未定の世界   作:春夏冬 悪姫

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1話目 side???

目を覚ますと見知らぬ天井だった。

なんて、思うのは漫画とか小説の世界だけだと思ってたわ。

そう見知らぬ天井を見ながら私は思った。

目線を右に左にずらすとどうやら病室のようだと理解した。

二つあるベットには私と知らない男の子が横になっており二つのベットにはカーテンで仕切れるようになっている。

なら、仕切ってくれてもいいとは思うがまあ、良しとしよう。

私はベットから下りると体を伸ばしてみた。

どうやらどこも痛めてはないようだ。

なら、なんでベットの上に居たのか?

と言うより……。

「私今まで何してたんだっけ?」

少し考えてみるが思い出せない。

とりあえず情報源になりそうなところからあたるか。

「起きてるかな?」

と、隣の男の子の顔を覗くとパチッと目を覚ました。

「うわ!」と私は慌てて体を遠ざける。

男の子は体を起こして私を見たあと目線を部屋を1周するように見渡した。

「あのー。こんにちは?」

私が声をかけるとまた男の子は私の方を向いた。

が、何も言ってこない。

「名前はなんて言うの?」

「……。」

「いや、あの?」

「……。」

「話聞いてる?」

「……。」

「ダメだ。状況が掴めないのに情報源が役立たずと来た。」

私は聞き出すのを諦めた。

男の子は相変わらずこっちを見てるが気にしない。

「どうしようかな……。」

私が独り言を呟いた時だった。

「アグッチは外で待っててね。」

と部屋の外から女性の声がした。

誰か来た?

そう思った時扉が開いた。

部屋に赤髪の女性とバンダナを頭に巻いた根暗そうな男性が入ってきた。

「あら?起きてたのね。お二人とも体調は大丈夫?」

女性はそうにこやかに話しかけてきた。

初対面だと思うがどうやら向こうは私を知っているらしい。

「えーと?どちら様で?」

私がそう問いかけると女性は納得したように

「あぁ、ごめん。知らない人が部屋に入ってきて困惑するよね。」

と頭を下げてきた。

なんだかいいひとそうだな。そう思った。

女性は胸を手を当てて

「私はリョウコ。で、こっちがアクジっていうの。」

リョウコという女性はにこやかにそう自己紹介してきた。

「よろしく。」

アクジという男性もぶっきらぼうそう呟く。

「リョウコさんとアクジさんですね。私は……。」

そう言いかけて止まってしまった。私の名前なんだっけ?

人に自己紹介させて名乗れないのはまずいのでは?

そう焦っているとリョウコさんはなにか察してくれたらしい。

「あー。ひょっとして名前が分からないとか?漂流者にはよくあるんだよね。そういうの。」

漂流者……という単語はちょっと意味がわからないがどうやら私みたいな人はよくいるらしい。

私は首肯するとリョウコさんは少し困った顔をした。

「でも、呼び名がないのは不便よね。そうだ!ナナシちゃんって呼ぼうか?」

そうにこやかに言う。

仮名とは言えナナシちゃんはやだな。そう思ったので適当に名乗ることにしよう。

「えーと、ヒカリ……。そう!ヒカリがいいです。」

私がそういうと

「えー。ナナシちゃんも可愛いと思うんだけど……。まあ。本人がいいならいいか」

とリョウコさんは笑った。

そして、男の子の方に向き直して

「で、そっちの子は名前なんて言うの?」

と問いかけたが相変わらず返事はない。

どうやら、男の子の知り合いでもないようだけどなんでここに来たのだろう?

そう考えていると返事が無い様子にリョウコさんは

「あぁ。君も分からない感じ?」

と問いかける。

男の子は首肯した。

「じゃあ、ヒカリちゃんだとコウ君なんてどうかな?」

男の子はまた首肯する。

マジで声出さないな。話せないのかな?

また、私の謎が増えたなか解けそうな疑問を解いていく。

「ところでお二人はなんでここに来たのですか?」

私の問いかけにリョウコはあぁと声をあげて続ける。

「実はね、コウが倒れてるのを私が見つけてね、アクジが助けたんだけどその様子を見に来てね。漂流者を助けたのは初めてだから。ちょっと不安だったんだよね。」

でも、無事でよかった。と彼女は笑った。

しかし、まだ私の疑問は残っている。

「漂流者ってなんですか?」

「漂流者ってのはこの世界に流れ着いた人のことよ。」

また謎が増えた。私の表情から察したのか彼女は続ける。

「私もあなたもそうなんだけどこの世界はデータで出来ているの。」

なんかとんでもない話が出てきてるが話の腰を折るのは嫌なので一旦全部聞こう。

「いわゆる電脳世界なんだけど、たまに人のデータが流れ着くことがあるの。本来ならデータ不足で実体化しないんだけど稀に人としてこの世界に生まれることがあるの。世界に流れ着いたデータから生まれた人だから。この世界では漂流者と呼んでいるわ。」

私がデータ?流れ着いたデータから人が生まれる?

何のSFよ。これ。私ってなんなの?

私は頭を抱えた。

その様子を見てリョウコさんは言う。

「まあ、深く考えたら心に悪いよ。あなたは今ここにいてこの世界で生きている。それが大切なことよ。」

確かにそうかもしれない。過程がどうであれ私は私としてここにいるのだ。

そう考えよう。

「あ、ちなみにあなたを助けたのは姫って人だから。ちなみに姫って通称ね。本名は……。アクジ知ってる?」

「いや、知らないな。そういえば本名聞いたことないな。」

私は本名すら知られてない人に助けられたのか。

そう思っているとリョウコさんはまぁいいかと笑って

「後で紹介するよ。きちんとお礼言わないとダメだし……。多分会わないといけなくなるからね。」

と私にウインクする。

まぁ。助けてもらったらしいのでお礼は言うべきだろうけど会わないといけなくなるとはどういうことか?

まぁ、そのうち分かるか。

「そろそろあの子紹介しようか?」

「そうだな。会わせておいた方がいいだろう。」

二人がそんな会話をしている。

「アグッチって方ですか?」

そういえばトビラの前で待たせているのがいるのを思い出す。

「あら、なんでその呼び方を?」

「いえ、声が聞こえてたので。」

私の答えに納得したのか、彼女はじゃあちょっと待っててねと扉を開けた。

すると見たことの無い生物が中に入ってきた。

なんといえばいいのだろうか。二足歩行の……トカゲ?いや、トカゲが厳密か分からないけど。

私がその謎の生物に困惑しているとリョウコさんは笑って話す。

「びっくりした。この子はデジタルモンスター。通称デジモンって言われる子でこの世界の至る所に住んでいるのよ。」

そう話す彼女。この生物が世界の至る所に……?

「おい、リョウコ。その言い方だと誤解を招くだろ。」

そう今まであんまり話さなかったアクジさんが注意する。

「すまない。厳密に言うとだな、このデジモンはアグモンと言われる種類だ。他にも色んな種のデジモンが暮らしていて、中には人を襲う奴も居るが……。俺達と仲良く暮らしている奴もいる。」

「え?その子は大丈夫なんですか?」

私は少し身構えながらアグモンをみた。

アグモンはリョウコさんをずっと見ている。

「大丈夫よ。私のアグッチは大人しいから。基本的には私のような人が飼ってるのは人を襲わないわ。」

それなら大丈夫だろうか。

というか……。

「人を襲うのもいるんですよね?」

「まぁ、野生の子はたまにね。あとはこのシティにも暮らしてるデジモンは居るけどその子たちは安全よ。」

そう言うとリョウコさんはニコッと笑って

「百聞は一見にしかず。体が大丈夫なら外に行ってみない?」

そう聞いてくる。

確かに体に問題がないならこの病室にはいられない。

いつか外に出るなら案内してくれる人がいた方が絶対いい。

「コウ君は行く気まんまんね。ヒカリちゃんは?」

見るとコウは既にベットから降りていた。

私は少し間を置いて外に行くことを告げた。

 

 

外は異世界だった……。

いや、実は病院内で同じような人を四、五人見たりデジモンと呼ばれる生物を連れた人を見てはいたが……。

外は外でめっちゃでかい甲冑が歩いていたり、帽子をかぶったクマが言葉を話して商売をしていたり、卵から足が生えたようなのが料理を提供していたりとちょっと現実味を感じない世界だった。

リョウコさんはリョウコさんで出会うデジモンとお店を説明している。

あの甲冑みたいのはナイトモンと言って街を守衛しているだとか帽子をかぶったクマはベアモンと言って食材を売ってくれてるだとか卵はデジタマモンと言って料理がとても美味しいとか。

色々受け入れないといけないと覚悟を決めてた時どうやら行きたい場所があるらしいのでついて行くことにした。

 

そこで私は出会うことになる。

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