未定の世界   作:春夏冬 悪姫

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5話目 sideヒカリ

ゴツゴツした岩肌。

切り立った崖。

テッペンマウンテンと呼ばれるこの場所はウララカフォレストとは違って侵入者に厳しい。

ヒカリは額をつたう汗を拭う。

ここは管理者は居なく、住んでるデジモンも気性が荒い子が多めだ。

とはいえ、無意味に襲ってくることはなく縄張りに入らない限り戦闘になることは無かった。

そんなテッペンマウンテンにおいてここ数日デジモン被害が報告されている。

曰く、クエストで来たテイマーが黒いアグモンに一方的に喧嘩を売られてパートナーを傷つけられたという。

初めは縄張りに入ったからだと思われたがどうもこの黒いアグモン、自分から他のデジモンのナワバリに入っては喧嘩を繰り返しており、その対象は訪れたテイマーまで広がりつつあるようなのだ。

そんなわけでクエストとしてこの黒いアグモンに接触して喧嘩を辞めるよう諌めるのが発注された訳だが受けたテイマーがことごとく返り討ちになったのだ。

中には、成熟期のパートナーを持つテイマーもおりこの黒いアグモンの強さが一般のそれとは異なると言うことになり、バトルを専門としているコロシアムのテイマーにも声がかかったのだ。

そして、それに応じたのが少し後ろを歩いてるコウだ。

「コウ、大丈夫?」

私の声にアグモンが返事をする。

コウは全く顔色を変えない。

成熟期すら破るデジモン相手にコウで大丈夫なのだろうかと不安になるが私は今回はあくまで付き添いだ。

この場所はクエストで何回か来たことがあるのとコウの知り合いと言うことで抜擢された。

わたしは私のクエストをこなすだけだ。

私達がさらに山を登っていると爆発音が響いてきた。

どこかで戦闘が行われているらしい。

私はコウに目配らせする。

コウは頷くと爆発音がした方に足に足を進めた。

 

 

 

 

岩陰から辺りを見渡すとそれは見えた。

三びきのゴツモンが黒いアグモンを囲っている。

既に周りには五匹のゴツモンが伸びている。

つまり、八対一での戦闘にも関わらずあのデジモンは善戦してるのだ。

「おら、どうした?倒れた仲間にそんなヘタレた態度じゃ。申し訳立たないだろ?」

黒いアグモンは背後にゴツモンに気を払いながらも挑発する。

その声に囲っていたゴツモンがいっせいに岩を飛ばす。

しかし、それは黒いアグモンに当たることなく難なくかわされていくつかは味方へのフレンドリーファイアになった。

そして、崩れた陣形をさらに黒いアグモンは火球をぶつける。

もうほぼほぼ勝負は決まった。

彼もそう判断したのか、吐き捨てるように

「こんなもんかよ。」

そう呟いた。強すぎる。

「たく。どいつもこいつもヘナヘナしたやつしかいねーな。」

さらに悪態をつくと彼はこちらに背を向けて歩き出した。

よかった。私とガブモンでは相手にならないだろう。

そう思っていると黒いアグモンは振り向いた。

見つかった?と思い岩陰に身を潜めたが・・・。

そういえばコウは?と振り向くとそこにはいなかった。

「んだよ。テイマーかよ。」

あのアグモンの声がする。

見返すとコウが対峙するようにたっていた。

「帰んな。テイマーの育てたヘナモンじゃ。俺の相手にはならねーよ。」

しっしっと彼は手を払う。

そうだよ。コウ。もっと強い人に頼もうよ。

そう思っていたがコウは首を横に振ると彼に何かを投げて寄こした。

彼はそれを受け取るとそれを掲げて

「へぇー。回復チップじゃねーか。命乞いにしちゃそれなりのものだな。」

そう笑う。しかし、コウはそう意味を取られたのかが不服そうだ。

彼は少し考えて・・・。

「まさか、俺にこれを使ってからバトルしろってのか?」

それにコウは肯定の意を示す。

バカ!やるならバトルのダメージあるうちにやった方がいいのに!

「クハハ。まぁ、今までのへなちょこ野郎どもよりマシなバカヤロウだな。お前は。いいぜ、そこまで言うならやってやるよ。」

そう言うと彼は回復チップは噛み砕いた。

「かかってこいよ。野生育ちの俺様の強さにビビるなよ。」

その言葉にコウは身構える。

パートナーのアグモンは一気に加速して間を詰めた。

 

 

 

 

戦闘はかなりの長丁場となった。

パワーで上回るブラックアグモン。

スピードで上回るコウのアグモン。

ブラックアグモンの重い一撃を紙一重でかわしながらカウンターを狙っていくがなかなか隙となるおお振りは無い。

そのうちお互いに致命傷は避けながらしかし、捨て身に近い形で体力を削り合う形となる。

「ヘナモンにしちゃなかなか持つな。やるじゃねーか。」

彼はそう笑う。

余裕の笑みという訳では無い。ただ純粋に全力を出せる相手と戦えているという高揚から来るものだった。

そして、その終わりは呆気ないものだ。

ただ1歩、足の置き場が悪かった。それだけ。

それにより体勢を微妙に崩したブラックアグモンにコウなアグモンの火球が直撃した。

彼はその場で倒れ込むと小さく笑った。

「くっそ。この俺が負けるなんてな・・・。」

満足したような、しかし悔しそうな声だった。

コウはアグモンに回復チップを渡す。アグモンが回復したのを見届けるとブラックアグモンにも近づいて回復チップを渡そうとした。

「やめてくれよ。情けはいらねー。」

しかし、彼はそれを受け取ろうとしなかった。

 

 

 

 

少しして、私は目的を思い出す。

そういえば、ブラックアグモンと話さないと行けないんだった。

私は岩陰から出るとコウの横に行った。

「ちょっといいかしら?」

「あぁ、見てたねーちゃんか。なんだ?」

どうやら私のことに気づいてたらしい。

私は少し息を吐くと話を続けた。

「街にあなたと思われる被害が届いてるの。テイマーを襲うのをやめていただけません?」

私の言葉に彼は鼻で笑った。

「へ。俺様もヘナモンを虐めるのはちょうど飽き飽きしてたんだ。いいぜ。その代わり・・・」

そこで言葉を切るとコウの方を見て

「そこの奴とそのうちもっかい戦わせろ。こいつを俺様のライバルにする。」

その言葉にコウはうなづいた。

どうやら、いいらしい。

「そう来なくちゃな。お前名前は?」

「コウ。」

「コウか。覚えたぜ。」

そういうと彼は体を起こすと山の奥に消えていった。

「これでクエスト達成。でいいのかな?」

コウは肯定の意志を見せる。

それにしても、

「コウってめっちゃ強かったのね。」

彼は格上の成熟期すら破るデジモンだ。それに勝てるなんてコウはかなりの上位なのでは?

そう思ったがコウは微妙な顔をする。

褒められて嫌な顔してるのか、もっと上がいると伝えたいのか。さすがに後者か。

コロシアムの人たち怖すぎでしょ。

「じゃあ、帰ろうか。」

私達はそうして山を降りていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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