……とまあ、ポーチュラカ娘を早く見つけ出そうと意気込んで、一週間とちょっと。当然すぐには見つからなかった。そもそもたまたま神浜に用事があっただけかもしれないのだ、神浜在住かもわからないのだから、仕方ない。
けど、神浜外の知り合い魔法少女なんて杏子くらいしかいないし……一応ポーチュラカ(花騎士の画像)をメールで送って、もし瓜二つだと思える娘がいたら連絡頂戴、と伝えてあるけど。まあ、見つかる確率は低いでしょうね。
ちなみに、花騎士と同一存在と思われる娘、実は2人見つけていたりする。ただまあ……見つけたのは、初期レアリティが☆2、☆3の娘だ。
具体的に言うと、イブキトラノオっぽい娘と、ブルーロータスっぽい娘なんだけど……イブキトラノオの同一存在(多分)の
なんにしても、2人は多分キュゥべえに見つかっても実験対象とは見られないだろうし、そもそも魔法少女の素質があるかもわからない。ので、ちょっと会話して花騎士知ってるかカマかけした程度で、連絡先を交換したりもせずに別れた。知り過ぎる事が罠になる、てこともあるだろうしね。
ちなみに、2人ともゲームの花騎士はやってない、というかソシャゲはやらない主義みたいで、特に話が発展する事もなかった。
そんなこんなで、ポーチュラカ娘の捜索は難航していた、のだけど。意外なところから情報がもたらされた。
「オレくらいの年齢で、ダジャレ連発する……それってもしかして、ヒューカの事か?」
「知っているのかフェリシア!」
デンドロビウムに強くしてくれと頼み込んで以来、放課後に燈湖とデンドロビウムは近所の廃墟ビルでフェリシアちゃんに鍛錬というか、フェリシアちゃんの大槌の効果的な振るい方とか魔力の上手な使い方をレクチャーしているのだけど。フェリシアちゃんとポーチュラカ娘がなんとなく同い年くらいな気がしたからサラッと聞いてみたら、まさかの当たりを引いた。
「いや、お前らが探してるポーなんとかに似てるかは知らねーけど。オレそもそも花騎士やった事ねぇし」
「あー、それもそうね。えっと……この絵の娘に似てる?」
手早くスマホを操作し、花騎士ポーチュラカの画像を見せる。すると、
「おおっ!? こいつがポーチなんとかなのかよ! ヒューカソックリじゃんか!」
大当たりだった。灯台下暗しってこう言う事かしらね。
「そういや多分だけど、ヒューカもそのゲームやってた気がするぞ!」
……危険度的にも大当たりだった。一刻も早くポーチュラカ娘見つけないと。
というか。
「ヒューカって、名字? 名前?」
フェリシアちゃんの言い方だと、どっちなんだか判り辛い。
「名前だよ。えーと……確かフルネームは、ミエヒユカ、だったっけ? 漢字はなんか難しいヤツだったから覚えてねぇ」
《親しげに呼ぶ仲なら、漢字くらいは覚えてあげなさいよ》
「むぅ、だってマジでムズい漢字なんだぜ? それにヒューカの方が呼びやすいし、なんか響きがカッコイイじゃん!」
あー、そういえばこの娘、思考が小学生男子に近いんだったわね……
「ん〜〜……花言葉か? いや学名とかも……」
その感燈湖は、なんかスマホを高速でタップしていた。
「燈湖は何してるの?」
「ミエヒユカの漢字表記を予想しててな……ポーチュラカ、和名……」
《花騎士名とこちらの同一人物とで、名前が似ていたりそのままだったり、連想させる響きだったりの傾向がありますから。花のポーチュラカの情報を様々な角度から調べて、名前に使われている漢字を導き出したいようです》
「あーなるほど。さすがの発想力ね」
「……実在する名字にあるが、全国で10人前後か……まあいい。後は、ポーチュラカの性格に合った人名用漢字を当てはめて…………完成。フェリシア、この名前に見覚えあるか?」
打ち込み終えた燈湖が、スマホの画面をフェリシアちゃんに見せる。ついでに私も覗く。
そこに表示されていた文字は、莧陽友花。
「うーん……難しい漢字というか。字面だけだとどう読むか悩む系ね……」
「んー……あーあー! そうだこの漢字だよ、ドンピシャだ! すげぇなトーコ!」
「よっし当たりか。やったぜ」
見事漢字を当てられて、小さくガッツポーズを取る燈湖。可愛い。
まあともかく。
「漢字はこれで、読みは
「おう、そうだぞ! 同じクラスで友達の、ヒューカだ!」
「……なんか、今までの苦労はなんだったのかと言いたい程ポーチュラカ娘、もとい陽友花ちゃん情報一気に来たわね……」
《まぁ、そんなこともあるわよ》
《見落としは誰にでもあるものです、今回の事を教訓にして今後に活かしましょう》
さて。フェリシアちゃんと同じクラス、つまりはフェリシアちゃんが通っている中央学園なら、神浜在住よね。しかも友達らしいから、後はフェリシアちゃんに話を通してもらえれば……
「あー、んー……そいつはちょっとムズカシーっつーか……」
……と思って提案したのだけど。なぜかフェリシアちゃんは気まずそうに明後日の方向に視線を送る。
「今まであえて事情には踏み込まないでいたが……フェリシア、お前制服で来る事多いが学校はサボってるだろ」
「ギクゥ」
「……漫画以外で実際に口からそれ聞くとは思わなかったわ」
「ま、理由はなんとなく想像付くがな」
燈湖の予想通り、魔法少女になって以降、魔女狩りに集中したいがためにキチンと通っていないらしい。
気まずそうにしてた理由は他にもあった。
「その、な……オレが悪い部分もあるんだけど。今ヒューカとはケンカしてるっていうか、距離を置いてるっていうか……でも! ヒューカにはオレの復讐に、こっち側に巻き込みたくねぇし……」
どうやらフェリシアちゃんは、自分と距離が近いとこちらの世界――魔法少女や魔女との戦いに巻き込んでしまうと思って、ワザとケンカ腰で脅すような事を言って無理矢理陽友花ちゃんと距離を取ってる状態らしい。うん、それは気まずい。
でも、さっきの嬉しそうなヒューカ呼びとかからしてかなり仲は良さそうだし、なんとか上手い具合に仲直りしたいとは思ってるのだろう。とはいえ今は。
「気まずい気持ちはわかるけど。今回のフェリシアちゃんの対応は一応正解だったと思うわよ」
「……そうなのか?」
……魔法少女の真実はまだ話すべきじゃないから、その辺りの事はボヤかすけど。フェリシアちゃんの対応で、陽友花ちゃんがキュゥべえに発見される確率は一時的にとは言え下がったはず。
「詳しくは難しい話になるから言わないけど。ともかくどうしても陽友花ちゃんと話したい事がから、出来れば連絡先を教えて頂戴」
「連絡先……あっ!」
そう聞いて、フェリシアちゃんが衝撃の事実に気付いたかのような驚愕顔をする。今度は何かしら。
「そういやオレ、ヒューカとの連絡方法知らねぇ……」
「え? 電話番号なりメルアドなり聞いてないの?」
「いやだって、魔法少女になる前は、学校に行けば会えたし……」
どうやら、フェリシアちゃんは電話やメールより直接合っての会話する派で、そういうのは後回しにしていたらしい。
うーん。三歩進んで二歩下がった気分。
「まあ、フェリシアと同じクラスの中央学園在学。この情報が手に入っただけでも十分過ぎるぜ」
「燈湖、何か妙案が?」
「なに、単純な方法さ。中央学園の校門前で見張って、通学時か帰宅時を捕まえる」
「えぇ……」
燈湖にしては脳筋な方法だった。まあ燈湖の場合、あらゆる手段の中から1番確実な手段を選んだだけか……だから、脳筋でもある、かしら。
「んまぁ、確かにそれが1番確実な捕まえ方だよな! ヒューカになんの話があるかしらねぇけど、アンタらなら信頼できるし。ヒューカをヨロシクなっ!」
フェリシアちゃんも納得したので、そういうことになった。
まあデンドロビウムも付いてるし、燈湖が下手を打つとも思えない。任せて大丈夫だろう……多分。
ちなみに、今日は金曜日で明日は学校は休みだから、週明け月曜から張り込みをするらしい。これでとりあえずは、合う算段はついたかしらね。
とはいえそれだと……それに、今までと同じく全て燈湖任せにしてたら、また燃え尽きモードに入られるかもしれないし。何か私も……うーん……
あ。良い考え思い付いたわ。
「フェリシアちゃん、明日明後日の土日は暇?」
「んー? 日曜は丸一日トーコ達と鍛錬するつもりだけど、明日は午前に傭兵の依頼が一件あるくらいで、昼からは暇だな」
「なら、ちょっと私に付き合ってくれないかしら? フェリシアちゃんと行きたいとこがあるのよ」
「おー、別に構わねーぜ……あ、昼メシ奢ってくれんならな!」
「あ、ってあなたね……まぁそれくらいいけど」
「よっしゃラッキー!」
行き先の詳細はあえて話さなかったけど、快く、というか深く考えず了承するフェリシアちゃん。
《カトレア、何するつもりよ?》
《陽友花ちゃんが土日の間にキュゥべえと接触・契約しちゃう恐れもあるじゃない? 多分家は中央学園付近の住宅街の一軒だろうから、名字を当てに家を探すのよ。燈湖が調べた限り、莧って名字の人は全国的にも10人程度しかいないかなり珍しい名字らしいから、表札が莧さんならまず間違いなく陽友花ちゃん家でしょうし》
《ふむ、なるほどな。人命がかかってる訳だし、その方法もアリだな。生憎アタシは明日は用があるから一緒出来ないが、まぁ複数人で住宅街をウロウロするのも悪目立ちするしな。2人だけなら問題ないだろ》
《フェリシアさんを連れて行くのは何故ですか? ヒユカさんとは距離を置いているらしいですが》
《フェリシアちゃんが陽友花ちゃんの連絡先を知らないって事は、当然家にも行った事ないんだろうけど。陽友花ちゃんがいつでも明るく元気っ娘なポーチュラカ娘なら、中学でどういう友達が出来たか家族に話さない訳ないと思ってね。私だけじゃ不信がられるだけだろうけど、娘さんが話していた友達と思われる娘――フェリシアちゃんと一緒なら、陽友花ちゃんに話くらいは通してくれるでしょ》
《なるほど、それは確かに》
《何より、キュゥべえに狙われる可能性が高いのだから、陽友花ちゃんも魔法少女の世界には遠からず関わることになるわ。つまり、フェリシアちゃんが距離を置く理由は、私達が説明出来ればもう無くなるのよ……仲直りは、出来るだけ早い方が良いでしょ?》
《お人好しねぇ……フェリシアに詳しく言わなかったのは、直前で意図に気付かれても逃がさないためね?》
《その通り。それにお昼を奢ってあげれば、心情的により逃げ出しにくいでしょうしね》
《ふーん……ふふっ。カトレアも、なかなか強かになったわね》
《強かな友人が増えたからね》
という訳で。燈湖の手段は、明日土曜に陽友花ちゃんに接触出来なかった際の最終手段、ということになった。
日も暮れかけてきたので、今日の鍛錬はこれくらいで切り上げる。フェリシアちゃんまだ中学生だしね、本人はもう少し鍛錬したい様子だったけど、出来るだけ暗くなる前には帰さないと。
さて。
「……次の用事といきましょうか」
《そうね。フェリシアが帰ったのを確認してから近寄って来たみたいだし》
この反応、やっぱり女王様も気付いてたか。
「あまり穏やかじゃない声色だが……誰が来た?」
「さあね……とにかく、私達の知らない強力な魔法少女の魔力反応が、真っ直ぐこっちに向かって来てるわ」
「ほう」
《あら、カトレアもだいぶ離れた位置の時点で気付いたみたいね。着実に魔力感知を使いこなせる様になってるわね、感心感心》
「ちなみに女王様は、どの位置で気付いた?」
《んー……1.3kmくらいの位置、かしら。その魔法少女、魔力がほとんど垂れ流し状態なのよ。昔の私程ではないけど、思わず昔を思い出す程度には、魔力を制御出来てないわ》
「そんなに前から!? 私なんて500mくらいでやっと気付いたのに」
「……カトレアも十分凄いと思うがな」
《私達は、頑張っても精々が100mですからね。こればかりはカトレア達の才能が高すぎるだけなので仕方ないですが》
「私だって、普通の魔法少女なら気付かない距離よ。でもこの魔法少女、女王様が言った通りほんとに魔力垂れ流しなんだもの」
《それと。影に隠れる感じでいたから今ようやく気付いたけど、2人組よ》
「あ、そっちはわからなかったわ。流石女王様ね」
そう話している間に、廃墟ビル内に静かな足音が響いて来た。わざわざ音を立てたという事は、少なくとも1人は直接口頭での会話を望んでいる、ということね。
しばらく近付いて来る足音を聞きながら待っていると、白づくめな魔法少女が現れた。髪の毛もプラチナブロンドで、本当に全身真っ白だった。
「ごきげんよう、異世界からの来訪者さん。私は美国織莉子、最近は風見野に行ったりもしていますが、主に見滝原で活動している魔法少女です」
《……出だしでいきなりそう来ますか。魔力の時点でそうですが、只者ではなさそうですね》
《ええ……それに真っ白な魔法少女っていうと、最近聞いた話題ね》
多分杏子が言っていた「最近風見野でたまに見かける白づくめの魔法少女」でしょうね。
「それで? 私達に何の用かしら」
「ご相談がありまして。それにはまず私の固有魔法について話さなければなりません」
「固有魔法?」
「ええ。私の固有魔法は――「未来予知」です」
ふーん、なるほど……なかなか強力なのが来たわね。
「予知で、私達に会う未来でも見たのかしら。花騎士の魂が来るのも見えたってとこ?」
「そのような所です」
……まあ、ただ単に会う未来が見えただけじゃあないんでしょうけど。見滝原の話題から入ったのだ、間違いなく厄介事だろう。
《カトレア、ちょっと代わるわよ。この娘魔力制御下手過ぎて、気になって気になってしょうがないわ。話も頭に入って来ない》
《ああ、そうくると思ったわ》
▲ ▽
「話の腰を折るようで悪いけど。あなたに話したい事があるのよ」
「ふむ……若干雰囲気が変わりましたね。あなたは花騎士のカトレアさんでしょうか」
「そうよ。それよりあなたの固有魔法についてなんだけど……魔力の垂れ流し具合からして、固有魔法をキチンと制御出来てないでしょ?」
「……気付かれましたか。これでも契約した当初に比べれば、だいぶマシになったのですが……ですが確かに制御不足のせいか、時折突発的に予想外の、見る気もなかったどうでもいい未来が見えてしまったりしますね」
やっぱりか。杏子の話では、見滝原にも風見野にも調整屋はいない、というか調整屋の存在自体神浜で初めて知ったくらいだとか。杏子が知ってたのは、キャンピングカーで各地を転々としている調整屋と思われる存在がいるらしい、という情報くらいね。
つまり。オリコのソウルジェムは無調整なはず。
「あなたは調整屋って知ってる?」
「噂程度には。ソウルジェムを他人にいじらせるなんて、正気とは思えませんが」
……魔法少女の秘密は全部知ってそうね。キュゥべえに聞く前に未来予知で見えちゃったのかしらね。
「あなたの魔力垂れ流し状態、調整を受ければかなり抑えられるはずよ。そうすれば、予知の魔法も完全に近い形で制御出来る様になるかも。調整は私も出来るし、なんなら特別にしてあげましょうか?」
「ありがたい申し出ですが、お断りします」
大した信頼関係もないのに
でも気になって話が頭に入りそうにないし……ふむ。
「……私達のところに来たの、ワルプルギスの夜関連でしょ?」
今まで澄ました顔でいたオリコの表情が、一瞬だけど驚きに染まる。
「……なぜそうだと?」
「私達は最近キュゥべえが勝手に話したのを聞いたんだけどね。どうもワルプルギス、見滝原に来るらしいじゃない。それで未来予知の固有魔法使いが見滝原在住なら、普通に関連性を疑うわ」
「なるほど、キュゥべえから……」
「神浜から見滝原までは遠いから、私達がワルプルギスに関わる事は多分ない、と思っていたけど。わざわざ未来予知持ちが出向いて来たってことは、私達も関わる事になるんでしょう? ワルプルギスとの戦いに」
「見事なご慧眼です。私の主な用件の1つは、まさにそのことです」
目を伏せ、満足気に微笑むオリコ。
「ただまあ……さっきも言ったけど。話の続きをしたかったら、あなたのソウルジェムを私に調整させて、いえ、させなさい。魔力垂れ流しで気になって仕方がないのよ」
「……そこまで気になる程でしょうか? 本当に、契約当初よりは抑えられているつもりなのですが……そうまで言われると自信を無くします」
「んー……そうねぇ」
百聞は一見にしかず。私の普段押さえてる魔力を解放すれば、私が調整したがってる理由にも気付くでしょ。
というわけで。オリコに向かって手をかざして、掌から出る感じで魔力を放出。
「これは……! なんという魔力量……!」
「織莉子!!」
長身のオリコの影に溶け込む様に控えていた黒づくめの魔法少女が飛び出し、私に向かって両手の巨大な鉤爪のようなものを振りかぶる、
ゴッ!
けど、難なくトウコに迎撃される。
「くっ強い!」
「ふふっ、優秀な番犬さんですね」
「抑えてキリカ。確かに凄い量の魔力放出ですが、敵意は感じませんから」
「……織莉子がそう言うなら」
パチンッ
指を鳴らし、魔力放出を抑える。
「酔ってしまいそうな程のとてつもない魔力放出……なのに一瞬で、ほとんど感じないくらいにまで抑え込めるなんて……素晴らしいの一言です」
「ふふん、まあね。私は世界に愛されてるもの」
まあそれは当然として。本題はここからだ。
「私は生まれ持ってのこの膨大な魔力を抑えるすべを知っている。調整を受けた上で私の鍛錬方法を実践すれば、あなたの魔力制御は完璧なものになるはずだわ」
「それは……魅力的ではありますが……」
まだ戸惑う様子のオリコに、駄目押しをする。
「調整を受けるために、ソウルジェムを――あなたの命を預けてくれるなら、私達も命をかけて、あなたの見た悲劇的であろう未来の回避に協力するわ。わざわざ相談しに来たってことは、あなたの予知は「確定した未来を見れる」というわけじゃないんでしょ?」
「その通りです。私は最悪の悲劇を――私の世界を何としてでも守りたい」
目は口ほどに物を言う、と言うけれど。最初から澄まし顔なオリコだけれど、瞳には最初から覚悟の決まった強いものを、目的を何としてでも成し遂げるという凄みを含んだ覚悟を感じた。
《……固い意志のこもった良い目ね、デンドロビウム》
《はい。あれは、目的のためならあらゆる手段をいとわない、いざとなったら自身の命をも使える、強い覚悟の表れです……ふふっ。ナイドホグル決戦やミズウォルム決戦に挑む時のみなさんを思い出しますね》
《ええ、私も同じ感想よ》
フラスベルグ決戦の記憶こそないものの、他二つの三大害虫決戦時の記憶はある。オリコの目は、その時の花騎士達の目によく似ている。間違いようもなく、彼女は目的を達成する覚悟が決まっている。
……だからまあ、何というか。ある意味絆されちゃったのよね。
「もう一度言うわ。あなたが私に命を預けるなら、わたしもあなたの目的に命をかけるわ。「最悪の悲劇の回避」とやらに、関わらせて頂戴」
「……わかりました。あなたの調整と魔力制御の鍛錬、受けさせていただきます」
そう言って、オリコは握手を求めて来た。私は快くその手を取った。
……こうして私達は、「ワルプルギスの夜討伐戦」に関わる事になったのだった。
……でもまあ。私達が見滝原に行く事は、結局はなかったのだけどね。それは後でわかった話だ。
ポーチュラカ娘である、莧陽友花ちゃんの名前の由来について。
実花のポーチュラカの和名は花滑莧(はなすべりひゆ)で、そこから取っています。「莧」という名字が実際にあるらしいのでそれを名字に、名前は花言葉の「いつも元気」を意識しつつポーチュラカの和名の響きを意識した結果、「陽友花(ひゆか)」になりました……何気に日本名にするのに1番難儀したキャラです。
ちなみに作中でも言っていますが、「莧」は現実に存在する名字で、全国で実際に10名程しかいないらしい珍しい名字です。
次回の投稿予定は、2021年12月31日(金)を予定しております。