なタイプでもある。

 

「今回はって一応俺は殆どのことはちゃんとこなしてるんだが」

 

「少し前に上層部からの呼び出しをすっぽかしたとお聞きしましたが?」

 

ぐっ、ほんとに可愛げがないなこいつ.....

 

「それはまぁアレだ、致し方ない事情が」

 

国近さんとめっちゃゲームやってました、すいません。

 

「まぁ来てくださったならいいです」

 

ほんと顔はいいのになこいつ.....

 

「あ!八幡さんがもういる!めっずらし〜いつも会議は基本遅刻ギリギリなのに」

 

「うるせーぞ佐鳥」

 

「相変わらずの扱いだな〜」

 

そしてそのさらに後ろにいるのが嵐山隊の狙撃手、佐鳥賢。

唯一無二の凄技であふツインスナイプを編み出した紛れもない実力者だがそのうざい言動やドヤ顔のせいで評価がいまいち上がらないというやつでもある。

 

「そういえば嵐山さん、今回って俺含めて何人くらい呼ぶんです?」

 

「なるべく多くのトリガーを見せたいからな、それなりの人数に頼んである」

 

できればやりやすい奴らが多いならありがたいが.....

 

「それと俺の妹も今回入隊するんでよろしくお願いします」

 

「おっ、あの妹好きの比企谷がついに許可出したのか?」

 

正直妹好きとか嵐山さんにだけはあんま言われたくない。

 

「八幡先輩、妹さんがいらっしゃったんですね」

 

「めっちゃ可愛くて全然似てないけどな〜」

 

「黙れ佐鳥、それ以上なんか言ったら殴るぞ」

 

「相変わらず理不尽だな〜」

 

「でも本当に意外ですね、あの比企谷さんが妹さんの入隊を認めるなんて」

 

さっきから思ってたけど俺が小町の入隊に反対してる話そんなに有名だったの?

 

「おう、悪いな待たせたか?」

 

お、そんな話をしてたら模擬戦やるはずの1人が来たみたいだな。

そしてこの声は....

 

「今回は協力してもらって悪いな、弓場」

 

「そんなこと気にすんな嵐山、これくらいどうってことはねぇ」

 

弓場さんはガンナーの中でもトップクラスの早撃ちと威力を持つリーゼントが特徴的なインテリヤクザだ。

ただ圧倒的に面倒見がいいことから別に怖がられたりはしていない。

 

「比企谷も久しぶりだな、久しぶり今度ツラ貸せよ。また帯島に稽古つけてやってくれ」

 

「.....また時間がある時にでよければ」

 

「おう、頼むぞ」

 

基本的に俺もこの人にはお世話になる側の人間だったりするため頼みを断れないのが辛いところだ。

別に何本か10本勝負やるくらいだからいいんだけどな。

 

「うーす、おっもう結構揃ってる感じか?」

 

「太刀川さん、今回は協力ありがとうございます」

 

「気にすんな、それくらいならお安い御用だ」

 

いや模擬戦やるだけでNO.アタッカーは豪華すぎないか?

確かにこの人の戦闘スタイルかっこいいけどさ.....

 

「それに....もしかしたら新入隊員の中に面白い奴がいるらしいからな」

 

ん?いるらしい?なんでもうそんなこと知って....ってそんなの一つしか理由はないか....

 

「迅さんから聞いたんですか、それ」

 

「よくわかったなぁ、そうだ、あいつが言うなら間違いないだろ」

 

ほんとこの人の行動理念はどうやったら戦闘から離れるんだ?

 

「失礼します、遅れてしまいましたか?」

 

「いいえ、時間通りです」

 

「そう、ありがとう木虎ちゃん」

 

なるほど那須か、バイパーを自在に操って敵を倒す那須は確かに印象に残りやすい、ついでにボーダー内でも人気が高いほどのビジュアルも兼ね備えている、間違いなく適任だ。

 

「あら比企谷君、久しぶりね。と言ってもこの間ランク戦しているところを見たけれど」

 

「今更俺のランク戦なんて見たって仕方ないだろ」

 

実際俺よりも那須の方が弾を操る技術は上だ。

 

「そんなことないわ、また勉強になったわ」

 

そう言って微笑んでくる那須、可愛い系というよりは綺麗系と言われるその笑顔は淑やかながらとてつもない破壊力を誇る。

 

「よし、これで全員揃ったな」

 

「揃ったってことは模擬戦をやるのは俺たち4人なんですか?」

 

「あとは木虎にも模擬戦をしてもらう予定だ、これでかなりのトリガーを実際に使うところを見せられるはずだ」

 

なるほどな、ただ絶対に同じものを使わないだろう黒トリガー見せる必要あるか?

 

「それじゃあ、質問がこれ以上ないなら話し合いを始めるか」

 

そうして話し合いは始まった。

しかし俺はこの時まだ気づいていなかったんだ。

この新入隊員指導があの人の手のひらで転がされていることに.....




今回はここまでです。
そして今回すでにあの人の暗躍が進んでる可能性が?
というわけで次回の更新をお待ちください

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