もしもオネストが綺麗だったのなら   作:クローサー

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前回登場した銃器 パトリオットが「機関砲」なのは、帝国の独自基準「1人(何らかの補助無し)で運用可能であるか」という基準を超えている為です。


急襲

帝都及び帝国の中枢機能を司る宮殿には、幾つもの施設が備わっており、必要によって拡張措置が為されている。

 

一つ、帝国皇帝が安心安全に1日を過ごす為の住居。

一つ、帝国の重臣達が快適に仕事をする為の内政施設。

一つ、宮殿を守る為の防衛機構。

一つ、帝都周辺を専門に防衛する精鋭部隊「近衛兵」の駐屯施設。

一つ、帝国全土に活動を続ける帝国特務隊の本部機能。

 

他にも雑多な機能や施設は存在しているが、特筆するべきものは以上になるだろう。

そして、最後に記載された帝国特務隊の本部機能。一番新しく設置されたそれは、主要機能としては唯一宮殿の地下に設置されている。これは特務隊の機密性の維持と、腐敗派が利用していた施設の再利用を兼ねている。元の施設機能を全て撤廃させた上で、入念に罠や隠し通路が無いかを二度に渡って徹底的にチェックし、安全が確認された上で再利用している。これに関しては特務隊内部で議論はあったが、宮殿に無闇なデッドスペースを作りたくない事と、革命軍や異民族への防諜には最も適しているとして、最終的にオネストの鶴の一声によって再利用が決定された経緯を持つ。

 

 

では、特務隊本部設立の説明はここまでとしよう。

その本部の中にあるミーティングルームの一つに何人かの人物が顔を揃え、一つの会議を開始しようとしていた。特務隊司令官を筆頭に何人かの部隊長とクロメ、セリューはそれぞれ何枚かの書類を持っており、これから始まる会議の題材に関する詳細な内容が記載されている。

…ちなみにクロメだけは、片手をお菓子袋に手を突っ込んでは、お菓子を取り出してマイペースにパクパクと食べている。

 

「では、これより「ハクバ山」の革命軍基地攻略作戦の1次ブリーフィングを開始する。まずハクバ山周辺の地理及び革命軍基地の位置、そして防衛施設の詳細位置は2ページから記載されている。ハクバ山周辺は高度が比較的高く、自然は乏しい。隠密による接近は一定距離が限界だ。他にも書類に記載されている通り、外周だけでも防衛壁などの防御機構や1個大隊相当の防御部隊が周囲に展開しており、正面からぶつかれば攻略に時間が掛かる。その間に基地の上層部が逃走する可能性が高い。かと言って隠し通路からの侵攻も、侵攻ルートが限られて結局は同じ事になる」

「そこで、だ。今回はコンビクト(セリュー)に加え、「スズラン(クロメ)*1も加わる事となった」

 

司令官から発せられたその言葉に、クロメがいる事でそれとなく察していた事が真実であると、各部隊長とセリューは確信を持った。

 

 

「ここまで来れば、皆察している事だろう。この作戦に於いてオネスト大臣より()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()。つまり我々の襲撃による牽制よりも、確実に殲滅する事を優先して良い。それを前提とした上で、作戦を説明する」

「まず、作戦参加部隊はベータ1〜7。そしてコンビクトとスズラン。7個小隊と帝具使い2名だ。作戦開始予定時間は6日後の夜中。まずベータ1とスズランは限界距離までハクバ山へと接近。ベータ2〜5とコンビクトは後方及び基地側面で待機し、ベータ6、7はハクバ山の隠し通路を封鎖しろ。限界距離まで接近が完了、もしくは到達前に気付かれた際には即座にスズランの奥の手を発動。それを合図に全部隊の攻撃を開始する」

「大半はスズランの奥の手で片付くだろう。しかし未確認の帝具使いが居た場合、革命軍の対処が早かった場合はその限りでは無くなるだろう。その際はコンビクトとベータ各部隊が第二の槌として、ハクバ山の防御を完全に破壊する」

「なお、ハクバ山に潜んでいる上層部は可能ならば捕縛せよとの事だ。ハクバ山の革命軍リーダーの名前はスザク。風貌は書類に記載されている。しっかりと頭に叩き込んでおけ」

 

「何か質問は?………では解散」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6日後の夜中。

帝国東部の山岳地帯にあるハクバ山。其処には帝国特務隊の諜報部隊(チェルシー)が掴んでいた通り、山賊に扮した革命軍の前線基地が存在しており、帝都周辺への組織的なアクセスを可能としている場所だ。故に防御も硬く設定されており、山賊討伐を前提とした帝国部隊なら容易に撃退、どころかその気になれば殲滅さえも可能とする攻撃力を兼ね備えていた。

 

だが其処に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()となると話は全くの別だ。

 

「…此処だな」

 

気付かれずに革命軍基地へ限界まで近付く事になったベータ1の面々とクロメ。彼等は薄く広く展開し、刀型の帝具「死者行軍 八房」を持っているクロメは兎も角、ベータチームは普段の任務では使用機会が少ない剣によって、警戒要員を暗殺する事で革命軍の警戒網の一部分を壊滅させ、突破。遠くからではあるが、革命軍基地を目視出来る高台にベータ1の第1分隊とクロメは到達する事に成功していた。

 

「此方ベータ1-1。目標地点に到達」

『ベース了解。他のベータチームは配置に付いている。其方の合図でいつでも始められるぞ』

「了解」

 

手早く無線の周波数を変え、全部隊に通信を開始。

 

「総員、戦闘準備」

 

その通達により、ベータチームの各員は隠密装備の剣を納刀し、背中にマウントしてあった通常装備の銃器を手に取り、初弾を装填する。帝国特務隊は隠密行動などといった理由が無い限り、銃器による中遠距離戦闘を得意とする。

 

()()()()()()()。大抵の人間は超音速で飛んでくる弾丸の弾幕を、回避したり受け流したりなどは出来やしない。そんな事が出来るのは、常人離れした身体能力と練度を兼ね備えた者しか出来ない芸当だ。そんな芸当ができる人物でも、多方面から数十数百の弾丸の嵐を凌ぐのはとても困難だ。死を回避出来たとしても、ほぼ確実に何かしらの負傷を負って当然。そうでなくとも大量の体力を浪費する事になる。そうなれば、後は負のスパイラルにもつれ込ませれば、如何なる強者でもやがて死を迎える。

 

──技術(現実)実力(浪漫)を叩き潰す。これが帝国特務隊の基本戦術だ。

 

 

「解禁だ、スズラン」

「了解」

 

──その例外が特別隊員、帝具使いという事になる。やはり現代に於いても新規製造が不可能な超兵器に相当する帝具に適合し、その力を振るえる者の戦力価値は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()。帝具にはそれ程に強力な能力が備わっていると言う事だ。

 

ベータ1-1の隊長から声を掛けられたクロメは前に出て、目を瞑って集中を高める。

 

──クロメが持つ死者行軍 八房は、八房によって切り捨てた生物を呪いで「骸人形」にし、生前の能力そのままに最大8体を操る能力を。

──セリューが持つ魔獣変化 ヘカトンケイルは、巨大化及び不死性と耐久力による驚異の独立戦闘能力を。

──ボルスが持つ煉獄招致 ルビカンテは、強制消火が困難な特殊業火による火炎放射攻撃を。

 

 

「ふー…」

 

息を吐いてゆっくりと目を開き、両逆手で構えた八房を高く振り上げる。

 

──そして、一部の帝具には「奥の手」と呼ばれる、帝具の中でも必殺級の機能を併せ持った帝具が存在する。

 

「…ッ!!」

 

そして八房を振り下ろし、刃先が地面に突き刺さった。

 

 

「死者行軍!!」

 

 

──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

*1
クロメのコードネーム。花の一種であり、花言葉は「再び幸せが訪れる」「純粋」「純潔」「謙遜」を指す。




ハクバ山
アカメが斬る!零に登場する革命軍の偽装前線基地。今作では原作よりも早くアカメが脱走した為、現在まで壊滅を逃れていた。

死者行軍 八房
クロメが保有している帝具。本編でも解説したが、八房で斬り殺した生物を「骸人形」にし、()()()()()()()()()()()()8()()()()()能力を持っている。
なお、原作では奥の手は()()()()()()()

次回、「死者行軍」。
(出すかどうか悩みつつ)ずっと温めてきたオリジナル設定のお披露目です。
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