もしもオネストが綺麗だったのなら   作:クローサー

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今の所1話完結の話が並んでるので、折角ですしサブタイトルをつけ始めました。

今回の話は別の話を書いていたところ、突然脳内のチェルシーが「この話を書いて!」とインターセプトして来て、本来書いてた話の執筆を妨害された結果誕生しました。
作者の脳内でもフリーダムに動くんじゃないよ君。


趣味と実利の諜報術

帝国西部の国境線から数キロ。

西の異民族と帝国軍が少し先で睨み合ってるそこは、岩場が目立つ険しい自然の地形も相まって人の往来は殆どない。

それ故に帝国の革命軍の密偵と、西の異民族の密偵による密会の場として最適であった。

 

「…」

 

そんな険しい場所を歩く、1人の女性…否、革命軍の密偵。

彼女の目的は西の異民族の密偵との接触、情報交換。西の異民族は帝国の情報を、革命軍は支援を求めている。つまり西の異民族は革命軍から情報を仕入れ、革命軍は情報を対価の一部にして支援を引き出す。所謂WIN-WINな関係を築いている。

今回の密会も、革命軍が支援の対価に支払う情報を持参し、西の異民族はそれを受け取る為に設定された。

 

岩場の隙間をスイスイとくぐり抜けていく事、十数分。

辿り着いたのは、険しい岩場の間に出来た広間。その端の岩に背中を預けている1人の男を目視する。彼も広間に辿り着いた彼女に気付き、彼女に近付いてくる。

 

「待ってたぞ、尾けられてはいないよな?」

「此処に来る前に何回か確認した、大丈夫」

「それは重畳。じゃ、今回も手早く済ませるとしよう」

「ああ。これが今回の情報だ」

 

彼女の懐から一つの封筒を取り出して男に差し出し、男はそれを受け取って素早く仕舞う。此処で中身を見る時間は無い。手早く目的を済ませるに限る。

 

「いつもすまないな。俺から其方に渡せるのは…」

 

男は再び懐を探り、何かを取り出そうとして

 

 

 

 

その時。居合術の如く速度で懐から抜き取られた右手が彼女の首を鷲掴む。

 

「ガッ!?」

 

突然の事に反応が遅れたが、しかし彼女も唯の密偵では無い。首を鷲掴まれても振り解く為に男の右腕を掴む。

だが、男は鷲掴んでいた右手の指で頸動脈を締め始めた。

 

(あ、マズ…)

 

構造上、人は首付近の頸動脈を絞められたら容易く意識を喪失してしまう。

故に、頸動脈を絞められた彼女の意識が喪失するのに、大した時間は掛からなかった。

 

「…捕獲」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ん」

 

再び彼女の意識を回復させた時、彼女が感じた感覚は背中全体に広がる柔らかい感触。

 

(…あれ、何で私寝てるんだったっけ?えっと、確か、私は………)

「ッ!!」

 

意識を失う直前の記憶を思い出して咄嗟に起きあがろうとしたが、しかし両手両脚付近からガチャリという音が響き、起き上がる事が出来ない。

 

(何でッ、…!)

 

視線を向ければ、背中の柔らかい感触の正体はダブルベットの布団。両手両脚の拘束の正体はベットフレームに繋がれた手錠。両手と両脚に一つずつ付けられており、強制的に大の字に広げられてまともに身体を動かす事は叶わない。

周囲は薄暗い。分かるのは何処かの部屋の中という事だ。

 

「お、目を覚ましたか」

「…貴方は…!!」

 

目を覚ました彼女の鼓膜を刺激する声。見れば、其処には椅子に座り、手に持っている何枚かの書類を眺めている男。それは間違いなく彼女の頸動脈を絞め、気絶させた男。

男は手に持っていた書類を机に置き、視線を彼女に向ける。

 

「これはいったいどういう事だ!?今すぐこの拘束を解け!!」

「それは無理な相談だな」

「ふざけるな!!貴方の上司(異民族)が、せっかく私達(革命軍)と構築した関係を粉々にする事、許すはず無いだろう!?」

「ああ、心配無い。そんな事にはなりはしないさ。何たって…」

 

ボフンと男から多量の煙が吹き出し、姿が掻き消える。煙が晴れた時に其処にいたのは、全くの別人。

 

 

「男の正体は、実は女でした〜。何てね」

 

 

帝国特務隊諜報部隊隊員、チェルシー。帝国最優の諜報員が其処にいた。

 

「なっ…!?」

「んふふ、驚いてる驚いてる。やっぱり可愛い女の子は驚いてる顔も可愛いもんだねぇ。()()()()

「………私の名前………それに、帝具………」

「おっ、察しちゃった?まぁ目の前で見せたら分かるよねー。それじゃ改めて自己紹介。帝国特務隊諜報部隊の「シュレディンガー」だよ〜」

「特務隊ッ…」

「そんな顔をされるのは心外だなー?それに諜報が貴女達(革命軍)の特権な訳無いじゃん。私達(諜報部隊)()()()()()()()()()()()()()()貴女達(革命軍)私達(帝国)を見ている時、私達(帝国)もまた貴女達(革命軍)を見ている。当然の道理でしょ?いやー、情報提供感謝感激。色々お得な物が書かれてたよ」

 

そう言ってチェルシーは机に置いてた書類の1枚をピラピラと見せる。

 

「ッ…!!まさか、あの男も特務隊の潜入員だったのか…!?」

「いんや、それに関しては私達の仕込みは全っ然無いよ。私が化けてた奴は、()()()()()()()()()()()()()()()よ。今はグッスリと寝てるけどね。まぁそんな話はどうでも良いから傍に置いといて〜、私のお仕事はまだ終わってないんだよね」

 

チェルシーは書類を再び机に置き、ベットに上がって動けない彼女…否、セシリアの上に跨がり、見下ろす。

 

「想像付くだろうけど、貴女が知ってる情報を全て話して欲しいな〜?私としては、素直に全部話してくれるととっても嬉しい所だけど」

「嫌だ」

「…だよねぇ。どうしても?」

「嫌だと言ったら嫌だ。私は仲間を売るような真似なんかしない」

「そっかそっか。その態度を貫くなら、私なりに尋問しなきゃ行けなくなるけど?」

「ふん、やってみればいい。どんなに傷つけられても、私は絶対に吐かないぞ」

「えー?貴女のような綺麗な娘を傷付けると思われてるの?それはちょっと心外かも。こんな綺麗な身体に傷を付けるなんて、()()()()だよ」

 

チェルシーの右手が、セシリアの服の内側に入り込み、素肌をさする。その感触に笑顔を浮かべるチェルシーと、不快感に表情を浮かべるセシリア。

 

「…くたばれ、クソ野郎」

「んー、辛口だけど貴女には似合わないかなぁ?さてさて、尋問の準備を始めよっかな」

 

チェルシーはベットから離れてベット横に置いてた鞄を開け、ガサゴソと中身を探り始める。

 

(…大丈夫、こんな時に備えて私達は尋問や拷問に耐える訓練をしてきたんだ…!)

「じゃ、セシリアにしっつもーん。貴女はどっちが好きかな?」

 

鞄を探っていたチェルシーが目的の物を両手に取り、セシリアから見える位置に立つ。

 

 

 

果たして其処には、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を持ったチェルシーが、笑顔を浮かべながら立っていた。

 

 

 

「………………………えっ?」

 

そんなチェルシーを見たセシリアの表情が、明らかに青褪める。革命軍の密偵として闇の世界に入り込んだ以上、捕まってどんな目に…それこそ、女性の尊厳を完全破壊される事も覚悟はしていた。

そういう覚悟は決めていたが、しかし、しかしだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

こっち(右手)?それともこっち(左手)の方かな?」

「いや、待て、待って。何を、何をする気だ」

「何って、言ったでしょ?尋問(調教)の準備って。スムーズな尋問(調教)の為にも回答して欲しいなぁ」

「巫っ山戯るな!?そんな尋問があるか、いやあってたまるか!?」

「あるんだなぁそれが。私が編み出した趣味5割実利5割の「ニャンニャン式調教尋問術」の先駆者なのだ〜」

調()()()()って何なんだよぉぉぉぉぉ!?嫌だ、私を此処から出せぇぇぇぇぇ!!」

「大丈夫大丈夫。最初はもしかしたら痛いかもしれないけど、あの人達(オールベルグ)直伝のテクニックならあっという間に天国だよ⭐︎」

「嫌だ、来るな、来るんじゃない!!そんな目に遭うくらいなら死んだ方がマシだ!!」

「ああ、暴れちゃ駄目だよ。せっかく綺麗な肌に傷が付いちゃう…そうならない為にも手早く大人しくなっちゃおうね〜」

「やめっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「〜♪」

 

 

「尋問」開始から数時間後。外では今頃太陽の光が水平線から漏れ出しているであろう時間帯。

一仕事終えて()()()()()()としているチェルシーは、セシリアが吐き出した情報を書類に書き留めていた。

 

そしてチェルシーの「尋問」を受けた革命軍の密偵、セシリアはというと…結論から言えば半ば意識を喪失しており、拘束を解かれて全裸の身体をベットシーツによって隠されていた。どういう尋問を受けていたかというのは、想像にお任せする。というよりも大体想像は付いてしまうだろう。

 

「よし、お仕事しゅーりょー。()()情報提供してくれてありがとう、セシリア。貴女のお陰で、此処の地域の革命軍と異民族の工作部隊や密偵に大打撃を与える事が出来るよ。約束通り、貴女だけは見逃してあげる。後の事は貴女が好きにすれば良い。それこそ私の事を革命軍に報告する事も、革命軍から抜ける事も貴女の自由」

 

其処で一度言葉を切り、チェルシーはセシリアの耳元に口を寄せ、囁いた。

 

「けど、もしまた私に会いたいなら。────っていう店に来ると良いよ。私を知ってる人が、貴女が其処に来てくれた事を知らせてくれるからね。その時に貴女が良い物(情報)を持ってきてくれてたなら、お礼をシテあげるよ」

 

 

 

「………♡」

 

 

 

今日も1人、チェシャ猫の毒牙に掛けられた哀れな被害者()が。




今作のチェルシー、オールベルクの影響をモロに受けてるからなぁ…うん。
ちなみにですが、「尋問」の際にはガイアファンデーションも利用してます。カサンドラの多腕とメラルドのテクニックが合わさったら凄い事になりそう。
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