もしもオネストが綺麗だったのなら   作:クローサー

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一番下にアンケートを設置しておきます。思い付いたのは良いけど、正直自分もどうしようか判断に悩む。(誰得なんだってのもあるし)


未だ進まぬ姉妹の時計

「……………………」

 

いつも通りの部屋でいつも通りの椅子に座り、いつも通りの執務をこなしていたオネストだが、今に関してはその様子が少し変わっている。

その両手には数枚の書類が握られており、書かれている文章を読み込んでいる。

一枚、一枚とめくってゆき、そして最後の一枚。他よりも半分程度の紙が、束の一番上へと移動した事によってオネストの目に入る。

 

「ッ────」

 

其処に書かれていたソレを認識し、理解した瞬間。意図せず彼の目が一瞬見開いた。

ジィ、と暫くソレを凝視する。

 

「…………クロメ」

「ん、どうしたの?」

 

サクサクと袋詰めの菓子を食べていたクロメに声をかけ、彼女の視線がオネストに向く。

 

「貴女に見て頂きたい資料が一つあります。…この女性に、何か見覚えはありますか?」

 

そう言ってオネストは資料の最後の一枚を裏返し、クロメにソレを見せた。当然、オネストに視線を向けていたクロメも反応し、資料に目を向けて。

 

 

「────え」

 

 

クロメの動きが止まる。そして、口に中途半端に含まれていた菓子が零れ落ち、菓子袋に当たって落下軌道が変更されて床に落下、粉々に砕け散る音が響いた。

 

 

 

「お姉、ちゃん…?」

 

 

 

十数秒の沈黙の後に、開きっぱなしの口からそんな言葉が漏れ出た。

 

「…そうですか。やはり、この絵の少女は、貴女の姉…アカメなのですね」

「どういう事なの、お義父さん」

「数時間前に帰還したラムダ4が、指名手配していたシリアルキラーを半殺しにしていた彼女と接触しました。彼女はラムダ4の引き留めを無視して現場から逃走。付近の諜報部隊が再捕捉を試みています」

「…私も、捜索に加わる事は…出来ないよね」

「個人の立場として言うなら、組み込むべきとは思います。しかし帝国大臣としての立場として、貴女を捜索部隊に組み込む事は絶対に許可出来ません

 

断固とした口調で、その言葉を発するオネスト。ソレを聞いたクロメも、納得と不満を織り交ぜたような、複雑な表情を隠しきれずにいた。

 

「貴女の帝具(八房)が、唯の凡庸な帝具であれば良かった。唯の戦術兵器程度の戦力価値しかなければ良かった。しかし、今はもう違います。貴女の戦力価値は帝国(特務隊)の切り札、戦争というチェス盤を根本からひっくり返せるとびっきりの反則(ジョーカー)です。帝都から離れた場所に、長期間貴女を派遣させる訳には行きません。万が一八房が失われる事態になれば、帝国の安全保障そのものが瓦解しかねません」

「…うん、分かってる」

「なので、諜報部隊が再捕捉に成功したという情報が入り次第、貴女の派遣を許可します」

「!」

「彼女は長い間我々の捜索を振り切り続けていました。貴女以外が呼びかけても彼女が応えてくれるかは怪しい所です。しかし貴女なら、可能性はあるでしょう」

「…ありがとう」

「お礼は必要ありません。特務隊の彼等も、随分と気合が入っているようですからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、帝国北部。

整備された街道から外れた場所の森林の中。特務隊の捜索を振り切っているアカメはテントを張り、2つの焚き火を焚いて夕食を準備していた。時刻は既に夜、焚き火の灯りだけが周囲を照らしている。

片方の焚き火の横に川から釣り上げた魚を刺した木の枝を何本か置いて焼き魚を。そして両方の焚き火の直上には即席の蒸留装置が置かれており、飲み水を生成している。

 

「………」

 

蒸留装置の蓋を開け、中に置かれていた蒸留された水が入ったコップを取り出す。そして一つの焼き魚の棒をとって焼き具合を確認、中身も十分に焼けている事を確信する。

 

「頂きます」

 

そう言って、食事を開始する。焼き魚特有の皮のパリパリ感とフワリとした身と旨味、そして香ばしい匂いが見事に調和し、更なる一口を催促させる。

それから20分経過した頃には、焼き魚を刺していた棒は地面に転がり、コップの水は空になっていた。

 

「ご馳走様でした。…さて」

 

もう1人の蒸留装置の蓋を開け、水筒を取り出して十分な量を溜まっている事を確認。水筒に蓋をし、明日以降の飲み水を確保。蒸留装置に残った川水のお湯はひっくり返し、焚き火の片方を鎮火。後始末をして、再点火の防止を完了する。

 

「…」

 

もう一つの焚き火はそのままに、蒸留装置2セットを片付ける。その後、焚き火に追加の木の枝を投入してテントに入って寝袋に入る。

 

(… 平和を望むからこそ、戦争を誰よりも憎む。か…帝国も、そういうのがまだ居たんだな…)

(…まあ、もう私には関係の無い話か。帝国から脱走した私が、今更どんな顔をして戻れる。戻る理由も無い。…もう帝国の事は、彼らにしか関係の無い事だ。…今の私に出来る事は、「悪」を斬り捨てる事だけ)

 

その時、テントの外から気配。即座に反応し、起き上がって村雨を抜刀──

 

 

していた手の動きが、止まる。数瞬後には時が戻るかのように納刀し、戦闘態勢を解除。テントから出て、気配の主を視界に入れる。

その人物は、焚き火のそばに座っており、じぃっと焚き火を見ていた。アカメから見れば背を向け、無防備な背中を晒している。たがアカメはその人物に何ら危害を加える事はなく、寧ろその人物の横に座る。

 

「来ていたんだな、クロメ。直ぐに気付かなくて、姉失格だな」

 

「幼少期のクロメ」は無反応のまま、闇い(くらい)瞳で焚き火の一点を見続けている。

しかしこれがアカメにとっては普通な事。「幼少期のクロメ」と出会える時は、闇い瞳で此方を見続ける。今回はアカメではなく、焚き火であるという違いだけだ。

 

そのまま、アカメは最後に会った時から今までの出来事を話し始める。どうやら今回は、長い間話せる様子だった。

立ち寄った街や村での出来事や、其処で出会った「悪」を切り捨ててきた事。そして数時間前に、帝国特務隊と出会った事。

ソレらを一通り話した後は、しばらくの間静寂が流れる。しかし今のアカメにとって、その静寂は悪いものではなかった。

 

スッと「幼少期のクロメ」は立ち上がり、森の奥へと歩き始める。アカメはそれを見守り、別れの言葉を送る。

 

「今日は色々と話せたな。また今度会える時まで、話のネタを」

お姉ちゃん

 

その瞬間、アカメの言葉が途切れた。「幼少期のクロメ」の歩みは止まり、アカメに振り返る。焚き火の灯りがあるのにも関わらず、その顔は漆黒に包まれて表情を見る事が出来ない。

 

 

 

どうして私を、助けてくれなかったの?

 

 

 

「ッ…!!」

 

アカメが瞬きをした瞬間、「幼少期のクロメ」は其処から姿を消していた。

後には、急激かつ甚大なストレスによって異常な心拍を叩き出す心臓を落ち着かせようと、激痛を生み出している胸を押さえて蹲るアカメが残されるだけだった。




「…これがあの娘、か…随分と雰囲気変わっちゃってるね」
「…ん?チェルシー、お前会った事があるのか?」
「あれ、言ってなかったっけ?あー、君には話した事はなかったね。オールベルクの時に一回だけね。化けてた時だったから、私が一方的に知ってるだけだったけど。その時はまだ、こんなに痛々しい姿じゃ無かったよ」
「…」
「そういえばさ。この情報がこっちにも伝わってから、古参勢がやけに気合入ってるけど、何かあるの?」
「そりゃあな。この件に関しては俺達が拾い損ねた、だけどまだ残ってたカケラの一つだ。それが手の届く所にあるかも知れないなんて事になったら、こうもなる」
「…?」
「悪りぃが、俺から話せるのはここまでだ。これ以上は、古参以外の奴等には話を広げたく無い。胸糞悪くなるだけだからな」

ぶっちゃけDr.スタイリッシュのTS(女性化)って、アリ?

  • それでやれるのなら、やってみたら?
  • いや、オカマキャラのままで良いだろ
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