魔法少女花騎士☆マギカ   作:繭浮

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 ※今回は更紗帆奈視点です。


バッタ討伐とフリーの傭兵 4-2

 静海このは、遊佐葉月、三栗あやめ。コイツらは最初に見た時から気に食わなかった。

 

 名字も見た目も違う明らかに血の繋がった家族ではない少女3人が、一つ屋根の下で仲良さそうに暮らしている。それだけで気に食わないしぶち壊してやろうとは思ったけど、暗示魔法で3人から直接過去を聞き出してみて、気に食わない理由がハッキリした。

 

(……あたしと同じで施設入りしたカワイソウな奴らなのに、幸せそうにしやがって!)

 

 てな訳で、3人を使って遊び始めたんだけど、途中で厄介な奴が介入して来た。七海やちよと常盤ななかだ。

 

 七海やちよは魔力感知能力が鋭いらしくて付け入る隙がほとんどないし、常盤ななかは固有魔法のせいなのか、あたしが近づこうとすると途端に警戒心が強くなる。

 

 そんなこんなで、前回は中途半端なとこで中断せざるを得なかったんだけど……今回は七海やちよ常盤ななかを含め、色んな魔法少女で遊べるよう計画を練り直したから動き出した。

 

 なのに、またしても厄介な奴が参戦して来やがった。

 

 加戸希愛。魔法少女になってまだ半年も経っていない新人の癖に、高い魔力と戦闘力を持っている規格外。こいつも見た瞬間から気に食わなかったし、名前からして気に入らない。

 

(派手な花みたいな名前しやがって。女王様気取りか! ムカつくんだよ!)

 

 しかも、コイツは七海やちよ以上に魔力感知能力が鋭いみたいで、暗示魔法を使おうにも察知されてなかなか操れないでいた。そこもムカつくポイントだ。

 

 仕方なく遠回りして、奴のオトモダチとかから暗示魔法で過去の情報とかを引き出して、何故ここまでイラつくのかの理由がわかった。

 

 コイツも、あたしと同じくイジめられた経験があったのだ。なのに!

 

(あたしの時は誰も助けてくれなかったのに、なんでコイツは……!)

 

 苦境に立たされてもなんだかんだで乗り越えてきた、物語の主人公の様な境遇。さらには、ゲームのキャラクターの力がそのまま使える反則的な固有魔法モドキ。

 

 それはまるで、世界から愛されているかのような。

 

 ……クソみたいな境遇のあたしとは、何もかもが違う。

 

(ほんっと気に食わない気に入らないムカつくムカつく!! クソがあっっ!!)

 

 1人イライラを募らせていると、憂さ晴らしも兼ねて暗示で思考を弄って送り出した三栗あやめが、夕方頃になって暗い顔でとぼとぼ隠れ家に戻って来た。

 

(グズが、とっとと戻れよ。3人揃ってる方が弄るの愉しいんだからさぁ)

 

 それにしても……この二日間、静海このは達とカトレアを観察してたけど全然動かないし、噂の終息は早いし、常盤ななか達も予想より動きが鈍い。

 

 せっかくわざわざ気配を残してイージーモードにしてあげてんのに、必死になれよ。アーツマンネ、ムカつく。

 

 思い返していたら更にムカムカしてきたので、仲良しごっこ3人組が言い争う様子でも見て気持ちを落ち着けることにしよう。

 

 おっと、お花女(カトレア)の邪魔が入らないように対策もして……これでヨシ。他の魔法少女はどうとでもなるけど、アイツだけは現状ごり押ししか対抗策ないしねー、暗示効かないみたいだし。

 

 

 

 

「みんな酷いよ! あちしのこと騙してるんだ! うわーん!」

 

 おっいい感じに修羅場ってきてんじゃーん。

 

 ここでちょいと暗示を差し込んでっと。

 

「ど、どうしよう……アタシがいつのまにか、彼女達を昏倒させて……!?」

「結論を急がないで!」

「ああっもう何がなんだか……! 足元が崩れてくみたいだ……! アタシじゃない、アタシはやってない! で、でも記憶がないだけで本当はアタシが……? そんな……うわぁぁぁぁ!!」

「は、葉月……葉月〜!」

 

 あっはー! たーのしーぃ! 前回1人取り乱した奴が冷静で、一番冷静だった奴が取り乱してるなんて!

 

「葉月……大人しくしなさい……」

「こ、このは……」

 

 おっ? おっ? にじり寄っちゃって、捕まえちゃうのかな拘束しちゃうのかな〜?

 

「……わしゃわしゃわしゃ〜!」

「……へ?」

 

 は?

 

「わしゃわしゃわしゃ〜! ……はい、もう大丈夫」

 

 …………。

 

「このは、それって院長先生の!」

「……うん、頭わしゃわしゃだよね。これされると、不思議と落ち着いてさ……」

 

 なーんか、3人して和やかな雰囲気でキレイナオモイデ語り始めやがった……は〜ぁ。シラけたわ。

 

 まぁいいや。そのネタを使って言動を操れば、今度こそ絆とかいう幻想を粉微塵にぶち壊せそうだし。

 

 てなわけで、逝ってみよー!

 

「邪魔するわよー……なによ、辛気臭いところねぇ」

「こらこらレナ、第一声がそれは失礼過ぎるぞ!」

 

 と思ったらなんか来た。

 

「ももこ!? なんでここに!」

「おいおい、なんではないだろー。前回は一緒に昏倒事件解決のために奔走した仲なのに、やちよさんには事情を伝えてアタシには伝えないなんて、水臭いな〜」

「それは……ごめん、計画があって下手に動けなかったからさ」

「まぁタイミングが悪かったってだけなんだろうけどねぇ。アタシにとってはいつもの事だ、むしろ今回は運が良かった方だな!」

「……水波レナさん。その、前の時はごめんなさい……」

「べ、別に今更いいわよ。レナもカッとなって突っかかっちゃったんだし……こっちこそ、悪かったわね」

 

 十咎ももこに、水波レナか……ちょっとだけ予想外なのが来たねぇ。

 

「それよりも。あなたにこの場所を伝えたのは、やっぱり……」

「伝えた、というより、ここに来る途中でたまたま遭遇して付いてきただけなんだけどね。ももこ、勝手に先行しないでちょうだい」

 

 そしてやっぱり来たか、最古参(ギリ少女)。

 

「それはレナに言ってよ〜」

「どっちみち全員で入るんだし、細かいことはいいじゃない」

「というか、かえでちゃんは一緒じゃないんだね」

「アタシらはアイドルライブの帰りでね。かえではアイドルに興味ないから、基本ライブはレナと2人なんだよ。でまあ、帰宅途中になんか急いでる様子のやちよさん見かけて、タダごとじゃないなって思ってね」

「急いで……もしかして、犯人に動きがあったのかしら?」

「ええそうよ」

 

 そう言って、三栗あやめの方に顔を向ける。

 

「えっ、あちし?」

「そう。あなたが動いたからこそ、私達は来たのよ。犯人を捕まえるためにね」

「それって……」

 

 そして次に、視線を廃墟内に走らせる。

 

「……ふむ。場所は聞いてたけど、思ったよりは広いししっかりしてそうね。これなら、多少荒事になってもそうそう崩れたりはしないでしょう」

 

 そう呟いて、魔法少女に変身する七海やちよ。

 

「七海さん!?」

 

 それに続いて十咎ももこと水波レナも変身する。反射的に静海このは達も変身した。

 

 ふーむ、さっきの呟き、それに3対3! これはバトる予感! いいねぇ、内輪で争い合えー!

 

「安心して、あなた達が犯人じゃないのはわかってるわ」

「じ、じゃあなんで変身したのさー!」

「そりゃ当然」

「レナ達を振り回した真犯人、隠れてる4人目を逃がさないためよ!」

「真犯人……!」

「えぇー!? い、いるの?」

 

 と思ったら、へえ……なるほどなるほど。あたしがこの廃墟内にいるって勘づいてんだぁ。元より七海やちよとは遊ぶつもりだったしいいけど。

 

 でもなー、人数的に若干物足りねぇっていうか。常盤ななかと不愉快な仲間達とか、来ないかなー?

 

「その通りですわ。ここに隠れ潜んでいる真犯人を捕らえる絶好のタイミングが、今なのです」

「ななかさん……!」

「あやめちゃん、助けに来たよ!」

「か、かこ〜!」

「飛蝗。覚悟するネ」

「かくれんぼしてないで、大人しく出てくることをオススメするよ。いやほんと、敵に回しちゃダメな人にケンカ売っちゃったんだしね……」

「昏倒事件を追っていたメンバー、勢揃いね……」

 

 ななか組キタキタぁ! あっは、これで役者が揃った……

 

「今日は更に賑やかですよ」

「皆さーん!」

「お久しぶりです……!」

「どーもー!」

「れいらにせいかにみとー!」

 

……まだ来るか。まあ、大東団地の三馬鹿もあたしのこと探ってたし、もしかしたら来るかもとは思ってたけど。

 

 それと、こいつらと一緒に探ったりしてた、東の顔役。

 

「あなた達まで、どうして……!」

「なぎたん……もとい、十七夜さんに事情を聞いて、応援に来ました!」

「うむ。静海君達の無実を広めるために動いていたら、君達のために相野君達が事件の犯人探しをしていてな。せっかくなので来てもらった」

 

 だよね、お前も当然来るよね、和泉十七夜。

 

「おい……アタシの可愛い後輩に手を出した奴! いるならとっとと出て来やがれ!」

「デンドロビウムさんの推理が正しければ、いるはず……!」

「……こころを起こして」

 

 続けて、中央の顔役の都ひなのと、保澄雫と加賀見まさらが……なんか多くない?

 

 ま、まあいいか。ちょっと人数多いくらいの方が愉しめそうだしね。

 

 それと。

 

「このはさん達を標的にしていて、あやめさんが不自然な行動に出た以上、彼女の動向を近くで潜んで見張り続けたはずです。つまりは高確率で、真犯人はここにいます」

 

 あっは。ようやく引き篭もりやめて出て来たねぇ、雷電燈湖……ん? こいつこんな口調だったっけ?

 

 あれかな、傭兵として動いてる時は丁寧口調にしてるとか? まぁどうでもいいけど。

 

「さっきから、確信をもって「真犯人」について語っているけれど……もしかしてあなた達、犯人の目星が付いているの?」

「はい、その通りです」

 

 静海このはの問いにそう答えて……傭兵の時はデンドロビウムって名乗ってんだっけ?が、和泉十七夜に視線を向ける。

 

「うむ。つい最近、思い出させてもらったのでな」

 

 ……あっは。そっかぁ、なるほどねぇ……つまり、

 

「多勢に無勢、袋の鼠という奴だ。いくら暗示が強力とはいえ、もう逃げられないぞ。大勢がいるこの状況でお尻ペンペンなどされたくはないだろう、早く投降するのをオススメするよ。更紗帆奈君」

 

暗示、解かれてんだぁ……! あ〜……これでやっと、次のステージで遊べる……!

 

「……あっは……! あっはあっはあっはははあっはあは! あっはははははあっはあっはあっは! あっはははあっはあはああっははは! あひはははははあっはあっははあは! あはははははあっはあっはあっはは!」

「な、なんて嫌な笑い方……!」

「ようやく姿を表しましたね……私達の仇敵!」

 

 本当は潜んでる場所まで完全に特定されたら出てこようと思ってたんだけど! 楽し過ぎて笑い声抑えらんなかったわー、あっはははー!

 

「んは〜……思ったよりは早く見つけてくれたかな〜……んまぁ、わざわざ難易度イージーにまで下げてあげたんだし? そんくらいはしてくんないとね〜?」

 

 集まった全員に嘲笑の視線を流しつつ小馬鹿にして煽る。

 

 ……カトレアの姿はない。奴が視界に入った時点で逃げに徹するつもりだし、デンドロビウムもそれに気付いてるからこの場に呼んでいないんだろう。あたしを捕まえたいんだろうしね〜。

 

「更紗帆奈さん」

 

 デンドロビウムが一歩前に進み出る。

 

「ん〜? なにかな〜?」

「固有魔法は他者の固有魔法のコピー、通称「上書き」。現在は瀬奈みことさんの固有魔法「暗示」を書き込み中」

「うんうんそうだねぇ、あってるあってる〜。よくできました〜!」

 

 和泉十七夜の記憶を解放してる時点で、その情報を得ているのは予測済み。

 

「出生地は神浜市の隣の◯◯市。20xx年◯月生まれの15歳、現在水名女学園在学中ながら、数ヶ月前より不登校」

「……、は?」

「両親は他界しており、現住所は◯◯◯◯という児童養護施設。ですが、こちらも学園と同じく数ヶ月前より帰宅した形跡はなし。行方不明者届が出ていないことから、施設職員は暗示魔法を受けていると思われる」

「は、ちょ、それ」

 

 なんだこれ……なんなんだ……!

 

「幼少期、父親と思われる男から虐待されていたのではないかという証言あり。当該の父親は揉め事の末刺殺され、その数ヶ月後に母親は泥酔状態時に車に轢かれて他界。引き取り手がいなかったことから、施設に送られる」

「な……なんで……ていうかどうやって調べた!? 痕跡は暗示で完璧に絶ったはずなのに……!」

「簡単に言えば、大人の力とコネの力です。甘いですね、本気で隠蔽したいなら、国が保管している住民のデータまで改竄しないと」

「…………(ぽかーん)」

 

 こいつ……ヤバイ……イカれてやがる! 普通そこまで思いつかないし、思いついたとしても普通に考えて実行不可能だよ!

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