魔法少女花騎士☆マギカ   作:繭浮

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 朝7時27分に投稿したかったのですが、執筆が間に合いませんでした……本当に申し訳ない。

 ま、まあ予定の日には投稿出来たし、投稿予定時間までは書いてなかったからセーフ! 一応1 7時27分に投稿ですし!


はじまりのいろはカトレア 1-6

「ん〜♪ 美味しかった〜!」

《そうね〜。トウコの情報にハズレ無しね》

「はい! あんまりお客さんがいなかったのが不思議なくらいです」

「住宅街の一角だからっていうのもあるだろうけど……時代の流れってヤツかしらね。人っていうのは目新しいモノとかに視線が行っちゃうものだろうし」

「……なんだか、寂しいですね。私はなんていうか、スマホ含めてそういうのに疎いっていうか、流れに乗り遅れちゃうタイプだからか……こういう「老舗」って感じのお店が流行りの波の中でも生き残ってるのを見ると、なんだか応援したくなっちゃいます」

「まあ、まなかちゃんの話では、つい最近は徐々に客足が戻りつつあるらしいし。大規模な自然災害が直撃して物理的にお店が潰れない限り、大丈夫だと思うわよ」

《その客足回復も、まなかの祈りと努力の結果だけどね。座して待つのでもなく、祈りで得た力に頼り切るのでもなく、それを活かした上で思い付いた事を何でも試すチャレンジ精神は、素直に尊敬出来るわね》

「祈り……じゃあまなかちゃんは、お店の存続のために魔法少女になったんですね」

「らしいわよ」

 

 料理の感想とまなかちゃんへのお店と料理にかける情熱を雑談の話題にしつつ、私達は本来の目的地――燈湖の家へと向かっていた。

 

 理由は勿論、雷電家に小さいキュゥべえを預けてるからだ。昨晩言った通り、女王様の魔法で調べれば、いろはちゃんでは気付けなかった情報を引き出せる筈。

 

 ちなみに、小さくなったとはいえキュゥべえ、一応いろはちゃんに言い聞かせて貰ったけど、目を離すとどこかに言ってしまうかも知れない。ので、正確に言うと、燈湖の家のシェルター道場に軟禁している状態なのだ。

 

 普通のキュゥべえ、神出鬼没で密室でも入り込めるみたいだから、ワープ能力的なの持ってそうだけど。多分、小さいキュゥべえの方には無い、はず…………この呼び方長いから略したいわね。あるいはあだ名を付けたい。

 

「いちいち「小さいキュゥべえ」って言うのも、何だか毎回フルネーム言ってる見たいで気になるわね。あと長い」

「あー、それもそうですね」

《ふむ、確かに。とはいえ、ただ略すのも味気ないし……カトレア、いろは。あだ名的なの付けなさい》

「「えぇ……」」

 

 女王様が無茶振りしてきた。確かに私も、付けたいとは思ったけど……感情から思考を読まれたかしら。

 

「まあ、いいけど……名前考えるのとか、結構好きだし」

 

 という訳で、いろはちゃんと小さいキュゥべえのあだ名を考え始めた。

 

「んー……普通のキュゥべえって、女の子の個人情報とか、どうやってか調べてるし……変態不審者とか」

「あの子はそんな子じゃない気が、というか流石にそれは酷くないですか……?」

「じゃあ……結構昔から存在してるみたいだから、敬う気持ちを含めて、さらに親しみやすくひらがなで……へんたいふしんしゃさん?」

「ヘンタイさんにするとこから離れて下さい!」

 

 えー、これでも優しい表現のつもりなんだけど……キュゥべえの本質を知らない人からしたら仕方ないけどね。

 

「ふざけるのはこのくらいにして。シンプルに、赤い目が目立つから……カタカナでアカメ、とか」

「確かにシンプルで分かりやすいですけど、普通のキュゥべえも赤目ですし。それにあんまり可愛い感じじゃないです」

「ふむ、可愛さか……いろはちゃん的には、あのキュゥべえの印象は? 見た目だけじゃなくてもいいわよ」

「そうですね……普通のキュゥべえより、触った印象がなんていうか、もっちりしてました」

「もっちり……りつが知ったら、あの子ぷにられまくりそうね……まぁそれはそれとして。もっちりで白いから、おモチとかどう?」

「あっそれ可愛いかもです!」

《んー、悪くないけど。でもそれだと、食べ物の方のを思い出しちゃってなんか嫌》

「ダメ出しされちゃったわね……でも悪くないって言うなら、あだ名っぽくアレンジして――」

 

 

 

「――という訳で、今日からアナタの名前はモチョよ」

「モキュ?」

「いやどう言う訳だよ」

「ゆまは、可愛くていいと思う!」

 

 杏子にはツッコミ入れられたけど、ゆまちゃんは笑顔で賛同してくれた。ゆまちゃん純粋で可愛い。

 

 ……まあ、燈湖とデンドロビウムの情報によると、純粋な心を持ってるのは確かだけど、同時に結構な深い闇も抱えてるらしい事が発覚した……のだけど。自分を救ってくれた英雄で頼れるお姉さんな杏子と、頼れる大人なデンドロビウムのお陰で、今では私達と雷電親子には心を許してくれている。だから、今のところは特に問題ない。

 

「まぁ、コイツはあのクソ白ダヌキとは明らかに違うから、差別化のために名前を付けんのは確かにアリだな」

「えっ? クソ……?」

《杏子、女の子があんまりクソとか口に出さないの。ゆまちゃん杏子の影響受けやすいんだから》

《おっと、そうだな》

《それと、いろはちゃんは普通のキュゥべえの本性知らない娘だからね?》

《はいよ、りょーかい》

 

 ちなみに、シェルター道場で小さいキュゥべえ改めモチョと一緒していた杏子とゆまちゃんによると。モチョはだいたい11時過ぎくらいから、シェルター道場の扉前でウロウロしたり、前足で扉をカリカリしたりを繰り返していたらしい。

 

《そのくらいの時間となると……ちょうど私達といろはが、電車で神浜市入りしたくらいよね》

《そうね……となるとモチョは、神浜にいろはちゃんが入ると、いろはちゃんの存在を感知出来るようになるのかしらね》

 

 ……触れてからういちゃんの事を完全に思い出したし、やはりモチョはういちゃんとなんらかの深い繋がりがある、と見ていいわね。

 

 ま、その辺りの詳細を今まさに調べようっていうのだけど。

 

「善は急げ、よね。女王様、お願いね」

《ん、任せなさい》

 

 

 ▲ ▽

 

 

 カトレアと交代して、今はいろはの腕の中にいるモチョを見ながら告げる。

 

「交代したから、早速モチョを私の魔法で調べてみるわ。要領としては調整魔法の応用、かしらね」

「はい、お願いします……あ、その前に。モチョ、カトレアさんにあなたの身体を魔法で調べて貰うんだけど、いいかな?」

「モキュ、モッキュ?」

「うん、カトレアさんなら大丈夫。安心して任せられる人だよ」

「モッキュー!」

「そっか、ありがとね」

 

 ……私達にはモキュモキュ言ってる様にしか聞こえないけど、いろはとは会話出来てるように見える。やっぱり特別な繋がり、確実にあるわね。

 

 一応私達も、モチョ語自体は意味不明だけど……声の高さとか表情とかで、本当になんとなくだけど意志は読み取れる。端的に言えば、私達にもいろはの提案を喜んで受け入れている、程度は分かる。

 

「改めて、お願いします!」

「ええ、任せなさい」

 

 いろはの全幅の信頼を感じるお願いに、こちらもやる気が上がる。

 

 という訳で。いろはからモチョを受け取り、顔を正面にし、身体を柔らかく抱き締めるような感じで抱え込んでから、瞳を閉じて魔力集中を始める。

 

《魔力操作はソウルジェムの調整をする要領で……流す魔力は割れ物を取り扱うように優しく丁寧に……徐々に量を増やしつつ、隅々まで魔力を行き渡らせる様に……》

 

 いつも以上に慎重に魔力操作を行い、ソウルジェムの記憶――魂の記憶を覗き見するように感覚を伸ばす。

 

 ソウルジェムを通して相手の記憶を見る時の感覚が始まる。モチョには明らかに感情がある――つまりは、魂が入っている。その記憶を読み取れれば、その魂が誰の魂かも判別出来るはず!

 

 

 

 

「……――っっはあ!!」

 

 ……何分経っただろうか。集中し過ぎていつの間にか無呼吸になっていたらしく、唐突に息苦しさを感じて慌てて大きく息を吸い込む。

 

「物凄い集中力でしたね。女王様、大丈夫ですか?」

 

 いつの間にか入室していたトウコ、いえ、この雰囲気はデンドロビウムか。いつも通りの穏やかな声と表情ながら、僅かに心配そうな心情が垣間見える。入って来たのも気付かなかったくらいだし、ここまで集中したのは初めてかもしれない。

 

「スゥー……! ハァー……」

 

 モチョを解放してから、大袈裟なくらい大きく深呼吸を繰り返して呼吸と意識を整えつつ、今得た情報を反芻して紡ぐ言葉を考え始める。

 

「……ハァー……20分、か……」

 

 手探りでスマホをサッと操作し、ちらと画面を見て時間を確認すると、調整魔法亜種を使い始めてからだいたいそれくらい経過していた。

 

「こくり……ふぅ。さて」

 

 いつの間にか私の側に置いてあった湯呑みの緑茶(多分デンドロビウムが置いた)を一口飲み、口内と喉を潤してから、正座をして足をモゾつかせて結果待ちをしているいろはに顔を向ける。ソワソワ可愛いわね。

 

「まずは、判った事からね。端的に言って、モチョには魂が入ってるのを感じ取れたわ。まあ、これは調べる前に予想してた事だけど」

「それじゃあ……!」

「慌てないの。逆に、誰の魂かまでは判らなかったわ……かなり厳重に、それこそ世界の因果から認識外に置かれる程に強い封印が施されてるわ。現状、封印解放の手段はないレベルね。けどまあ、多分ういの魂でしょうね。でないと、いろはがモチョに触れた時にういの記憶が戻った理由に説明がつかないもの」

「そう、ですね……ねえ、モチョ。あなたはういなの?」

「モキュ?」

 

 いろはの膝に猫の様に顔をスリスリしていたモチョが、問いかけに顔を上げて不思議そうな顔で首を傾げる。

 

《……雰囲気的に、ういちゃんが大好きなお姉ちゃんに向ける感情とは違う気がするわね》

「そうね。いろはを何より信頼してるって感情が伝わって来たから、ういの影響は間違いなくあるだろうけど、自分がいろはの妹だっていう認識はなさそうね。つまりは、今思考しているのはういじゃないわ」

「ふむ。そうなるとモチョの精神は、ういさんの魂が封じられている影響で生まれたもの、と考えるのが妥当でしょうか」

《かもな。まぁあくまでまだ推測の域を出ないが……なんにしても、その方向で情報を拡散させた方がいいな。西の顔役でイレギュラー排除勢なやちよには、今すぐ伝えねえとだな》

「あとは、中央と東のにもした方が良いんじゃねえの? この後ゆまと一緒になんとか相談所と十七夜のメイド喫茶に連れてく約束だったから、居たらついでに伝えといてやるよ」

「そういやそうだったな。んじゃ頼むわ」

「わざわざありがとうございます、杏子さん、ゆまちゃん!」

「おう。ま、ほんとについでだから気にすんな」

「気にすんなー!」

 

 そう言ってシェルター道場の扉に向かう2人。真似っ子可愛いわね。

 

 2人は元々モチョの魔法での調査を見届けたら出かけるつもりだったらしく、特に何か言い残す事なく、手を繋いで仲良く外出した。それを見て、私達はほっこりした気分になった。

 

 

 

 

 さて。モチョの中に誰か(多分うい)の魂が封じられている事が判明した事から、今後どう動くべきかを話し合う事になった。

 

「ういの魂がモチョの中で生きているのなら、私はういの身体の方を探します……例え、どんな結末が待っていようと」

 

 どんな結末、ね。まあ、魔法少女の真実のひとつ――「ソウルジェムさえ無事ならわりとどうとでもなる」って事を知らないなら、その結論に至るわよね。

 

 ソウルジェムの真実を知ったほとんどの魔法少女は少なからず負の感情を抱くから、今はまだ言わないけど……

 

《あくまで予想だが。魂がこうして封印されてるなら、身体の方も魔法で封印・保護されてる可能性がある。その決意の強さは素直に尊敬出来るが、最初から最悪だと決めつけて動くもんじゃあねえぜ》

「燈湖さん……はい、そうですね!」

「ふふっ真っ直ぐな良い返事です」

 

……私達がどう説明しようか悩んでいた事を、トウコが上手く代弁してくれた。相変わらず流石ね。

 

 魂が機能を奪われたキュゥべえ――モチョに入っていると言うことは、ういは身体から魂を抜き出された、という事。そして、調整魔法の要領で調べて僅かとは言え情報を抜き出せたって事は――ういは魔法少女になって、魂がソウルジェム化してる、と言う事になる。

 

 つまり、モチョの中に封じられているのは、ういのソウルジェムなのだろう。

 

《いろはちゃんはソウルジェムの真実を知らないから、まだその情報は伏せた方が良い、とは思うけど……いろはちゃんの芯の強さなら、意外と伝えてしまっても問題ないかもじゃない?》

《気持ちは分かるのけど、「かも知れない」で判断しちゃ駄目よ。調整魔法である程度心の中身を覗けるけど、すべてを見れる訳じゃないし、意外な地雷があるかもだし……伝える時と場面は慎重に。それは変えるべきじゃないわ》

《まあ、そうよねぇ……あーでもでもっ。なんかやきもきするぅー……!》

 

 ということで。ソウルジェム含め、キュゥべえが事前の説明責任を放棄している真実を伏せつつ、今後の調査方針を話し合った。

 

 いくつか案が出たけれど。結論自体は割と早く決まった。

 

「ういと一緒の病室で友達だった、灯花ちゃんとねむちゃん。まずは2人を探して、話を聞いてみようと思ってます」

「確かに、まずはそれよね。3人……いろはを含めると4人だけど。側から見ただけでもあなた達は親友って感じに見えたし、いろはの時みたいにモチョに触れたら記憶が戻るかもね」

「とはいえ、ういさんがキュゥべえと関わっていたのなら、そのお二人もまず間違いなく魔法少女になっているでしょうね」

《だな。つまりは、接触するなら慎重に慎重を重ねて。絶対に1人で突っ走らず、ツーマンセル……出来ればスリーマンセルで動くべきだな》

《そうね。あの2人のいろはちゃんとの繋がりは、ういちゃんあっての物だろうから……ういちゃんの存在が消失してるなら、いろはちゃんと2人の接点はない――2人にはいろはちゃんを憶えていないと思って動いた方が良いでしょうね》

「それは確かに……ちょっと悲しいですけど、わかりました!」

 

 端的にまとめると。いろははモチョと、信頼出来る魔法少女を最低1人引き連れて、神浜市内にてサトミトウカとヒイラギねむを探す、という事になった。

 

「これからしばらく、よろしくお願いします! カトレアさん、女王様!」

「ん、よろしく……」

 

 ……ん、あれ? 何故かいつの間にか、私達が「最低1人」枠に確定で入ってるような……?

 

《世界に愛された私達に不可能はないわ。大船に乗った気持ちでいなさい!》

 

……ま、カトレアの新しい親友へ役に立ちたいって意気込みが凄いし……この子が嬉しそうならいいか。私も、いろはは割と気に入ってるしね。




 次回投稿予定は、4月7日(木)の予定です。
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