魔法少女花騎士☆マギカ   作:繭浮

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増える花騎士系魔法少女3-4

「んも〜ダメですよカトレアさん、こういう場ではマナーモードでプレイしないとっ」

「そ、そうねステラ。ウッカリしてたわ」

 

 ステラはまだ隣の席の花騎士そっくりさん?な2人にはまだ気付いてないようだけど。

 

「カトレアにステラ!? 名前までまんまじゃないですかってぇええ!? さらに隣にはデュランタさん!?」

「……うん、まあ、デュランタでもある」

「えっなんですかその意味深な相槌。ま、まさか、花騎士の記憶を持って生まれた〜なんていう逆転生モノな展開が……なーんてあるわけないですよねー、偶然偶然! いやいや3人も花騎士瓜二つな娘が一緒にいるなんてそれもう必然的な何か絶対ありますよね!?」

 

 なにこの娘、面白っ。やっぱり性格も言動もハツユキソウそのまま……これもう並行世界の同一人物で確定よね。

 

「あ、あれ……? なんかお隣さん、色々とものすごーく見覚えあるなような……あっなるほどぉ! カトレアさんマナーモードわざと解除したんですねっ! キラッとな判断ですっ!」

 

 隣の子達の容姿とかに気付いたステラが、感心したように良い笑顔でサムズアップして来た。キラッとな判断って何かしら、ナイス閃きみたいな?

 

「ユキ、確かボクもその、花騎士?のキャラの1人にソックリなんじゃなかった?」

「はっそうでした! となると、なっなんとぉ!! 私も含めて5人もの花騎士瓜二つさんが一堂に会したと――」

「元気が良いのは良い事ですが、公共の場であまり大声ではしゃがないように」

 

 テンション高めにはしゃぐハツユキソウ(仮)に、口調をわざわざデンドロビウム調に変えてから振り返って注意する燈湖。やっぱり気付いてて私に丸投げしたわね……

 

「うぇえぇえ!? しっ師匠! 師匠じゃないですか! ま、まぁカトレアさんがいる時点でいるんじゃないかなーと予測はしてましたけど? とはいえまさかこんな近くにいるなんて、私の目をもってしても読めなかっ――」

「えっししょー!? ユキちゃんもトーコししょーの弟子だったの!?」

 

 とここで、師匠呼びに敏感に反応した鶴乃ちゃんが、厨房からズザザーッと飛び出して来た。

 

「あー、デン、じゃなくてトーコさんでしたっけ? 師匠と言ったのは、プレイヤー間の愛称みたいなもので――」

「いつからししょー呼びしてるの!? ていうかそうなると、ユキちゃんは弟弟子、いや女の子だから妹弟子って言えばいいのかな? 一緒に切磋琢磨っ粉骨砕身の精神でがんばろーねーっ! フンフン!!」

「いやその、ですから師匠呼びはですね……」

《カオスになって来たわね……カトレア、一度場を収めなさい》

《えぇ、私……? まぁいいけど……》

 

 展開の混沌ぶりに、女王様が無茶振りして来た。まぁ燈湖が丸投げしてる以上、私が適任ではあるけど……

 

 えっと、まずは……

 

「鶴乃ちゃん、急に厨房から飛び出したら危ないじゃない。それ、飲食店の看板娘として大問題じゃない?」

「はうっ正論で殴られたー!!」

「複数の注文が一度に入った状態なんだから、親父さん1人じゃ手が回らないでしょ? 厨房で大人しく手伝いなさい」

「はうぅ……おっしゃる通りだー……」

 

 ふぅ、これで鶴乃ちゃんは一時退場させられるわね。でもまあ、

 

「ユキちゃん! トーコししょーのお話! 後でじっくり聞かせてねー!」

「あ、あはは……そですね、私が話せる範囲でー……」

 

 元気爆発最強娘な鶴乃ちゃんが、普通に大人しく引き下がる訳ないわよね。元気可愛い。

 

 さて次は。

 

「私の名前は加戸希愛よ。カトが名字でレアが名前ね。で……聞こえて来てた会話からして、白髪のあなたがユキさん、茶髪のあなたがシュシュさん、でいいかしら?」

 

 自ら自己紹介をしてさらに自己紹介を促して、無理矢理話を進ませることにした。

 

「あっご丁寧にどうもですっ。確かに私がユキです。えっと、フルネームが奈雪初雪(なゆきはつゆき)と、名字と名前両方に雪が入ってるので、ある程度親しい人からはユキってあだ名で呼ばれてます」

「ボクの名前は瓜生朱々(うりゅうしゅしゅ)。この娘、ユキとは友達だよ。あと……自慢するみたいでなんだけど。制服でわかるとは思うけど、ボクらは聖リリアンナの中等部二年生なんだ。土曜だけどちょっと学校に用があって、その帰りで制服姿な訳だけど……出来ればあまり言いふらさないでね。聖リリアンナはセレブ校って言われるだけあって変なとこで厳しい校則とかあってさ、出来るだけなんの噂も立って欲しくないんだ」

「なるほどね、了解したわ」

 

 まあ、元より言いふらすつもりなんてないけど。それはそれとして、次の話題だ。

 

「結論から先に言うわ。私が店内でフラワーナイトガールのタイトルコールを流したのはワザとよ。あなた達が私達と同じこのゲームのプレイヤーかどうか確認するには、これが1番手っ取り早かったからね」

「……タイトルコールに反応してこっちを見て、大きく反応しなかったとしても素面じゃなかった時点で、プレイヤーなのは確定……」

「な、なるほどっ! 理解しました!」

 

 示し合わせたわけでもないのに、りつが私のやった事に対する補足をしてくれる。やっぱりりつは話の飲み込みが早いわね、居てくれてありがたいわ。

 

「えっと、それでそのー……みなさんはどういう集まりなんでしょう? いや、花騎士関連なのは容姿を見れば十二分にわかるんですが……」

「うーん、半分正解、てとこかしら」

「半分、ですか?」

「そう、半分。もう半分は――」《あなた達に素質が有れば、この声が聞こえてるはずよ》

「「え!?」」

 

 ユキと朱々が驚いた様子で、頭に手を当てる。急に頭に直接声が響いたら当然の反応ね。

 

 念話は、魔法少女全員のデフォルト魔法。けれど、魔法少女でなくても念話を届けられる存在がいる。それが、「魔法少女に適性がある少女」だ。

 

 ただこれは、キュゥべえが中継役をしてくれないと出来ない。そして私、というか女王様の魔力探知範囲に、今現在キュゥべえはいない。

 

 本来は、まだ魔法少女でない2人には念話は繋げられないのだけど……そこはそれ、やっぱり女王様は格が違う。流石に素質がないと無理だけど、いつの間にやらキュゥべえなしで一般少女への念話が可能になる魔法を構築していた。さすがは、花騎士界の公式魔法チートキャラだわ。

 

 とはいえまあ、可能範囲はせいぜいこの店内ぐらいだけど……2人にはパスが繋がったということは、予想通り2人とも魔法少女の適性がある、ということだ。

 

《これがもう半分の理由。呼び方は念話でもテレパシーでもいいけど。これは魔法少女か、魔法少女の素質がある程度高い人とじゃないと繋がらない魔法なのよ。つまりは、私達は花騎士に瓜二つな魔法少女の集まりってことね》

「魔法、少女……?」

 

 朱々が困惑したように呟く。どうやら彼女の方は、キュゥべえとの接触もまだだし魔法少女と遭遇したのも初みたいね。

 

《ああ、伝えたい言葉を頭に思い浮かべて相手に送るイメージをすれば、朱々さんの言葉は私に届くわよ》

《えっと……こんな感じ、かな?》

《ええ、届いてるわ》

 

 さて。朱々の反応はこんな感じだけど、本命のユキは……

 

《あれ? でもこれ、キュゥべえさんが中継してないと出来ないんじゃ……》

 

……どうやらキュゥべえからの勧誘はすでに受けていたらしい。ギリギリセーフってとこかしら。

 

《それで……何のために念話してきたんですか? というかそもそも――魔法少女って、なんですか?》

 

 突然魔法を使用して来たのだから、朱々の疑問は当然ね。

 

《ちょっと長くなるけど、真面目な話だからしっかり聞きなさいね》

 

 そう前置きを言ってから、今店内にいる少女全員がキュゥべえと契約した魔法少女であること、地球とスプリングガーデンが並行世界で、私達花騎士と瓜二つな少女は並行世界の同一人物かもしれないこと、さらにはキュゥべえの、花騎士魔法少女の魂を利用した非道な実験についてまでを大まかに話した。

 

《あ……あっぶなああああ……!! ち、ちょっと間違えば私、実験動物になってたんですね!? うー、やっぱり不幸です〜……》

《まあ、不幸中の幸いってとこじゃないですか? ボク達と違って、まだ契約に踏み切る前だったんですし》

《だね……でもこれで、キュゥべえの計画阻止、になったかな……》

《どうだかな。花騎士魔法少女にならなくてもハツユキソウと同一人物なら、魔法少女としての素質はかなり高いはずだ。キュゥべえが大人しく引き下がるとは思えねえな》

《確かに、燈湖の言う通りね。魔法少女になんて、なるべきじゃないのだけど……》

《まあ、なんでも願いが叶うって言っても、魔女と命懸けの戦いを半ば強制されるらしいし、自身が魔女になるかもしれないなんて特大地雷があったらね。良かったねユキ、カトレアさん達とここで出会えて》

《そ、そうですね〜! ええっまったくもってその通りです〜! あはははは〜!》

 

 ……なんか笑い方が乾き気味ね。

 

《……この娘、一時保留にはしたけど魔法少女になる気満々だったんじゃない?》

《あー、そうっぽいわね……》

 

 まあ、リスクを知らなければこの年頃の少女なら、深く考えずに契約しちゃう娘多そうだしね。だから責めることもないわね。

 

 それに、ハツユキソウと同一人物ならキュゥべえの口車に乗せられて「乗るしかない、この花騎士魔法少女というビッグウェーブに!」て感じのノリで契約しちゃいそうだし。間に合って良かったわ……

 

(となると……あのポーチュラカ似の娘とも、出来るだけ早く接触したいところね)

「はいはーい! みなさんお待たせしましたー!」

 

 と、ちょうど話の区切りの良いところで料理が運ばれて来た。

 

「じゃ、話の続きは食事の後にしましょ」

「おう! いっただっきまーーす!!」

 

 話の蚊帳の外、というか魔法少女の秘密についても交えていたから念話ネットワークから外していたフェリシアが、真っ先に食べ始めた。それをキッカケに、各々目の前に運ばれて来た料理にしばらく舌鼓を打ち、しばし咀嚼の音のみが響いた。

 

《うーん……不味くはない、不味くはないけれど……コメントに困る味ねぇ……》

 

 ちなみに、女王様とはいつも通り時々交代して食事を取ったのだけど。

 

《点数を付けるなら?》

《4……50点、かしらね、大目に見て》

《よねー》

 

 万々歳の料理は、異世界人基準でもやっぱり50点らしい。まあ並行世界だし、スプリングガーデンは料理の発展も現代日本とそう変わらなさそうだしね、仕方ないわね。

 

 

 

 

 魔法少女関連の話は一応粗方話し終えたので、話題は彼女達自身の話に移った。

 

「花騎士プレイヤーでハツユキソウをご存知な皆さんなら、すでにお気付きかもしれませんが。ハツユキソウに瓜二つな私は、性格もわりと瓜二つ、さらに言うなら人生の流れ的なのもなんか瓜二つなところがあるんですよね〜」

「ユキ、ウリウリ言い過ぎ」

「でも事実ですし。さらに言うと、自慢じゃありませんが! 私の座右の銘は、「長い物には自ら巻かれにいく」です!」

「自慢気に言ってるけど、微妙に間の抜けた感満載な座右の銘ね。というかそれ、そのままハツユキソウのスタイルじゃない」

「そこなんですよぅ! 私が花騎士のハツユキソウを知る前からのモットーなので、これはもう運命! デスティニーなのではないかと!」

 

 何で英語で言い直したのかしら。まあ、並行世界の同一人物だとしたら有り得ない話じゃないかしらね。

 

「でまあ、これまで私は、そのスタイルで人生を歩んで来たわけなんですが……わりと親しくしていただいていた皆さんが聖リリアンナの入試を受けるという話になったので、私も流れに乗って受けてみたんです。ですがその、なんといいますかね……確かに受かるための努力はしましたけど、ダメもとで受けた私だけが何故か入学出来ちゃったんですよねー」

「……確かハツユキソウのエピソードでも、似たようなのがあったわね。みんなが花騎士を目指すというから自分も流れに乗って騎士学校に入学したのに、最終的に花騎士になれたのは何故か自分だけだった、だったかしら」

「そう! それが言いたかったんです! ハツユキソウのそのエピソードを知って以来、もう前以上に他人のような気がしなくって、大好きなキャラになってました! それにしてもカトレアさん、やっぱり花騎士やり込んでますねぇ!」

 

 ……うーん、もはや疑ってはいなかったけど。やっぱりこの娘花騎士ハツユキソウと同一存在よね、100%レベルで。

 

 というか、ハツユキソウへの理解度と愛情度の高さからして、私達と同じような願いをしたら確実に花騎士魔法少女になるわね。ほんとにギリギリだったのね……

 

 まあ、とりあえずは雑談の続きね。朱々、というか花騎士カラスウリは☆5だし、朱々自身は花騎士をよく知らないから確率は低いけど……彼女の語るエピソード次第では、絶対とは言い切れない。それが雑談で見つかるかも。

 

「朱々はどうして聖リリアンナに?」

「ボク? うーん……共学の学校に行きたくなかったから、かな」

「ふむ。男子と一緒なのがイヤ、と?」

「嫌って程でもないけど……出来るだけ女の子扱いされたくなかったから。周りが女の子だらけなら、男の子だとかなしに平等に生徒でしょ?」

 

 ……そういえば、花騎士のカラスウリもそんな事言ってたわね。

 

 ふむ……ここで一石投じてみる。当たれば――

 

「それって、あなたが男兄弟に囲まれて過保護に甘やかされて育ったから、かしら?」

「え!? な、なんで知って……ユキにもまだ話した事ないのに!」

 

 うーん、当たっちゃったかあ。カラスウリ率が更に高まった。

 

「あっそれってカラスウリのエピソードですよね! えっと……男兄弟の中で唯一女の子だったからかなり過保護に可愛がってくれたけど、兄弟たちに守られてなんでもやってもらってて、このままじゃダメ人間になると思った。それが情けなくて、男の人に守られなくても大丈夫なようになりたかった、でしたっけ?」

「だ、だからなんで話してもないのに知ってるのさぁ!?」

 

 困惑しているところに、話していないと言っていたユキからの追撃。朱々の混乱は更に深まった。

 

「……ユキ、あなたもだいぶ花騎士大好きでやり込んでるわね」

「えへへぇ。まぁカラスウリは好きなキャラでしたしねっ。中の人的にも親近感ありましたし」

「あー、そういえばそうだったわね。私は中の人の演技力が凄すぎて、どこかのまとめサイトか何かで見て初めて同じって知ったんだけど」

 

 花騎士は何故かCV表記がないけど、声優ファンの判断ではハツユキソウとカラスウリはCV担当が同じらしい。声優の演じ分け凄い。

 

「そういえば、朱々さんと仲良くなったキッカケも、声がどことなく似てるから、でしたね〜」

「へえ、そうなのね」

「そんなことより! 何でボクが誰にも話してない内に秘めておいたことを知ってるのさ!」

「気持ちはわかるけど落ち着きなさいな。ユキも言ってたでしょ、「花騎士カラスウリのキャラエピソード」だって。私達はあなたの話じゃなくて、花騎士談義をしていたのよ」

「それは……それってつまり」

「朱々は認識してなかったのに、花騎士カラスウリと容姿が瓜二つで、ほぼ同じ思いを抱いていた。あなたが花騎士カラスウリと同一存在である可能性が限りなく100%に近いってことね」

「…………」

 

 それきり、腑に落ちないというかありえないものを見たかのような顔で黙り込み、俯く朱々。一度に情報を出し過ぎたかしら。

 

 それでも。2人が私達と同じく並行世界の花騎士と同一存在なら、言わなければならない。

 

「なんにしても。魔法少女の適性があるのなら、今はその気がなくても魔法少女の契約をせざるを得ない状況に陥るかもしれない」

「……そう、ですね。ボク達がまさにそれでしたから」

「……(こくり)」

 

 ちらと視線を向けると、ステラとりつが相槌を打つ。

 

「だからそうなったら、まずは私達に連絡を寄越しなさい。りつとステラと同じくソウルジェムの穢れの異常蓄積が起きる恐れが高いのだから」

 

 そう言って、私は燈湖の家電の電話番号を書いたメモを渡してスマホのメアド交換もした。

 

 さて、一応キュゥべえの実験への対抗策を講じたけど。

 

《願わくば、彼女達が魔法少女にならざるを得ない状況に陥りませんように……》

《……それって、カトレアが時々言ってるフラグに当たらない?》

 

 あっ……ミスったかも?




 今回の登場人物の名前について。

 ハツユキソウは、まあ特に言うことはありません、そのまま初雪ですし。

 カラスウリこと瓜生朱々は、カラスウリを漢字にすると「烏瓜」「唐朱瓜」と二種あり、唐朱の方から取った感じです。

 ちなみに、奈雪と瓜生は実在する名字です。


 次回の投稿予定は、2021年11月27日(土)を予定しております。
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