世界が繋がるまであと五分   作:ミヤムラゾロ

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第5話

「――しまっ」

 キャリアウーマン(男)の攻撃が、回避に専念していたプレイヤーに直撃する。体力が瀕死に近かったのか、爆散エフェクトとポリゴンを撒き散らしながら消失し、地面に所持品と思われるアイテムがばら撒かれた。

「討伐完了」

 どうやらその爆散したプレイヤーが下手人だったらしく、グリッチと呼ばれていた賞金狩人はアイテムの元まで歩み寄り、散乱するアイテムをすべて回収して踵を返して去っていった。

「……チッ」

「サバさん、どうします? また仲間の誰か殺ってティーアスちゃんチャレンジします?」

「いや、なんか疲れちまったから今日はもうやめだ。カンを取り戻す為に無理矢理乱入したけど、なんかイマイチしっくりこねぇ……」

 

 ◇◇◇◇

 

「凄く熱くて激しくて特濃だったねぇ」

「突っ込まねぇぞ」

「私はいつでも受け入れる準備は出来てるよサンラクくぅん?」

 もう嫌だこの歩く一八禁。こんなのとフレンド登録してる奴がいるらしいが、一体どこの傾奇者なんですかね。物好きってレベルじゃないだろ。

「…………あ? 今誰か『サンラク』って言ったか?」

 ディープスローターの声があちらまで届いたのか、UIを操作して装備を換装している茶髪のネカマプレイヤーがこちらに顔を向ける。

「どうしましたサバさん?」

「サンラク……サンラク……。会話してたのはあいつらか。……ま、聞くだけタダか。――おしテメェら、ちょっと野暮用が出来た。またな」

 迷いのない足取りでこちらにポニテを揺らしながら接近してくるネカマプレイヤー。

「なぁんかこっちに来てるけどぉ、サンラク君の知り合い……?」

「わからん」

 俺の名前に反応したということは、少なくとも俺とかつて何らかのゲームで面識のあったプレイヤーなのだろう。

 まあ『サンラク』というプレイヤーネームは結構ありふれたネームなので、別人と勘違いしている可能性も捨てきれないのだが。

「よお、――お前『μ鯖』の『サンラク』か?」

「!!」

 心臓が止まるかと思った。

「どうやらその反応、ビンゴみてぇだな」

 眼前の『サバイバアル』と名前の表示されたプレイヤーは、俺にフレンド申請を飛ばして来る。

 俺はこの女(男)を知っている。

 かつて、サバイバル・ガンマン――通称『鯖癌』と呼ばれるゲームで、俺はこいつと互いの命を奪い合った。文字通りのサバイバル。エネミー蔓延る無人島での生存競争。己以外はすべてが敵の孤島で、幾度となく死闘を繰り広げた仲だ。

「『φ鯖』の『バイバアル』だ」

 俺は申請を即座に受諾し、バイバアルと名乗った『孤島からの生還者』(サバイバアル)をフレンドリストに加える。

「まさかこんなところで逢えるたぁなぁ……!」

「それはこっちの台詞だ。つーかなんでお前ネカマになってんだ? あの誇り高き蛮族スピリットどこに消えたんだよ」

「人間の常識を孤島に置いて鳥になったテメェに言われたかねぇな」

「んあ? あ、そっかこれ別に被らなくていいのか。上下服買って装備してるんだからもう半裸じゃなかったわ」

 バイバアル、改めサバイバアルに指摘されて俺は『凝視の鳥面』を外す。

『サンラク=鳥頭』で認識が固定されるところだったぜ……あっぶね。

 

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