もしもオネストが綺麗だったのなら   作:クローサー

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最初の予定とは違うけど、漸くあの設定を言及する事が出来た。
イニシエノウタを聴きながら執筆するのが最近のマイブーム。


番外編:Short peace
暗闇


『ッはぁ、はぁ、はぁ………ッ!!』

『フー……ッ』

 

夢を、見ている。

懐かしくて、苦しくて、嫌な夢だ。

 

『……敵は、殺す……!』

『いいや、僕が死ぬんじゃない。アカメ、君が死ぬんだ』

 

私を信じてついてきてくれたと思っていた彼…グリーンと、殺し合った過去の夢。

 

『黙れ…その口を閉じろ…!!お前だけは信じていたのに、お前だけは味方だと信頼していたのに…!!』

『それは所詮、都合の良い妄想と勘違いだっただけだ、よ!!』

『ッアアア!!』

『うおおッ!!』

 

帝具 村雨と臣具 サイドワインダーによる攻防は、対等。

片や一撃必殺の刀。片や自由自在に操れるだけの鞭。それなのに対等だった。

勿論彼の()()もある。しかし当時の私の実力だけでも彼を圧倒する事は出来ていたし、村雨の一撃を当てられれば私の勝ちでもあった。なのに、勝利でもなく、優勢でもなく、対等。

 

…その時の私には、分からない…分かりたくなかった事だったが。

要は、簡単な事だった。

 

『グリィィィィィィィィィィィィンッ!!!!』

『アァカァメェェェェェェェェェェッ!!!!』

 

本当は、もう大切なものを切りたくなかった(失いたくなかった)

…それが絶対に叶わないと分かってたから、ほんの僅かな躊躇が戦いを長引かせていたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝国特務隊 兵舎の一室。

 

「…!」

 

そこのダブルベッドにて寝ていたアカメは、唐突に目が覚める。

 

「……んぅ……」

「…」

 

同じベッドの中、アカメの腕の中で寝息を立てて寝ているクロメの寝顔を見て、アカメは改めて今のが悪夢だったと確信した。

 

(…多分、酷い顔になっているんだろうな、私の顔)

 

そう思っている通り、アカメの目の下には酷いクマが出来ていて、十分な睡眠が取れているとは言い難い。

 

 

それもその筈だ。

現在のアカメの精神状態はかなり酷い。長い間強烈なストレスに晒されてきた事によって、重度の心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患っている。更に他者不信に加え、クロメと再会できた反動によってクロメに対する完璧な精神的依存状態になっており、多くの時間をクロメと行動を共にしなければ、最早マトモな生活を送る事さえ困難な状態となってしまった。

その影響は凄まじく大きく、厳格な規律と統制を敷いている帝国特務隊が、先のナイトレイド急襲作戦に於いて彼女の出撃を許可せざるを得なかった程だ。

最早片時さえも、二人は離れる事は出来ない。

 

 

「…」

 

ぎゅ、と。そっとクロメを抱きしめる。クロメの体温が僅かに震えるアカメの身体を癒し、クロメの寝息と腕の感触がアカメの胸部に当たり、そこにいる事を確実に証明する。

 

(暖かい…)

 

目を瞑り、再び夢の世界へ。

 

次はきっと、良い夢だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝国特務隊 作戦資料室。

特務隊本部の最深部にあるその一室には、これまで特務隊が実施してきた全ての作戦資料が保管されており、帝国や諸外国の闇の部分が満載されている。それ故に許可なき者の侵入は固く禁じられており、ヴェールの中を知るものは極めて少ない。

 

しかし今、その一端を知る者がまた1人増える。

 

「…うわぁお」

 

出入り口のドアが開き、大量の資料を纏めた冊子が保管されている光景を見て、チェルシーは思わずそんな声を漏らす。

 

(さてはて、この大量の資料からお目当ての物を探さなくちゃいけない訳か)

 

ドアを閉じ、冊子の目次を一つ一つ確認して目当ての資料を探し始める。時間にして、およそ5〜10分で漸く目当ての冊子を見つけ、手に取ってページを捲り始める。

 

(…あった)

 

数十ページを捲り、漸く見つけたその見出しには、こう書かれていた。

 

 

『A-1作戦資料』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第一次作戦報告資料

 

 

1.本作戦概要

特務隊の諜報部隊によって、帝国腐敗派が極秘裏に◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎地下に建造していた違法施設の存在を探知。更なる諜報の結果、該当施設には違法行為によって確保した多数の未成年の少年少女を洗脳や投薬等を施し、違法暗殺部隊の育成を行なっていることが判明。高緊急性の事態により、直ちに特務隊の戦力を結集。該当施設を急襲する事を決定した。

 

 

2.本作戦初期目標

・違法施設の確保、もしくは破壊

・全施設要員(以下A目標)の確保、もしくは殺害

・迅速な保護対象(以下B目標)の保護(最優先目標)

 

 

3.投入戦力

突入部隊

・チーム1(ロイヤリティ、アルファ、ベータ、デルタ、ガンマ、イプシロン)

・チーム2(ジータ、シータ、イオタ、カッパ、ラムダ)

・チーム3(ミュー、クサイ、オミクロン、パイ、ロー)

 

後方支援

諜報部隊、近衛兵

 

 

4.タイムライン(一部抜粋)

-00:30 全突入部隊、配置完了。近衛兵の包囲配置完了を確認。

00:00 作戦開始。全突入部隊、施設内に侵入開始。

00:10 全突入部隊、侵入成功。制圧開始。

04:30 昏倒状態の複数のB目標を確保。後方支援部隊がB目標の回収を開始。

06:15 敵対的行動を取るB目標達と接触、交戦開始。可能な限りの無力化を行う。

11:00 施設内に毒ガスが散布される。散布地域にいた多数の昏倒状態のB目標、チーム2が毒ガスを吸引し、全員が重症もしくは死亡。チーム2は撤退。

13:20 薬物によって不可逆の身体変異を施されたB目標と接敵。無力化は不可能であった為、現地判断によってB目標の殺害を許容。

13:50 作戦目標一部変更。以後A目標の殲滅を開始。

20:15 毒ガス汚染が更に拡大。チーム3にも被害が及び、チーム3は後退を開始。突入部隊の損害が半数を突破。

24:40 チーム1、違法施設職長及び助手と交戦。殺害に成功。

26:10 毒ガスによる施設汚染が深刻な状態となる。これ以上の作戦継続は不可能と判断し、脱出を開始。

30:45 全部隊、脱出に成功。

 

 

5.作戦結果

違法施設の確保、◼︎◼︎人のB目標の保護に成功。しかし◼︎◼︎人のB目標が死亡、突入部隊のおよそ6割が死亡する深刻な損害を負った。

更に毒ガスによる汚染も深刻であり、再進入及び施設探索には汚染除去作業が必須。第二次作戦の展開が決定される。

帝国特務隊は大規模な再編成と改革、拡張が行われることが決定された。今作戦から帰還した全部隊は「アルファチーム」へと再編し、新たなる戦闘部隊を編成。部隊規模を最低でも3倍に拡充予定。この決定は、指揮系統が軍部から独立した軍隊を事実上創設する事となる為、軍部の反対が予想される。しかし特務隊の必要性、予想される戦力及び機動力不足の懸念から、たとえ軍部の反対があっても強行される。

我々は帝国を守る「盾」ではなく、帝国の敵を滅ぼす「刃」へその姿を変えなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(特務隊の部隊が、6割死亡………)

 

僅か数ページに記載されていた濃厚な情報を、チェルシーはゆっくりと確実に読み取っていき、次のページを捲る。

 

(第一次報告がこれ程に簡潔なのは、正確な報告が出来ないほどに損害が高く、情報が不足し錯綜状態にあったから、と見るべき。ならより正確な情報は、第二次作戦の方にある)

(さて、果たして当時の腐敗派は()()()()()()()()()()()んでしょうね?)




A-1作戦
2人の姉妹の運命を大きく変えることとなる、帝国特務隊が実施した作戦の中で「最も凄惨かつ悲惨な作戦」として記憶されている、急襲作戦。
突入当初こそ順調だったものの、腐敗派による手段を問わない抵抗により、突入部隊は壊滅的損害を被る事となる。
以降、諜報活動を重点的としていた帝国特務隊は、その本質を大きく変えていく事となる。
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