魔法少女花騎士☆マギカ   作:繭浮

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 本当は陽友花ちゃんストーリー最後まで描きたかったのですが、なんか書いてる内に長くなったので分けます。今回は前編な感じです。


増える花騎士系魔法少女5-2

 私、莧陽友花(みえひゆか)! 神浜市中央学園の中学一年生!

 

 中学に上がる際に見滝原から引っ越してきたから、友達どころか知り合いは1人もなし! でもきっと大丈夫!

 

 私のモットーは「いつでも元気に」! 「明るい人はみんなを引き寄せる太陽なんだよ」ってお父さんもお母さんも言ってたし、さらにそこに私のダジャレを加えれば、友達100人できるかも!? いやまあさすがに100人もいたら全員は覚えきれないから目指さないけど、せめて1クラス分くらいは!

 

 てなわけでっ! 今日は入学式、教室に入ったら恒例定番の自己紹介ターイム!! ここで私がダジャレを交えた最高に面白楽しい自己紹介をして、ドッカンドッカン笑いの旋風を巻き起こして、みんなと友達になる!!

 

 自己紹介は席順に、席は名前の五十音順だから、ミが頭文字の私は……ちょうど真ん中くらい! うん、悪くないかな!

 

 さあっ私の番来いっ来いっウズウズ……来たっ来たよお!!

 

「私の名字は莧! 名前は陽友花! ヒューカッコいい名前! て言って欲しいんだよ!」

「「…………」」

 

 自信満々渾身のダジャレを大きな声で元気に披露したけど……クラスメイトから返ってきたのは、戸惑いと無言。

 

 くっ……強い!(?)けど負けない挫けない! 花騎士のポーチュラカちゃんみたいに、めげない!

 

「背はちょっと低いけど、小学生じゃないから生姜臭くはないよ!」

「「……………………」」

 

 ひゅるらりるる〜〜……何故かどこからか、寒風が吹いてきた。今日は4月にしては結構気温高いはずなのに。

 

 ……やっぱり私のダジャレ、寒いのかなぁ……で、でも、見滝原のまどか先輩達みたいに、本心から楽しんで笑ってくれる人がいるから! 私の選んだ道は、間違いじゃない!

 

「こう見えても簡単な料理は出来るんだよ! だから厨房にも立つよ、中坊だからね!」

「「…………」」

「……ど、どう反応してやればいいのかな……」

「……笑えばいいと思……うーん……」

 

 ……私の追撃のダジャレにさらに戸惑いは広まり、どうするべきかヒソヒソ相談し始める人も……うう〜〜……め、めげない――

 

「……ぷっ」

 

――ほんのちょっとめげそうになって席に腰を下ろそうか迷ったところで、

 

「ぷっくふっ…… あっははははっ腹痛ぇーっ! お前スッゲーおもしれーヤツだなぁっ!」

 

1人だけ、大爆笑してくれた娘がいた。

 

 その娘はちょうど私の次の、真後ろの席の娘だった。

 

「わああ……!」

 

 めげそうになった私の心に、一斉に色取り取りの花が咲いた!

 

「私は莧陽友花! 見滝原から引っ越してきたばっかりで知り合いがいないの! だから友達になって欲しいんだよ!」

「おう、いいぜ! オレは深月フェリシア、ヨロシクな、ヒューカ!」

 

 その明るい金髪の雰囲気通りの元気いっぱいな大声で自己紹介を返してくれたフェリシアちゃんと、私はすぐに友達になった。

 

 

 

 

 この事は、帰ってすぐに見滝原で仲良しだった先輩の、私のダジャレを聞くと元気をいっぱい貰えて大好きと言ってくれる鹿目まどかさんに報告した。

 

『良かったね、陽友花ちゃん! 逆に私達は、ただでさえ私達が先に中学に上がって離れちゃってから、陽友花ちゃんのダジャレを聞く機会が減っちゃってたから……なんか穴が開いちゃった雰囲気なんだよー? さやかちゃんが盛り上げようと頑張ってくれてはいるけど、やっぱり陽友花ちゃんの代わりはいないんだなって、かえって寂しさが強くなっちゃった』

「そんな! それなら私、ちょくちょく会いにいっちゃうんだよ! まどか先輩の笑顔、私もたまに見たくなるんだもん!」

『ふーん、たまに、なんだ。なんだかそのフェリシアちゃんに取られちゃったみたいで、先輩やっぱり寂しいなー』

「訂正っ訂正するんだよ! まどか先輩の笑顔、私も好きだから! 大豆(だいず)より大好(だいず)き! だから頻繁に笑かしに行っちゃうんだよ〜!」

『ふふっ冗談だよ! まぁ、少し寂しいのは確かだけど……こうして今みたいに、電話でダジャレを聴けるだけでも嬉しいよ。それより新しい友達との関係を大事にね?』

「はーい!」

 

 

 

 

 その後数ヶ月は、忙しくも楽しい日々を送れた。

 

 大型連休には見滝原のまどか先輩の家に泊まりに行って、お泊まり会に集まった見滝原の友達みんなに溜め込んだ新作ダジャレを披露したり、帰って来たらフェリシアちゃんに拗ねられて必死にダジャレを連発して仲直りしたりと紆余曲折あったけど。フェリシアちゃんとは、大好きな親友としてよく遊びに出掛けていた。

 

 クラスメイトのみんなにも、一応私のダジャレは受け入れて貰えて、なんかクラスの名物みたいな扱いをされている。当初の予定とはなんか違う気がするけど、まぁこれもアリかな! 花騎士ポーチュラカちゃんを見習って、ポジティブに前向きに考えるんだ!

 

 でもまあ、やっぱり最初にフェリシアちゃんが大爆笑してくれたのが大きいかな! フェリシアちゃん大好き!

 

 

 

 

 そんな感じで、新しい環境にも慣れて楽しい日々が続いていたんだけど――それは唐突に終わりを告げた。フェリシアちゃんが突然学校にほとんど来なくなったんだ。

 

 来ても、朝に私のクラスをちょっと覗いて、私と目が合うとホッとしたように胸を撫でてから、教室に入らずに授業にも出なくなった。

 

 事情を聞きたくて、目が合ったと同時にフェリシアちゃんに激突する気持ちで突撃したら、フェリシアちゃんは大慌てで走り去ってどこかに行ってしまった。

 

(フェリシアちゃん、確かに前から足は早かったけど……なんかスポーツマンもびっくりな速さで走って行ったような?)

 

 そんな疑問を抱いたけど、私が突然な突撃をして以来、朝に私の様子を確認しに来ることも無くなってしまった。

 

(何か、フェリシアちゃんを怒らせるようなダジャレとか、言っちゃったかなぁ……)

 

 いや! ここでネガティブになっちゃダメダメ! ポーチュラカちゃんなら挫けないし諦めない!

 

 ということで! まずは家庭の事情かもと考えて、担任の先生に相談に行ったんだけど。

 

「……確か莧さんは、深月さんとは仲の良いお友達だったわよね。なら特別に話しても良いかしらね……」

「えっ」

 

 どうもフェリシアちゃんのお家、深月家の家電にかけても、緊急連絡先として教師にのみ伝えられている親御さんのスマホにかけても、なんの返信も返って来ないらしい。

 

 これは事件かもしれないと言うことで、先生は深月さん宅に直接行ってみたらしいんだけど。誰も出ては来ず、それどころか近所の人に聞いても「そういえばしばらく姿を見ていない」と返されたらしい。たまにフェリシアちゃんが出入りしてるのは見かけたらしいけど、親御さんはてんで見なくなった、と。

 

 これはやはり事件に巻き込まれたのでは、ということが職員会議で話し合われて、警察に連絡する事になり――特別家宅捜索とかいうのが行われた結果、わかったのは、フェリシアちゃんの両親が原因不明の失踪をしていることだった。

 

 さらにフェリシアちゃんは、家が他人に荒らされた、もとい家宅捜索をされたせいか、それ以来家にも寄らなくなったらしく、街中での目撃例はあるけど半分行方不明状態になってしまった。

 

(フェリシアちゃん、何してるの……? まだ聞かせてないダジャレもいっぱいあるんだよ。会いたいよ……ダジャレを聞いて笑ってよ……)

 

 その思いで、私は神浜市内をフェリシアちゃんの姿を追って探す日々が始まった。

 

 有力情報が手に入ったのは、新西区のとある花屋さんで尋ねた時。

 

「ポ……こほんっ。あなた、フェリシアちゃんのお友達なんだ?」

「えっ!? はっはい、そうなんだよ、です!」

 

 花屋の優しそうな店員さんが、フェリシアちゃんの知り合いみたいだった。

 

 ……というか、店内にいたもう1人の若い店員さん、花騎士のシンビジュームちゃんが現実にいたら、てくらいソックリでちょっとびっくりしたけど。まあ私も見た目ポーチュラカちゃんにソックリな気がするし、そういう偶然もあるよね!

 

 それよりも今は、フェリシアちゃん情報なんだよ!

 

「直接会ってお話ししたいんだよね。確か昼間に、この近所の公園で明日香さんとささらさん……って言ってもわからないか。ともかく、この近所のちょっと大きめな運動公園で見かけたよ。もうすぐ夕方だし、まだいるかはわからないけど……」

「それだけでも十分な情報なんだよ! ありがとうございますっ!」

 

 もしかしたら、フェリシアちゃんに会えるかも知れないんだ。こんなに嬉しい事はないんだよ!

 

 昂る感情のまま出て行こうかと思ったけど、花屋さんで情報を貰えたのに手ぶらで出るのもなんだよね……あ!

 

「これ下さいな!」

「これは……はい、少々お待ち下さい」

 

 私がレジに持って行ったのは、小さなポーチュラカの鉢植え。花騎士ポーチュラカちゃんから勇気と元気を分けて貰えないかな、ていう願掛けも込めて買う事にした。

 

「ありがとうございましたー!」

「こちらこそ、ありがとうなんだよー!」

 

 支払いを済ませてポーチュラカを受け取ったら、急いで目的の公園へと駆け出す。

 

 ……なんかお店を出た直後に、花騎士カトレアちゃん瓜二つな人とすれ違った気がするけど。まぁ今はそんなことよりフェリシアちゃんだ!

 

 

 

 

 花屋ブロッサムの店員さん……春名さんだったかな。彼女の言っていた通り、フェリシアちゃんは公園にいた。日が傾きかけているのに、ベンチに横になってお昼寝中……だけど、ただのお昼寝じゃなさそう。

 

 公園のベンチでお昼寝は、百歩譲っていいとして。タオルケットに包まってるって事は――今日はここで一晩過ごすってこと、だよね。

 

「フェリシアちゃん、何してるの……?」

「……んー? 何って、夜の狩りに備えて仮眠……ってヒューカ!?」

 

 どうやら微睡んでいた状態で完全に眠ってはいなかったみたいで、相手が私だと気付いて獣のような動きでババっとベンチから飛び上がって距離を取られた……なんかあからさまに避けられてて悲しい。

 

「狩りってなに? もしかして悪い事してるの?」

「ちっ聞こえてたか……別に悪い事じゃねぇよ、どっちかっつーと良い事だな」

 

 良い事って言っているのに、フェリシアちゃんの表情は厳しい……私は、フェリシアちゃんの笑顔が見たくて探してたのに!

 

「……親御さんが行方不明なのと関係ある?」

「な!? 知ってんのかよ……」

「その、先生に特別に教えてもらったんだよ」

「……そーかよ」

 

 ……なんか今のフェリシアちゃん、怖い……フェリシアちゃんはもっと、私と張り合えるくらい明るくて元気な娘なはずのに。

 

「ねえ、ほんとに何があったの? 私達は友達なんだし、悩みとかあったら教えて欲しいんだよ! 辛い事があったらたくさんダジャレで――」

「邪魔なんだよ!」

 

 フェリシアちゃんの剣幕に思わずビクッとなり、息を止めて息を呑む。

 

「今のオレに近寄るんじゃねえぞ、ヒューカ。オレは今、復讐に燃えてんだよ」

「ふ、復讐!?」

「近くにいられたら邪魔だし迷惑なんだよ。それにオレの近くにいたら、最悪ヒューカは大怪我、いや死ぬかもな。だからその……ぜってー近寄ってくんじゃねーぞ!」

「……!?」

 

 ……私がフェリシアちゃんを追うのは、邪魔だし迷惑……あ、あはは、ハッキリ言われちゃった……

 

「う……うぐっ……」

 

 大好きなフェリシアちゃんに強く拒絶されて、我慢したけどちょっと涙が出て来ちゃった……う、うぅ〜……

 

「ヒューカ!? あ、なんつーか今のはちがっ……違わない!」

 

 私の泣き声にギョッとした顔で振り返るけど、無理矢理無視するかのように私に背を向ける。

 

「ふ、ふぇりしあちゃ――」

 

 拒絶された、けど。なんとなく、このままだと何故だかフェリシアちゃんに二度と会えなくなるような気がして、フラフラと近寄る。

 

 ……この時の私は、なんとなくそんな気がしていただけだったけど。まさか本当に、この日がフェリシアちゃんの姿を見れた最後の日になるなんて、夢にも思わなかった。

 

「っ! だっだから近寄んじゃねーよ!」

「ふえ?」

 

 フェリシアちゃんの身体が一瞬光に包まれたかと思ったら、さっきの制服姿から全身紫を基調とした、どこかの漫画に出てきそうなキャラみたいな衣装になっていて、手にはフェリシアちゃんの細腕では支えきれなさそうな重そうな巨大ハンマーを持っていた。

 

「ええっ!? フェリシアちゃん、その格好……!」

「うえっ!? マジか、見えてんのかよ。魔力は感じねぇけど、素質あんのか……なら尚更ってヤツだ! 近寄ってきたら、このハンマーでぶっ飛ばして記憶を消し飛ばしちまうからなっ!」

 

 ドゴンッ!

 

「わっととっ!?」

 

 そうして、ハンマーを地面に思い切り叩きつけて、私がよろめいている内に猛スピードで走って行っちゃった。

 

「……なんなのぉ……? せめて説明してよぉ……」

 

 訳がわからないまま、私は公園に取り残されたのだった。

 

 

 

 

 そのまましばらく留まって、フェリシアちゃんが戻ってくるのを待ってたけど……だんだん暗くなって来た。これ以上はお母さんを心配させちゃうから、さすがにそろそろ帰らないと……

 

「フェリシアちゃん……」

 

 スマホでお母さんに今から帰る事を伝えてから名前を呟くと、視界の端でビクッと動く影。よく見えなかったけど、ハンマーも持ってなかったけど。

 

「フェリシアちゃん!!」

 

 さっき見た紫色の服に見えたし、フェリシアちゃんだ! と思って立ち上がったけど、あっという間に走り去っちゃった……私は大いに混乱した。

 

(戻って様子見してたってことは、嫌われたわけじゃない、よね……けど、邪魔で迷惑で近寄るなって……もうわけがわからないよ……)

 

 混乱の極みで何をすればいいのかわからなくなった私は、無意識の内に帰路を辿っていて、家に着くなり部屋のベッドに横になり、いつの間にか寝てしまった。

 

 それから数日。どうすればいいのか思い付かないままポーっと過ごし続けて、いつの間にか学校がお休みの土曜日の朝。

 

 いつもの習慣でスマホを起動して、半ば無意識に朝起きた時の日課になっていた花騎士にログインをしようとして、ふと気付いた。

 

(そういえばここ数日、マナーモードにしたままデイリー任務だけこなしてたっけ……)

 

 花騎士アプリが起動する前にマナーモードを解除すると、予想より大音量にしていたせいで、部屋中にタイトルコールが響き渡った。

 

  ” フラワーナイトガール! ”

 

「!!」

 

 その明るい声は、ポーチュラカちゃんのだ。大好きなキャラだからすぐに判った。

 

「眠気が一気に覚めたよー!」

 

 デイリー任務そっちのけで、ポーチュラカちゃんのキャラストーリーを観る。彼女は私にいつでもいっぱいの元気をくれる、フェリシアちゃんの件で落ちていた気力がみるみる回復していく!

 

「よーし! 私のモットー! 「いつでも元気に前向きに」!」

 

 フェリシアちゃん、ちょっと拒絶されたくらいじゃ私は挫けてなんかあげないんだよ! んーでも具体的に何すればいいかは相変わらずわかんない!

 

 そう、笑顔が欲しい! 私のダジャレを大好きと言って笑ってくれるもう1人、まどか先輩に会いに行って笑顔成分と勇気、それとアドバイスとかを貰おう! 1人で悩んで解決しないなら、他の人の知恵を借りる! ダジャレは1日にしてならず、なんだよー!

 

 てなわけで、ポーチュラカちゃんに元気をいっぱい貰ったらお腹空いた! 時間も朝7時で丁度良い!

 

「というわけで! 今日はまどか先輩のお家に行きたいんだよ!」

『何がどういう訳かはわからないけど、今日は特別予定なかったから良いよー。久しぶりに陽友花ちゃんと直接会いたいし、会わせたい娘もいるから』

「アリが10匹! アリがトオなんだよー!」

『ふふふっ、待ってるねー』

 

 急な来訪を告げても快く迎えてくれるまどか先輩の優しさにさらにテンションが上がり、私は急いで出かける準備を始める。

 

 スマホをベッドにポイっ放って、朝ご飯食べたらすぐ出掛けられるように着替えて! リビングへレッツゴー!

 

 モグモグモグモグモグムシャムシャゴクゴクッぷはー!

 

「ごちそうさまー! とっも美味しかったんだよー!」

「あら! ここ最近落ち込んでたけど、今日は元気いっぱいね! うん、陽友花らしくてグッドよ!」

「今日はまどか先輩のとこ行ってくるから! 多分帰るのは明日かも! 善は急げだから、早速いってきまーす!」

「あら、慌ただしいわねえ。気をつけていってらっしゃい!」

 

 朝食パワーでさらに元気になった私は、そのままの勢いで家を飛び出した!

 

 途中でスマホを忘れた事に気付いたけど、まぁいっか! ダジャレにスマホは必須って訳じゃないしね!




 次回投稿は、1月17日(月)の予定です
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