兵器切望シンフォギア   作:Mr.エゴイスト

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逃げる。逃げる。逃げる。

「どうしてこんなことに」と思いながらそれでも背中の少女を置いてくなんて選択肢は出てこなくて、やっとの思いであいつらから逃げ続ける。

 

ツヴァイウィングのCD。

それと特典欲しさに寮を飛び出たのが放課後。

店先に散らばる黒い炭の山と悲鳴。

あいつらの群れとこっちに必死でかけてくる少女を見つけた時には、もう身体は駆け出している。

 

手を引きながら路地に入った背中を追いかけてくる爆音を合図に、逃走劇が始まった。

 

 

 

 

 

 

罅割れたアスファルトに黒い塵が舞う。

蜘蛛の巣のように這ったその中心部で静かに声が響く。

「現場に到着。お仕事始めますよって」

『すまないがそこでノイズを食い止めてくれ! 奏者の到着までまだ時間がかかる!』

「アイアイ・ボス」

 

 

 

 

 

 

「っはぁ…! 大丈夫!?」

大きく息を吐き、背負った子へ声をかける。

ある程度離れてノイズは視界に映る程度だ。

ただ、シェルターの方向からは遠く、川を渡って濡れたまま走った体はひどく気持ちが悪い。

「死んじゃうの? 私死んじゃうの!?」

「ッ!」

これは、駄目だ。

不安は、他人にうつる。

私がかけた声は、この子に対してきっと私の不安を吐露したものに聞こえたのだろう。

 

 

長い息を一つ。

「大丈夫」

相手を思いやるように。

自分に言い聞かせるように。

「こんなのへいき、へっちゃらだから!」

私の身体は、まだ動く。

 

 

 

 

 

(どうしたらいいの!?

ここからどうすればいい!?

どうやったらこの子をお母さんのところに――)

結局私は逃げきれなかった。

目の前にはノイズの群れ。

薬品倉庫の屋上へ上り切ったそこへ待ちかまえていたあいつらは、その液晶にも似た顔面に砂嵐を浮かべてこちらを包囲している。

 

 

「ヒッ…」

抱えた女の子が小さく声をあげた。

「大丈夫」

私に何ができるのかはわからないけれど

「絶対に大丈夫だから」

私には何もできないかもしれないけれど

「生きるのをあきらめないで!」

――光が、奔った。

 

 

 

 

 

 

 

基地と呼ぶべきだろうか。

いくつも展開されていたモニターと機材。それらを注視する人員がそろった其処。

そのうちの一人が通信を飛ばす。

「避難誘導完了!

 ノイズ群の向かう先も特定しました!」

『当てはどこです?』

静かに帰ってくる声。

 

「薬品工場地跡!!」

『シェルターからずいぶん離れたところに…!!』

もう一人からは焦ったような返答。

 

「どうやらそちらに向かって逃げている人を追いかけたらしい!」

『なんて間の悪い…。そちらに向かいます!』

「この際だ、最短距離を」

 

奥で構えた男が声を飛ばそうとしたその時

 

「待ってください! 高エネルギー反応が!」

「反応、絞り込みました!」

「まさか、アウフバッヘン波形!?」

「パターン解析、出ました!」

 

真正面のディスプレイに結果が出る。

「これは」

「ガングニールだとぉ!?」

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