未定の世界   作:春夏冬 悪姫

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2話目 sideヒカリ

町の中心部に来た。

目的の建物はスタジアムを彷彿とする形で実際名前もデジスタジアムというらしい。

リョウコさんに連れられて中に入ると大きな画面ではデジモン同士が戦っている様子が映し出されている。

迫力満点のバトルだがどうやらこれを見るのが目的ではないらしい。

コロシアムの地下へ続くエスカレーターに乗っていく。

地下に着くと役所みたいな場所に着いた。

ここでも同じような顔をした女性が何人もいて、お仕事しているようだ。

リョウコさんはその中の一人に話しかける。

「ナビさん。ちょっとテイマー受付したいんだけど。」

テイマーとはなんだろうか?

ナビさんと言われた女性は少し不思議そうな顔をして

「リョウコ様は既にテイマーではないですか?」

と聞く。

リョウコさんは手を振って

「いやいや、私じゃなくて彼女たち。」

と私たちを指さす。

「ちょっと。リョウコさん?テイマーって何ですか!?」

私はちょっと怒り気味に問いかけた。

どうやら、私のことを勝手に決めようとしてるらしい。

「テイマーってのはデジモンを育てる人のことだよ。この世界ではデジモン無しでは生きていけないからね。どうしてもならないとダメなの。」

そう悪びれもなく彼女は言う。

育てるって言われても急にできるのだろうか?

「大丈夫。大丈夫。私が少しは教えてあげるから。」

……仕方ない。この世界で生きていくためだ。

「そちらの方々。お名前は?」

ナビさんと言う女性が問いかけてくる。

「私はヒカリと言います。」

「コウ。」

私の後に聞きなれない声が聞こえた。

それがコウの声だと気づくのに少し時間がかかってしまった。

「え?あなた喋れるの?」

そう聞いたが返事はない。

私嫌われてる?

私がショックを受ける中ナビさんはなにか作業をしている。

「受付完了しました。デジタマを受け取ってください。」

「デジタマ?」

私は首を傾げる。

「デジタマってのはデジモンの卵だな。」

「へぇー。デジモンって卵生なんですね。」

「まぁ、そうだがたまごを産むわけでないんだよな。」

私は首を傾げる。なら卵はどうやって生まれるのだろうか?

「デジモンは死ぬと卵になって始まりの地で生まれ変わる……とされている。ここはその始まりの地の1つなんだよ。」

そうなんですね。と返したがなんだかピンと来ない。

まぁ、そう言う世界なんだろうと思うしかないのかもしれない。

「ちなみに、テイマーが育てたデジモンは始まりの地に帰らずテイマーの手元でデジタマになるんだ。だから、また始まりの地にその子を探しに行かなくてもいいのさ。」

と言われてもなー。と私が微妙な反応していると大きな卵がいくつか運ばれてきた。

卵と言うから手のひらサイズかと思ったが……。

「これがデジタマ……。どれがいいんだろうか?」

私はいくつかあるデジタマを見比べる。

模様も色も違うがそれの違いがどう影響するか分からない。

「コウはどれにする?」

とコウを見ると既にデジタマを手に持っていた。

どうやらもう決めたらしい。

「じゃあ、私はこれでいいか。」

仕方ないので私は自分の感覚を信じて決めることにした。

こういうのは縁で決める。そういうものだろう。

「じゃあ、まぁ。ちょっとデジタマ撫でてなよ。」

そういうとリョウコさんはどこかに行ってしまった。

仕方ないので言われた通りデジタマを撫でてあげる。

これでどうなるのだろうか?

しばらく撫でていると微かにデジタマが揺れだした。

「え?何?」

そう呟いた時ポン!と可愛らしい破裂音とともにデジタマが弾ける。

手のひらにはぷにっとした感覚が広がる。

「なに?この子?」

手のひらには赤いぷにっとした何がいた。

「プニモンっていう。デジモンの赤ちゃんだな。コウのはボタモンって言うのだ。」

アクジさんの言葉を聞いてコウを見るとコウの手にも黒いぷにっとした生物が乗っていた。

コウは少し嬉しそうだ。

「どうする?名前をつけるか?」

アクジさんの言葉にちょっと考える。名前かー。

「つけるのが一般的ですか?」

「いや、正直リョウコとか一部以外名前をつけてないな。」

「ならいいです。」

私はそう答えた。

正直つけるのがめんどくさい。

「そうか、じゃあ移動するか。」

アクジさんに連れられて今度はうえに移動する。

「そういえばこのスタジアムではデジモンを戦わせられるんですね。」

「あぁ、そうだな。テイマーってはふたつに別れてな。一つは闘技型。これはスタジアムで戦わせてお金を稼ぐタイプ。強けりゃ強いほど稼げる量も多い。」

なるほどとスクリーンを見る。画面ではハグルマみたいなデジモンがロウソクみたいなデジモンの攻撃で吹き飛ばされていた。

「で、もう一つが冒険者型。これは町の住人が出した依頼を解決していく……。要するに便利屋だな。」

なら、便利屋型では?と思うがわざわざ聞かない。

聞くことでもないだろうし。

そんな話をしながら2階へと向かう。

二階の中央には大きな掲示板があった。

掲示板には色んな紙が貼られている。

「これがクエストボード。町の依頼を掲示している。この町は大きいからな。人手が常に足りてないんだよ。」

確かに貼られている数は膨大だった。と言ってもどこどこに買い物に行って欲しいとか留守番して欲しいとかそういうのもあるが。

「そういうのは珍しくてな、野生のデジモンが住んでる場所に行くのが主流なんだ。だから、テイマーに依頼が来てるんだよ。」

なるほど、確かに危なくないならわざわざ依頼もしないか……。

楽はできないらしい。

少し残念がっているとリョウコさんが合流してきた。

「アクジからどこまで聞いた?」

私が聞いた範囲を話すと満足したようにうなづいている。

「ところでそろそろあなたの子達がお腹すかしてるでしょ?」

そう言われて気づく。そうか、この子達のご飯がいるのか。

でも、何を与えたら?

私が悩んでいると

「ということで、パンパカパーン!ご飯買ってきました!」

と小さなお肉の絵が書いてある手のひらサイズの箱を取り出した。

「これはね、餌肉って言ってこの箱を開くと……。」

そう言ってリョウコさんが箱を開くと中からお肉が飛び出してきた。

明らかに箱に入る量を超えているが気にしない。したら負けだ。

プニモンとボタモンは私達の手を離れ肉に食らいついてる。

「こうやって餌をきちんと与えて、トイレに行きたそうなら連れてってあげてね。トイレは町に公衆のが沢山あるから。あと、外に行く時は携帯トイレを持ち歩くと便利だよ。」

そこまで言うと私とコウに餌肉15個ずつと携帯トイレを3個ずつくれた。

「新人テイマーに私からのプレゼントだー。」

私とコウは感謝を伝えると

「私も新人の時はもらったんだよね。だから気にしないで。」

そう笑う。

なるほど。そうやって繋いでいくんだな。

そう。私は思った。

 

 

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