家を7時半くらいに出て駅に直行してから電車を待つ。時刻は8時過ぎ、神浜から見滝原までは2時間ちょっとだから、まどか先輩の家に着くのはだいたい10時半くらい。でも手ぶらでいくのもなんだからコンビニに寄って、手土産を調達してっと。
何をどれくらい買おうか悩んでいたら、まどか先輩の家に着いたのは結局11時過ぎちゃってた。お腹空いてきた〜。
「おや、君は陽友花ちゃん。久しぶりだね。まどかから来るとは聞いてたけど、今日も元気いっぱいそうだね」
「おー、ひゅーか、ひゅーか」
「あっお久しぶりですパパさん! たっくん今日も元気いっぱいだね!」
「あい!」
まどか先輩のパパさんと、弟のたっくんことタツヤくんが庭先で遊んでいた。
「思わずあっいっすねぇって言いたくなるナイスなアイスがあるので、冷凍庫借りますね!」
「お土産ありがとう。それに、ぷふっ、相変わらずダジャレも絶好調だね」
さやか先輩も仁美先輩も笑ってくれるけど、ダジャレを聞いてすぐに吹き出してくれるのは、見滝原ではまどか先輩とパパさんくらいだったなぁ。
……神浜では、フェリシアちゃんくらいで……いやいやっせっかくまどか先輩に会いに来たのに暗い雰囲気で顔を合わせるの、ダメ絶対!
という訳で、パパさんには庭先で挨拶したけど、気合を入れてインターホンをポチッ!と押すと、鹿目家内からチャイムの音が聞こえる……ふみゅ。
(この音……何かダジャレに使えないかなー)
とか考えていたら、トタトタと駆け足でこちらに来る音が聞こえてきた。この足音でもう誰だかわかる。まあママさんなら早足で来ないし、そもそもインターホンのカメラとマイクで誰だか確認するから実質1人だけど。
というか、パパさんだけでたっくんと遊んでたし、ママさんバリバリのキャリアウーマンって感じの人だから、土曜だけど今日はお仕事でいないのかも。
「いらっしゃーい陽友花ちゃーん! 久しぶりに生で顔見れてとっても嬉しい!」
「まどかせんぱーい!」
満面の笑顔でまどか先輩が出迎えてくれたのが嬉しくなって、思わず抱きついちゃった。ていうかまどか先輩両手を広げてたしね、ハグしないって選択肢がないんだよ!
「定価で買ったティーカップで、温かいものを飲んでホット一息!」
「ふふっ、新作だね! あははっ面白いよー!」
しばらくまどか先輩の部屋で新作ダジャレの披露や近況報告とかの雑談をしていると、
ちゃらららららーん……
鹿目家の、某コンビニの入店音と同じチャイムが鳴り響く。もうすぐ昼の12時になろうという時間にお客さん。そして、
「あっ陽友花ちゃんちょっと待っててね!」
まどか先輩が出迎えに行ったということは!
「よっす陽友花、おひさ〜! 相変わらず元気にダジャレ言ってるかねー?」
「さやか先輩!」
予想通り、さやか先輩だった。まどか先輩、「会わせたい娘」とか言ってたけど、さやか先輩を呼んでくれるって意味だった――
「……はじめまして。暁美ほむらよ」
――訳じゃなかったみたい。
お客さんはさやか先輩だけじゃなかったらしく、さやか先輩の後ろから、黒髪ストレートロングヘアーのクール系美人さんが入って来て、私に挨拶して来た。
ちょっと驚いて目を見開いちゃったけど、多分まどか先輩が中学に入ってから出来たお友達だよね。
挨拶は大事! されたら返さねばならない! そして第一印象はもっと大事!
「私の名字は莧! 名前は陽友花! ヒューカッコいい名前! て言って欲しいんだよ!」
「おっ鉄板ネタ来たねぇ」
挨拶と自己紹介は元気良く! さてさて、ほむらさんの反応やいかに!?
「……。ミエヒユカさん、ね……」
変わらずのクールな顔で、普通に復唱されただけだった。くっ……見た目のイメージ通り、強い!(?)
ならば追撃のぉ!
「みんなー、お昼ご飯出来たよー!」
と意気込んで息吸い込んだところで、パパさんの声に阻まれた。
「はーいパパー! ほむらちゃんの事もっと説明したかったけど、まずはお昼だね!」
「ほむら、パパさんの料理はめちゃうまだぞ〜! 冷めない内に食べに行くよ!」
「ええ、ご相伴に預からせていただくわ」
「ありがとうございまーす!」
出鼻?を挫かれちゃったけど、確かにお腹はペコちゃんだったし、戦(?)の前の腹ごしらえは必要だよね!
ふんふふ〜ん、まどかパパさんの手料理は見滝原一〜!
お昼のハンバーグプレートをみんなで仲良くいただいた後、食後の後片付けが終わるまでしばらくたっくんと遊んでから、場所をまどか先輩の部屋に移して食後のお茶とデザートをいだだく。というかデザートは私が買ってきたアイスだった。
これは……パパさん、使えと言うことですね? ならば!
「うーんおいし〜! このアイスは評価出来ると思うんだよ! 愛すべきアイス!」
「んふっぷふっ! い、いきなりはそれズルいよ〜! あははははっ!」
「ふーむ……あっなるほど、後半はすぐ気付いたけど、前半もか!」
「……? どういうことかしら? 確かに美味しいアイスだけれど」
「アイスって日本語っていうか、確か漢字で氷菓子とか
「……ああ、成る程。評価と氷菓、それにアイスをかけているのね」
「グハッ!」
「……何事?」
「ダジャレを解説されちゃうのは、ダジャリストとしてある意味二流なんだよー!」
「ダジャリストなんて初めて聞いたんだけど?」
さやか先輩とほむらさんのセリフに勝手にダメージを受ける。でもめげない挫けない。
「ならば! 新作旧作入り乱れ、ダジャレメドレーなんだよ!」
クールな表情をほとんど崩さない
結果!!
「…………ふむ」
「ま、負けた……」
「いや敗北認めんの早くない? 諦めんなよ!」
さやか先輩に励ましのツッコミを入れられたけど、これは間違いようもなく完全敗北なんだよ……ほむらさん、ピクリとも笑わせられなかったんだもん。
「……ごめんなさい、私にはダジャレの面白さは理解出来ないみたいだわ」
「ゴフゥッ!」
「ひ、陽友花ちゃーん!」
さらに追撃の刃で止めを刺された。ここまでの強者と会ったの、は……はじ、めて……ガクリッ。
「けれど、その……どのダジャレも、よく考えられているのはわかったわ。面白さはわからなかったけれど、あなたのダジャレにかける本気度と情熱は、とてもよく伝わったわ」
「本当っ!? ほむらさんっアリが10匹、ありがとうなんだよー!」
ほむらさんのセリフにガバッと起き上がる。莧陽友花は復活した!
「ふ……元気な娘ね」
「わあ……!」
ほんのちょっとだけど、ほむらさんに笑ってもらえたんだよ! とってもうれしー!!
「私のモットーは、「いつでも元気に」! なんだよ!」
まあそんな感じで、しばらくダジャレを挟みつつの世間話に花を咲かせていた。
ちなみにほむらさん、もといほむら先輩は割と最近まで長期入院していて最近見滝原に引っ越して来たばかりで、まどか先輩達のクラスにひと月前くらいに転校してきたらしい。まあ正確には、病院内にある院内学級で最低限の教育を受けていて学校には通っていなかったらしくて、転校とは少し違うらしいのだけど。
今日はお稽古事で来れなかった仁美先輩も同じクラスらしくて、最近はまどか先輩、さやか先輩、仁美先輩、ほむら先輩とで仲良くお昼を食べているとか。いいなー羨ましいなー。
楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、時刻は午後3時過ぎ。パパさんがお茶のおかわりとお茶菓子を持ってきてくれて、退出してから。
「さて、このまま楽しいおしゃべりだけしてたい気持ちはあるけど。陽友花ちゃん、今日はただ単に私に会いに来てくれただけじゃないんでしょ?」
唐突にまどか先輩が、真面目なトーンで切り出して来た。
「あはは、さすがまどか先輩だなぁ、見抜かれちゃってたかぁ」
でもそんなまどか先輩だから、直接会って相談したかったんだよね。
「だって陽友花ちゃん、いつもと同じ感じの「元気」じゃなかったから」
「だねー。なんてーの? ほんのちょいとだけど、空元気が混じってる感じだったぞ。まぁ付き合いが長いあたしらじゃなきゃ見逃しちゃうだろうけどね!」
「さやか先輩にも見抜かれてたかー。という訳で、ここからはちょっと真面目なお話をします!」
そこからは、私の昨今の悩み事――フェリシアちゃんの事についての相談を始めた。
と言っても、あんまり詳しく事の経緯を話すと日が暮れちゃうから要点を絞って話したけど。
話したのは……神浜で出来た親友のフェリシアちゃんが突然学校に来なくなって、探してなんとか会えたけど強く拒絶されて、復讐の邪魔だから近寄るなだとか、光って別の服に早着替え?するのを見たこととか、だいたいそんな感じの事を話した。
「ほむらちゃん、それってやっぱり……」
「ええ。そのフェリシアって娘は間違いなく――魔法少女よ」
「魔法、少女……?」
それからほむら先輩が話してくれたのは、アニメかゲームの設定みたいな話してだった。
キュゥべえ、何でも願いが叶う、魔法少女、魔女。ソウルジェム、グリーフシード、穢れ、魔女化。単語を上げただけでもこれだけある。
「これがソウルジェムよ。名前の通り、キュゥべえと契約させられて取り出された魂が結晶化したもの、つまりは魔法少女の本体、命そのものよ。結構頑丈だから余程の事がない限り滅多に壊れないけど……そうね、強化ガラスレベルには硬いんじゃないかしら」
ほむら先輩が、嵌めていた指輪をソウルジェムに変えながら説明してくれる……うん?
「……強度を知ってるって事は、その……」
「ええ。他人のが砕かれたのを見たこともあるし……友人のを、私自身が砕いた事もあるわ。魔女化したくないと頼まれて、仕方なくね」
悲痛そうな顔でそう告げて、自身のソウルジェムをそっと撫でるほむらさん……無性にこの人を笑顔にしないとっ!て気分になったけど、話の内容の重さ的にもダジャレがほむら先輩に効果が薄いのもあって自重する……ちょっとムズムズする。
「魔法少女関連の説明は、だいたいこんなものかしら……そろそろ本題に入るわ」
「ほ、本題?」
ソウルジェムを指輪形態に戻してからそう言われる。
「さっき言った通り、キュゥべえや魔法少女衣装は、基本的に一般人には見えないわ。見えていたら、魔法少女の存在も、もう少し世界に周知されていたでしょうね。まあ、魔力を上手く調整すれば、魔法少女衣装だけなら一般人に認識して貰えるらしいけど……そのフェリシアって娘は、それはしていなかったでしょうね」
「うーん、そうかも……」
キュゥべえとかいう生物や魔法少女衣装、魔女は、基本一般人には認識出来ない。出来るのは、魔法少女か魔法少女の適性がある少女だけらしい。
そういえばフェリシアちゃんも、逃げる前に「素質あるのかよ」的な事言ってた気がするし……要するに。
「私にも適性が――魔法少女になる素質があるって事?」
「そうなるわ」
ちなみに、キュゥべえは契約を迫る時、魔法少女になるメリットは言うけど、ソウルジェムの真実とか魔女化のリスクとかの「契約を躊躇してしまうような情報」は、聞かれない限り決して話さないらしい。まるで詐欺師みたいなんだよ!
「……そういえば、まどか先輩達の反応からして……」
「うん。仁美ちゃんは、魔法少女の適性がないみたいで知らないと思うけど……私とさやかちゃんは素質があるみたいで、キュゥべえに契約を持ちかけられた事があるよ」
「でもまあ、そん時はもうほむらから、魔法少女になる事の大き過ぎるデメリットをミッチリ実地研修で教えて貰ってたからねぇ……アレがなかったら、まんまと騙されて契約しちゃってたかもねー」
「そっか、そうなんだ……ありがとうなんだよ、ほむら先輩!」
「いえ……私に出来る最善を尽くしただけよ」
けれどそうなると…… 多分フェリシアちゃんは、魔法少女の残酷な面は多分知らないんだろうなぁ……
「…………」
確かにデメリットが重すぎて、これを知らされてたらだいたいの娘は魔法少女になるのを躊躇すると思う。けれど、躊躇はしても、それなりの数の少女は唯一のメリットに惹かれて契約しちゃうんだろうなー…… フェリシアちゃんの親御さんが行方不明なのは、魔女に襲われたからだろうし。復讐のために、真実を知っても契約しそう。
なら、私はフェリシアちゃんのために何が出来るだろう? どうすれば、仲直り出来るだろう?
……答えは出ている。出ているけど……
「……なんでも願いが叶うというのは魅力的過ぎるもの。自分の命を使う十分な覚悟があるなら、無理矢理契約を止めるつもりはないわ。まあ、それでもオススメはしないけど」
……ほむら先輩の悲痛な表情が、頭から離れない。それだけの過酷な道になるかも知れないし、実際ほむら先輩はそれを痛い程経験したんだ。
「……まどか先輩、急に押しかけたのに大歓迎してくれてありがと。さやか先輩も、ほむら先輩も、貴重な話を聞かせてくれて、ありがとなんだよ」
「陽友花……」
「陽友花ちゃん……契約、するの?」
「ん……まだわかんないです。情報を整理してよく考えてから、答えを出します」
「ええ、それがいいわ。それと、軽はずみな願いで契約は絶対にしない方が良いわ。何を思って、何を願ったかによって、得られる固有魔法の種類に影響が出るみたいだから」
あー……魔法少女の先輩なほむら先輩には、私が契約する気だって気付かれちゃったかな。でも、願いが決まってないって意味ではすぐ契約はしないだろうから、嘘は言ってないよね。
とにかく、今はしばらく1人で熟考したい気分。
「……時間的にも、そろそろ出ないと家に着く頃に暗くなっちゃいそうですし。今日はこれで帰ります」
「陽友花ちゃん……またいつでも来てね? 陽友花ちゃんのダジャレ、私大好きだから」
「……了解なんだよ!」
自分でも空元気だなーとは思うけど、元気な声でお別れの挨拶をして、鹿目家を出た。
その後私は、なんとなくまっすぐ帰る気にならなかったから、ちょっと寄り道をした。家を通り過ぎて、いい新作ダジャレが思い浮かばない時に向かう、南凪海浜公園だ。ここで海原を眺めていると不思議と落ち着くんだよね。
「やあ、はじめまして、莧陽友花」
しばらく暮れなずむ海を眺めていたら、唐突に足元から声がかかる。早速来ちゃったかー。
「ボクの名前はキュゥべえ。今日はキミにお願いがあって来たんだ」
予想通り、ほむら先輩に聞いていた通りの白い不思議生物が人語で語りかけて来ていた。
「……あなたの事は、魔法少女の先輩から簡単に聞いてる。私と契約して欲しいんだよね」
「おや、もう知っていたのかい。なら話は早い。何でもひとつ願いを叶えてあげるから、ボクと契約して魔法少女になってよ。キミの素質はかなり高いようだから、是非契約して欲しいんだ」
「へー、素質高い方なんだー……それで、魔法少女になるとどうなるの?」
「質問がいささか抽象的なのが気になるけど。説明させて貰うね」
そう前置きしてから語り出したのは、ほむら先輩が言っていた通り、魔女と戦う使命が課せられる以外はメリットを全面に押した説明だった。一番重要な、ソウルジェムの真実、魔女の正体については一切説明して来ない。
ただ、予想外の情報もくれた。
「確かキミは、フラワーナイトガールというゲームを遊んでいたよね。その中でも、自分に瓜二つでお気に入りの、ポーチュラカというキャラがいるはずだ」
「よく知ってるね……なに、ストーカーでもしてたの?」
「不愉快に思ったのなら謝るよ。けれど、契約したい相手の事をある程度調べるのは、おかしな事ではないと思うけど」
「まあ、そうかもだけど……それで、ポーチュラカちゃんがどうしたの?」
「いや、例を上げたかっただけさ。キミが「花騎士ポーチュラカになりたい」と願えば、その願いだって叶えてあげられる、と言いたかったんだ」
「私が、ポーチュラカちゃんに……?」
……それが叶うなら、確かにとっても魅力的だ。
でもその前に。ほむら先輩の話を疑う訳じゃないけど、念には念をでキュゥべえ自身の口からも聞いておこう。重要な事を事前に話してはくれないけど、嘘だけは言えない生物らしいから、根掘り葉掘り聞けば魔法少女になった後のデメリットも話すらしいし。
そうして話し込んでいたら、結構な時間が経っていた。ほむら先輩から聞いていた通りの魔女化の恐れと何故魔女になるようになっているか聞いたら、宇宙の寿命がどうだとか、気が遠くなるような話をしてきて面食らったけど……まあ、聞きたいことは大体聞けた。
(うん、まあ。やっぱりほむら先輩から話を聞いた時点で出てた答えに、変わりはないかな)
フェリシアちゃんは、魔法少女だ。私を拒絶してまで遠ざけたのは、私に戦う力がなかったから。
なら、私が戦う力を得られたら。同じ土俵に立てたら――魔法少女になったら、怒られる気はするけど、また仲良くなれるはず!
問題は、何て願いにしようかって事だったんだよね。フェリシアちゃんと仲直りしたいって願いは、魔法少女になれば解決したも同然だし……だからキュゥべえに提案された、というか一例として挙げられた「花騎士ポーチュラカになる」って願いが、今のところ最有力候補ではあるけど……ほむら先輩の話を思い出すと、何か話してない裏があるような気がしちゃってるし、うーん。
……そんな訳で悩みに悩んでいたら、ふと何気なく見た海浜公園の時計は夜10時数分前になっていた。むぅ、さすがに悩み過ぎ。
お母さんも心配してるしだろうし、他の願いも思い付かない。なら!
「私は、ポーチュラカちゃんみたいにめげない挫けない娘になりたい。またフェリシアを笑わせたい! だから私の願いは、「花騎士ポーチュラカになる」、だよ!」
「キミの祈りはエントロピーを――エント――り、りょうが――」
「……キュゥべえ? ……っ!」
なんかキュゥべえがバグったみたいになったけど、私の中から虹色に光る卵型の何かが出てきた。
(これが、私の魂……あれ?)
と思ったら、私の魂に並ぶように、同じような虹色卵がどこからともなく現れた。ナニコレ、こんな話聞いてないんだけど。
まあ多分、同じ色同じ形だから、これも誰かの魂なんだろうけど……って!
「うわっ!」
後から来た魂が、私の身体に入り込んだ! ……でも先に私から出た魂はそのままだ。
「システム――エ、エラー――再構築施工――失敗――」
相変わらずバグってるキュゥべえと自分の魂を交互に眺めていると、
――パチュンッ!!
「ぇええ!?!?」
唐突にキュゥべえの身体が風船が破裂した様な音と共に爆発四散した!
と同時。
「あ、れ……?」
私の意識は急激に遠退き、身体の制御も出来なくなりその場に崩折れ――
★ ☆
「……あれぇ? ここどこぉ……?」
目を覚ましたらいつの間にか夜で、よく整備された公園の様な場所で地べたに倒れていた。
海が見えるし、バナナオーシャンのどこかかな? でもバナナオーシャンにしては気温が低いような……
「えっと、うーん……とりあえず、南に行こっ」
海沿いに南に行けばバナナオーシャンにたどり着けるかもと思い、私は立ち上がって服の汚れをパンパンとかるく叩いてから歩き出した。
次回投稿予定は、1月27日(木)の予定です。