本当は倍の文量で投稿したかったけど、今の状態じゃ厳しい…感想も全て見てますけど、返信が全く進んでいなくて申し訳ない。
時は夜明け近く。
帝都から東へ10kmの崖の中段。そこには自然にくり抜かれた空洞があり、ナイトレイドのアジトが設置されている。
侵入には困難な地形、森林による隠蔽、帝具 クローステールによる警戒網。それらの要素が合わさる事により、僅か5人が住まうには大き過ぎるアジトを隠し続けている。
「ふあぁ…」
そんなアジトの寝室の一つにあるベッドの上で大欠伸をかいているのは、スラム街出身の元アウトロー、現ナイトレイドメンバーの1人、レオーネ。
(…まだ眠いけど、二度寝するにはちょっと遅いかなぁ)
もごもごと動きながら、窓の外を見て大まかな時刻を把握。のっそりと起き上がり、目を優しく擦りながら寝室を出る。
そのままゆっくりとした足取りで下の階段を目指して廊下を歩いていると。
(………………うん?)
ふと、感じる違和感のような、不自然さのような、そんな朧げとした感覚。
それに釣られるように、窓から見える外を見る。
何の変化も無い。静かで、風が葉の数々を揺らす音しか周辺には響いていない。
だが、一度感じた違和感のような感覚がこびりついて消えない。その気持ち悪さに、少しだけ眠気が引いた。
(…ま、
そう判断し、ゆっくりとした足取りで出入り口に歩き出す。廊下を歩き、階段を降りて行く。
(そういえば、いつも通りマインとシェーレの2人はまだ帰ってきてないのか。マイン、仕事の時はいっつも石橋を叩いて渡る位に慎重にやってるからなー。この分だと明日明後日になりそうか)
「ふぁ…」
僅かに漏れ出た欠伸を噛み殺し、漸く階段を降り切って入り口のドアが見えた。
当然、レオーネはそのドアへ向かって歩く。全くの自然体で。
後10m程の距離に差し掛かった時、入り口のドアが開き始める。丁度水平線から顔を出し始めた日の光によって逆光となり、ドアを開けてる人物の姿は見えない。そもそも開き始めたばかりで、僅かな隙間では物理的に見えない。
「ん、帰ってきたかー?いつも通り遅い帰り…」
しかし、レオーネはマインとシェーレが漸く帰ってきたと判断し、そう声を掛けた。
ラバックが張ってある、クローステールによる警戒網に反応は全く無い。今こうしてラバックが無反応なのはそういう事だ。つまり、
故に。
「え」
一瞬の空白。それは不意の遭遇戦に於いて、何よりも貴重な一瞬を無駄にした。
──ガンガンガン!!
ドアを開けた男の左手に保持していたセミオートショットガンから散弾が速射。
1発目の散弾が右目と腹部、右腕を抉り、のけぞらせる。
2発目の散弾が胸部と抉って左獣耳を吹き飛ばし、連続する被弾の衝撃によって身体が後方へ吹き飛び始める。
3発目の散弾が右足と左足、腹部を抉って完全に身体を吹き飛ばした。
レオーネの身体が宙を舞い、床に叩き付けられると同時。
「
アジト内に雪崩れ込む軍人達。正面、裏口から同時に踏み込んだ彼等は迅速に制圧しつつ、アジト内を駆け抜ける。
その中の2名が倒れ込んだレオーネの側に駆け寄り、脈を確認。ライオネルを回収し、そして銃口を心臓に向けた。
また一つ、銃声が響いた。
帝国特務隊、ナイトレイド急襲に成功。制圧及び殲滅開始。
…
「くっそ、たれ…!!なんで此処まで近づかれた!?」
銃声が響いた事で跳ね起きたラバックは、それと同時にキリキリと反応するクローステールによって状況を瞬時に把握。警戒線に使用していた
「ラバック、一体何が起こってる!?」
其処に元帝国将軍、現ナイトレイドリーダーのナジェンダが駆け寄ってきた。
「襲撃です!!警戒網を完全に突破された、もうアジトの下階は制圧されてる…!」
「なッ………!?くそっ今は脱出が先か、レオーネは何処か分かるか!?」
「寝室には居なかった、もしかしたらさっきの銃声が…!」
「…!!」
全通路の封鎖完了。更にクローステールを編み込み、そして周辺の雑多な物も絡ませることによって、より頑丈に、より強靭に封鎖する。
「…ナジェンダさん、俺は此処で時間を稼ぎます。脱出を」
「分かってる、だからラバックも」
「2人で逃げる時間が足りない。だけどナジェンダさんが逃げれる時間は作れます」
「…!!」
「もうこの段階じゃ、貴女が逃げ切ってくれる事が一番の──」
そこから先のラバックの言葉は、強制的に中断される事になる。
レオーネがあっさりとやられてしまったけど、仕方なし。
ナイフを咥えて助かった原作と違って、散弾の速射をマトモに喰らっちゃあね…
果たしてラバックにナジェンダは、生きて此処から逃げ切れるのか。次回を楽しみに。