兵器切望シンフォギア   作:Mr.エゴイスト

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体中を貫く激痛が幾度か。

漏れ出る悲鳴を湧き出る歌で塗りつぶした先に、視界が開けた。

 

 

「えっと、ナニコレ…?」

両手に何か、手袋がはまっている。

それどころか制服だったはずなのに金属みたいな何かが体の所々にくっついてて…。

「おねぇちゃん、かっこいいね!」

「え? …うん!」

まるであの時見たツヴァイウィングの二人みたいで、

「しっかりつかまってて!」

なんでか、大丈夫だって思えた気がした。

 

こちらを伺うようなノイズの群れを見据える。

胸に抱えた小さな命を落とさないように強く抱えて、深く息を吸う。

心の内から歌が響く。

四肢に力が入って、飛び出そうとしたその時。

 

 

『……2…1! 0! エンゲージ!』

「え?」

 

 

耳が、音を拾った。

私の口から歌がこぼれるよりも先に、聞こえたささやかな声。

思わずそちらに視線を向ければ、はためくような音を連れて落ちてくるものがある。

それが人なのだと気付くころには、その人は握った手を引き絞るように構えていて

「はぇ?」

私とノイズを遮るように爆風が起きた。

 

 

 

「今度は何ー!?」

飛んでくる埃や風に背を向けて女の子を庇う。

幸いすぐにそれらは止んで、向き直ることができた。

「おねぇちゃん…」

「…!!」

黒い砂嵐。

罅割れたコンクリート。

いくらか減ったノイズの群れ。

それらの中心に、ゆらりと立ち上がる人がいた。

その男の人はこちらに視線を向けて、それからゆっくりとノイズに顔を向ける。

「よぉ頑張ったなぁ、お嬢ちゃん」

不思議と、静かに聞こえる声だけがその場に響く。

「でももうちょい頑張れるか?」

「ッはい!」

「ええ返事じゃ」

応えるように立ち上がる。

「そしたらば、何とか逃げてくれ」

今度こそ、心の歌と共に世界が動き出した。

 

 

 

「ヘイ、ボス。パッケージとの接触に成功しましたぃ」

『よくやってくれた! もうすぐそちらに増援が向かうから、それまで頼むぞ!』

「アイアイ。た~だ…」

先ほどまで少女がいたあたりを見回して男が呟く。

「ちょいと難儀やもしれませんぜ?」

片手に張り付いた黒墨を軽く振り払い、屋上から飛び降りた。

 

 

 

(身体が、動きすぎる…!)

駆け出そうと踏み出した足は屋上から遥か離れて空中にあった。

いきなりの自由落下に手足が寒くなる。

(ッでも! この子だけは!!)

抱えた手に力を入れ、地面を見据える。

体勢を整え両足から、着地。

「…つぅ~…」

痺れが襲ってくるも気にしてる余裕はない。

だってまだ周りには。

 

 

炭の塊が吹かれて黒い砂嵐になる。

そこに立つ槍と剣を持った二人の影。

いつか見た光景が脳裏によみがえって、

「ツヴァイ、ウィング…?」

歌じゃない私の言葉がこぼれていた。




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