まだ描写出来てないキャラが何人もいるけど、ビビッと来てくれないんだよなぁ…
「…なんだ、これは…」
帝都に近いハクバ山前線基地の定期連絡が途絶え、現状確認の為に派遣された革命軍部隊は、目の前の光景に愕然とした。
いや、この言い方では表現が足りない。より正確に言えば、そこに広がるのは壮絶な破壊痕とそれによって崩壊したハクバ山前線基地。
基地周辺にあるクレーターは、何かの砲撃によって生まれたのだろうか?だとすれば帝国軍の攻撃か?いや、それならば周辺の木々が薙ぎ倒されている事の説明が付かない。軍隊ならばそんな不必要かつ無意味な破壊行動を行う訳がない。ならば危険種の襲撃か?いや、ハクバ山前線基地にも対危険種用の大型兵器や防御機構は幾つか配備されていた。それに凡そ一万という兵隊の数による戦力の保障。これらを突破するにはそれこそ生きる伝説と謳われる「超級危険種」でもない限りは困難だろう。しかし、その場合を考えても破壊痕が余りにも
そして、何よりの違和感。何よりの異常。
散開して基地周辺の状況を確認し、再集合した彼等は各々の情報を共有。事態を断片的ながらも把握する。
「一体、ここで何が…」
「…「死の幕引き」だな」
殆どの者達が異常な状況による意味悪さに顔色を悪くしている中、ほぼ唯一冷静さを保っている部隊長が、その言葉を発した。
「死の幕引き…?それは一体?」
「………恐らく、というよりも十中八九これに関しては緘口令が敷かれる事だ。他の者達には他言するなよ。俺が知る限りでは数ヶ月前から、革命軍の基地の定期連絡が途絶え、確認に向かった所…この基地のような状態に変貌している「現象」が発生している。その手段や正体は一切不明。何せこの現象を目撃したであろう者達は皆、パッタリとその消息を絶っているんだからな。上は士気低下や混乱を防ぐ為に緘口令を敷いてはいるが…」
「馬鹿な、こんな事が既に何回も発生してるって言うんですか!?」
「ああ、そうだ。幕引きの事を知ってる奴らは皆、これが帝国の仕業なんじゃないかって事は薄々勘づいてる。だからこそ、
「そんな…」
「…これ以上の捜索は無意味だ。1秒でも早く報告に戻るぞ」
…
革命軍結成のきっかけは、数十年前。
当時の帝国は腐敗に塗れ、地域という地域は貧困に喘ぎ、毎年数多くの者達が飢えによって死んで行った。それに対して帝都は地域から重税によって巻き上げた大金と、腐敗によって積み上げた大金によって繁栄を極めていた。それによる不満と我慢は、長い時を経て限界を超えていた。
武器を取らねば、戦わなければ生き残る事が出来ない。生き残るには、帝国と戦わなければならない。
革命軍結成のきっかけとなったのは、「そうするしかない」という切実な理由からだった。常人ならば誰だって、最初から人を殺したり国を倒そうだなんて思いはしない。
結成後は地下組織の一つとして長い長い潜伏期となる。革命の思想を説き、「民の為の理想国家建設」というビジョンを見せ、協力者を集め、情報網と軍隊を形成。
更にスポンサー確保によって資金繰りや物資調達も順調に進み、帝国と戦うに十分な自力を整えつつあった段階に入った頃、帝国に1人の男が現れた。
その男は帝国の腐敗根絶と内部改革を目指す少数派「良識派」に所属。そして類稀なる政治力と行動力、判断力で急速に良識派の勢力の拡大に成功させ、帝国を事実上支配していた腐敗派に対して強烈な打撃を与え始めて、良識派を対等な位置に押し上げていた。
当然彼の存在は帝国政治に強烈な存在感を放ち、そして情報網を形成していた革命軍の耳にも入った。
「彼にも我々の協力を頼んでみよう」、そういった意見が出てくるのはすぐの事だった。この時の革命軍の協力者には既に政治家も取り込み始めており、そこから彼の目的の憶測を可能としていた。
立場は違えど、志は同じ。ならば我々の事も理解してくれる可能性はかなり高い。そんな期待を持って挑んだ交渉は──
…
「全く話になりませんね」
「…え?」
そんな一言で、アッサリと両断された。
帝都内に存在する人気飲食店。その一席に座るオネストと革命軍の使者。「彼」は注文した大盛りのステーキ料理を堪能しており、使者の方は「彼」の一言にポカンとしていた。
「…それで、話は以上ですか?なら退席をお願いします。折角楽しみにしてたステーキが楽しめない」
「いや、待って下さい。我々と貴方の目的は同じく民の為、ならば立場が違えど協力する事はけして不可能では無い筈です」
「理屈で言えばそうですね」
切り分けたステーキの一切れを食す。
「…ですが、貴方達の言ってる事は楽観論と理想論の極みです。そんなモノに私の人生のみならず、帝国と民の運命と未来を賭けるなど、論外にも程がある」
「…何ですって?」
使者の目が細まり、雰囲気が変わる。しかし「彼」はそんな事を微塵も気にする事なく食事と会話を続ける。
「千年帝国を打倒して民の為の理想国家建設をする事で、諸問題の解決を行う。成る程、確かに文面だけ見れば理想的な考えです。その過程に問題しかないのを考慮しなければ、ですが」
「それはどういう…」
「わざわざ教える必要も義理もありません。貴方方は帝国の敵であり、私の敵なのですから。しかし、そうですね。貴方方に持つ私の印象位は話してあげましょうか。
再度ステーキの一切れを食す。
「貴方達の存在は、帝国の腐敗によって作り上げてしまった
「しかし、それだけです。貴方方は帝国の敵であり、民の敵であり、私の敵として今此処に相対している。そして既に話し合いの段階は過ぎている、ならばこれ以上の言葉は不要でしょう」
最後のステーキの一切れを食し、ナイフとフォークを置いてコップを手に取り、水を飲んで口内の油を胃へ流し込む。そしてナプキンで口を拭き、「彼」は、オネストは使者の目を初めて見た。
…
(…革命軍は複数の異民族にも繋がっていると考えていい。いや、寧ろ強力な支援を受け取っている前提で考えるべき)
(個人間の信用や信頼は確固たるものだろう。だがそれが組織間、国家間の信用と信頼には一切繋がらない。
(では、異民族が求める利益は何だ?奴等が革命軍に求める最大限の利益。それは領土。それは利権。それは属国)
(そう、国土奪還、革命軍が建国する新国家の属国化、そして分割。さらに言えば一つでも多くの帝具の確保。私なら千年もの間存続した強国の後継国を、8割以上の領土を残したまま独立させる訳がない。ボロボロになった隙を突いて必ず国家を分割させ、二度と統合出来ないように仕向ける。そして異民族国家達の代理戦争の場にする。そうなれば異民族からしたら、自分達の血は流さずに異民族国家間の問題解決を図れる上、帝国民の「数減らし」が出来て一石二鳥…)
(革命軍は異民族との融和を目指している。しかし異民族は絶対に彼等の手を跳ね除けるだろう。国が変わろうとも、世代が変わろうとも、千年もの間帝国への敵意と殺意が途絶える事はなかった。そんな連中が、今から帝国側からの融和の手を取る?絶対にあり得ない)
(革命軍は現状を甘く見ている。帝国と異民族との確執は千年の時間と戦乱によって昇華しきっている。これは最早唯の国家間紛争に収まっていない。そう見えているのは、双方共に長い間小競り合いを続けているからに過ぎない。何処か一度でも、タガが外れれば今の均衡は全て崩壊し、大戦争が始まる。そうなったら結末は3つ。帝国が永遠に滅びるか、帝国が全てを飲み込むか、それとも双方が深い傷を負うか)
(…今の帝国に3つの国家と同時に殴り合える力は無い。そして時間も大して残されていない。今から果たして間に合うのか?)
(いいや、間に合うかどうかでは無い。間に合わせる。それが私の使命だ)
異民族国家
帝国を三方から囲い込む3つの国家。千年もの間敵対関係を維持し続けている、よくよく考えると帝国並みにヤベー国家達。
千年という時間で考えると敵対意識が薄まってたり、内乱が起こって国家が分裂してたりしてもおかしくない(帝国でも500年前に大内乱があったし)のに、原作ではそんな気配が無いし、何なら原作時系列内で帝国に殴り掛かってる。
…原作革命軍はこんな奴らとどうやってマトモな融和が出来たんだ?絶対気付いて無いだけで、異民族国家の属国になってる気しかしない。
追記
感想を見て「そういや少年漫画だったな」と思い返す。そりゃ難しい話になる内政とかはサクッと省くよね。