もしもオネストが綺麗だったのなら   作:クローサー

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この小説を書いてて学んだ事。
ストーリーを作る為に設定を作るよりも、設定を作るついでにストーリーが出来る方が、自分には性に合っていた。

という訳で、番外編:Next storyの始まりです。…どうして本編の続き書いてるんだろうね。


番外編: Next story
予想外


時には「運」というのも、馬鹿には出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜。

帝都東部にある自然公園の中を、全速力で駆ける2人の影。

 

一人はピンク色の長髪と瞳を身体的特徴とし、巨大なライフルのような銃器を背負っている。

もう一人はチャイナドレスを着込み、巨大な鋏を背負っている。

 

「全く、今回の標的は用心深いにも程があったわ」

「けど、無事に片付いて何よりです」

 

マイン(前者)が発した言葉に、シェーレ(後者)は反応。極めて短い会話を交わす。

二人が所属する組織は共に同じ。

 

 

革命軍精鋭暗殺組織 ナイトレイド。

 

 

リーダーである元帝国軍将軍のナジェンダを除き、所属する全員が帝具使いであるという、帝国の歴史に於いても前例が存在しない超々少数精鋭組織。それ故に一人一人の戦力は極めて強大。更に異常な機動力によって、帝都を中心に活動しているにも関わらず、今日まで特務隊の捕捉からも逃れ続けている、革命軍のジョーカー的存在。

 

そんな組織の一員である彼女達は今夜も無事に暗殺を成功させ、アジトへ帰還する為に人目が無い自然公園を横切っている最中だった。やはり当然というべきか、深夜の時間帯に自然公園を歩く者は今の所見当たらない。その上彼女らは整備された道からは外れた所を走っている。月明かりがあるとはいえ、このような条件が揃っては足音が聞こえる距離で尚且つ意識して見なければ、とても見つかるものではない。

 

そう、見つかるものでは無かった筈だった。

 

 

だからこそ、彼女は「運」が無かった。

 

 

「「!!」」

 

自然公園の中心部、噴水広場に出た瞬間に発動する、暗殺者として培ってきた第六感。

理由は無い、根拠は無い。ただ「狙われている」という強烈な直感が、2人の脳を刺激し、回避行動を取らせた。

 

結果的に、それは大正解だった。

次の瞬間には、二人がいた地点に誰かが「着弾」。その威力と衝撃によって「着弾地点」の地面が割れ、地面の欠片が宙を舞った。

 

 

「敵…!?」(直前まで気付けなかった…コイツ…)

(気配を全く隠さない警備隊員とは違う…けど、装備は警備隊の物。…いえ、両手脚も鎧が包んでいる?)

 

辛うじて回避に成功した二人は、それぞれの獲物に手を添えつつ距離を取り、身構える。

 

「…やはりか」

 

二人の前に立ちはだかった彼女の右手には、手配書が一枚握られており、シェーレと見比べて言葉を発し始めた。

 

「顔が手配書と一致、ナイトレイドのシェーレと断定。更に所持している帝具から、連れの女もナイトレイドのメンバーと断定…」

 

手配書をビリビリと破り、捨てる。確認出来た以上、これはもう不必要だ。()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「運が良い、実に運が良い。やっとお前達と巡り会えたな、ナイトレイド」

 

 

「私が掲げる「正義」に則り、お前達を断罪する!」

 

 

 

彼女…セリュー・ユビキタスは、そう宣誓した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「正体がバレた以上、来てもらうか死んでもらうしか無い訳だけど…」

「選択肢が間違ってるぞ。今すぐにお前達が降伏するか、それとも今ここで捕らえられるか、惨めに死ぬか。選ばせてやる、どれが良い?」

 

それぞれの帝具を手に取り、戦闘態勢に移行したマインとシェーレ(ナイトレイド)。それに対しセリューは、腕組みをして最初で最後の警告を行う。側にいるコロ(ヘカトンケイル)も、通常形態のままだがいつでも飛び出せる体勢だ。

 

「やる気満々って訳ね…」

 

マインの右足が僅かに下がり、浪漫砲台 パンプキンを握る力が少し強まる。同時に、セリューも腕組みをやめ、自然体に。

 

「なら──!?」

 

ロケットスタート(先手必勝)

 

パンプキンを構えるよりも早く、セリューとコロは駆け出した。コロは巨大化しながら、セリューは更に地面を砕く程のパワーで以って、極限の前傾姿勢で体重さえも加速に利用する。

 

(速っ!?)

 

パンプキンの照準もおざなりに連射。当てるよりも牽制を優先したソレは、しかしセリューには届かない。一歩左にステップするだけで容易く回避され、懐に入り込まれる。その右手は握られ、弓の弦のように後ろに引き絞られている。

 

「ふっ!!」

「ゴフッ!!」

 

ダッシュの速度も合わさった強烈な右ストレートが、マインの鳩尾に直撃。その勢いはマインの身体を浮かし、吹き飛ばした。

それと同時に、巨大化したコロがシェーレに向かってダイブ。純粋な質量攻撃を仕掛ける。

 

「…!」

 

だが、シェーレはこれをカウンター。万物両断 エクスタスによる一閃。()()()()()()()()()()()()その切れ味は、ヘカトンケイルに大ダメージを与え、一時戦闘不能に陥らせた。

 

(間違いなく生物型の帝具、なら使い手(セリュー)を倒せばすぐに止まる!)

 

生物型の帝具は強力な再生能力を持っており、身体の何処かにあるコアを破壊出来なければ再生は止まらない。だが使い手が死亡した場合、生物型帝具は完全停止し、無力化する。

 

状況は想定以上に悪い。ヘカトンケイルを一時無力化に成功し、速攻が求められる今、シェーレがセリューに向かうのは当然と言えた。

 

(だろうな、コロを止めるなら私を殺すのが一番手っ取り早い)

(奥の手で一気に決める…!)

 

セリューは両手拳を握って待ち受け、シェーレはエクスタスを開き、接近。そのまま目前まで迫り。

 

「エクスタス!!」

「ッ!!」

 

セリューの眼前でエクスタスの刃を勢い良く閉じた瞬間、鋏体から強烈な発光が発生。それによってセリューの視界が潰れ、堪らずバックステップ。

 

(金属の発光…奥の手!!)

「終わりです」

 

シェーレは更に踏み込み、エクスタスを閉じた状態で突きの構えを取る。未だに発光は継続しており、セリューの視界は狭い。この一撃で、セリューの心臓を貫く。

その為に放たれた、一撃は。

 

「ッッッラァ!!!!」

「なっ!!?」

 

エクスタスの刀身をセリューの両手の指で鷲掴み、止めた事で不発となった。

ギチギチと金属が強い力で圧迫される嫌な音が響き、次の瞬間。

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

(不味いッ!?)

 

咄嗟にエクスタスの刃を開いてセリューの手を離させようとするが、万力のように固く、全く動かない。

 

(くっ、一旦諦めるしか無い!!)

 

エクスタスの保持は不可能と判断し、手放して距離を取る。エクスタスの奪取に成功したセリューは、そのままエクスタスの刃を地面に突き刺す。そして、ヘカトンケイルも先程のダメージから回復して立ち上がり、短い腕が巨大化。挟まれている。

 

(…これは、退却した方が良いですね。マインは…)

 

チラリとマインが吹き飛ばされた方向を見ると、少しフラつきながらもパンプキンを杖代わりにして漸く立ち上がっているマインの姿が見える。

セリューもそれに気付き、其方の方に注意を向ける。シェーレへの注意が減るが、ヘカトンケイルはシェーレに向けて構えている為、動く事が出来ない。

 

「あー………いったいわね」

「加減はしなかったんだが、そんな身体で存外頑丈だな」

「それはこっちの台詞っての。()()()()()()()()()なんて馬鹿じゃないの、アンタ」

「…ほう?なら、隠す理由も無いな。奇襲出来れば御の字だったが…」

 

ガシャンと、セリューの全ての両手指がパージされる(切り離される)

それだけでも通常の人間ではあり得ない事象だが、切り離された箇所から血が噴き出る様子も一切無い。

 

其処から、指の代わりと言わんばかりに武器が展開される。

それは刃渡りおよそ15cmにも及ぶ、細長い刀の様な剣。両手合わせて10本。

展開された刃が完全に固定され、第一関節だけでも細かく動く()をキチキチと鳴らす。

 

「これが、帝国の技術の最先端。素晴らしいだろう?」

「…狂ってる」

「その身体を手に入れる為に、アンタは達磨になったっての?」

「私の四肢を捨てるだけでお前達を叩きのめし、数多くの子供達の未来と家を守る事が出来る。十二分な対価交換だ」

 

マインは一呼吸入れ、右手をトリガーに、左手をグリップに移す。銃口が接地していた地面から離れ、構える。他も其々の構えを取り、再び一触即発の状態に再び突入する。

 

「…そういえば、一つ聞きたい事があったわ。アンタ、警備隊員じゃなくて特務隊でしょ?そんな事を警備隊員ができる訳無いし」

「それがどうした?そんな事をお前達が知った所で、戦う事は何も変わらない。死ぬか、それとも捕縛されるか。その2択だけだ」

 

その時、マインのパンプキンの銃口から火が吹き、エネルギー弾が1発飛び出した。

保有者の精神エネルギーを弾丸として打ち出し、使用者が危機的状況になるほど威力と射程が増すという特性の元放たれたその1発は、通常よりも大きな威力で飛翔し。

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

「…え?」

 

急所こそ外れたものの、その威力は倒れ込むには十分。

 

「ッ…!?」

 

一瞬の呆然の後、尋常な痛みに顔を歪め、銃創を手で圧迫止血を試みる。

 

「…お前、何が狙いだ?」

 

セリューとコロはシェーレの注意を最低限以外外し、マインに最大限の警戒を向ける。

 

(私の狙いが外れたとか、コロの狙いが外れたとか、そういうレベルじゃない。此奴は完全にフレンドリーファイア(味方撃ち)を狙った。何を考えてる?)

「ま、そりゃそんな反応になるよね。私の狙いは…」

 

 

そのタイミングで、マインはパンプキンから手を離し、放棄。地面に落ちたそれを蹴り、セリューの方に近付かせる。

そして、掌をセリューに見せながら、ゆっくりと両手を挙げて。

 

 

 

「降参」

 

 

 

 

「………はぁ???」

「………キュ???」

 

そう言い放ったマインの一言に、セリューとコロは思わず生返事を返した。




Q.どうしてマインがこんな行動してるんですか?(苦労人猫)
A.独自解釈を交えた設定を作ってたら、脳内のマインがトンデモムーブを決めた。

さーて、一瞬で完全に崩壊した部分の大筋設定の再構築始めるぞー。うん、自分にもどんなストーリーになるか分からないから凄く楽しい。
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