もしもオネストが綺麗だったのなら   作:クローサー

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最近受信した電波の内容
「エスコン7のマッキンゼイ大佐がツンデレムーブしたら、案外面白いかも?」
「All You Need Is Kill versionマッキンゼイ 〜撃墜RTAを添えて〜」

…何故マッキンゼイ絡みのネタを2つも受信するんだよ。


技術の進歩(継承)

初めに言うと、帝国の技術力は世界一だ。

その技術力は他国では容易に真似る事はできない。何よりもその高水準な技術力を発揮する為には、それ相応の国力や人的資源を必要とするが、他国にはその殆どが不足していると言って良い。

対して帝国は、千年もの間強国であり続けた故の国力の成長やほぼ全世代に渡って突出した人材を生み出し続けてきた実績がある。そして今世代もそれに漏れず…いや、寧ろ帝国史上最大規模と言って良いほど優秀な人材が、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

その中でも特に有名な者は、以下の3名に絞られるだろう。

 

大将軍(皇帝の忠臣)、ブドー。

戦争狂(闘争の化身)、エスデス。

政治家(善の愛国者)、オネスト。

 

この3人が、今の帝国を形取る最大のファクターであると言っていい。しかし、彼等が目立つ立場にいるからこそ、優秀で尚且つ重要な人材というのは隠れやすくなる。

 

1人は、帝具 八房の所有者であるクロメ。彼女は過去に説明した通り、八房の戦力価値は帝国の安全保障にも関わる程に強力で、危うい。それ故に、八房の能力の詳細は()()()()()()()()()()()()()。帝具図鑑に載せられている必要最低限の情報を除き、あらゆる公式文書に記録する事を許されず、特務隊隊員とオネストの脳の中にしか詳細な情報は保存されず、情報漏洩のリスクを極限にまで落とし込んでいる。

 

もう1人は、とある科学者。

その者は、帝国の技術水準をたった1人で一世代先にまで押し出せるとも言われる頭脳を持ち、その頭脳によって生み出された技術の数々は帝国をより強国へと成長させる礎となる。

しかしその思想は研究至上主義。己の研究の為ならば主義主張問わず支援者を集め、倫理や道徳を容易に投げ捨て、研究の対価に無造作に研究資料をばら撒くそのスタイルにオネストは危機感を持ち、現在では「予算」という名の首輪をつける事により、どうにかコントロール下に置いているといった状況だ。何かしらの強硬手段も一時考えられたが、現在では特務隊の装備開発にも関わっている為、このような形で落ち着いている。

その科学者の名は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝国郊外、山間部。

そこにある洞窟の中に、偽装された出入り口がある。そこから通路の中に入ると、侵入者を殺害する為の数々のセキュリティやトラップがそれ以上の侵入を阻む。

だがそのセキュリティを次々と通過し、通路を歩いていく者が2名。

 

1人は、帝国特務隊の装備を着込み、背中にアサルトライフルを背負った男。

1人は、中性的な容姿を持った、しかし異常なほどに巨大な耳を持つ男。

 

その2人は会話も無く、巨大な耳の男が先導でセキュリティとトラップに塗れた通路を、一切その機構を作動させる事なく器用に通り過ぎていく。

やがて防衛機構の間隔は減っていき、遂にセキュリティゾーンを抜けた。その後もいくつかの部屋の入り口のドアがあるのを見ながら通り過ぎ、遂に目的の場所に辿り着いた。

 

「此方に、スタイリッシュ様はいらっしゃいます。私は此処で待機せよと博士から命令されておりますので、これで」

「案内感謝する」

 

入り口の時の挨拶の時のように、言葉は必要最低限。男はドアのノブに手をかけ、回してドアを開ける。

 

 

その瞬間、ドアの防音壁によって遮られていた悲鳴が、通路に響き渡る。

 

 

彼はそれに動じる事なく、部屋に入室。ドアを閉め、奥へと歩いていく。その部屋は数多くの実験設備や薬品、数個の手術台が設置されておりそのうちの一つの手術台が使用されている。

 

手術台には死刑囚が厳重に縛り付けられており、その死刑囚から悲鳴が上がっている。そして死刑囚の身体は暴れ回ろうとしているが、厳重な拘束によってそれは叶っていない。手術台の転倒を期待しようにも、それも転倒防止の支えが施されており、可能性は潰されている。

 

「ふーむ…この配合じゃ直ぐに発狂しちゃうわね。別に発狂自体はしても良いんだけど、あくまでも一定時間後の副作用であって欲しいし…これは駄目と」

 

その手術台の横…男から見て真正面に、科学者…「スタイリッシュ」はいた。

暴れている死刑囚を横目に、トレーの一つに使用済み注射器を置き、手帳にメモを取る。

 

「…相変わらず悪趣味な研究だな、Dr.スタイリッシュ」

「…あら?ああ、もうそんな時間だったの?ごめんなさい、時間を見てなかったわ。ようこそ私の研究所へ、アルファ1隊長様」

 

声をかけられて初めて約束の時間を経過していた事にスタイリッシュは気付き、手っ取り早く実験の処分を開始する。太い針の注射器を手に取り、勢い良く左胸…心臓に向けて突き刺し、中の薬液を全て注入。打たれた死刑囚は、声にならぬ断末魔をあげ、動かなくなった。

 

「で、今回は一体何の用だ?()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「ゲテモノなんて失礼ね。今回はちゃんとした物を作ったわよ」

「どうなんだか。お前の「ちゃんとした物」って基準が信用ならない」

「実物を見てから評価して頂戴」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

技術(テクノロジー)は、現在に於いて私達人類のみが保有出来る最大の武器」

「石斧から青銅剣、青銅剣から鉄剣へ。鉄剣から弓矢、弓矢から火縄銃へ。火縄銃からマスケット銃、マスケット銃からリボルバーへ。そして、リボルバーからアサルトライフルへ」

「技術の継承と発展は、帝国が世界のどこよりも上手くやっている。だからこそ技術力が世界一であり続けている。だけど千年前、始皇帝は大きな失敗をしでかしたわ」

「失敗?」

 

 

「帝具よ」

 

 

「始皇帝は帝国の千年先の繁栄を願って、帝国の千年の未来を願って、()()()()()()()48の帝具を作り上げた。確かにその技術は素晴らしいわ。千年後の現在まで在り続ける耐久性、一つ一つに備わる特殊能力、それらによって担保される絶対的な個人戦力。それだけを見るなら素晴らしい、とてつもなく素晴らしいわ」

「けどね。帝具なんて代物は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。技術は継承され、発展されてこそ「技術(テクノロジー)」と呼ばれるのよ。それが出来ないモノなんて、()()()()()()()()()()()()()()。オーバーテクノロジーなんて言葉は、結局は継承と発展の失敗を隠すだけの方便」

「だけどね。人類の文明と技術が存続し続ける限り、いつかその失敗は成功への道標となる。帝具もやがて、技術の道標へと成り下がる」

 

 

「その証拠が、これ」

 

 

 

部屋を移動したDr.スタイリッシュとアルファ1隊長の目の前にあるのは、壁に立て掛けられた一丁の銃。

それはアルファ1隊長が知っているあらゆる既存の銃とは特徴が異なっている。

 

動作機構はボルトアクション、全長は約150cm。全体的に白く太く武骨に仕上げられ、耐久性を重視している事が分かる。それも特徴だが、しかし何よりの特徴は「銃身の半ばから上下に開いている」という事だろう。

 

「これが、お前が見せたかったものか?」

「ええ、名前は「フレミングライフル」よ。但し中身は次世代の先を詰め込んでいるわ。まず発射方式から既存の銃とは異なるの」

「…?」

「貴方も知ってる通り、今までの銃は火薬方式…薬莢の中に雷管、火薬、弾丸を詰め込む。弾倉に詰めて銃に装填し、薬室の撃鉄で雷管を叩いて点火、爆発の力で弾丸を押し出し、各種機構を稼働させて薬莢を廃莢して次の弾丸を薬室に送り込む。これが火薬方式に於ける、大抵の銃の動作機構。この銃の動作機構は、「電気」を利用した「電磁加速方式」を採用しているわ」

「電磁加速方式…?」

「電気…分かりやすく言えば「雷」の力で弾丸を押し出し、発射させるのよ。火薬方式とは違って銃身が長ければ長い程、電気の力が大きければ大きい程威力と弾速は制限なく大きく出来る。このサイズでも、ちょっとした大砲クラスの威力は出せるわ」

「ちょっと待て、ライフルで大砲クラスの威力だと?反動で肩が吹っ飛ばないだろうな」

「内部に反動軽減機構を仕込んで実用可能な範囲に抑えてるわ。それよりも大きな問題がひとつあったの。肝心の電気の力が、既存の技術じゃ実用には全く足りなかったのよ」

「つまり、薬莢でいうと火薬が足りていなかったのか」

「それも致命的にね。この銃の問題は兎に角これに尽きたの。その問題を解決する為に試作すること8回、9回目の今回。遂に私は最後の問題を解決する事に成功したの」

 

此処でスタイリッシュは一度言葉を切り、次に特大の爆弾を放り込んだ。

 

 

「雷神憤怒 アドラメレクの一部機構を転用する事でね」

 

 

「…」

 

アルファ1隊長は眉をピクリと動かし、スタイリッシュを銃からスタイリッシュに目線を向ける。

 

「お前、次の言葉に気を付けろよ?」

「いいえ、気をつける必要なんて無いわ。だってこれは「技術の進歩(勝利)の始まり」であって、「オーバーテクノロジー(技術の敗北)」ではないのだもの!なぁにが帝具よ、千年前の遺物(失敗作)が、始皇帝の残像が今も活躍してるんじゃないっての!!」

「帝具は作れない、帝具は始皇帝だからこそ作れた!?当たり前よ!!誰だって最初っから失敗作(帝具)の模造品なんて作ろうとするから失敗作以下(臣具)が出来上がる!!そうじゃないでしょう!?」

 

 

「帝具をも超える兵器を作る、それが「科学者(技術を創る者)」でしょ!!」

 

 

両腕を広げ、己の内に秘めていた想いを叫ぶ。その顔は笑みを浮かべており、これによって(アルファ1隊長)に射殺されようが構わないと言わんばかりの覚悟が見える。

 

「…いくつか質問だ。この銃…フレミングライフルだったか。これは4()9()()()()()()じゃないんだな?」

()()()()()。誰にでも扱えてこそ「兵器」であって、個人の素質で使用可否が左右される帝具(出来損ない)なんかじゃないわ」

「数を揃えるのは可能か?」

「一応可能よ。必要な素材に特級危険種のジンオウガ(雷狼竜)の素材が大量に必要だけどね」

「試しに手に取ってもいいか?」

「良いわよ。セーフティーは掛けてるけど、間違っても撃たないで。此処がグチャグチャになるわよ」

 

スタイリッシュの許可を得て、彼は前に出てフレミングライフルを手に取る。

 

「…」

 

マガジンを外し、ボルトを動かす。マガジンは再装填せずに構え、アイアンサイトを覗き見て、引き金に指をかける。セーフティーが掛かっている今、引き金は全く動かない。

 

「…………成る程」

 

マガジンを再装填して元の位置に立て掛け、スタイリッシュに向き直った。

 

 

()()()()()()、見事な出来だ。Dr.スタイリッシュ」

()()()()()()()()()()()にそう言ってもらえて、何よりだわ」




スタイリッシュ
原作ではイェーガーズに所属する、オカマなマッドサイエンティスト。セリューの義肢や武装などを製作するなどサポートで活躍しており、実験体達による私兵も持っていた。
今作では研究予算でオネスト(特務隊)の首輪が掛かっており、監査されつつもフリーダムに研究に邁進している。
尚、描写をよく見ると容姿や性別に関して未だ言及していない。理由としては、未だに作者がTSさせるかどうか悩んだまま登場せざるを得ない事になってしまったからである。一応TS化の設定は組んであるが、フル活用しようとするとエロ方面のR18描写を別作品として独立して作る必要がありそうなのだ。
…ある意味チェルシー以上に、キャラ設定が事故っていると言わざるを得ないキャラクターとなってしまった。(頭抱え)
それもこれも全部脳内のスタイリッシュが死刑囚と「ホモォ(※オブラートな表現)」しているイメージ映像を叩き込んだせいだ。(真顔)


フレミングライフル
簡単に言うとレールガン。必要な電力はブドーの帝具「雷神憤怒 アドラメレク」の一部機構を転用する事で確保に成功する。但し「帝具を超える」というコンセプトの元に開発された為、生産コスト及びコストパフォーマンスは「兵器」として見るとかなり劣悪。
しかしそれをペイ出来るメリットは、フレミングライフルは「帝具」ではなく「兵器」であるという事。つまりフレミングライフルは2丁以上の生産が可能で、尚且つ素質の関係なく誰にでも扱う事が可能である。
メタ的な所も解説すると、名前は「フレミングの左手の法則」から取られた。


アルファ1隊長
名の通り、特務隊の戦闘部隊 アルファ1を率いる隊長。スタイリッシュが作中で言及した通り、アルファ1の戦闘能力は()()()()()()()()とも謳われている。

ぶっちゃけDr.スタイリッシュのTS(女性化)って、アリ?

  • それでやれるのなら、やってみたら?
  • いや、オカマキャラのままで良いだろ
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